ナイバッチきつみは
干し柿も順調に出来てきているし、今年も美味しくなりそうだな
しかし秋というのは何故に食い物が美味くなるのだろか
おかげで俺のピザ度も上昇しっぱなしだよハハハ・・・
「俺くんの場合は秋だけじゃなくて一年中だけどね」
ん?今、何か言ったかきつみは?
「俺くんは無理して痩せるよりもちょっとふっくりしていた方が似合うって言ったんだよ
痩せすぎも体に悪いって聞くしね でも太りすぎも駄目だけど」
それは・・・それほど俺の事を思ってくれているなんて・・・俺感激!!

人気の無い夜道を静かに歩く
俺という人物がそこにいないかの様に気配を消す
歩く速度も遅すぎず早すぎず、他の人間に見られてもその記憶に残らないくらいのモブ感・・・
いつの間にか習得した俺の技術だ
こんなのは探偵かスパイとかの世界によくある尾行術の一種だろうが、俺の場合は違う
もっとも尾行したい相手がいないわけではないが・・・
暫く行くとある一軒の家にたどり着く
周りには人気がない夜遅くの住宅街
それでも警戒しつつその家の敷地内へと入る
足音を立てず、身に着けている衣服の衣擦れの音さえ立てさせないように慎重に・・・
目指す場所はとある部屋だ
この家の家人は寝入っているのか俺が侵入しても起きもしない
もっとも俺の気配の消し方が巧いからだろうが
部屋に入り込み、ある家具へと向かう
引き出しがいくつもある収納箪笥を前にして、俺はごくりとつばを飲み込んだ
この中に、あれがある・・・
そう思うだけで心拍数があがり、手が震えてくる
湧き上がる興奮を押さえ、ゆっくりと引き出しに手をかけ音のしないように引き出す
暗い部屋の中ではあるが、独自の訓練により夜目が利くようになった俺には中身がはっきりと見える
ちがう・・・ここではない・・・
次の引き出しに手をかけ、慎重に開ける
どこだ・・・どこにあるのだあれは・・・ つづく