ナイバッチきつみは
寒い・・・寒いよ・・・指が動かなくて痛いんだ
きつみはの毛皮に手を突っ込んであたためたいくらいだよ
だからといってなんでやかんを持ってくるんだ?
しかも中は熱湯・・・もしやこれで指をあたためろと・・・

>>831
バキッ!という音と共に俺田の警棒がへし折られた
俺田は男から離れると、間合いを取ってにらみ合った
「先輩・・・それでも俺は・・・貴方を信じている」
「それは過去の話だ 俺はもう・・・戻れない」
俺田と男の様子から、やはりこの二人は知り合い・・・いや、もっと親密な関係だったのだろうと推測された
にらみ合う二人は相手の隙をうかがっている
どちらかが動いた瞬間にどちらかが倒れることになるのだろう
火花が出るほどの視線でにらみ合う二人に俺が入る余地は無い
もしも俺田が倒れたら・・・そうしたら俺が奴を止めるしかない
だが俺に出来るのだろうか・・・

その時、俺の後ろから複数の人間が駆けてくる音がした
「俺田!無事か!」
「来てくれたか!こいつを捕まえてくれ!」
やってきたのは数人の援軍だった
男を確認するとすぐに取り囲もうとしたが、男は多勢に無勢とばかりにあっという間に逃げてしまった
何人かが男を追い、残った俺たちは他に男の仲間がいないか探る
他に怪しい人影もなく、単独の行動だったらしい
暫くすると男を追っていた仲間が戻ってきたが、男を逃がしてしまったという
とりあえず、異常が無いことを確認して俺たちはその場で解散となった
「後で報告書を書かなきゃだな」
「なあ俺田・・・お前、あの男と・・・知り合いか?」
俺が問いかけると俺田は足を止めて俺の方を向いた
その顔は驚いているようでもあり、少しだけ悲しげだった