リサは女子トイレの鏡を覗き込む。
「えへへ、本当にお姉ちゃんになっちゃった。」
「どうだ、他人になった気分は?」
後ろから、悪魔の声がする。

「えへへ、楽しい…ってなんで私トイレにいるのよ?」
リサは、鏡越しに返事をしようとするが、台詞の途中で、身体の自由がきかなくなる。
どうやら、カナミの意識が戻ったようだ。

「お姉ちゃん、気がついたんだね、私はリサだよ。今お姉ちゃんの身体を借りてるの〜。」
「そんな…どうやって?」
カナミは、一人芝居でもしているかのように、表情をコロコロ変えながら一人で喋り続ける。

「よし、俺が、説明してやろう。」
「な、なんなのあなた?」
悪魔は、リサが幽体離脱をしてから、今に至るまでの出来事をカナミに説明する。