朝起きたら、妹に その15
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0001桐莉兄2008/08/11(月) 13:55:57ID:mdGf7dDA0
桐莉「兄ちゃん、兄ちゃん、ついに15スレ目に突入だぁーっ」
隆浩「……え?まだ続いてたのか、このスレ?」
七華「続いてるよ、たかくんっ!!!」
由紀「ボク達の物語が終わっても、兄と妹の伝説は何処までも続いて行くんだよっ!!!」
桐莉「……まぁ、何時終わっちゃってもおかしくない過疎りっぷりッスけど……」
七華「桐莉ちゃん、電波分の補給宜しくっ!!」
ゆかな「ドミ狩る分はゆかなが引き継ぐのですよーっ!!」
月華「はいはい、犬神分犬神分」
雪帆「ボクと兄さまと月ちゃんも宜しくねー」

果たして命脈は何処まで続くのか、兄と妹のラブラブ電波でちょっぴり切なくいやらしい数々のストーリーが今ここにON AIRっ!?

七華「永遠はあるよ、此処にあるんだよっ!!!」
桐莉「幼馴染キャラは引っ込んでるっ!!!」


 前スレ:朝起きたら、妹に その14
    http://set.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1180380183/
 保管庫
    朝妹スレ私設まとめ(ハル氏)
    http://asaimo.h.fc2.com/
 ログ置き場(保管庫完成までの暫定設置)
    朝起きたら妹に、ログ置き場
    http://www.geocities.jp/asaimo0/
0177突発屋 ◆63./UvvAX. 2009/08/05(水) 00:25:19ID:NzFzZCJh0
 「……あの、兄さん……背中、当たってるんですけど……」
 「狭いんだから、しょーがねーだろっ!」
 「それにおし……おし……りも……」
 「良いから黙ってろっ!」
 結局、全裸で押し入ってきた(と思う)妹の三助奉仕は全力でご遠慮願い、妹の姿を絶
対に視野に入れないようにしながら、とにかく一緒に湯船に浸かるだけという妥協案を必
死で成立させた。んでシャワーを浴びた妹と俺は、現在一人用のバスタブの中に背中合わ
せ状態の針のむしろ状態で仲良く(?)浸かっている。
 「…………あの、兄さん?」
 「ンだよっ!?」
 「ほ、ほんとうにこれだけで良いんですか? わ、私は全然構わないんですけど、後に
なってから『あの時は』なんて言い出して背中を流せって言っても無効なんですから分か
ってますよね!?」
 「だから良いって何度も言ってるだろっ!」
 背中って、確か一番皮下脂肪が少ない所だよな? だったらコイツの背中は何でこんな
に柔らかいんだよ! 絶対に人間の触感じゃないだろコレ! しかも細いし、あったかい
し、超スベスベなのが信じらんねぇ! デコ助よりも大柄な癖しやがって、こうやってみ
ると全然同じって、物理法則に喧嘩売ってんじゃねぇのかおい!? しかも、奴にはコレ
以上に皮下脂肪が集中している部分が更にあったりするっつーんだから恐ろしい。
 「……あの、兄さん?」
 オーライ、俺はクールだ。よく考えてみろ。俺は女と手を握ったこともないヘタレとは
違うんだしデコ助のお陰で耐性だってある筈だ。しかも相手は妹だ、クソ生意気で可愛げ
が無くて屁理屈しか取り柄がないアウトオブ眼中の存在なんだから、別に変に意識する必
要なんて一ミクロンだって無いし、そもそも女生徒A程度の価値しかないんだ。
 「兄さん?」
0178突発屋 ◆63./UvvAX. 2009/08/05(水) 00:26:25ID:NzFzZCJh0
 それにコイツに変な勘違いなんてされてみろ。またグダグダと妙なイチャモンを付けら
れて延々と嫌味を言われるに決まってる。いや下手するとコレを根に持って理不尽な要求
だってされるかもだ。それに93センチだか何だか知らんが見えもしない限りは何の脅
威にもなりゃしねーんだ。
 「もぉ兄さんってば!」
 ごすっ。
 「ごふっ!?」
 後頭部に打撃(頭突きと推定)を受け目の前に星が散らばった。
 「だから何すんだよ、お前はっ!?」
 「だから何なんですか、この空気の重さは! 私も一緒に入れと言い出したのは兄さん
なのに、その兄さんが話も振らずにオドオドしてどうするんですか!?」
 「う、ぬぬぬ……」
 「唸っても無駄です。まったく浅はかと言うか意気地がないんだから……」
 「ちょ……なんなんだよその言い草は! さてはお前、なんで俺が一緒に入れとか言っ
たか本当はわかってて言ってるんだな? そうだよなっ!?」
 「はい勿論です。兄さんは妹のはだ……あられもない姿を視姦しつつ、そのまま背中を
流させながらお母さんが居ないのを良いことに不可抗力の振りをして好き放題に触ろうと
画策したことくらいは重々承知してます。もっとも実行寸前になって臆病風が首をもたげ
た所為で、触るどころか見ることすら出来ない様ですけど。」
 「ちょ……おま……!」
 マジか? マジでンなこと考えてるのかこのアマは!? 思考のベクトルが明らかに歪
曲してるっつーか、どこの惑星発の非炭素系敵対的な地球外起源種なんだよ!?
 「あら、違うのですか?」
 「ッたり前だろーが、このヘソ曲がりの自意識過剰女っ! いいか、俺はなぁ!」
 「はい。」
 「俺は、お前が困って……!」
 ……いや待て、ここで『お前が困ってたから』と言ったとしてヤツが素直に認めると思
うか? これまでのパターンからすると、むしろ『そんな恩着せがましい言い訳を』とか
逆に悪者扱いされる可能性の方が断然高いんじゃないのか? それに情に負けたっつーこ
とは相手にそれなりに気があるって(もちろん俗に言う惚れた腫れたってのとは絶対に
違うが)ことで、それってシカト合戦で成り立ってる俺達の関係じゃ敗北宣言どころか降
伏宣言と同義じゃねーのかおい!
0179突発屋 ◆63./UvvAX. 2009/08/05(水) 00:27:27ID:NzFzZCJh0
 「兄さん?」
 「……お前が困って……困ってる所を見たかっただけで……」
 「…………」
 「……別に裸を見たいとか何とか、その……深い意味は……」
 「最低ですね。!」
 はい、いくら他に何も思いつかなかったとは言え最低の言い訳だなーと、言ってから自
分でも思いました。
 「そんな幼稚な動機で年頃の妹に裸……一緒にお風呂に入れと遠回しに強要するなんて、
もはや性根を疑うしかありません。まだ嘘でも……えっと……見たいからとかとかさ、さ
さ、触りたいからとか言われた方がマシです。いえ、いっそのこと恥ずかしい格好で奉仕
をさせたかったと言われたいくらいです。」
 「うぐ……」
 「こんな子供じみた発想しかできなくて、しかも意気地無しで卑劣な癖に性欲だけは人
一倍強くて、実の妹を相手に破廉恥この上ないセクシャルハラスメントを『困った顔が見
たいから』などと言う低俗な興味本位で押し付け、それでも背中とおし……肌を密着させ
て悦んでいるような兄と壁一つ隔てただけの鍵すら付いていない部屋で暮らしているなん
て、これはもう血が繋がった実の妹の私でも立派な貞操の危機です!」
 「い、いや、それはさすがに……」
 ひつこいようだが、妹とすら思ってないお前に興味なんて無いし。
 「……流石に、なんですか?」
 うお、めっちゃ怖いジト目で睨まれた!
 「だってお前、冷静に考えてみろ。家の中に二人っきりで、しかもお互い何も着てない
し、これ以上ないってくらい密着してる状態だぞ今! こんな据え膳状態で何のアクショ
ンも起こさないって事は、それこそ全然これっぽっちも一ミクロンも興味が無いって証明
に……」
 「え? あ……い、いーえ違います。兄さんは本当は私のおっぱ……胸に興味津々で触
りたくて仕方がないのに私が油断していないので怖くて手が出せないだけなんですっ!」
 お、ちょっとムッとしたか? しっかし間近で見ると綺麗な目してやがんなコイツ。
 「いや、だから裸になって怖がってんのはお前……」
0180突発屋 ◆63./UvvAX. 2009/08/05(水) 00:29:51ID:NzFzZCJh0
 「勝手なことを言わないで下さい! い、一応は家族ですし、気弱な飼い犬みたいな情
けない声で泣くだけで手も出せないへ、ヘタレ? の兄さんに見せるくらいは怖くも何と
もありませんから! 兄さんこそ、いままで触れたこともないのですから女の子の素肌の
扱い方なんて何も知らないんでしょう? 怖いって認めて謝るなら今の内ですからね!?」
 いや、そう言いながら目が泳いでるだろお前? しかも耳まで赤く……ん?」
 「な、なんですか……!」
 あれ? なんで俺はコイツの表情の微妙な動きまで逐一観察出来てるんだ? しかも色
までわかるって事は見てるってことだよな? でも二人揃って背中合わせ? だったら俺
が振り返ったって耳は見えても目とか口とかは無理だよな? とゆーことは妹も俺の方を
向いてるってことになる……のか?
 「……あ、あの、兄さん?」
 オーライ、落ち着け、俺はクールだ冷静だ。いまさら現実逃避しても無駄なんだから俺
も妹も罵り合ってる間に思わず振り返ったのは認めよう。それだけなら別に……
 「兄さん?」
 ……口紅付けてない生の唇って、こんなに甘そうな色をしてんのかよ? って、そうじ
ゃねぇだろ! そう首だけ曲げた程度じゃ胸なんて見えない……と思うから……
 「もぉ兄さんってばっ!」
 「いでででででっ!」
 んな乱暴に人の頬を摘んで引っ張るな! それに、そんなに体の向きを変えたら93セ
ンチが……センチが……
 「………………………………浮いて……る?」
 「え?」
 見えてしまうのも想定内だったのか、或いは女の防衛本能が無意識レベルで発動したの
かわからないが、残った片手が肝心の先端部分を巧くカバーしている。が、重力の影響か
ら幾分かでも解放され、水圧で四方八方から押し出された妹の豊満なナニは文字通りの釣
り鐘型。ユラユラと揺らめく透明な水面の下で宇宙遊泳みたいにぷかぷか揺れている様
は圧巻というか現実離れしているというか……
 「まじ、でかい……」
 「あ……!」
0181突発屋 ◆63./UvvAX. 2009/08/05(水) 00:30:27ID:NzFzZCJh0
 これ、一個でも俺の頭くらいのボリュームあるんじゃね? しかも水の層の向こうにあ
るっつーのにピチピチっと程良い弾力と柔らかさがわかる。でも表面はシットリのツルツ
ルなんだよなアレ。くっそ〜デコ助の奴、年上なんだからコレの半分くらいの大きさは確
保しとけってんだ! 
 「あ、あ……ああああ……っ!」
 でもアレだよな、これだけ大きけりゃ掴んで揺らしたり指が沈む感触とか、それこそデ
コ助にゃ死ぬまで不可能っぽいパイズリとか出来るよな? ってゆーか、むしろやらない
と損なレベル? いや、その前に先ず重さを堪能したり谷間作って顔を埋めて……
 「にににに兄さんっ!?」
 しかも手ブラ? が反則なくらいにエロい! 雑誌のグラビアで見たときは何も感じな
かったが、こうして生で、しかもモデル級サイズのを上からとなると断然違う。首筋から
鎖骨へ、そしてそのまま剥き出しの腕と同じ色の肌が見事な形で盛り上がってタユンタユ
ンと揺れてるビジュアルだけでマジ鼻血が出そうだ。このキングサイズの女の象徴が、ほ
んの数十分前まで俺の背中に乗っかって、スリスリと形を変えながら押し付けられたなん
て信じられねー幸運じゃねーかおい!
 「み、みみみみ見て……るんですよね?」
 「おー……おおっ!?」
 うわ手ブラを押し付けただけでムニュっと形が変わった! これが体操服で運動してプ
ルプル上下に跳ねてるトコとかビキニ(それ以外は却下だ)で仰向けになってプリンみた
いな形になってるトコとか寝間着代わりのノーブラYシャツでボタンが飛びそうになって
る状態で襟元から覗く谷間とか裸エプロンで脇からはみ出してるのとか膝枕して貰って下
から見上げるボリューム感とか抱きつかれて腕が間に挟まってるのとかがスゲー見たくな
ってきたぞ俺!
 「まま、まだ見るんですかっ!?」
 なんか遠くの方で謎の生物がピーチクパーチク囀ってるみたいだけど、ンなことはもう
どーでもいい! こうなったら国際天然記念物級の巨乳を俺だけの……
 「い……いぃ加減にしてなさぁぁぁぁぁいっ!!」
 せめて指が沈み込む感触だけでもと手を出そうと思った瞬間、図上からの衝撃と共に目
の前に無数の星が飛び交って……
0182突発屋 ◆63./UvvAX. 2009/08/05(水) 00:32:04ID:NzFzZCJh0
 「正気に戻りましたか?」
 気がつくと、目の前には風呂の湯を一瞬で氷らせそうな目付きの妹がいた。
 「……ナニヲイッテルンダオマエハ?」
 「今更取り繕っても無駄ですから。最低だ変態だ病的だとは思っていましたけど、ここ
まで重傷だったとは……」
 「……もしかして俺、全部口に出してた……?」
 だとしたら多方面的に破滅だ。
 「いえ、兄さんの妄言の数々を至近距離で聞かされずに済んだのは私にとっても不幸中の幸
いかも知れません。しかし兄さんの耳には私の抗議の声も全く届いていなかったようです
し、目玉が飛び出しそうな勢いで凝視していた目の色だけでも兄さんが私のおっぱ……欲
情していたのは明白です。しかも半開きになった口元からは牛さんの反芻みたいに涎がド
ロドロ垂れ流されていました。」
 どうやら既に破滅していた様だ。
 「まったく兄さんには実の妹も何も全然関係がないんですね。一緒にお風呂に入れと言
われた時から多少は……その、見えてしまうは仕方がないと覚悟はしていましたけど、ま
さか食い入るように……いえ、それこそ噛み付きそうな目で視姦されるとは想像もしてい
ませんでした。まぁ兄さんの理性に期待した私が愚かなだけだったんですけど?」
 「うぐ……」
 「わ、私だって自分のち……体の一部が平均値以上に発育している自覚くらいはありま
すけど……って兄さんは視線を下げようとしないで下さい! いえむしろ後ろを向いて目
を瞑ってていただけませんかっ!?」
 「さ、さーいえっさー!」
 うわ威厳がねーぞ俺。
 「こほん。と、ともかく同じ年頃の女の子の中で少々育ちすぎているにせよ、本屋さん
かコンビニエンスストアにでも行けば私よりスタイルが良い女性の写真なんて幾らでも見
れるでしょうに、どうして妹の……に固執するのか全く理解できません。」
0183突発屋 ◆63./UvvAX. 2009/08/05(水) 00:33:11ID:NzFzZCJh0
 「そ、そりゃお前、グラビアなんか所詮は絵に描いた餅だし……」
 やっぱ生の方が……なぁ?
 「兄さん、絵に描いた餅というのは主に想像の産物に対して使う言葉であり、グラビア
写真のように実在の映像を保存した媒体を表現する単語ではありません。それに印刷物と進行形の実体験
を比較対象にしたところで、そもそも血の繋がった家族相手に不適切な劣情を催す事への
弁解には全く繋がりませんけど?」
 「うぐぐ……」
 「以前から言おう言おうと思っていたのですけど、そもそも兄さんは何事に於いても自
制心というか堪え性がなさ過ぎます! 見たくなんか無い興味なんて一ミクロンもないと
言いながら、ちょっと私が隙を見せただけでジロジロと舐め回すような目付きで凝視する
わ、それで私が遠回しに見ないで下さいとお願いしても耳も貸さないわ、おまけに卑猥な
妄想で頭を埋め尽くして私が叩くまで正気を失ってるなんて異常です!」
 「うぐぐぐ……」
 はぁ〜、と、これ見よがしに溜息をつく音。
 「仕方がありません。私の当初の作戦からは大きく逸脱しますが、こうなっては考えを
改めざるを得ないようです。まさか、ここまでブツブツブツブツ……」
 「えっと、最後の方がよく聞こ……」
 「もう良いですから兄さんは黙ってて下さい! い、良いですか、私が良いと言うまで
そのまま指一本動かさないで下さいねっ!?」
 「ささ、さーいえっさー!」
 背後でザブザブと体を動かす気配と水面の揺らぎ。そのままタオルか何かが後ろから顔
に被せられる。
 「って、目! 目に食い込んでる! 耳が潰れる頭蓋骨が凹むって!!」
 「お、男の子でしょう! このくらいは我慢なさいっ!!」
 目隠しのつもりなんだろうが、力の入れすぎで痛くてたまらん。
 「このっ、このっ、このぉ〜〜〜〜っ!」
 「てか何だその異様に気合いの乗った掛け声は!? だから痛い、いだいって! 俺の
脳味噌を絞り出す気かお前はっ!?」
 「ジッとしてなさいと言ったでしょう! ああもう、そんなに動いたら上手く結べない
じゃないですかぁっ!!」
0184突発屋 ◆63./UvvAX. 2009/08/05(水) 00:34:06ID:NzFzZCJh0
 意地になって背中にしがみついてくる妹。だから、そんなにくっついたら剥き出しの9
3センチが……うわぁ! スベスベのムニュムニュが密着してるって張り付いてるって、
おまけにコリコリ何かが転がってる感触が背中に!
 「えい! やぁ! とぉっ! ふんぬっ!!」
 だから当たってるのに気づけよ! いくら視野狭窄たって、一個のことに夢中になった
ら触覚まで麻痺しちまうのかよ、このアマは!? ああクソ、早く終わらせねぇと俺だっ
てマジ暴発しちまうぞ、色んな意味で!!
 


