朝起きたら、妹に その15
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桐莉「兄ちゃん、兄ちゃん、ついに15スレ目に突入だぁーっ」
隆浩「……え?まだ続いてたのか、このスレ?」
七華「続いてるよ、たかくんっ!!!」
由紀「ボク達の物語が終わっても、兄と妹の伝説は何処までも続いて行くんだよっ!!!」
桐莉「……まぁ、何時終わっちゃってもおかしくない過疎りっぷりッスけど……」
七華「桐莉ちゃん、電波分の補給宜しくっ!!」
ゆかな「ドミ狩る分はゆかなが引き継ぐのですよーっ!!」
月華「はいはい、犬神分犬神分」
雪帆「ボクと兄さまと月ちゃんも宜しくねー」
果たして命脈は何処まで続くのか、兄と妹のラブラブ電波でちょっぴり切なくいやらしい数々のストーリーが今ここにON AIRっ!?
七華「永遠はあるよ、此処にあるんだよっ!!!」
桐莉「幼馴染キャラは引っ込んでるっ!!!」
前スレ:朝起きたら、妹に その14
http://set.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1180380183/
保管庫
朝妹スレ私設まとめ(ハル氏)
http://asaimo.h.fc2.com/
ログ置き場(保管庫完成までの暫定設置)
朝起きたら妹に、ログ置き場
http://www.geocities.jp/asaimo0/
>>552
投下、ありがとう&乙であります (`・ω・´)ゞ 最近は「朝起きたら妹が〜〜」とネタ振ってくれる人もいないのね……。(´・ω・`) まず作者が何人生き残っているのか確認が先だな
ネタフリしても誰もいないのではな >543 名前: ハル兄 ◆2Z9GE9yyj. [sage] 投稿日: 2010/10/07(木) 23:59:42 ID:+B31iXHe0
>大丈夫なようなので準備してきます。早ければ今週中に投下予定。
この発言から一月か……。時の流れは早いものだな。 朝起きたら妹に、皆さんに生存報告してと言われた。
…このご時勢で、自分みたいな身分の人間が忙殺されるとは思わなかったorz というわけで生存報告。まとめる暇すらない位忙しくて涙目な自分ですが
諸兄もお忙しいか規制に巻き込まれているかなんでしょうね。
ただでさえ投稿間隔長いのに死亡フラグ立ててしまってすみませんorz 碧と翠編〜朝起きたら妹に、「知的好奇心ですわ」と言われた〜
なんとなく、いつもより早く起きられた朝のこと。
普段と比べスッキリとした目覚めと、大腿あたりの違和感に布団をめくれば
甘ロリ系のネグリジェを着た双子の妹が抱き枕のようにしがみ付いていた。
吐息があたってくすぐったいやら、おだやかな寝顔を見ていたいやら。
起こすのがしのびないから休みで良かったと思っていると、柔らかく冷たい手に包まれるような感覚が走った。
「操縦桿、今日も逞しいです……」
「……おはよう、ございます」
真意を判断しかねていると、もぞもぞと布団から出てきた。 データを集めている間にまとめた小ネタと設定をまとめるのが精一杯でしたが
保守代わりに冒頭だけ投下させて頂きました。連投失礼しました。 >>561
乙。
無理をしないようにしてください。
投稿は気長に待ちますよ〜。 朝起きたら妹に、「だいしゅきホールドですね、解ります。」
と言われた。 朝起きたら妹に
もうそろそろバレンタインだねと言われた。 朝起きたら妹に
2月の書き込みがまだ三つしかないねと言われた 朝起きたら妹に、クイズを出題された。
「ねーお兄ちゃん。英語で『お風呂に入る』ってなんて言うか知ってる?」
「フロ?」
ふむ、英語で風呂はバス。それくらいは分かる。しかし、そこは問題ではないだろう。問題は『入る』に相当する動詞が何であるかだ。
或いは『風呂に入る』自体が一つの動詞で表現される可能性もありうる。
……ぶっちゃけて言おう。ヲタ的ファンタジー考察は好きだが、英語は苦手だ。
「ふっふっふー、わっかんないかなー?」
「何を言う、雑学ヲタのこの兄に分からないことなどなど!?」
「じゃ、答えられなかったら、この前買ってきた3DSちょーだい」
「まて、勝手に決めるな;」
「で、もし答えられたら…そうだな、お兄ちゃんと一緒にお風呂入ってあげてもいいよ?」
なん・・・だと・・・?
