以前、作者は最初からこの結末を用意していたのではないかと書き込んだ。余りに満司が余裕過ぎるからだが
用意していたのは結末だけではなかったのかもしれない。

皆に評判の悪いあの殴り合いの場面だがあれも性技ばかりではなく肉弾戦でも暁年と暁人は間男に敵わないという事を
見せつける為の物だったのだろう。
二人に同時バレしてその後、腕力沙汰になる展開は編集からの急な打ち切りがあったから仕方なく、とかではなく作者が
最初からそうしようと考えていたからだと思う。

月下香の檻は単に美人妻が寝取られる話では無くて、家族そのものが入れ替えられてしまう、つまり暁人と暁年が徹底的に
貶められ従属させられる話なのかもしれない。唯子はその手段であって彼女だけが堕ちても駄目だと作者は考えていたのでは
ないか?

最終回における主役は暁年と暁人であって唯子を愛するが余り、満司に対して何も出来ずに只、奈落の底のような業苦の中に
堕ちていく、その家族の悲哀を作者は描きたかったのでは・・・

何故、そこまで暁年親子を貶め、満司親子を遇するのかは判らないがそれぞれが何かの象徴であるのかもしれない。
流石に神話までは考えつかなかったが成る程、満司がハデス、唯子がペルセポネ、暁年がペルセポネを連れ戻すべく主神に訴えた
母のデメテルと考えたらまあ、辻褄は一応、合っている様な気もする。

発想の豊かさと広さにちょっと驚きました。