はい、貸出ですか?
(図書館ではゆったりとした時間が流れて、ここのところクラブ活動も委員会活動も休みがちで)
(久々に発情しなくて落ち着て仕事が出来る分頑張って仕事をこなしていた)
はぁ〜、それにしても今日はクラブの日じゃなくて良かった。
もし、クラブの日でチームメイトに囲まれたら……。
(体育の時間に男子の汗の匂いを嗅いで身体が熱くなったことを思い出し、頼まれた本を書庫で探しながら)
(もしバスケ部の活動があったら、体育の時間の比じゃなく長時間になるのは明らかで)
(そうしたら自分の身体はどうなっていたかと考えただけで、より強さを増した淫紋が反応して軽く彩文の身体を火照らせてしまっていた)
お待たせ、この本で間違いありませんか?
(本を持って帰って来て借りる依頼をした生徒に本を見せると、貸し出す手続きをしている時)
『キャーッ!!!』
(突然大きな女子の悲鳴がいくつも沸き起こって、閲覧室の窓から彩文が外を見ると鬼のような姿の妖魔が「女、若い女」と呻きながら女生徒追っていた)
……これは……、すみません、ちょっとトイレ行ってきます。
(一緒に仕事をしていた他の委員にトイレへ行くことを告げた彩文は、慌てて廊下を駆け出していた)
こんな場所で、こんな時間に好き勝手するなんてキューティー・サファイアが許さないわ!
覚悟なさい。
(少し間をおいてどこからともなくキューティー・サファイアが現れて鬼のような妖魔の正面に対峙して凛とした表情でキッと睨みつけて)
「サファイア、頑張って!!」
(正体が彩文と知らない今まで逃げまどっていた少女たちは、サファイアを笑みを浮かべて応援していた)
『女、魔力の強い若い女』
はい、はい、分かったら、さっさと消えてね。
サファイア・エスポワール・フレッチャ!!
(威力を増した矢はスピードも速く、本数も威力も増していて、アッという間に妖魔を倒すことに成功していたが)
(サリヴァーンとは無関係に女を求めて現れた妖魔の雄の体臭は濃密で、塵と消えても他の誰にも気づかれずとも)
(紗枝だけには匂いでサファイアの身体が火照り発情を始めたのが分る筈で)
……あっ、大丈夫です。
(言い訳のトイレから人間の姿で戻って来た彩文に、図書委員が「妖魔大丈夫だった?」と聞いて)
(彩文が大丈夫と答えれば、少しトイレにしては時間が長かったのも気にした様子もなく自分の仕事に戻って行った)
……ハァ……ハァ、ハァ……。
(「上手く倒せたけど、身体が熱い……」)
(仕事を再開した彩文ではあったが、サファイアとして発情した身体はまだ収まっておらず紅い顔をして少しだけ息を上げて仕事を何とかこなし続ける)