断じて言おう、未だ乳臭いガキの体、しかも肉親のそれなどに興味はない。
そう、ふくらみかけのまだ青い果実、それが水に濡れ、泡にまみれる姿などに──ついでにお互い大事な所を洗いっことかしちゃったりなんかして──断じて! 興味は! 無い!
だ、だが、一人の兄として、久々に兄妹で風呂にはいるというのもまた一興ではないかと……
「うわぁ、お兄ちゃんってやっぱり変態なんだね」
ざくっ
い、いかん。このままでは兄の威厳(そんな物はない)が!
しかし、この場合、もし上手く答えたとしても『兄は変態』という事が証明されてしまうのではないか?
「まー、分かんなきゃそこまでだよねー。ほらほら、ごー、よーん、さーん……」
ヤバイ! このままでは兄の威厳と3DSとキャッキャウフフのチャンスがまとめて消えてしまう!
さぁ兄よ、頭をフル回転させるのだ! そう! ふぁちまのように! ──天啓、
「分かったぞ!?」
「ツバ飛ばさないでよ……で、何?」
「ふふふ、聞いて驚け」
「出題者あたしなんだけど?」
「『フローリング』だっ!」
大爆笑された。もう見ている方が心配になるくらい。乱れた裾とか、涙の滲んでうるうるしてる目とか、息を引きつらせてひーひー言ってる姿とかがちょびっとエロかった。
「はふー……笑い死ぬかと思った」
「殺意は無かった。反省はしている」
「フローリングって言ったらこういう木の床の事でしょ。言う前に気づかなかったの?」
言って、ぺしぺしと部屋の床をはたく。そりゃそーだ。
「一瞬、違うかも、というのは脳裏をよぎったのだが」
思いつきがあまりにもピタリと咬み合ったので、これ以外に無い、という錯覚を抱いてしまった。
「でまぁ、結局、答えは何だったんだ?」
「あー、答えはねぇ──」
よくよく考えれば、妹も別に英語が得意とかそんなことは無いのだが……
「──『ニューヨーク』に決まってるでしょ?」
「違う! それは絶対に違う!?」
「え? なんで!?」
妹がマジで理解していなかった事だけは特に記しておく。
追記・勝負は引き分けになりました。 朝起きたら妹に、takeかhaveを使うんだよと言われた。
>>583
GJ! 朝起きたら妹に、GWだからどっかいこう!!て言われた。 朝起きたら妹に、秋はきのこ狩りの季節だねと言われた。 オナニーしようとして握ると、全裸の妹を握ることになり、手でこすると… 朝起きたら妹に、「血は繋がってなくても妹は妹でしかないのかな」と言われた。 妹「この我のものとなれ」 俺「断る!」
妹「どーしても?」
俺「アホ云うな。お前のせいでどれだけの金がかかったと思ってるんだ」 妹「この子のこと?」
俺「両替繰り返し、金は機会に吸い込まれていった」
妹「考え無しに持ち上げようとして失敗しまくったんでしょう」
俺「考え無し……?」
妹「あー。えーっと。そうか、一応頭は使ってた、みたい……かなぁ?」
俺「誤魔化すなっ! あんなに失敗したのだっておまえのせいじゃないかっ!」 妹「だってあれくらい私だってできると思ったもん。お兄ちゃんも後からガタガタ言い出すくらいなら私にさせなきゃいいじゃん」
俺「お前が絶ッ対大丈夫! っていうからだろ。もう後は落ちるだけってところまでいったのに、なんで反対側に倒すんだよ。普通にちょんって触れば落ちたはずだろ」 妹「もう、いつまでも言わないの。簡単に取れるって言ったのお兄ちゃんでしょ」
俺「3回目で取れるはずだっただろ、お前に替わらなきゃ」
妹「ま、まぁ、ほら、結局取れたんだからいいじゃん。ねっ、お兄ちゃん、すごーい。UFOキャッチャーのプロ〜」
俺「なんでこんな平べったい豚のぬいぐるみに俺の小遣い2,000円も使わなきゃならんのか」 妹「いいじゃん、『ざブタん』かわいいじゃん。座れるんだよ〜!?」
俺「じゃあ、俺が座ってやるから、返せっ」
