夜中、チンチンのむずむずが止まらず眠れない。超鈍足でのぼってくるゆるい射精感。
パジャマをめくって見るとチンチンは苦しいほど勃起していて、皮の先っちょのつぼみから
何かヌメッとした白いものが顔をみせている。ヒルの頭だ。
 なぜ白いのか? その疑問にはあとで答えるとして、男の子はすっかりパニックになって
しまう。精液が固体で出てきたような衝撃。ひっこ抜こうとしてもヌルヌルしていてつかむ
ことができない。ハサミで先を切ってもすぐに再生してくる。
 そうこうしているうちにもヒルの体は成長を続けている。どんどん大きくなり続けて
いるんだ。尿道の中にぎゅうぎゅう詰まっている体が、ものすごい力でふくらんでゆく。
 まるでポンプ。男の子の直径1センチにも満たない未成熟な尿道が容赦なく拡張され
じんじん悲鳴をあげ始める。
 ヒルの体液が麻酔の役割を果たしているとはいえ、視覚的、精神的な苦痛は並大抵の
ものじゃない。頭が真っ白になりながら男の子はただ見る、自分のチンチンがありえない
動き方をして何か別の生物にとってかわられるのを……。
 みし。みしっ。海綿体のひしゃげる音がする。まだ成長は続く。
 ぶち。ぶちっ。薄皮の下で血管のはじける音がする。まだ成長は続く。
 伸縮性に富むチンチンの皮が精いっぱいにふくらんでヒルを食い止めようとする。最後の
力をふりしぼってなんとかチンチンの形を保とうとする。だがそれも長くはもたない。
 ぴぢっ。羽のついた虫けらをつぶした時みたいな音をたてて、チンチンが裂ける。縦に、
まっぷたつに。血とオシッコとさっきまでチンチンだった組織たちにまみれて赤ちゃんが
産まれ落ちる。産声は、男の子の悲鳴だ。
 もちろん、赤ちゃんは海でしか生きられないのですぐに死ぬことになる。
 翌朝、奇妙な生物の死骸をいとおしげに抱いたまま気を失っている男の子が発見される。
 それは男の子の肌のように真っ白で、血のように赤い生物……。

 チンサキウミビルの恐怖はわかってもらえたかな?
 まだわからない君のために、白いヒルの死骸を [写真2] に、犠牲者の裂かれたチンチンを
[写真3] に資料として載せておこう。これを見れば、海でオシッコをしようなんて決して
考えないだろう。衝撃的だからよい子は見てはいけないぞ。
 最後に、産まれるヒルが白い理由。これは子供が宿主の肌の色を受け継ぐから。普通の
ヒルから産まれる子供は真っ黒くて、男の子のチンチンが白ければ白いほど、その姿も
白くなるというわけだ。
 なので、もし君が海で真っ白いチンサキウミビルを見たなら。
 それはきっとどこかの男の子のチンチンを裂いて産まれ、生き延びた奇跡の一体だ。

(おわり)