きつみはもふもふふもふもふ
うん・・・何事にも準備運動は必要だな
無理して急に始めても途中で息切れしてしまうことはよくある
だから俺は物事を始める前は慎重になるわけだよ
そして良く吟味して、それが俺にとって必要なことなのかどうか見極めるのさ
判るか、きつみは?
「うん、大体判るよ」
おお、そうか!きつみはは賢いな、流石は俺のきつみはだ!
「つまりこうだよね
俺くんがダイエットを途中でやめる言い訳、ということだね」
うぐっ・・・そ、そうきたか・・・
でもな・・・でも・・・うう、何も言えない俺が悲しい・・・

ずりずり・・・
どこかで何かが這い回っているような音がする
ああ、もうこんな時期か、と俺は思った
ずりずり・・・ずりずり・・・ずず・・・
それはゆっくりと動き回っているようで、音は続いている
俺はそれを探すために立ち上がり、部屋の外へとでた
またアレが出始めたか・・・今年は早いな
毎年のこととは思ってはいるが、あの音を聞くと感慨深いものがある
今年ももうちょっとで御仕舞いか・・・そろそろ大掃除の準備をしなくてはだな
色々と考えることもあるが、今は音の正体を見つけ出さねばならない
暗い廊下を行くと、先のほうに白い物がゆっくりと這いずり回っていた
気づかれないようにそっと近づいて背後から覆いかぶさり捕らえる
「うひゃっ!」
その白い蠢くものは奇妙な鳴き声をあげた
「また布団にくるまって動いていたのか三橋!この横着者め!」
「お、俺くん!だって・・・寒いんだもん!」
三橋は寒くなると布団から出たくないと言って布団に包まったままで移動しようとする
俺にとって冬の開始を告げる三橋の行動でもあるのだ
仕方ない、部屋に戻して俺が暖めてやるからそれで我慢しろよ、三橋