それなら良かった。安心だね。
(良い香りがすると紗枝に言われて、心配気な表情は安堵に変わり、朗から笑みは彩文そのものであったが)
(かつてとは異なり完全に柔らかな少女そのものの笑みになっていた)
キューティー・エンジェルズのこと?
ボクも見たことがあるよ。
そうだね。戦闘の邪魔にならないようにと、とばっちりで被害に遭わないようにしないとね。
(敢えてサファイアと限定せずに言って、サファイアに抜擢される前は先代のサファイアや部外者としてルビーやアンバーを見たことがあり)
(強ち嘘をついている訳ではなかったが、どこかいつもよりは言葉少なめで)
(戦闘に巻き込まれ人質になったり、被害に遭わないための避難は必要と強調する)
……ありがとう、紗枝ちゃん。
…………女の子同士になったら……変かな?
うん……行こう。
(驚いた紗枝の様子に身体を小さくしてより顔は恥ずかしさに紅くなり、瞳は潤んで返事を待っていて)
(答えが受け入れを承知するものだと分かると嬉しそうにして、引かれた手をキュッと強く握り公園の茂みの奥へと向かう)
……うん、やっぱりキスしているところ……他の人に見られるのなんて恥ずかしいもの。
(身体を抱き寄せられ、後頭部にもう片方の手を回されると、彩文は紗枝の腰に両手を回して抱き付き)
(顎を上げ唇を僅かに突き出すようにして静かに目を閉じて、唇が重なるのを待つ身体は緊張に微かに震えていた)
……ボクも寂しかったよ。でも、紗枝ちゃんのスマホの番号とか聞いてなかったし……。
お父さんとお母さんが一緒に居てくれても紗枝ちゃんの声が聴きたいって何度も思ったんだ。
(唇が優しく重なれば、一瞬身体を硬直させるがすぐに力を抜いて、唇を割って入って来た舌に最初は躊躇いがちに)
(キスの時間が長くなって来れば、少しずつ紗枝の舌の動きを真似て唇を大胆に動かし始めた)
ンゥ…………ンん……ンゥ…………ンチュ……。
(紗枝が紫の蝶と人払いの術を使っていることには気づかず、キスだけに集中すれば)
(気持ちの高まりと共に、徐々に身体も昂り始めたことが淫紋を通じて伝えられる)
……ンァッ……ハァ、ハァ……紗枝ちゃん……ハァ……好き。
(長いディープキスに息が苦しくなって一度唇を離すと、酸欠で少しぼんやりとした顔でニッコリと微笑み)
(今感じている気持ちを素直に伝えて再び唇を重ね、舌を熱烈に絡め始めた)