「……今夜も便所で、百々子さんは哲生をしゃぶるんかなぁ?」
その敵意が名前が出たことによってはっきり像を結んだ。あの男、自分の息子 哲生は、自分しか使わない2階のトイレではなく、わざわざ1階のトイレで戸を開けたまま
自分の母親 百々子にペニスをしゃぶらせ、それを呆けた祖父に何度も見せつけていたのだ。その祖父が小便を遠慮し、わざわざ庭で用を足すくらい、習慣的に。
『何言ってんだ、ははっ』
『知るか……ひっひっひっ』
『ひっひっ……お、おおっ……残念やなぁおやじ、ざまあみろや……ひひ、いいっ』
数日前の哲生の1階トイレでの馬鹿にした様子。祖父はおろか実の父親が戸の前にいる時に哲生は、トイレの中で実の母親に、自分のを。
怒りに任せて立ち上がって部屋を出ていこうとした典生の背中に、老父が投げかけた言葉。
「……はて、百々子さんは哲生の嫁さんやったかなぁ?」
嫁、による孫、へのフェラ画像を愛おしく眺めていた父の無垢で残酷な問いかけ。
そうだ。百々子は俺の嫁だ。初々しくも豊かで柔らかく瑞々しかった躰を初めて、まさにこの隣の部屋で抱いたのはこの俺だ。
あの顔を何度も蕩かせてもっともっとと願わせ、農家の家長として子を孕むまで種を出し続けたのはこの俺だ……!
たった今起きている哲生による生々しく罪深く猥褻な家庭内暴虐に対し、必死に思い出を紡ぎ対抗しようとする典生。駆け出す勢いは増し家を飛び出す。まだ小雨の止まぬ中、
軽トラに再び乗り込む。妻 百々子と息子 哲生がどこに向かったかは定かでない。しかし典生はエンジンを掛け向かった。あからさまな尺八画像を見たせいで、
つい数10分前のコンドーム大量購入のことなど、記憶から消えていた。
自分の畑へ。おととい下の川から見上げ、強い雨の中肌色が駆け回る意味ありげな光景を見た畑の道具小屋へ。