「ンだよ、またデコ助かぁ?」
暗闇の中、しつこく鳴り続けるコール音を頼りに手探りで携帯を手に取り、目を瞑り布
団に潜ったまま開いて耳に当てる。毎度のこととは言え、人の都合という物を全く考えな
いチビ助のために起き出してやる気なぞ毛頭無い。
「もしもしぃ……」
「兄さんですか? すぐにお台所まで来て下さい」
「………………………………はい?」
「ですから、いますぐお台所まで来て下さい。まだ寝惚けてる見たいですけど、そのま
ま寝直したら駄目ですからね?」
「いや、だから……」
「それでは失礼します」
(ぷつん、ぷーぷーぷーぷー……)
「……って、おいっ!?」