 「ぜーせー」
 「はーはー」
 そして数分後。そこには湯船の中で揃って息を切らしている間抜けな俺達の姿が。
 「こ、これで大丈夫ですよね。私は先に上がりますけど、兄さんは私が合図するまでは
絶っっっっっっ体に出てこないで下さいね良いですね!?」
 「………………………」
 「それから今朝、お母さんに怒られた件につきましては今晩、私の指示通りにして頂き
ますから。」
 「………………………」
 「あと今更説明するまでもないとは思いますけど、兄さんと一緒にお風呂に入らされた
私がどんな目に遭ったかをお母さんに事細かく話して欲しくなかったら……わかってます
よね兄さん?」
 「………………………」
 しっしっ、と無言のまま手を振ってみせると妹は勝ち誇った余裕で鼻を鳴らしながらペ
タペタと浴室を後にする。
 「それでは兄さん、お先に失礼します。」
 そうして浴室と脱衣所を隔てる扉が閉まった次の瞬間。
 「ぶーーーーーーーーーーーーーーっ!」
 限界まで押しとどめていた鼻血を噴水並の勢いで吹き出しつつ、俺は力尽きた。
0185突発屋 ◆63./UvvAX. 2009/08/05(水) 00:36:06ID:NzFzZCJh0
以上です。
すみません、次は……もちっと?……エロいの書きたいと思います、まる!
0186名無しさん@初回限定2009/08/06(木) 13:17:05ID:yDk0E3wn0
>>185
GJ&乙でした。