妹「だめっ、この子に座っちゃ駄目ッ、かわいそう」
俺「そういう奴なんだろ? 望み通り座布団にしてやるよっ」
妹「キャー、座るなー! この子は私が大切に可愛がってあげるのっ!」 俺「イテテッ、押すな、わかったから離せ、離れろ」
妹「じゃあ、私にこの子頂戴? ねっ、いい?」 じ〜っ 俺「まて、それとこれとは話が別だ。金返せとは言わんから、そのかわりなんかくれ、なんかマシなもん」
妹「えー、この子、かわいい妹のために取ってくれたんじゃないの? 駄目だよぉ」
俺「まぁ、こんな豚いらんけど、金かかりすぎ、さすがにタダじゃやれん。わかった、じゃあお前のおやつとかでもいいよ、今度それくれ」
妹「んー、おやつかぁ。けど1回だけだよ」 俺「よしっ、こいつはお前のものだ」
妹「1回だけだからね」
俺「契約成立だ」
妹「何でも勝手に取っちゃ駄目だからねッ」
俺「あんまり変なもんでも駄目だぞ」
妹「わーい、嬉しいな」抱きっ ――リビング
俺「うぉ、寒くなってきたな」
妹「うわぁ、外、吹雪いてるよ?」
俺「こんな中途半端なエアコンで良いのか?」
妹「中途半端って?」
俺「いや、だからさ。このエアコンさっきから点滅ばっかりで、着いたと思った
らいつのまにか風が止まって全然暖まらん」
妹「あっ、エアコン動き出した」 にこっ
俺「どっかおかしいところあるんなら、直してもらった方が良いんじゃね?」
妹「おかしいところあるの?」
俺「さー、わかんね」
妹「お父さんに見てもらった方が良いと思う」
俺「今日帰ってこないぞ」
妹「お母さんじゃわからないと思う?」
俺「だろうな、どのみち今日遅いんだろ?」
妹「お兄ちゃんがちゃんと見たらいいと思う!」 じー
俺「じー」
妹「わかった?」
俺「わからん。とりあえず点滅がなんなのかネットで調べてみる」
カチャカチャカチャ
ピー、ガー、ピンピン、ガーッガッビー、ピー、プー 俺「異常か、室外機の霜を溶かしてるっぽいな。室外機どうなってる?」
妹「見えない……。雪に埋もれて見えないよ――」
俺「それ原因じゃない? お前見てこいよ」
妹「やだ、寒い……」 ぶるぶる
俺「昨日のおやつの件チャラにするから見てこいよ」
妹「やだ! お風呂入っちゃったもん」 ふるふる
俺「あー、まったく――」
妹「さすが、お兄ちゃん、頼りになる!」
俺「風呂、熱めにしておいてくれ。雪どかしたらすぐ入るから」 ――リビング
俺「うー、寒いィィィー」 ガチガチ
妹「お風呂暖めといたよ。入ってきなよ」
俺「うー、冷たいィィィ」 ピタッ
妹「ギャー! お兄ちゃんの手冷たい! 触らないでっ! 首冷たい、やめてっ
てば!」
俺「あー、お前の体あったかいぃぃぃ」
妹「キャー、冷たっ、ちょ、服の中やめて、抱きつくなー! 冷たいってぇ!」
俺「外ぉ、寒かったぁぁ」
妹「わかったから、寒いのわかったから、ちょ、やめてっ、早くお風呂入ってき
なぁ!」
俺「わかったよ、おやつ二日分な」
妹「やだっ!」 ――キッチン
妹「えーっと、湯煎は――」
母「ずいぶん材料いっぱいね」
妹「うん。生徒会の――」
母「先輩?」
妹「先生にも――」
母「ママ手伝う?」
妹「大丈夫。私だけでがんばるよぉ」
母「そう、喜んでもらえるといいわね」
妹「えへへぇ」 にこっ ――寝室
母「やっぱり女の子はかわいいわねぇ。あの娘ったら――」
父「相手は――」
母「生徒会や先生――」
父「俺の分――」
母「あなたは今日貰って――」
父「ん、まぁ、部下――」
母「あんな高価な――」
父「ん、あぁ……」
母「出張――」
父「……」
母「――」
父「Zzz...」 ――リビング
妹「お兄ちゃん、このケーキ美味しいよ」
俺「おぉー! 美味そう」
妹「これ、この前テレビで紹介されてた店だよ」
俺「うっわ、旨い」
妹「ねぇ! 美味しいでしょ」
