カナミは、自宅に到着した。そして、壁をすり抜け妹の部屋に侵入する。
「身体を重ねればいいのね。」

リサの身体に重なるように、カナミは布団の上に仰向けに寝っ転がる。
視界が真っ暗になり、身体が重くなる。

身体を重々しく起こしてみる。
頭がガンガンする。
そして、身体の節々が痛い。

机や本棚が大きく見える。
勿論、周りの物が大きくなったわけではない、カナミが小さくなってしまったのだ。

鏡の前に立つ。妹の可愛らしい顔が映る。
「本当にリサになってしまったのね…」
舌足らずな声で言う。

「記憶がないと不便よね、だったら…」
カナミは、目を閉じて、リサの顔をイメージする。
小さな口と鼻に、ぱっちりとした二重まぶた、ショートヘア…

「うぁぁぁぁ!!」
全身を痺れが突き抜ける。リサの時と同じだ。
頭の中にリサの記憶が流れ込んでくる。

「う〜ん、へんな感じぃ。あれ〜口調もかわっちゃうんだ。」
元の自分の記憶は残っているようだ。
しかし、脳に意識が引きずられてしまうのか、自然とリサの口調や思考っぽくなってしまう。