>>518
それはなかなか判断が難しいところですね。

私が天城鷹雄と扇紳之介は別人では?と疑ったのは、
例えば扇紳之介氏の作品では文庫本1冊に出来るほど
の長編を読んだことがないということが理由の一つ
です。
私の知る限り、扇紳之介氏の作品は、同時代のSM小
説家で主に連載物の長編を書かれていた団鬼六氏や
千草忠夫氏、結城彩雨氏とは異なり、全て1話完結の
いわゆる読み切り物で、連載物は1つもありません。
つまり元々1話完結の短編ばかりのため、平均的な文
庫本1冊にちょうど収まるほどの長編の作品がないの
です。もちろんフランス書院のために新たに長編を書
き下ろしたということも考えられなくはありませんが
、それまで長編を一作も出していないのに、いきなり
立て続けに長編を書けたのか、それもまた疑問です。
さらに、扇紳之介氏の作品の中で、これは短編故のこ
とかもしれませんが、母と息子が絡む場面がある作品
では、その描写は非常にあっさりとしていて、例えば
、一度関係を持った後も母と息子が関係を持ち続ける
といったものはほとんどありません。

確かに「猟蝕夜」を初めて読んだ時には、私もああこ
れは扇紳之介だなと思いましたが、その後に出版され
た天城鷹雄名の長編を読んでどこか違和感を感じたの
はそのような描写の違いもありました。

なんだか饒舌に過ぎたようですね。失礼しました。