ありがとう、紗枝ちゃん。
(トイレを出る前に周囲を伺う紗枝に微笑んでお礼をいって、大丈夫の声を聞いて安心して廊下へ出て)
(しばらくは手を繋いだまま歩いていたが、ポツリポツリと生徒の姿が見えてくると自然に手を離す)
じゃあ、同じ時間くらいに、同じ場所で待ち合わせにしよう。
そうだよね。僕は慣れてるけど、紗枝ちゃんにはその方が良いよね。
(まだ微かに頬を上気させたままだったが、休みの日の待ち合わせ時間と場所を決めて)
前に約束した通り、クラスの女子が良く行くお店で良い?
(自分の身体が女性化しつつあることは、紗枝にもある程度バレているのは分かっていたが)
(飽くまで行く目的は紗枝の服を身に行くということにして、紗枝が自分の服を身立てようと思っているとは考えていなかった)
うん、僕こそよろしくね。
えっ……私服? …………じゃあ、ちょっと考えておくね。
(私服も楽しみにしていると言われると、最近トップスはまだしもボトムズはお尻の辺りがきつく)
(腰は却って余裕が出来て緩くなっていて穿けるものが減って困ったなと思っていて)
(困惑した表情をして、それまでに考えておくとだけ言って、紗枝が手をしっかり再び握ってくると握り返して教室へと帰って行った)
(その日の最後の授業は事もなく済んで、図書当番の日で図書館へ向かった彩文は普通に委員としての役目を果たしていた)