俺「ああ、旨いな。もっと無いの」
妹「ざんね〜ん。お兄ちゃんのが最後です」
俺「親父のは? また、お前食べたの?」
妹「ぶっぶー、違います〜。珍しくお父さんも食べてたよ。会社の人に貰ったんだって」
俺「ちょっとまて、お前の分は? 約束の分くれよ」
妹「約束って〜?」
俺「ちょ、ふざけるな、お前のおやつ俺によこす約束じゃないか」
妹「今日渡すって言った覚えありませ〜んっ。それにもう食べちゃいました〜!」
俺「お前、あのぬいぐるみの分! 話違うぞっ」
妹「ちゃんとあげるときにあげるよぉ」
俺「お前、それお前の嫌いなものの時だろ!」
妹「えへへ〜。それは、どっぅかぁなぁ〜」
俺「ふざけるなっ、豚座布団返せっ」
妹「いっやです〜。『ザブタ』は今日も一緒に寝るんですぅ」 ――俺の部屋
がちゃ
そー
がさごそ
妹「……」
妹「っ、お兄ちゃん、朝だよぉー」
俺「ん、ふあぁ」
妹「おはよぉ、ご飯だよー」
俺「ん、あぁ」もぞもぞ
妹「じゃあ、いってきまーす」 にこっ
――ダイニング
俺「……」 ぼーっ
母「おはよう」
俺「おはよぅ、今日なんかあんの?」
母「どうして?」
俺「いや、あいつもう居ないから、家出るの早くない?」
母「あの娘も女の子なのよ」 にこっ
俺「??」
母「……、さっさとご飯食べちゃいなさい。お味噌汁冷めるわよ」
――俺の部屋
俺(んー、なんだろう、この包みは)
がさがさっ
俺(ハート型のチョコ……と手紙?)
手紙『お兄ちゃんへ
ザブタありがとう
約束のおやつです』
俺「そうか、今日はバレンタインデー……」 朝起きたら妹に、
「彼女いないんでしょ? かわいそうなお兄ちゃんにチョコ恵んであげる」
って言われたから
「彼女ぐらいいるよ!」
って言ったらすごい悲しそうな目で
手に持ってる3DS見られた…
朝起きたら妹が今日はバレンタインデーなんだよ、と言われた
@
いつものように目が覚めた。
カーテンレール1つで仕切られた狭い狭い6畳の部屋。
ドアは俺の部屋についている故、いつも妹が俺の部屋を通って自分の部屋に戻っていく。
そんな複雑怪奇な住宅事情の俺達。
「おにーちゃん、いつまで寝てるの? 今日はバレンタインデーなんだよ!」
「だからどうした?」
水道管が凍結も辞さないと悲鳴を上げるほどに冷たい声で妹の『小花』に言い放った。
「チョコがいっぱい売れる日なんだから、おにーちゃんももう少し喜んでよ」
「チョコの売り上げなんて俺には関係ない。だいたい俺はチョコが嫌いなんだよ」
渋い食べ物が好きなのは、映画の見すぎだろうか。
コーヒーはいつもブラック。いつも目立つ主役よりも脇役の方が好きなタイプだ。
レンジャーもので例えるなら、赤や青ではなく、緑を好む。そんな感じだ。
「もっと気分を↑↑(あげ)て行こうよ☆ もしかしたらおにーちゃんの靴箱にチョコが入っているかも知れないよ?」
「小花……ちょっとこっちに来い」
「なぁに、おにーちゃん?」
俺は小花の後頭部をそっとつかんだ。
「え、あ、あ、お、おにーちゃん……?」
いつもしていることなのに、なぜか慌てる小花を自分に引き寄せた。 A
こつんと頭が、正確には額同士が重なった。
「風邪はひいてないようだな」
「んーーーーー……」
どういう理由か、小花は両目を閉じて唇をつきだしていた。
「おい、アホ面大将」
「なに、イケメン大使」
断っておくが、俺はイケメンではない。小花がただ俺がディフェンスに長けている男だから『池男』と呼んでいるだけだ。
(なんでもスラムダンクに池上に定評のあるDFというのがいるらしい)
「お前は風邪を引いているんだ。俺がチョコを貰うことなんてありえない」
「どうして誰もおにーちゃんを青田買いしようとしないんだろう?」
お前、青田買いって意味分かってるか? 将来有望になるだろう人間を買うってことだぞ?