93妹には期待せざるを得ません。
様々なシチュで弄り倒したい。
0187名無しさん@初回限定2009/08/06(木) 19:38:59ID:dy0oxg180
早く、エロまで持っていくんだ。
そう…「兄って、妹で童貞捨てるんでしょ??」ぐらいの勢いで
0192突発屋 ◆63./UvvAX. 2009/08/20(木) 23:11:29ID:b3jMeKpK0
 あの後、妹は俺を置いてサッサと学校に行きやがった。まぁ別に只の女子Aが何をど
うしようが知ったこっちゃないが、声の一つも掛けないで出掛けるのは如何な物かと思う
ぞ。お陰で家中探しまくっちまったじゃねぇか!
 いや、ほんとうにどうでも良いことなんだがな?
 「ちょっとアンタ! 私に一言の断りもなく重役出勤なんて、随分を舐めた真似をし
てくれるじゃないのよ!」
 で、急いで登校して二時限目の休み時間に教室に飛び込んでの第一声がコレだ。
 「……………」
 いや、これが担任なり生活指導担当の苦情なら、まだ一理あると思う。しかし俺は妹を
負ぶって家に戻る前に「ちょっと事故に巻き込まれまして……」と学校には一報を入れた
のだし、教室に向かう前には職員室にも顔を出して詫びを入れた(先に来た妹が俺の保護
者面して「私にも責任がありますし、どうか不出来な兄を叱らないでやって下さい」と馬
鹿丁寧に頭を下げ、遠回しに自分の株を上げつつ俺が主犯であるかのように吹聴してたと
聞いたときはプチ切れしかけたが)のだから、少なくとも怒られる謂われはない。しかも
だ今現在、俺の目の前で仁王立ちになり、反り返ると完全な平坦と化してしまう胸を目一
杯突き出して偉そうに踏ん反り返り、机に突っ伏した俺を見下ろしている身長150セン
チ未満(推定)の女は……
 「あに(何)よ、その反抗的な目は! あんた、自分の立場って言うのを本当に理解し
てる訳!?」
 「……うっせーよ、デコ助……」
 そう、単なるクラスメートにしか過ぎない俺的通称『デコ助』だ。
0193突発屋 ◆63./UvvAX. 2009/08/20(木) 23:12:33ID:b3jMeKpK0
 「なっ……なんなのよ、その生意気な言い草はっ! 恐れ多くもこの私が気に掛けて話
しかけあげたってうのに、他に何か言うことがあるでしょっ!?」
 「ンなものはねーよ……」
 しかも、相変わらず無駄にテンションが高い。何か変な薬でも決めてるんじゃないかと
疑いたくなる位に余計な所でエネルギッシュだ。っていうか気に掛けてるんなら、ちった
ぁ俺の疲れ具合にも気付っつーんだ。こっちは朝からハリネズミみたいな妹を相手に一日
分以上の気力とカロリーを浪費してるっつーのに、追い打ちでお前のキンキンと馬鹿高い
声が頭に響いてたまらないっての!
 「な、な……ななななななっ!」
 と頭上で歯ぎしりしている様子だが、今はデコ助が地団駄を踏んでる様で溜飲を下げ
ようと思う気力すら沸かない。何でも良いから放っておいて欲しい。
 「げ、下僕の分際で私にそんな口を利くなんて、後でどうなるかわかってるんでしょう
ね!? だいたいアンタは身の程ってものを全然…………って、やだ、ほんとうに変よア
ンタ?」
 「なんでもねーから黙ってろ……」
 「そんなグッタリして、何でもないってことないでしょ? ほら、一応は下僕の体調管
理も私の役目なんだし、ちょっとくらいなら話を聞いてあげてもいいかなって思ったり思
わなかったりしないこともないんだから、言ってみなさいよぉ!」
 「お前にゃ関係ねーんだよ、デコ助。だから黙って……」

 (ぐ、ぐぅ〜〜〜〜〜〜!)

 「………って、あ……」
0194突発屋 ◆63./UvvAX. 2009/08/20(木) 23:13:55ID:b3jMeKpK0
  しまった! ゴタゴタし過ぎて完全に忘れてたが、今朝は朝飯を半分も食ってないんだ
った! つーか、よりにもよって、このタイミングで鳴るか俺の腹?
 「え、なに? アンタ、お腹……?」
 うわ情けねぇ! というか最悪だ。これはもう寝たふりで凌ぐしか……
 「なにこれ、もしかして朝ご飯食べてないから元気がないだけだったの?」
 「……………」
 「呆れた! 朝ご飯も食べないで家を出て、こんな時間になっちゃうなんて、一体全体ど
んな生活してんのよアンタ! もう信じらんない!!」
 知らん知らん。俺は寝てるんだから話しかけンな!。
 「規則正しい生活リズムは健康の基本でしょうに、それすら守れない上にご飯も食べない
なんて怠惰にも程があわよ! アンタ自分自身の体調管理も満足に出来ないの!?」
 あ〜、うっせぇうっせぇ! コイツといい生意気な妹といい、なんで俺の周囲にはアレコ
レ口うるさい女ばっかなんだよ?
 「言っておきますけどね、私は健康管理だけは常に気を遣ってるわ。将来は人の上に立つ
人間ですもの。プロの意見も取り入れて食事も運動も計画的、かつ能率的に毎日毎日キチン
とこなして自分のベストコンディションを維持してるの。それなのに下僕のアンタがグータ
ラ不規則な生活してたら、私の努力とか計画が台無しじゃないのよ!?」
 いや、お前の人生プランと俺の生活態度には何の因果関係もないから。
 「それにアンタ、私達の年齢って言うのは体の成長面でも一番大事な時期なのよ! いい
加減な生活してたら、大人になってから絶対、ぜぇ〜ったい後悔するんだからね!?」
 じゃあお前のその発育度は一体何だっつーんだ? 自分で自分にダメ出ししてねぇか?
 「だからアンタも私の下僕らしく……って、ちゃんと聞いてるの!?」
 そんな大声でキャンキャン喚いたら嫌でも耳に入っちまうっつーの! 馬鹿正直に相手す
んのも怠いからスルーしてるけどな!
0195突発屋 ◆63./UvvAX. 2009/08/20(木) 23:15:01ID:b3jMeKpK0
 「せっかく私がアンタだけの為に特別にアドバイスをしてあげてるんだから、返事くらい
しなさいよね! だいたいアンタは……………ああもぅっ!!」
 やっと諦めたのか、ドスドスとガタイに似合わない足音を響かせながら自分の席(と言っ
ても隣なんだが)に戻っていったらしいデコ助。まったく家では妹、学校ではデコ助とつく
づく俺の日常には安穏というか平穏な時間と空間がねぇんだなと再確認。あ〜あ、どっかの
エロゲかラノベみたく癒し系のホンワカした幼馴染みとか出来ねーかと……
 「いつまでシカトしてんのよぉ〜〜〜〜〜っ!!」

 (どすぅっ!)
 
 「うげぼっ!?」
 不意打ちで上から背骨に直撃弾(肘か?)を喰らって呼吸が止まる。ついでに額と鼻先を
机に強打して目の前にチカチカお星様。っつーか、さっきの足音は撤収じゃなくて助走の為
だったのかよ!?
 「まったく、下僕の分際で寝たふりして私を無視するなんて生意気なのよね。やっぱり再
教育して性根から入れ替えないと……」
 「ってか! 俺を殺す気かよデコ助ぇっ!?」
 「あら、まだ元気余ってんじゃない万年庶民。」
 「さっきから黙って聞いてりゃ、誰がお前の下僕だ……って、なんだよそりゃ?」
 何処から持ってきたのか、デコ助が手にするそれは。
 「アンタ、サンドイッチも見たことないの? これだから食生活に潤いのない無粋な男は
嫌なのよ。これはね、第四代サンドウィッチ伯ジョン・モンタギュー伯爵が開発したと言わ
れてる由緒正しいイギリスの軽食で……」
0196突発屋 ◆63./UvvAX. 2009/08/20(木) 23:16:05ID:b3jMeKpK0
 「誰がサンドイッチの由来を教えろっつたんだよっ! 俺が言いたいのは、寝てる人間の
背中にエルボーを喰らわした挙げ句に……」
 「あ、あげるっ!」
 「へ?」
 ずいっ、と何の変哲もない(とは言え、コイツが持ってる以上は市販品じゃない手作りど
ころか厳選素材をお抱えシェフか誰かが調理した高級品なのだろうが)タマゴサンドを、横
を向いたまま俺に向かって突きつけるデコ助。
 「か、勘違いしないでよね! 別にアンタがお腹空かせたところで私はこれっぽっちも心
が痛んだり気になったりなんかしないんだからね!」
 「お、おぅ……」
 「でもアレじゃない? 授業中に横でぐ〜ぐ〜お腹鳴らされたりしたら授業に集中できな
いし、すぐ隣でそんな情けない顔されたらこっちまで辛気くさい空気が漂ってくるっていう
か陰気なオーラが感染するって言うか……それに下僕にお腹を空かせたまま放っておくよう
な女だって思われたら癪だから特別に食べさせてあげるっていうか、とにかくこの私が大切
なお弁当の中から恵んであげるって言ってるんだから単なる義務なんだから責任なんだから
仕方なく飼い犬に餌をあげるようなもんなんだから勝手な思い込みでニヤニヤしてないでた
っぷりねっとり感謝して有り難く思うながらその……良いからサッサと食べなさい!」
 何やら俺の理解速度を超える速さで一方的に捲し立てつつ、横目でチラチラ俺を見ながら
更にサンドイッチを近づけてくるデコ助。なのだが……
 「……えーと……」
 「だ、大丈夫よ? その、私が苦手だからカラシとかは入ってないし……」
 だから急に弱気になるなよ、調子が狂うだろうが!?
0197突発屋 ◆63./UvvAX. 2009/08/20(木) 23:17:07ID:b3jMeKpK0
 「いや、だからな?」
 「あによ男らしくないわね! い、言いたいことがあるんだったら口の中でモゴモゴして
ないでハッキリ……」
 「……後ろを見てくれ」
 「後ろ?」
 頭上に『?』マークを浮かべたままデコ助が振り返ると、それまで遠巻きに俺達の様子を
見物していた他の連中がザザッ、と一斉にそっぽを向いた。
 「ひっ!?」
 流石の高飛車チビ女も、ようやく現状に気付いたらしい。そう、客観的に見ると、まるで
デコ助が俺に向かって自分のサンドイッチを差し出し『食べさせてあげるから、あ〜んして
?』と典型的なバカップルのお約束シチュエーションを再現していたりするのだ。
 いや、あくまでも第三者的なビジュアルの話だからな? 間違っても現実と一緒にしない
でくれよな?
 「あ、あぅあぅあぅあぅ……」
 そして自分が衆人の視線に晒されながら近年まれに見る羞恥プレイを自ら進んで実行して
いたのだと今更ながらに気付かされたデコ助はと言うと、涙目でワナワナと口を震わせてい
るばかり。まったくもって隙だらけの女だ。
 「と、言うわけだ。まぁ気持ちだけは有り難く貰っておいてやるから、そのサンドイッチ
は自分でほげあぎょぐげげっ!?」
 「このカボチャ頭のぴ−まん頭、ミジンコ並みの低脳男っ! アンタなんか大っ嫌いなん
だからぁ! 死んじゃえ馬鹿っ! うわぁぁぁぁぁぁん!」
 タマゴサンドを俺の口の中に無理矢理押し込み、手の甲で目元をグシグシしながらドップ
ラー音と共に入り去ってゆくデコ助。なにやら半泣きになっていたような気がしないでもな
いが、どう考えても奴の自爆だから手の施しようがない。
 「げほげほっ! な、なんつー無茶苦茶な女だよ。ちったぁ俺の迷惑も…………ん?」
 気がつくと、今度は全方位からの冷凍視線が俺に向けられてて。
 「え? 俺? なんで?」
 その後、あの足で保健室に駆け込むや否や頭からシーツを被って貝になったらしいデコ助
は昼休みまで戻って来なかった。
0198突発屋 ◆63./UvvAX. 2009/08/20(木) 23:17:34ID:b3jMeKpK0
とりあえず、ここまで。
もちっと続きます。
0200名無しさん@初回限定2009/08/21(金) 23:27:36ID:184/tB2LO
GJ!
保守っていうが、俺はあんたを待ってたぜ!

