「・・・もう、熱は下がったみたいだな」
「・・・うん。お兄ちゃんが座薬挿れてくれたお陰だよ。それより、お兄ちゃんごめんね。昨日蹴っちゃったとこ・・・頭の横のとこ、大きな瘤が出来ちゃってる・・・」

部屋の中に散乱した酒瓶。卵酒。
ズキズキと鈍痛のシグナルを発信し続けている俺の頭。妹の膝蹴りがクリーンヒット。
所々破れて、乱れた服装のまま、俺の横で寝息を立てている妹の目尻には涙の痕。無理矢理座薬突っ込んだからな。
抵抗の痕跡。手首にはガムテープ。ベッドのシーツには血痕。主に俺の。
そして、枕元には所謂、飲むと眠くなる類の薬品が何錠か転がっていて・・・。

「・・・お兄ちゃんも頭痛薬、飲む?」
「・・・打撲には効かないと思うんだ・・・」