(この部屋はいつも珈琲の香りがたちこめている。それもかなりいい豆のものだ)
(ぼさぼさ頭に無精髭、ヨレヨレの白衣のこの男は田舎高校の理科教師にしか見えないが
将来のセンター長候補と言われている。毎日、上質な珈琲を飲めるくらいのサラリーはもらっているのだろう)
あの…職務上、念のためお尋ねしますが…
まさか…死体…ってことはありませんよね?

(優秀な研究者…この世の者とは思えないほど端正な顔立ちと肢体…ある疑念が浮かんできた)
ひょっとして…この人の名前、ドリーだよ…なんていうオチじゃ…ありませんよね?
一介の警備員に過ぎない自分…いや、私だって、クローン技術規制法のことくらい知ってます。

まさか…そういうんじゃありませんよね、これ…はは。
わかった!この人名前、南ちゃんですね?南…極2号ちゃん
超精巧ラブドール…そうなんでしょ?脅かさないでくださいよお…
(正体不明の恐怖感から面白くもない軽口で必死に自分の恐怖を紛らわせようとする)