にしても、ツンデレばっかだなぁw
0201突発屋 ◆63./UvvAX. 2009/08/28(金) 04:28:55ID:woqFVh1V0
くぎゅ〜〜っと脳内で唱えながら読むと、ちょっとだけ幸せになれるかもしれません?>挨拶

というか最近は他の方が来ないので、我ながら相当に調子に乗ってます(汗)
0202突発屋 ◆63./UvvAX. 2009/08/28(金) 04:30:36ID:woqFVh1V0
 「っくしょう! 何で俺がこんな……」
 四時限目が終わるや否や、他の女子がデコ助の鞄の中から取りだした弁当箱を押し付け
られた俺は『土下座して許して貰えるまで帰ってくんなゴルァ!』と理不尽なオーラをクラス中から浴
びせられながら教室から追い出された。どうやら連中の頭ン中じゃ傲慢な俺が健気なデコ
助を苛めたという甚だ遺憾な既成事実が出来上がってるみたいだが、俺は別に手を出した
わけでも言葉の暴力を加えたわけでもない。むしろ、どっちかっつーと被害者に該当すべ
き立場だと思うんだが?
 「ってか、そもそも俺にどうしろってんだ?」
 俺に非がある云々はさておいても、デコ助が自爆して赤っ恥を掻いたのは事実だから誰
かが慰めるなり元気づけるなりした方が良いって理屈はわかる。わかるんだが、それはど
っちかっつーと親しい同性か、特に親しい所謂「彼氏」の役目であって、一方的に下僕扱
いされ口喧嘩の絶えない俺が適任とは思えない。でもミッションコンプリートしないと俺
には帰る場所すらない訳で……
 「………………」
 わざわざ遠回り(購買で俺の昼飯に加えて二人分の飲み物まで用意した)したって言う
のに、保健室に着いてしまった俺の頭ン中では、未だ今後の方針が定まっていない。
 「……だから、何で俺がこんな……」
 どれだけ考えても、何も考えつかない。というか、何て声をかけりゃ良いのかさえ分か
んねー。八つ当たりだと分かっていても、昼休みを楽しそうに過ごしてる連中の声が聞こ
えてくるだけでムカついてくる、我ながら女々しい俺。断っておくが、これまでデコ助に
頭を下げたことが無い訳じゃない。悪いと思ったら素直に認めたし、謝り倒したことだっ
て何回かはある。だが今回だけは何処にも非が見つからないというか、だからと言って適
当な事を言ったら逆ギレされそうと言うか、とにかく……
 「……ああもう! 知るかっつのっ!!」
 なんか思考の無限ループを続けるのも馬鹿馬鹿しくなってきた俺は、殆ど開き直りの心
境で保健室の扉に手を掛けた。
0203突発屋 ◆63./UvvAX. 2009/08/28(金) 04:32:09ID:woqFVh1V0
 「失礼しや〜す…………って、あれ?」
 が、中に人の気配はない。
 「これ何てエロゲ? お……!」
 いや、燦々と差し込む日差しで明るい上に空調の効いた快適な室内。その窓際に並んだ
ベッドの一番手前。なにやら釜に放り込む前の小籠包を連想させる人間サイズの白い球体
が震えていた。
 「おいデコ助」
 「!」
 びく、と痙攣したので間違いはなかろう。
 「なんていうかお前……その、大丈夫か?」
 自分でも陳腐だとは思うが、他に掛ける言葉も見つからない。まぁ不幸中の幸いという
か、先生も出払っているらしいので室内には二人きりだから、今回に限っては気兼ねなく
見苦しいことも言えそうで助かるのだが。
 「もう昼休みだぞ〜? 弁当持ってきてやったぞ〜?」
 扉を後ろ手で閉め、ベッドというか謎の球体に近づく。なんつーか、臍を曲げた女の機
嫌を取ると言うよりは野良猫かなんかを餌付けする時みたいな口調になってるような気が
するが、敢えて気にしない。
 「ほらほら、食わねーと大きくなれなぐほへっ!?」
 チラリと毛布の裾を捲った瞬間にニュッと突き出された拳で顔面を強打した。
 「てかグーで殴るか普通っ!?」
 「うるさいうるさいうるさぁ〜〜〜〜〜いっ! 私は誰とも会いたくないし、アンタの
間抜け面は特に見たくないんだから私の半径12756キロメートル以内に近づかないで
くれるっ!!」
 「だったら手前が地球から出てけよっ!?」
 「う、うぅぅ……ぐすっ……」
 あ、しまった! いきなりパンチを食らったもんだから素で怒鳴っちまった。
 「えっと……あー……みんなも心配してっし、なんか知らんけど俺が全面的に悪いこと
になってるから……な?」
 「あ、当たり前でしょ! 私は全然悪くないもん!!」
 「…………」
0204突発屋 ◆63./UvvAX. 2009/08/28(金) 04:33:18ID:woqFVh1V0
 「あによ、文句あんの!?」
 「い、いや……」
 悪いか否かと言われれば、確かにコイツは悪くないと言って良い。ただ単にマヌケ過ぎ
ただけだし。
 「ふん、だっ!」
 いや、だからといって、そこまで偉そうに踏ん反り返れる立場でもないと思うのは俺だ
けなのかもしかして?
 「だからさ、そろそろ教室に戻ろーぜ? 委員長がノート取ってくれてるらしいし、そ
れに昼からの……」
 「い・や・よ! 誰がアンタの言うことなんて聞くもんですか!!」
 「な……!?」
 いや待て我慢だ我慢! ここでブチ切れたら元も子もないだろ俺?
 「全部、ぜぇ〜〜〜んぶ、アンタの所為なんだからねっ!」
 「あ、あ〜……」
 ガキかコイツは……というかまんまガキだ! そうだ、どうせ見た目もミニマムサイズ
なんだし同級生じゃなくって近所のガキが駄々こねてるのと一緒だと思えば多少は納得も
出来るだろ? そうそう俺は少なくともガキよりは大人なんだし同じ次元で怒るのは格好
悪いだけだって! だからほれ、こういう時は……そう餌付けだ、食い物で釣ってご機嫌
を取るのが一番だ。ちょうど手元にはコイツ専用の餌もあるこったし。
 「……ま、まぁちょっと落ちつけって。もう昼なんだし、お前は昼飯もまだだろ? 気
を利かして弁当持ってきてやったから……」
 「いらないわよっ!」
 「そ、そう言わずに……」
 「ほんっと〜に使えないわねアンタ! 良い? 私は年頃の乙女なのよ? 情緒もヘッ
タクレもないアンタには分からないでしょうけど、あんな恥ずかしい目に遭ってお腹なん
か空くはずないのよっ!!」
0205突発屋 ◆63./UvvAX. 2009/08/28(金) 04:34:37ID:woqFVh1V0
 「でもほら、何か食った方が……」
 「ミジンコ並みの単細胞生物のアンタじゃあるまいし、繊細でデリケートな私の心の傷
はお腹が膨れた程度で治ったりはしないのよっ! 私は誰とも話したくないし食欲なんて
全然ないんだから放っておいてって……」


 (ぐ、ぐぅ〜〜〜〜〜〜!)