裏を返せば今はまだダメだって言ってるのと同じなんだぞ?
「そう言えば、お前、今年もチョコ作るんだってな。母さんが言ってたぞ」
「えっ、ヤダッ母さんったら、いっつも手と口ばっかり滑らせるんだから」
……口はともかく、手を滑らせるのは怖いぞ。ウチの母は整形外科医だ。
うっかり手を滑らせて、二重顎を縦に割ることだけは勘弁願いたい。
「べ、べつに……わわ、わたしっ! 好きな男の子なんて……いないしっ!」 B
「ふっ……別に隠す必要なんてないだろ?」
でも、それを隠したいのが乙女心というもの。
これ以上の詮索は無粋だな。
「お、おにーちゃんはどこの馬の骨に私がチョコをあげてもいいって言うの? もしかしたら肋骨あたりにプレゼントするかも知れないよ?」
「……馬の骨って、そういう意味じゃねぇだろ」
プレゼントするなら胃袋にしてやれ、胃袋に。
「そうだ。お兄ちゃんがチョコ作り手伝ってやろうか? 食べるのは嫌いだが、作るのならやぶさかではないぞ」
「だ、ダメダメダメッ! おにーちゃんが作ったら意味ないよ!」
小花は慌ててブンブンと左右に顔を振り、俺の申し出を断る。
左右に作られている小さな三つ編みがベチンベチンと顔を叩いているのだが、痛くはないんだろうか……。
「いや、しかし、お前おいしそうって理由で粉石鹸チョコにまぶそうとしてただろ? どこの馬の骨かは知らないが、泡吹いて倒れてしまうのは忍びない」
「出たのはシャボン玉じゃなかったから大丈夫! あとおにーちゃんのご協力はご無用!」
それが試食の結果導き出された答えなんだろうが、明らかに大丈夫ではない。
下手すれば魂が出るかも知れないのだから。
「1人でやりたいお年頃か……。まあ頑張れよ。昨日作ってたチョコあげるんだろう?」
「1人でしてるのはおにーちゃ……ぎゃあうぅ!!」
……男のピュアサンクチュアリに踏み込む悪い小花に拳を入れた。 C
※※※※
先日、我が家の台所では小花がエプロンと三角巾をつけて奮闘している姿があった。
チョコレートを湯煎し、生クリームをくわえ、ボウルをかき混ぜる。
砕いたナッツをくわえて再びチョコクリームを加える。
「一生懸命作ったチョコだ。貰ったヤツはきっと喜ぶだろうな。まあ味はどうか知らんが。味はどうか知らんが」
「なんで2回言うの? そんなにこのチョコの味が信じられないの? 由緒正しきメイジチョコレートだよ! 魔法使いのチョコレートなんだからね!」
遠回しの催促を無視した挙句に、間違ったことをぬかす妹。
少なくともそのメイジは魔法使いからはきていない。
「冷蔵庫に入れて、かっんせーい♪ お兄ちゃんは『つまみ食いおよび視察』禁止だからね」
「俺はチョコが嫌いだと言っただろ」
「…………あ、そうだったね」
小花は苦笑いを浮かべると、居間から出ていった。
※※※※ D
学校につくと、俺は浮き足立っている男子達といつも通りの会話をする。
「なあなあ、今年はいくつチョコもらえっかなー」
「お前は女釣り放題だからな。6000個くらい貰えるんじゃないか…… チロルチョコ換算で」
「ハハ、さすがに桁が違うよ。せいぜい100個だな。麦チョコ換算で」
もはや粒の世界である。
だが、コイツは俺と違って無愛想ではなく人当たりがいいので、チョコ貰いたい放題である。
あまりにチョコを貰いすぎて虫歯になり、歯医者に行ったらそこの受付の人からもチョコを貰った伝説を持つくらいのモテ野郎だ。
さぞかし素晴らしい魅惑の腰つきなのだろう。
「でもなー……本当に想いのこもったチョコってのはやっぱり重みが違うんだぜ」
「そうなのか……?」
「釘とかカビとか下剤とか髪の毛とか入ってるからな」
