天使の肩に賢者は頭を乗せ二人は他愛のないやり取りを続けた。
「いつからボクのことを好きになったの?」
「好きだったのは出会った時からよ。だから貴方のために何ができるか必死になって考えたの……。」
「……ありがとう。何かお礼をしないといけないね。」
「じゃあ、今日は私に付き合って。」
「何をするの?」
「楽しいことをしましょう。おいしいものを食べて遊ぶのよ。お腹減っているでしょ?」
「……うん、お腹が減ったよ。」
「グビアナ城が最近、観光で盛り上がっているらしいから行ってみましょう。」
「オッケー。」
賢者に手を引かれ立ち上がると同時に自分の隣のもう一つの温もりに気付く。
「そうだ、パラディン起こさないと。彼女にまだ『ありがとう』を言ってない。」
自分のために傍にいてくれたのは彼女も同じだ。
「気持ちよさそうに寝ているのに起こしちゃ悪いよ。ね、行こうよ。」
確かに眠っている彼女を起こすのは悪い気がする。
賢者は焦っていた。
「……行こう。」
少し強引に天使の手を引き言う。
パラディンを置いていくことに少し負目を感じながら天使は歩き始めた。
久しぶりに立ち上がったせいか少しフラフラし、足取りはおぼつかない。
「でも、まずはお風呂に入ろうか。」
少し歩いたところで籠っていた汗のにおいに賢者は顔をしかめる。
そういえばもう何日も風呂に入っていない。自分でも感じる臭いに天使はひどく赤面した。