 「「あ……」」
 既視感、という単語を彷彿させる裏切りの音が小籠包の中から発せられた。
 「で、でもアレよね。アンタの原始的な発想にも一理くらいはあるかもね!」
 「…………………」
 「それにほら、よく考えたら私だって一生こうしてるわけにもいかないんだし、いくら
私の頭脳が明晰でも……ううん、優秀だからこそ、ちゃんと脳細胞にも糖分を補給してあ
げないと効率的に良い考えが浮かばないし、空気が読めないなりに自分からお弁当を運ん
だ下僕の顔も多少は立ててあげて度量の大きさを示すのも大切な事なんじゃないかしらっ
て私は思うのよ。」
 「…………………」
 「だから、えっと……ああもぅ気が利かない男ねっ!!」
 「おうっ!?」
 にゅ、と球体の中から急に顔だけが飛び出して来て思わず怯んでしまった。
 「ちょっと、あに人の顔見てビビッてんのよっ!」
 「いや、別にビビっちゃねーけど……」
 「そ、それなら別に良いけど。その、えと…………………あ〜〜〜〜〜んっ!」
 「…………………」
0206突発屋 ◆63./UvvAX. 2009/08/28(金) 04:35:38ID:woqFVh1V0
 いや、ムッとしたまま目を閉じて大口を開けたデコ助が何を求めてるのかくらいは嫌っ
ちゅーほどに良く分かるんだが、意図がイマイチ読めないっつーか……
 「あ〜〜〜〜〜〜んっ!!」
 お、更に不機嫌そうな顔になったか? というか耳まで真っ赤になるくらいに恥ずいん
だったら最初から止めとけよお前は。
 「あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜んっっ!!!」
 し、しかしだ。コイツの偏屈さから考えるに、俺の方から折れて『あ〜ん』に付き合っ
てやらんと話が先に進む可能性はゼロな訳だし、小生意気なチビ女の指図に従ってんじゃ
なくてどら猫に餌付けしてるんだと思えば……な?
 「ったく、しょーがねーなぁ。」
 仕方がないので預かってきたデコ助の小洒落た弁当箱を取り出し、綺麗に並んでるサン
ドイッチの一つを摘んで口元まで運んでやる。
 「ほれっ。」
 俺の声に反応し、チラリと片目を薄く開いてブツの有無を確認するデコ助は、
 「はむっ」
 とマンガみたいな綺麗な歯形を残して全体の三分の一ほどを頬張った。しかし、こうし
て見るとどら猫っつーよりは首を伸ばしてぴーぴー鳴いてる雛鳥に近い感じだな。これは
これで微笑ましいというか可愛いというか、なんか小動物を飼って楽しそうに育ててる奴
の気持ちが分かってきたぞ、みたいな?
 「あ〜〜〜〜〜〜〜ん」
 「お、はいはい。ほれ?」
 「はむっ、むぐむぐむぐむぐ……」
0207突発屋 ◆63./UvvAX. 2009/08/28(金) 04:35:56ID:woqFVh1V0
 なんだかんだ言っても、コイツって口を開いて偉そうなご託さえ並べてなきゃ美少女っ
て部類には属すると思うんだよな。いわゆるお嬢様ってやつ? 身振りとか歩き方とか見
てると品が良さそうな雰囲気もあるし、シンプルだけど高級そうな服を普段から自然に着
こなしてるし食事マナーも徹底してるみたいだし、家で専属の家庭教師付けてるだけあっ
て英語の発音も良いし楽器なんかも嗜むらしいし。まぁ流石に発育不足のツルペタっぷり
だけは矯正のしようがなかったみたいだが。
 「あ〜〜〜〜〜〜ん!」
 「ほい」
 「はむっ、むぐむぐむぐむぐ……」
 もっとも、保健室の簡易ベッドに寝そべった(?)まま毛布の固まりの中から首だけを
突き出して口の周りをパン屑だらけにしながらサンドイッチを食べさせて貰ってる姿じゃ
何もかも台無しだろーが。
 「むぐむぐむぐ…………んんっ! けほっ、けほっ……」
 「だから、ンな姿勢でパンばっか食ってるから喉に詰まるんだろーが!」
 パンばっか食わした俺の責任は速攻で棚に上げ、念のためにと用意しておいたパック入
りの苺牛乳にストローを刺し、飲みやすいよう口元に差し出してやる。
 「う……う〜〜〜〜っ、う〜〜〜〜っ!」
 「え? なんだ? 気に入らない!? って言われても……」
 あとは俺用のコーヒー牛乳(デコ助用より30円ほど高い)しか……
 「うううっ! ううっ!!」
 「は? これが良いってか? でもこれは俺の……」
 「う、うぅぅぅ〜!」
 「………………………」
 「うぅぅ〜……」
 「っだーーーーっ! もう勝手にしやがれ、ほれっ!!」
 満足そうな顔で俺が献上してやったコーヒー牛乳(少し高級品)をちゅーちゅー吸って
るデコ助を見下ろしながら、俺は朝から更新中である一日の溜息回数の新記録を更に数回
ほど伸ばしていた。
0215突発屋 ◆63./UvvAX. 2009/09/02(水) 20:01:39ID:oIlJa79j0
ドリクラかぁ……>挨拶?
9393妹(仮名)のお話は今回で一旦終了です
0216突発屋 ◆63./UvvAX. 2009/09/02(水) 20:03:31ID:oIlJa79j0
 亀の子デコ助の餌やりが終わってから自分の昼飯(出遅れた所為で甘々の菓子パンしか
買えなかった上に、それを苺牛乳で流し込まなきゃならんという苦行)を片付けた俺は、
ようやく一息付けた。
 「って、いつまで睨んでんだよ?」
 「べ、別にっ! アンタには関係ないでしょ!」
 「いや間違いなく俺が飯食ってる様子をジロジロ見てたろーがっ!?」
 何を考えてるのか知らんが、今にも噛み付きそうな目付きで延々と睨み付けられて食い
にくいこと此の上なかったっつーの!
 「ふんっ!」
 「だから引っ込むな! (教室に)帰るんだから出てこいって!!」
 「い・や・よっ!!」
 これってアレか? 振り出しに戻るって奴か? どんなループシナリオだっつーの!
 「くそぉ! こうなったら力尽くでぐげはっ!?」
 今度は生足がヒットして後ろ向きにひっくり返ってしまった。
 「し、仕舞いにゃ本気で怒るぞゴルァ!?」
 「い〜〜〜〜〜〜っ、だ!!」
 だから何だっつーんだ、この展開は!? 無駄に偉そうなチビ女に朝からキャンキャン
喚かれた挙げ句に訳のわからん勘違いでクラス中から総スカンを食らい、何も悪いことは
してないっつーのに俺の方から貴重な昼休みを潰してまでも弁当を運んでやって手ずから
食べさせてコーヒー牛乳も進呈してやった結果がこれか? これなのか!? マジで自分
の女運を疑いたくなってきたぞ俺は!
 「……ちょっと、アンタそこにいるの!?」
 「ンだよっ、お前を引っ張ってかねーと帰るに帰れねーんだから居るよっ!」
 っくしょう、こうなったら俺もデコ助の隣のベッドで貝になるっきゃ……
 「じゃあ、脱ぎなさいよ」
 「…………………………………は?」
 デコ助の声を解析して、再確認を促すのに最も適した返答を選択するのにたっぷり五秒
はくらいはかかった……気がする。
0217突発屋 ◆63./UvvAX. 2009/09/02(水) 20:04:47ID:oIlJa79j0
 「あにマヌケな声出してんのよ! アンタ、私に付いてきて欲しいんじゃないの? だ
ったら交換条件で私にフェラチオさせなさいって言ったのよっ!!」
 再び突き出た真っ赤なデコ助の顔。
 「い、言っとくけど、アンタが悪いんだからね! 私の大好きなタマゴサンドを食べち
ゃった上に安っぽい飲み物しか用意できないんだから、せめてアンタの精液をお腹の足し
にしようかなって思っただけなんだからね! 優しくしてもらって嬉しかったとか、なん
か元気がなかったから慰めてあげようかななんて、これっぽっちも思ってないんだから自
惚れないでくれるっ!?」
 「いやでもお前、こんな時間から学校でだぞ!?」
 「はっ! 日曜日の真っ昼間から私をカラオケボックスに連れ込んで散々レイプした変
態にだけは言われたくないわね、この性犯罪者っ!!」
 「アレの何処がレイプだ! どっから見ても和姦だっつーのっ!!」
 入った途端に剥き出しの肩やら腕やら太股やらをスリスリ擦り付けてきて、照れ臭そう
な顔で『こ、このお店、エアコン効いてないんじゃない?』とか言いいながら上目遣いでワン
ピースの襟元をパタパタさせてた女にだけは言われたくねぇ! しかも運ばれてきたドリ
ンクを一気飲みしてから『なんだか疲れちゃった』なんて呟きながらしな垂れかかってこ
られた日には……なぁ?
 「強姦って言ったら絶対に強姦なの! 私、アンタに抱いて欲しいなんて一言もいって
ないもん! アンタが勝手に勘違いして襲いかかってきただけなの!」
 「じゃあ途中からは自分も腰を振りながら『もっとぉ!』とか甘えた声出してたのは一
体何なんだよっ! しかもお前、避妊薬飲んできたら大丈夫とか言って三回も中に出させ
て終わってからも『わ、悪くなかったわよ?』って言って抱きついたまま時間いっぱいま
で離れなかったよなっ!?」
 「れれ、レイプされてそんなこと言う訳ないでしょ! 本当だって言うなら何年何月何
時何分何秒に私が何て言ったか一言一句まで正確に再現してみなさいよっ!!」
 「だから小学生か、お前はっ!?」
 「うるさいうるさいうるさ〜〜〜〜いっ! 私の言うこと聞かないと、アンタに何され
たかパパに全部言っちゃうんだからぁっ!!」
 「な……!?」
0218突発屋 ◆63./UvvAX. 2009/09/02(水) 20:06:32ID:oIlJa79j0
 こ、この女、なんつー自爆テロを……!
 「す、少しは自分の立場って物を思い出したかしら? アンタは私の下僕なんだから、
私がおしゃぶりしたいって言ったら黙って粗末なモノを差し出して、私が精液飲みたいっ
て言ったらお口の中に一滴残らず出せばいいのっ!」
 「ぐぬぬぬぬ……」
 「犬みたいに唸ってないで、さっさと来なさいよね! 早くしないとお昼休みが終わっ
ちゃうじゃないのよっ!!」
 もはや俺が拒絶する可能性など皆無だと確信したらしいデコ助は、毛布の中から抜け出
して真っ白いシーツの上にチョコンと正座して、
 「あ〜〜〜〜〜〜〜ん」
 と宣いやがった。さっきと同じ雛鳥みたいな顔で。
 「あ、あのな?」
 「あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!」
 「…………………」
 「あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜んっっ!!」
 「わ、わかった! わーったから、それ以上大きな声を出すなっ!」
 早急、かつ隠密に事態を収拾するには……これ以上なく不本意だが……奴に従うしかな
いわけで。俺はズボンのチャックを下ろしつつデコ助の側まで移動し、取り出したムスコ
を右手で扱いて半立ち程度まで刺激してから、身長角度を調整しつつ、ゆっくりとデコ助
の口の中に挿入してやった。
 「ほれっ」
 「そ、それじゃ、始めるからね? はむっ……………………ん?」
 「な、なんだよ!?」
 「……しおへははりないほうな?」
 「だから咥えたまま喋んな! ってか、ほんとにお嬢様かお前!?」
 「ちゅぷっ。 えっと……なんか塩気って言うか味が薄くない? あと石けんの香りが
するんだけど、朝からお風呂にでも入ってきたの?」
 「……朝から色々あったンだよ」
 「ふぅん? ま、良いわ。時間もないことだし、その辺りは後でゆぅ〜〜〜〜っくりと
聞き出したげる。あむっ」
0219突発屋 ◆63./UvvAX. 2009/09/02(水) 20:07:05ID:oIlJa79j0
 只でさえ小さな口の中、熱い唾液で濡れた口内粘膜が四方八方から押し寄せてきて敏感
な亀頭部分をヌルヌルと刺激する。加えてトロトロの舌で裏筋を舐め回されて一気に膨張
する俺の分身。
 「んふふ〜〜っ!」
 俺の生理反応に気付いたらしいデコ助が勝ち誇った目付きで嬉しそうに微笑む。もう何
度目とも知れない回数をこなしたコイツは、何の苦もなくフル勃起した俺の半分以上を口
内に収めて吸い付いてきた。
 「ちゅぷっ、ちゅぷっ、ちゅぷっ、ちゅぷっ」
 あっという間にデコ助の唾液でコーティングされた俺の分身。いつの間に覚えやがった
のか、濡らして滑りを良くした上で喉まで使ってのディープスローを始めると、唇の締め
付けだけじゃなく亀頭全体が喉粘膜と擦れて体が跳ね上がるような快感が次々と送り込ま
れてくる。
 「く……っそ!」
 余りの気持ちよさに膝が抜けそうになっちまった俺は目の前にあるデコ助の頭を反射的
に抱えちまった。そんな俺の様子に更に調子づいたらしいデコ助は、首を捻って粘膜が当
たる部分を器用に変えたり舌を巻き付けてきたりと、手を変え品を変えで次々と新たな快
感を呼び起こして俺を追い込んでいく。きっとカラオケで弄り倒した意趣返しのつもりな
んだろが、本当に底意地の悪い女だ。
 「ちゅぱっ、ちゅぱちゅぱちゅぱちゅぱっ!」
 「ぬ……おおおおおおおおおっ!?」
 てなことを考えてる暇もあればこそ。ギアを上げ、柔らかい頬の内側まで使われてしま
うと俺はもうお手上げ寸前。というか手も使ってないっつーのに、どこまで上手くなりや
がるんだ、このチビ助は?
 「じゅるるるっ!」
 「ぬあっ!?」
 こ、コイツの口は掃除機か何かか!? ンなパワーで吸われたら限界が……!
 「……ちゅぷぅ……っはぁ……」
 って、なんで急に止めて……?
0220突発屋 ◆63./UvvAX. 2009/09/02(水) 20:08:28ID:oIlJa79j0
 「……ふぅ。どう、気持ちいいでしょ?」
 ぺろり、と泡だった手前の唾と俺の先走りで汚れた口の周りを真っ赤な舌で舐め回しな
がら勝利を確信した笑みになるデコ助。
 「………………………」
 「でも、なぁんか口が疲れちゃったのよね。アンタってば、もしかして不感症か何かじ
ゃないの? ちゅるっ」
 「のおおっ!?」
 おちょぼ口で尿道口を吸引されて情けない声をだしちまう俺。
 「そ、それに良く考えたら、私がタマゴサンドの代わりに精液を寄越しなさいって言っ
てるのに私ばっかり動くのも変よね? むしろ、アンタが自家発電でも何でもして私に飲
ませてくれるのが筋ってもんじゃない?」
 「いや、だってお前がフェラ……」
 「ででででででもねっ? 今日はその、ちょっとだけ気分が良いから、その、特別にな
んだけど……ほんとに特別になんだけど……」
 「お、おう?」
 「……アンタが『どうしても』って言うなら、今日は特別に、あの、えっと、オナニー
に使いたいって言うんだったら、私のお口を貸してあげても良い……わよ?」
 いまになって考え直すと、また『レイプされた!』謂われのない罵倒を浴びる要因を与
えてしまったのかも知れない。が、気付いたときには俺はデコ助の口の中で暴れ回った挙
げ句、朝から溜まっていたイライラと一緒にありったけのザーメンを目の前の同級生の胃
袋に流し込んでしまっていた。
0221突発屋 ◆63./UvvAX. 2009/09/02(水) 20:14:56ID:oIlJa79j0
 「はぁっ? 持ってきてないですってぇ!?」
 「いや、だって……」
 勿体ないからと言うから後始末フェラまで任せて、そのあとは偉そうにふんぞり返るば
かりのデコ助の着付けの乱れを直し口やら顔やらを(俺の!)湿らせたハンカチでキレイ
に拭ってやっている途中で、またしても理不尽な罵倒が炸裂しやがった。
 「いつも使ってるスプレーなんだから、アンタだって知ってるでしょ! それなのに一
緒に持ってこないとか、どんだけ気が利かない下僕のよぉっ!!」
 いや、いくらなんでも無許可で女子の鞄を漁るのは非常識だろ常考? それに俺は弁当
を持ってこようなんて思っちゃいなかったし。なんで昼飯を届けるのにブレスケア用品ま
で持ち出さにゃならんのだ?
 「……さっきのコーヒー牛乳、もう一本持ってきなさい」
 「ちょ、おまえ、俺の話も……」
 「こんな精液臭い息をしながら教室になんて帰れるはずないでしょ! 他の子に変な勘
違いとかされたら、私の可憐なイメージとか優等生ぶりとかが丸つぶれになっちゃうじゃ
ないのよ! この無神経、唐変木、甲斐性無しのあんぽんたんっ!!」
 ……あんぽんたん、て随分と懐かしいフレーズだなおい。というか既に暴君とか高飛車
とか果てしなくマイナスっぽいイメージしか残ってないと思うが。
 「だからあにボサッとつっ立ってんのよアンタは! ダッシュで買ってきなさいって言
ってるのよダッシュで! さっさと行きなさぁ〜〜〜〜〜いっ!!」
 まぁ責任の一端は確かに俺にもあるわけだし、これで再びヘソを曲げられたりでもした
ら元も子もないので仕方なくコーヒー牛乳を更に一本購入して戻ってくると、保健室は既
にもぬけの殻になっていた。
0222突発屋 ◆63./UvvAX. 2009/09/02(水) 20:16:42ID:oIlJa79j0
 そして慌てて教室に戻った俺は……
 「そういやさっき、お前の妹とか名乗った一年が来てたぞ? すっげぇスタイル良くて
可愛かったけど、もしかして二股か? 両天秤か? 修羅場なのかよ!?」
 ……と妙なテンションで詰め寄ってくる男共と……
 「……だから、アイツ自分で……どうしてもって……土下座……」
 「えぇーっ! それでそれで!?」
 「しょうがないから特別に『あ〜〜ん』って……コーヒー牛乳……半分こして……泣い
て謝って……」
 「きゃ〜〜〜〜っ、可愛い〜〜〜〜っ!!」
 ……年頃の乙女ちっくな猫を被ったデコ助を中心にして盛り上がってる女子達から哀れ
むような面白がるようなワクテカ全開の視線を浴びることと相成ってしまった。