「…………それは確かに重みが違うな」
実にヘビィなお話だ。
「そう言えば、俺の妹が誰かにチョコあげてるらしいんだが、お前誰か知ってるか?」
「オレじゃないことは確かだが……貰ってみたいなぁ、小花ちゃんのチョコ。お前のことを兄さんと呼ぶことになっても、オレは一向に構わない」
「俺はイヤだ」
「じゃあ兄貴ぃッ!ならいいのか?」
「呼び方の問題じゃねぇよ」
「オレ、お前のためなら、炊事洗濯添い寝に買い出し、掃除雑用下の世話、なんでもやるぞ!」
「二個ぐらいイヤな項目があることを俺は聞き逃さなかったぞ。ともかくお断りだ。小花の意思で義理の弟になったとしても、普段通り接してくれ」
E
長かった授業も、終わってみればあっという間の放課後である。
俺の靴箱に事件が起きていた。
「お、おい……俺の靴箱に……」
「マジ……かよ……?」
チョコが入っていた。白地にピンクのリボンで綺麗にラッピングされたチョコだ。
「鑑識に回した方がいいか?」
「お前そりゃチョコくれたヤツに失礼だって……おわっぷ」
そう言いながら友人は靴箱を開けるとチョコレートの雪崩に巻き込まれる。
物理的に靴箱には入らないだろう量なのだが、どうやって詰め込んだのだろうか?
「今日のために四次元靴箱をセットしてよかったぜ……」
「理屈は納得したが、その技術はもっと別の場所に活用した方がいい」
「ところで、このチョコ……差出人の名前がないんだが」
「中に書いてあるんじゃね? とにかくありがたく食べるんだぞ。いいな、絶対食べろよ。その子の気持ち無駄にしちゃいけないからな」
「お前……」
「安心しろ、骨は拾ってやる」
「おいこら待てい」 F
「ただいまー」
俺は自宅に帰ると、小花が嬉しそうに飛び出してきた。
「おかえりーお兄ちゃん♪」
「お、嬉しそうだな。チョコは無事に渡せたのか?」
「う、うん……でも直接渡すのが恥ずかしいから……靴箱の上の段に隠しちゃった」
「そりゃ見つかりやすい場所に隠したもんだな」
「うん♪ 見つけてくれたかなぁ? あ、ところでおにーちゃんはその……収穫、あった?」
くりんとした眼差しで俺を見上げる。
何か期待しているようだが、どう答えていいのか迷ってしまう。
「1つだけだよ。靴箱にあった」
小花の言っていた上の段にあったワケだが、俺は何となくその部分を隠していた。
「えーうそーおにーちゃんにチョコあげるなんてびっくりー」
「だが、友達に取られた」
「え゛……」
まるで地球の終わりと仏滅と期末テストが同時にやってきたかのような絶望した表情を浮かべる小花。
まさかと思ったが……分かりやすいヤツ。
「嘘だ」
「やー、もー、おにーちゃんったらびっくりさせないでよ」
チョコを取られてもお前がびっくりする要素は1つもないハズなんだけどな。1つの可能性を除いては。 G
ピンクのリボンでラッピングされたバレインタインチョコを鞄の中から取り出した。
そのチョコは始めに持った時よりも幾分か重たく感じる。
小花はわくわくとした表情でそれを見つめている。さらにチョコが重くなる。
(…………ここは兄として食べなくちゃダメなんだろうな)
覚悟を決めてラッピングを解いた。
内側から出てきたのはきっちりと型どられたチョコレートだ。
家にある型にあるものと一致している。
小花の瞳はそりゃあもうダイアモンドかってぐらいに輝いていた。お前は100カラットだよ。
「うまそうだな」
「そうだね♪」
横から見れば厚さは不均等で波打っており、チョコレートの層も失敗している。
尖ったナッツはいびつに表面から出ており、非常に不恰好だ。
