「あー、気持ちいい…。」
風呂場でシャワーを浴びながら天使は自分の身体だけではなく心まで洗われていくのを感じていた。

「天使…。」
風呂場の入り口から賢者が顔を出す。
「あの……背中流してあげようか?」
「ああ、お願いします。」
天使に即答され賢者は少し面食らう。
彼女はバスタオルを体に巻いてはいたが天使は赤面もせず、自分の髪を洗い始めた。

彼の背中を流しながら賢者は自分の身体を眺め考えた。彼が自分に欲情しないのは自分を女だと認識してもらってないからではないのだろうか……。
彼女の身体は、年頃の少女にしてはスレンダーでどちらかというと華奢で腕も脚も細く子供に近い。しかし、パラディンには及ばないものの胸は一応並み以上ある。
彼はドミールに向かう途中にあった温泉に皆で入った時も躊躇なくパラディンに背中を流してもらっていた。
天使には性欲はないのだろうか?いや、「天使」という種族があり天使にも家族がいたことを鑑みるとそれはないだろう。

悶々と煮え切らない想いを抱えながら賢者は優しく天使の背中を流してあげた。