(千歳の様子が変に見えたのか、おとうさんが近づいてくる)
へ、あ、べ別に、なんでもな…っっ!
(赤くなった千歳の顔におとうさんの手が触れると、千歳の鼓動がひときわ大きく高鳴り、身体が一瞬硬直した)
ち、ちょっと赤くなってるけど、その…ホントに、なんでもないよっ
(早口で言いながら、少し身体をずらしておとうさんの手から離れる)
(このまま手が触れていたら、そこから胸のどきどきまで伝わってしまいそうだった)
(気持ちを落ち着けようと牛乳をこくこく飲む千歳)
(すると正面に座ったおとうさんが、心配そうに学校に行けるか聞いてきた)
う、うんっ、もちろんだよ!
(ちらちらとおとうさんを見ながら、ちょっとぎこちなく笑顔を見せる)
(普通に、いつも通りに顔を見るだけなのに、どきどきが止まらない)
(これ以上変に思われたくなくて、千歳は朝ごはんを急いで食べ終わると学校のリュックを持って立ち上がる)
じゃ、じゃあおとうさんっ、行ってきます!
(どきどきを振り切るように、千歳は急いで家を出ていった)
(学校にいる間は、身体の調子は何ともなかった)
(友達や先生の顔を見ても、どきどきもしないし顔も赤くならない)
…変なの
(朝のことを思い返しながら、自分がああなった理由が思いつかず首をかしげる)
ただ単に、おとうさんの顔を見ただけ…なの、に
(ふと朝のおとうさんの顔を思い浮かべ、千歳は再び体の異変を覚えた)
え…なんで…?
(身体の奥がじんじんと熱くなりはじめ、また胸がどきどきと鳴っていく)
わけ、わかんないよ…
(おとうさんを思い出してどきどきしている理由が分からないまま、千歳は自宅に帰ってきた)
………
(いつも通りの帰宅なのに、緊張してしまっている千歳)
(でもこのままここに立っているわけにもいかないから、千歳は息を整えてドアを開ける)
おとうさん、ただいまっ!
(いつも通りに、元気な声で玄関に入っていく千歳)
【うん、じゃあ23時まで楽しもうね】
【あと次の予定だけど、明日の19時半くらいから〜23時くらいまでお話しできると思うよ】