 追伸、そしてその夜なのだが。
 「あんた達、本当に仲直りしたのね?」
 「はい、兄さんが全面的に非を認めて下さいました。だから私も『少し言い過ぎてしま
ったかも知れまんから』と水に流したんです」
 事前に『ハイとかウン以外の返事は絶対にしないで下さいね? でないとお風呂での一
件を全て明るみに出しますからね?』と強固に釘を刺して来た妹と仲良く並んで、お袋と
臨時予算交渉に臨んだわけだ。
 「そうですよね? ね、兄さん?」
 「あ、ああ……」
 不自然な程にぴったり寄り添い、テーブルの下で足をグリグリ踏みにじられてままでは
他に返事のしようもなく。
 「仲直りって意味、わかるわよね? これからも仲良くできるのね?」
 「もちろんです。だって二人っきりの兄妹なんですから。これからは下らないことで喧
嘩なんかしませんから。ですよね、兄さん?」
0223突発屋 ◆63./UvvAX. 2009/09/02(水) 20:17:47ID:oIlJa79j0
 むぎゅ〜〜〜っ、と93センチを押し付けるようにして腕に抱きつき天使のような笑み
を浮かべる小悪魔。
 (って胸、胸っ! いくらなんでも引っ付きすぎだって不自然すぎるだろ!?)
 (私達の場合は、むしろこれくらい大袈裟にアピールした方が良いんです! それに兄
さんには裸を見られましたし触られるのも今日だけで三回目? ですから慣れたというか
諦めました。もっともこれが最後ですけどっ!)
 「…………………」
 (ってかお袋が疑ってるって! 睨んでるぞおい!!)
 (……仕方ありませんね、こうなったら最後の手段です。構いませんから私の頭を思い
っきり抱き寄せて下さい兄さん)
 (なぬっ? ちょ、おま……!)
 (嫌々ながらも私は既に目一杯に兄さんに体を預けているんですから、あとは兄さんの方か
らアクションを起こすしかないでしょう!?)
 (だからって、更に不自然になってどうするよ!?)
 というか、こんな浮世離れしたっつーか、明らかに危険な一線を踏み越えちまった兄妹
をいきなり演じて実の親を騙せると思ってるコイツの思考回路が心底理解できないのは俺
だけなのか!?
 (だいたい兄さんの演技が壊滅的に下手だから疑われてるんですよ! それとも私の作
戦以上の妙案が兄さんにはあるんですか!?)
 (いや、それは……)
 (だったら当初の計画通り私に従って下さい! それともお風呂の……)
 (ああもうっ! お前の方から言い出したんだからな!?)
 ヤケクソになった俺は、妹の柔らかい髪に手を差し込んで一気に引き寄せる。すると殆
ど背が変わらない妹のサラサラの髪が頬にあたり、小鳥みたいな温かさと一緒にシャンプ
ーだか何だかの爽やかな香りが……
 (っ!)
 (って、言い出しっぺのお前が緊張してどうするよ!)
 (いえ、だからこれは……………くっ!)
0224突発屋 ◆63./UvvAX. 2009/09/02(水) 20:20:42ID:oIlJa79j0
 だからお前が黙り込むな! 俺のパジャマの裾を指で摘むな恥ずかしそうに頬を染める
な口を震わせて涙目になるな頭をスリスリ擦り付けるんじゃないっ! どっからどう見て
もヤバい関係にしか見えんだろーがっ!!
 「……………………」
 「いやちょっと待ってくれ、お袋! なんか非常に的外れな勘違いを誘発しそうな光景
に見えるかも知れないけど絶対に違うから! ちょっとテンパってるけど、確かにコイツ
の言うとおりに和解はしたし前よりは仲良くなったんだ! そら世間様の兄妹ほどは上手
くいってないかも知れないけど、急に変われっても無理だから……その……」
 (に、にいさん……)
 (良いから俺に任せろ、な?)
 (……はい)
 スンスン鼻を鳴らしてるコイツはもはや役に立たん。妹を庇うよう、更に力を込めて抱
き寄せながら、俺はナイアガラ並みの汗を垂れ流しつつ続ける。
 「……だから、今後に期待っつーか、執行猶予期間っつーか、とりあえず今日の所はそ
んな感じで……お願いできませんでしょうか……?」
 啖呵を切った直後だというのに何故か語尾が丁寧語になってしまう俺って、やっぱヘタ
レっすか?
 「……………………」
0225突発屋 ◆63./UvvAX. 2009/09/02(水) 20:21:26ID:oIlJa79j0
 「……………………」
 「いやほんと、俺が何とかすっから! ちゃんとコイツのことを妹として可愛がるって
約束するから! だからその……ねぇ?」
 「……………………はぁ……」
 うわ、いま生みの親に心底あきれ返った溜息つかれましたよ俺!
 「い、いや、ぶっちゃると最悪俺は貰えなくても良いんだ! 俺は良いけど……せ、せ
めてコイツの分だけでも……ダメっすか?」
 クソ生意気で可愛げの欠片もない妹だが、流石に成長に似合った水着の一着もないっつ
ーのは女子として余りにも不憫だからだぞ? 仕方なくだぞ?
 「えっと……」
 「………………………仲良く使うのよ?」
 「つ、使う使う! ちゃんと仲良く使う! 恩に着きるよお袋……って、え?」
  仕方がない、と言いたげに渋々とお袋が取り出したのは、俺達二人分の夏休みの臨時小
遣いが『纏めて』入ってると思しき、一通の封筒だった。
 「……兄さん?」
 「あ……あはは、あははははははは……はぁ……」
 流石はお袋だ。この程度じゃビクともしないほどに計算高いぜ……




 ……こんちくしょう!
0226突発屋 ◆63./UvvAX. 2009/09/02(水) 20:26:12ID:oIlJa79j0
以上です

野郎の視点でエロを書かないと駄目なのだと途中まで全く気づかなかったのも、超エロ薄なのも最近のラノベ漬けの所為ですw
あと出番は全くありませんでしたが、この兄妹には父親もちゃんとおりますんで念のため
0227名無しさん@初回限定2009/09/03(木) 04:44:03ID:Gd23v698O
遅くなったが、一番槍GJ!

