(登校した彩文の具合が良くないことは、仲が良い、それほどでもないを越えてクラスメイトの誰が見ても明らかで)
(心配そうに見つめる者だけでなく、軽く声を掛ける者も居たが、短く「大丈夫」と答えるだけですぐに突っ伏してしまう状態だった)
「ねぇ、彩くん知ってる? 昨日、梨奈事故に遭ったらしいんだ。
今日、私たちお見舞いに行くけど、彩くんどうする?
彩くんも体調あまりよくないみたいだし」
(最初にサリヴァーンに梨奈が襲われた時に一緒に居た少女が、迷った挙句ようやく彩文に声を掛けていた)
(実は事故ではなく、サリヴァーンを出し抜いて彩文を自分の物にしようとして彩文の家へと向かっていた淫魔になった梨奈が)
(キュティー・ルビーに見つかり、まだ生まれ変わり間もない梨奈では戦い慣れたルビーに勝てる訳もなく)
(淫魔になる原因となった恋心と共に、昨晩彩文が淫夢を見ていた頃に浄化され)
(変身を解いたルビーによって、道路に倒れていた少女として通報され病院へ運ばれたのだった)
えっ、梨奈ちゃんが……? うん、分かった。体調が悪くなければ一緒に僕も行くよ。
(ようやく顔を上げて問いかけに答えた声は完全に少女のそれで、彩文の顔を見た梨奈の友人の少女も彼の変貌に驚きの表情を浮かべて)
(少女が戸惑いながら去ると、彩文はまた机へと突っ伏していた)
…………あっ、紗枝ちゃん…………ありがとう。
……何とか…………大丈夫だから。
(紗枝の顔を見た彩文は昨日の事を思い出し、仄かに紅潮した頬をさらに赤らめて)
(少し動くだけで乳首がシャツと擦れて辛そうに目を細め、たどたどしく言葉を紡ぐ)
うん……ありがとう。心配かけてゴメンね。
(紙袋を受け取り紙袋を薄く開いて中をチラリと見て驚きの表情を浮かべて、それ以上は紗枝とも話すを億劫がって、また机に突っ伏してしまう)
ありがとう、紗枝ちゃん。
(なぜ紗枝にバレているのか、昨日の今日にしても不自然に思いつつも今はじっくりと考える余裕もなくて)
(授業の準備をしているクラスメイトに合わせて、彩文も授業の準備を始めたのだった)
(午前中はそれでも大過なく過ごした彩文であったが、休み時間は机に突っ伏してほとんど動こうとしない以外に)
(唯一の不審な行動は今までは友人たちとトイレに一緒に行くことが多かったのが、一人で行きたって誘いを断って)
(教室を抜け出した時には、遠くのあまり生徒が使わない特別教室近くのトイレまで行く関係で戻ってくるのに時間が掛かることだった)
(そして昼休み、昼食を終えた彩文は紗枝の渡した紙袋を持ってそっと教室を一人で脱出して)
(また遠くの教室に近い男子トイレを目指していて、男子トイレに着き入る時もかなり周囲を気にしてから中へと入って行って)
……紗枝ちゃんの厚意だし、授業にも集中できないし、背に腹は代えられないから借りちゃおう。
(そう言って男子トイレの個室で制服を脱ぎだし、上半身裸になった彩文の近くに紗枝が迫ってきていることを全く気付いていなかった)
【こちらも返信が遅くなりました。完全に女の子になるのは、休みに一緒に出掛けた時か、その日の晩にしようと思ってます】
【それまではゆっくりと女性化が進む感じで考えています】
【それと梨奈がやられる部分はサラッと流しました】