未熟な妹が一生懸命作ったのだろう。チョコにかかっている重力は相当なものだ。
一口、チョコを口にした。
さくっ──と軽快な音が部屋に響く。
正直全然甘くなかった。使っていたチョコは相当なビターなのだろう。
「うえっ、なんだこれ。まずーい><」
勝手に俺が持っているボックスからチョコを取り出し、渋い顔をする小花。
「砂糖を入れ忘れたんだろう。だが、俺のことをよく分かってるいいチョコだ。……おいしいよ」 H
「うそ……嘘だよ! こんなチョコ全然おいしくないよ! お兄ちゃんは、優しいからそう言うだけ! う、ううぅぅう……」
「お、おい……どうした、いきなり」
突然、小花は泣き出し始めた。
ぽろぽろと大粒の涙を流して、顔をくしゃくしゃにしていた。
「だって、お兄ちゃんの言うとおりだもん。お砂糖入れてなかったもんっ! こんなの、こんなものっ」
俺からチョコレートを取り上げたかと思うと、床にたたきつけた。
パラパラと散らばる努力の結晶。
「毎年作ってたのに! いっぱい頑張ったのに! やっと渡せたのにっ! どうしてわたしってこうなのっ!? うわああぁぁぁんっ」
「せっかく人が初めて貰ったバレンタインチョコを台無しにしてくれるなよな」
泣き喚く小花をなだめながら、俺は落ちたチョコを拾った。
軽く吹いてそれを口にした。
「えっ……んんっ、むうぅぅぅっ!?」
全く……女の涙というものは、男を狂わせるらしい。
俺はどういうわけか、小花に貰ったチョコをくれていた。
「こんな甘いチョコレートはないぞ?」
「んっぷあはぁ……」
まるでお寝坊でもしたかのような表情になっていた。
顔が真っ赤になって、また涙を浮かべた。
そして笑った。
I
「はは、本当だ……このチョコ……こんなに甘かったんだ。甘くて……おいしい……」
「こんなに甘いチョコ、俺は食えないな。お前に全部食わせてやる」
小花を抱きしめると、俺はチョコを食べさせる。
唇はまるで親鳥からエサを貰うように動き、はむはむと重なり合う。
小さく開いた唇に舌をねじ込むと、腕の中の小さな少女はビクンと震えた。
さらに力を込めて抱き寄せると、小花は俺の舌にこんにちはした。
「ふっ、んんっ、むぅぅ……んんぅ、んはぁ……おにーひゃ、んんぅ、ちゅぅ……んんんぅ」
唇を離すと、うっとりとした表情を浮かべて俺の胸に甘えてくる。
甘く蕩けるようなチョコで、小花の意識もすっかり蕩けたようだ。
「チョコっていいもんだな」
「え、おにーちゃん、チョコ嫌いじゃ……甘くてドロドロで、口に残るだけの甘ったるい食べ物だって……」
「ああ……でも、このチョコは嫌いじゃない。メイジチョコレートってのは魔法のチョコレートだな」
「……うん♪ 来年もおにーちゃんのためだけに作ってあげるね」
今年のバレンタインデーは、とにかく甘かった。-fin- >>645
d
久々ににぎわってたから我も、と
書いたつもりがこんなことに。orz
長文駄文申し訳ねぇ。 朝起きたら妹にチョコレートを置かれてしまった。
「ホワイトデーはデートがいいな」
朝起きたら妹が背中から抱きついてきた
妹「ねぇ、にぃ? わたしの成長っぷりへのコメントはないの?」
兄「まだ子どもだな」
妹「むっきーっ! 別にホラー番組が怖くて一緒に寝てたわけじゃないのにー」 朝起きたら妹が荒ぶる鷹のポーズの練習をしてコケていた ベタな落ちでお兄ちゃんのホワイトクリームというのは下品すぎるよな 朝起きたら妹が、「ホワイトデーのお返しはー?(´・ω・`)」とせがんできた。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています