今年のクリスマスも、兄妹2人でパーティーだ。
そう伝えたときのにやけ顔が、嘲笑でないことは誰よりも知っている。
いつから、隠そうとさえしなくなったんだっけ?
「お互い様だろう?兎も角、毎年、家族団らんの日と思ってるよ。」
「割切ってる、の間違いじゃないよね……」
紳士淑女協定に巻き込んだことなら、今更だ。
不安そうに見つめる彼女を抱きすくめ、頭を撫でてやる。
――もはや、言葉は必要なかった。
華やぐ妹の笑顔に、騙されていたとしても構わない。
僕らのの世代をも巻込んで不可侵の壁を築いた、妹の束縛が為なのだから。
「毎年こうして、兄妹の時間を作ってくれる。それだけで十分だ。」
「うん、了解」
自身も色気のない思春期を送る破目になったことを後悔し、
兄を差し置いて恋人を作ってもおかしくないのに,
敢えてしない妹の気持ちを、尊重してやるのも兄の務めだろう。<了>