シーン 一回戦目(の直前)

 ディナーを終え、疲れているので早々に休むというDSを見送り、シーンは
浴室へ向かった。
「よしっ!ここまでは作戦通り!うまくいってる!」
 イリュージョンを解き、生まれたままの姿に戻って湯船に浸かりながら自分に
言い聞かせるように独り言を言った。

(ネイ様は私の実力を見込んで伝説の魔人の暗殺を指令されたの?それとも
ただの足止めとしての駒…?…ううん、それでもいい、ここまで育てて下さった
ネイ様のためなら…私のような孤児の生まれない理想社会実現のためなら…)

相手はかつて四天王を従え世界制服を目論んだ魔人だ。古代語魔術を与えられて
いるとはいえ本来なら鬼道衆など相手にならない。しかしシーンは捨て身の
作戦を実行しようとしていた。