●「『一企業との契約だから』を認めると、暴走する」
協会は、目隠しカバーの対象範囲が曖昧なことも問題視している。堺市が結んだ協定では、対象となる雑誌は府青少年健全育成条例で「有害図書類」に指定されたものとなっている。
しかし、実際の運用では、成人向け雑誌コーナーに陳列される商品すべてに目隠しカバーがかかっているそうだ。

協会の人権・言論特別委員会の田近正樹委員長は次のように述べる。

「堺市は、コンビニの成人向け雑誌コーナーの陳列基準が、『(小口シール)2点留め』であると答えている。しかし、2点留めは我々が自主規制として貼っているだけだ。

2点留めの雑誌が必ずしも条例が定める『有害図書』になるとは限らないし、2点留めしていなくても有害図書になることはある。
堺市はその辺りの実情をわかっていないのではないか。大まかに投網をかけているように思える」

ネット上では、対象がアダルト雑誌であることから、堺市の取り組みを評価する声も多い。しかし、田近委員長は規制の「暴走」を懸念する。

「『一企業との契約だから良いじゃん』という考え方もあるかもしれないが、公的機関がお金を出して作ったもの(カバーなど)を無償で提供している。
これを認めたら、条例を超えて何でもできてしまう。ほかの市町村もやるかもしれないし、暴走する可能性だってある。

今回の協定には、府の青少年健全育成条例にひっかかる本が対象と書いてある。であれば、対象の本はすでに条例で処理の仕方が決まっているはず。
条例で規制がかけられているのに、議会のお墨付きもなく、その範囲を超えて規制しようとしている点が問題だ」

一方、堺市は、「声明について特に対応は考えていない」と話している。

(弁護士ドットコムニュース)

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