「確信犯かよっ!?」
「という訳で、ようやく冷えて固まった完成品第一号です。どうぞ?」
「あー……」
「ちなみに大きいのもハートの形をしているのも本命と同じ仕様で作った結果であって
他意は全くありませんので勝手な深読みはしないで下さいね。それから特別サービスでこ
れもお付けしますから文句を言う暇で早く召し上がって下さい」
と俺愛用のコーヒーカップに湯気を上げるホットミルクを注いでフォークとナイフと共
に食卓に並べる妹。
「………………」
「どうしましたか兄さん? 早く座って食べないと兄さんのみならず私の睡眠時間まで
無駄に減ってしまうのですが?」
いやだから何だその言い草は? まるで俺が妹の要求通りにチョコレートの味見(だと
思うんだが)をするのが確定事項というか当然みたいな口ぶりなんだが。
「……その前に、もう一つ聞いて良いか妹よ?」
「はい、なんでしょうか?」
「俺に選択の自由は……」
「家に兄さんとお父さんのお二人しか男性が居ない以上、最初から私の選択の幅は極め
て低いとしか言わざるを得ませんし、その程度の事なら兄さんの凡庸な頭脳でも簡単に予
測出来ると思いますが?」
「いや、だったら親父……」