93妹は、大事なお兄ちゃんに好きな人ができたらどうなっちまうのか、
そう考えるとニヨニヨが止まらないw


つか、ほんと人いないんだな
寂しいぜ
0228名無しさん@初回限定2009/09/03(木) 13:21:58ID:DocRUv0I0
乙です
突発屋氏のおかげでまた最近賑わい始めてる気がするから
地道なとこから行きましょう
0233名無しさん@初回限定2009/09/21(月) 03:34:00ID:UPrFxN0c0
>>232
.
   ヘ⌒ヽフ
  (  >ω<)・:;;:;";:; ヘッブシュン!
  / ~つ )っ~
0236名無しさん@初回限定2009/09/24(木) 02:53:32ID:mPjJ6Qg40
>>235
なぁに、次は里佳子の長編か、鳴神月華&鳴神雪帆の長編だ。
これくらいは我慢できる。
0246名無しさん@初回限定2009/10/16(金) 23:02:04ID:6GOUufpT0
|
0247名無しさん@初回限定2009/10/16(金) 23:12:22ID:m6r2QLK30
そろそろ里佳子の長編と、鳴神月華&鳴神雪帆の長編が投下される予感(根拠無し)。
0252突発屋 ◆63./UvvAX. 2009/11/19(木) 03:34:08ID:ekgemYqp0
「なんだそれ?」
「ん〜? お見合い写真〜」
「!!」
「お父さんが会社の社長さんなんだって。お金持なんだねぇ。良いかも?」
「おま、ちょ、そんな理由で決めるのかよ!?」
「貧乏よりはマシだよ。真面目なタイプらしいし〜」
「そんなの写真だけで分かるわけないだろ!」
「だからお見合いで会って話すんでしょ? 結構、美形っぽいよ?」
「写真写りにアッサリ騙されるな! それに見合いだなんて既成事実を作るのが目的に決まってるだろ!」
「ん〜? なにそれ〜?」
「だからだな、会ったら最後『とりあえず』って勝手に話が進んで……」
「でもパパのお仕事関係らしいし、簡単に断ったら拙いっしょ?」
「トラップ臭がプンプンするだろ明らかに! 却下だ却下!!」
「……ダメ?」
「ダメ! ゼッタイ!」
「ん〜……」
「だから悩むな!」
「んん〜……」
「なんなら俺が親父に掛け合ってやっても……」
「兄貴がそこまで言うなら……いまから直接電話してお断りするね?」
「は?」
0253突発屋 ◆63./UvvAX. 2009/11/19(木) 03:35:19ID:ekgemYqp0
「携帯取りだしポパピプペ〜♪ っと」
「ちょ、お前何で相手の電話番号なんて知って……?」
「あ、もしもし、私〜。残念だけど兄貴は嫌だって〜」
「へ?」
「うん、うん。じゃあお流れってことで、まったね〜♪」
「しかも、なんでそんなにフランクなんだおい!?」
「プチッと。はい終了〜」
「って早!」
「雪乃ちゃん、残念ですけど今回は諦めますって。良かったね兄貴〜」
「ゆ、雪乃ちゃん……?」
「だからぁ、兄貴のお見合いの相手。実は私の同級生なんだけどね〜」
「もしかして、この前お前が連れてきた大人しそうな可愛い子……?」
「兄貴に一目惚れだったんだけど、告白は恥ずかしいからお見合いにしたんだって〜」
「な……!?」
「んじゃ遊びに行ってきま〜す」
「お、おい、その写真……」
「お断りしたし見る必要もないっしょ? 私が雪乃ちゃんに返してあげるから。んじゃね〜♪」
「な、な、ななななな…………!」
0258名無しさん@初回限定2009/12/03(木) 23:31:40ID:hrc87/ZM0
朝起きたら妹に、
私のにぃにがこんなに紳士の筈がないと言われた。
0259名無し兄 ◆2Z9GE9yyj. 2009/12/08(火) 03:31:50ID:i4ZT+7KI0
朝起きたら妹に、「私のにぃに、こんなに紳士の筈ない」と言われた。

――目覚めのときは決まって、賢者のような気分だった。
爽やかな目覚めは喜ばしいこと故、気にもしなかったが
始発で帰った夜勤明けの朝、その理由を知るのだった。

「ぁむ……はぁ、んふぁ……むぅ……」

 まだおぼろげな意識の中、
雁首か鈴口の辺りをたどたどしく刺激される感覚。
裏筋や玉袋の辺りにも、指や舌を這わせているようだ。

「ふぉふぃふぇ……ふぁ……む……」
くぐもった声をあげる翠華。
熱を帯びた舌と吐息がくすぐったくて、堪らず抱きしめていたらしい。
了解とばかりにラストスパートをかけてくる。
視界が白んでいく錯覚も解け、覚醒していくのを自覚する。
「んくっ…んくっ…んふぁ…にぃに、おはようさん。」
眸を開けば、難なく嚥下し、柔らかな微笑みで答える妹がいた。

――閑話休題

「……にぃにの甲斐性なし!嗜虐主義者<サディスト>!唐変木!ニヒリスト!変態紳士!マグロ!」

心地良い疲れに思わず寝落ちしてしまった僕を待っていたのは、
シャワーから上がったばかりらしい、以前プレゼントしたネグリジェ姿の翠華だった。

「やんなるわもぅ、うち、スペルマ欲しゅうて堪らんみたいやない……イケズなんやから……」
そう言って俯くのが可愛くて、堪らず抱きしめるのだった。
<了>
0260ハル ◆2Z9GE9yyj. 2009/12/08(火) 03:59:22ID:i4ZT+7KI0
またもやトリップキー忘れて名無し同然になっていたので
「名無し兄」と名乗ってみたハルです。
設定とかのまとめを作り直しているところですけども
258さんのネタで1本できたので久しぶりに投下しました。
最近やったゲームだと、
ましろ色シンフォニー(主に桜乃)と妹スマイルがツボでした。
洗濯物を畳むときの鼻歌がちょっとシュールでしたが可愛らしかったです。

>突発屋氏
いつもお疲れ様です。
93妹もお見合い写真の子も可愛らしくて良いなと思いました。
自分の私設まとめですが、
私生活の関係上更新不能になる可能性がありますので
テンプレからは外しておいて頂けると助かります。
0264突発屋 ◆63./UvvAX. 2009/12/29(火) 21:06:08ID:x/mK8zJv0
こ、これは別に新展開とかじゃなくって只の保守代わりなんだから勘違いしないでよねッ!?
0265突発屋 ◆63./UvvAX. 2009/12/29(火) 21:07:27ID:x/mK8zJv0
 「あ……お帰り、リカりん」
 好天に恵まれた肌寒い昼下がり。本店から戻る途中で只の通行人Aのフリを
しながら店の前を通り過ぎて店内の様子を抜き打ちチェックする、という作戦
を出鼻で挫かれた里佳子は、苦虫を噛みつぶしたような顔をしながらも仕方な
く(何故か店の前を掃除していた)中学校以来の親友であり仕事に於いても相
棒の瑞樹に向き直った。
 「なんでアンタが外で掃除してるのよ? 私がいない間はフロアの責任者な
んだから目を離したらダメじゃない!」
 「いや、だからリカりんが居ない状態で私が目を離しても真面目にやるかな
って試してみようかと」
 そんな瑞樹の返答に眉をしかめる里佳子。
 「あのねぇ、私達の職種は接客、つまりサービス業なのよ! 常にお客様に
採点されながら仕事をしてるっていうのに、そんないい加減な覚悟じゃあっと
いう間に信用を失ってしまうじゃないの! いい? いつも言ってるけど一度
失った信用というものは、そう簡単には……」
 「わかったわかった、わかったから中に入ろう。いくら何でもお店の前で店
員が口喧嘩してたら拙いって」
 「あ……う、うぅ〜〜!」
 こればっかりは瑞樹の言うことに理がある。口を『へ』の字に曲げながらも
里佳子は渋々と瑞樹に続いて裏手の従業員用出入り口へと。
 「それで、本店の会議の首尾は如何でしたかな? 次期マネージャー候補さ
ん?」
 「その呼び方は止めてって言ってるでしょ! 私は別にそんなつもりでお仕
事してるんじゃないんだから」
 更衣室と隣接する休憩室兼ミーティングルームは今は無人。フロア主任の里
佳子がパイプ椅子に腰を降ろすと、すかさず副主任の瑞樹が冷蔵庫からミネラ
ルウオーターのペットボトルを取り出してくれる。
0266突発屋 ◆63./UvvAX. 2009/12/29(火) 21:09:06ID:x/mK8zJv0
 「いや、つもりも何も近未来の幹部候補生でもない限り、チェーン全体の企
画会議に店長の補佐で行かせて貰ったりはしないでしょ普通。それに企業に貢
献する為の出世願望なら不健全でも何でもないんじゃない?」
 「それは……そうかも、知れないけど……」
 「でしょでしょ? 伝説のアイアンメイデンも一皮剥けたみたいだし、これ
を機会に従業員思考からの脱却を目指すってのもアリじゃない? リカりん期
待されて……」
 「ちょっと、何よその「伝説のアイアンメイデン」って! もしかして私の
ことじゃないでしょうね!?」
 「いや、もしかしなくてもリカりんのことだし。ちなみに昨日今日の話じゃ
なくて高校の時から続いてる由緒正しいあだ名だから、約一名だけは知らなか
ったみたいだけど」」
 憤慨する里佳子にアッケラカンと応じる瑞樹。ただでさえ我の強そうな瞳を
持ち、一睨みでメイド服の少女達を黙らせることの出来る里佳子の威嚇を苦も
なく受け流せる数少ない人物ならではの余裕である。
 「な、なによ! みんなして人を骨董級の堅物呼ばわりして……」
 「いやいや、どっちかって言うと内面じゃなくて一生破けそうもない鋼鉄製
の処女ま」
 「そんなことよりっ!!」
 「うひゃあっ!?」
 だが、欠伸をかみ殺している隙を突いて至近距離にまで肉迫されて怒鳴られ
ると流石に怯んでしまうらしい。
 「お店、ちゃんと回ってるんでしょうねぇ? まさか私に昇進を勧めながら
営業成績を落として足を引っ張るようなことはしないわよね、中学からの親友
のサブチーフさんは?」
 「大丈夫だって、出勤率はパーフェクトなんだし。私が出ばんなきゃばらな
いようなミスもトラブルも一切無し。昨日のリカりんの檄が随分と効いたみたい
だねぇ」
0267突発屋 ◆63./UvvAX. 2009/12/29(火) 21:10:41ID:x/mK8zJv0
 「……午前中の売り上げは?」
 「そう来るだろうと思って打ち出しておいたよ、ほれ」
 「………………………………………」
 「ね? 売り上げも回転率も好調この上なし。だから何時までも婚期を逃し
たナマハゲみたいにてカリカリしてないで、リカりんもたまには有給とって大
好きなお兄ちゃんと……」
 「フェア商品の売り上げが落ちてる!」
 「……思う存分イチャついて、主に私の精神衛生面の為にもお店でツンツンし
ないようにストレスを……って、え?」
 「昨日の半分くらいしか出てないじゃない! いつも言ってるけど、チェー
ン展開しててもウチのお店は大きくないんだから、フロア責任者は食材の在庫
状態にも或る程度は気を配っておかなきゃ駄目でしょう! 何のために季節ご
との商品展開を計画的に行ってるのか理解してる? わざわざ農家の方に契約
をお願いして直接卸して頂いてるのだって、お客様に新鮮な……」
 「ギブギブ、もう降参だから勘弁して! っていうかリカりん、昨日の時間
毎の売り上げまで記憶してるんだ……?」
 「あら? その程度のこと、飲食店の最前線を預かる接客責任者としては当
然だと思うんだけど〜!?」
 「ひ、ひぇ〜〜〜〜〜〜っ!?」
 ギロリ、と半目で睨まれてタジタジの瑞樹。
 「私、これから店長と一緒に(本店の企画会議の結果を踏まえた支店の)ミ
ーティングだけど、終わったら即フロアに出るからシフトの調整をしておきな
いさいよね! それとフロアに出てる子に、ちゃんとお客様にお勧めをする様
に再確認しておくこと! わかったわね、未来のフロアチーフさんッ!?」
 「ささ、さーいえっさー!!」
 まったく私がいないと全然駄目なんだから! と愚痴りながら資料を抱えて
会議室に向かう里佳子の背中を直立不動の敬礼で見送る瑞樹であった。
0268突発屋 ◆63./UvvAX. 2009/12/29(火) 21:12:54ID:x/mK8zJv0
 そしてその夜。
 「ねぇ耕介ちゃん、そろそろ一息付けてお風呂に入ったら? リカちゃん遅
くなるみたいだし?」
 持参金で日用品を一通り買いそろえ、おニューのエプロンを身につけた真里
亜は、すっかり佐々原家の主婦となっている。恋敵である里佳子は不満タラタ
ラなのだが、自分が社会人としての責務を職場で担わなければならない現状で
は如何ともし難い。
 「お、おう…………あのさ?」
 流しに向かい、二人分の食器を鼻歌交じりで片付ける真里亜に恐る恐る声を
かける家主の耕介。従妹と義妹が同時に恋人……どころか婚約者宣言して押し
かけてきて以来、彼の神経はすり減る一報である。
 「うん?」
 「お、お前とリカってさ、昔は仲良かったよな?」
 どういう経緯があったのか耕介は知らないのだが、義姉達を「さん」付けで
呼び常に敬語を使う里佳子が真里亜相手では何故か違うのだ。お互いに耕介か
らは従姉妹であるという共通点以外にも何かあるに違いないと耕介は常々思っ
ていた。故に、上手く取り持てば円満な関係に戻せるのではないかとも。
 「そうね。初めて会った頃はリカちゃん小さかったし、耕介ちゃんの妹って
事は私の妹になるかも知れない子だったから」
 勿論リカちゃんが凄く可愛くて良い子だったのもあるけど、と最後に付け足
しながらも淡々と家事を続ける真里亜。
 「だ、だったらさ? もうちょっとこう、なんつうか……」
 「リカちゃんが、これからも耕介ちゃんの妹でいてくれるっていうなら、も
ちろん可愛がってあげるわよ。義姉として」
 ニコっ、と振り返った満面の笑みが何故か怖い。しかも自分が蒔いた種が根
底にあるだけに下手な反論は薮蛇になるだけ。こりゃ仕切り直しだと瞬時に
判断した耕介はすごすごと浴室に撤退していった。
 「……とは言え、あのリカちゃんが此処まで頑張るとはねぇ」
0269突発屋 ◆63./UvvAX. 2009/12/29(火) 21:14:23ID:x/mK8zJv0
 最後の皿を拭き終え、やや疲れた溜息を漏らす真里亜。どちらかと言えば古
いタイプの人間でパソコンには余り慣れていない両親を上手く丸め込み、姉妹
でそれぞれのパソコンを持ってネットを活用していた真里亜は内通者を通じて
耕介の周囲の状況を或る程度は把握していた。そして……
 「あら?」
 玄関先からの物音に彼女の思考は中断された。がちゃがちゃと急いで鍵を差し
込み開ける音に続いて開閉音とハイテンポな足音が近づいてくる。
 「あ、リカちゃん? おかえ……」
 「ただいま真里亜ちゃん遅くなってゴメンね私ご飯はまだだけど自分でする
から平気だしお仕事で汗かいちゃったから先にお風呂入ってくるから真里亜ち
ゃんはお部屋で休んでむぎゅっ!?」
 通勤着のまま居間を突っ切り風呂場に突撃しようとした里佳子だが、予想外
に素早い反応でコートの襟首を後ろから掴まれ阻止されてしまう。
 「リ〜カちゃん、どこ行くのかな〜? いま、耕介ちゃんがお風呂に入った
ばっかりなんだけどな〜?」
 「……そそ、そうなんだ? リカ、知らなかったなぁ……」
 視線を泳がせながらも捕まれたコートをトカゲの尻尾代わりに即時脱出を計る里佳子
だが、すかさずスカートの裾をキャッチさられて失敗。互いに笑顔を浮かべながら
の攻防が続く。
 「そう、知らなかったの? 原付の音もしなかったしリカちゃんお風呂場に
真っ直ぐ向かっていったから、てっきり家に着く前にエンジンを止めてコッソ
リ押して帰って、外でお風呂場の電気が点くのを待ってから急いで階段上がっ
てきたのかと思ったけど私の勘違いだったのかな? ごめんなさいねリカちゃ
ん〜?」
 「はぅっ? り、リカ、そんな悪い子じゃないもん! ままま真里亜ちゃん
の考えすぎなんだもん……」
 あからさまに動揺する里佳子と、平然とした笑みを崩さない真里亜。
0270突発屋 ◆63./UvvAX. 2009/12/29(火) 21:16:28ID:x/mK8zJv0
 「うんうん、そうよね〜。じゃ、良い子のリカちゃんは耕助ちゃんのお風呂
の邪魔しないように晩ご飯にしましょうね〜?」
 「あ〜ん、おにいちゃ〜ん!!」
 穏やかな笑顔のまま、涙目でジタバタと藻掻く里佳子の体を片手で引きずりな
悠々とキッチンに戻ってゆく真里亜。体格差があるとはいえ彼女の細腕からは
想像できない腕力だ。
 (まったく、昔は素直で良い子だったのに! 私を出し抜いてお風呂で楽し
もうだなんて十年早いってことをハッキリと……)
 一回り近く年下の里佳子にワイン一本で出し抜かれたばかりの真里亜に油断
などあるはずもない。それどころか、どう雪辱を果たしてやろうかと笑顔の
裏で考えていたところだが。
 (……ん? お風呂?)
 「……真里亜……ちゃん?」
 急に立ち止まった恋敵に怪訝な顔を向ける里佳子。気のせいか真里亜の頭上
で電球が光ったような気が。
 「ね、リカちゃん?」
 「う……なに?」
 正直、嫌な予感しかしない里佳子。
 「せっかくだから、みんなで一緒に入ろっか?」
 「え、え〜〜〜〜〜〜〜っ!?」
 「うんうん、それが良いわ。リカちゃんに汗臭いままご飯食べさせるも可哀
想だし、ここのお風呂は広いから三人でも平気よね? リカちゃんも、それで
良いでしょ?」
 と言うが早いか向きを変えて風呂場へと戻る真里亜。当然ながら片手で里佳
子を牽引したままで。
 「そんな、真里亜ちゃんが一緒じゃリカは……って引っ張らないでよ真里亜
ちゃん! あ〜ん誰か助けてぇ〜!!」
 まるで歯医者に強制連行される子供のような里佳子の悲壮なドップラー音を
最後に、脱衣所の扉が音を立てて閉まった。
0272突発屋 ◆63./UvvAX. 2009/12/29(火) 21:25:29ID:x/mK8zJv0
おかしい!w
明らかにスレ違い的な展開しか予想できないウチの9393妹(仮)が、こんなに好評の筈が(ry

>ハル ◆2Z9GE9yyj氏
久々の投稿、ご苦労様です。

それなりのご事情もおありでしょうが、こうまでトリップ変更を連続されますと
ご本人確認が難しくなる(つまり、成り済ましとの判別が出来なくなる)等の懸念が発生してしまいます。

大変申し上げにくいのですが、最低限、御自分の履歴などの保存には一層気を遣って頂けるようお願い申し上げます。
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