【強制】サイボーグ娘!SSスレ 第3章【任意】
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サイボーグ娘に萌えるSSスレです。
人工皮膚系・金属外骨格系どちらも(それ以外も)OKです。
アンドロイド娘は完全人工な娘、サイボーグ娘は生身だったのを機械に改造した娘です。
区別の目安としては、脳味噌が生身か造り物か、という事になります。
個人サイトへの批判、荒らし行為はNGです。2chの中で解決すること。
■関連スレ
【機械化】サイボーグ娘!二十人目【義体化】
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/feti/1256433007/
ロボット、アンドロイド萌えを語るスレ:α11 (SSスレ)
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1331083148/
■まとめサイト
サイボーグ娘スレッドSS保管庫
http://pinksaturn.h.fc2.com/hokanko/
■前スレ
【強制】サイボーグ娘!SSスレ 第2章【任意】
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1252021836/ 藤原は私の後ろにまわりこんで、ちょっとぎこちない手つきで私のスーツを脱がして、部屋の入口の
ハンガーに丁寧にかけてくれる。続いて、今度は私のシャツのボタンを外していく。
シャツの前がぱっくり開き、シャツの下から水色のブラが顔をのぞかせはじめたところで、予想通り藤
原の手が止まった。
「あ・・・やっぱりすぐにわかっちゃった?」
明らかに困り顔の藤原に向かって、私は精一杯の無邪気さを装って、言う。
止まってしまった藤原の手の動きを引き継いで、私は自分でシャツの残りのボタンを外し、タイトスカ
ートとブラを外し、できるキャリアウーマン風の格好を全て脱ぎ捨て、眼鏡とぱんつ以外は生まれたま
んまの格好で、藤原に向き合ったのでした。
ううん、生まれたまんまというのは正確には違うかもしれない。一見普通の裸の女の子の姿ではある
ものの、よく見れば私の身体のあちこちを、うっすら分割線が走り、私の身体が、生まれたままどこか、
単なる作り物だってことが誰にでも分かってしまう状態である。
自分から、服を脱いではみたものの、私はなんだか気まずくて、藤原の目を見ることができない。
自分の身体に目を落とし、なんとなく胸の下を走る分割線に指を這わせた。
「実は、こういう身体を見てもらうのが、今日の目的」
私は無言のままの藤原が、気まずくてあわてて言葉をつないだ。
「その、どうしても今日藤原に会いたくて、そっそれで、そのう、ホテルを取るためにお金が必要で、それ
でそれでこんなふうに・・・!!!!」
くどくど弁解をはじめた私を、藤原は何も言わず強くだきしめてくれたのでした。
いくら私の身体が、ぱっと見はフツー人のそっくりにできているといっても、所詮は機械じかけの義体。機械ってことはつまり、正常に作動するためには、こまめな調整が必須ってコト。だから、義体にはメン
テナンスに便利なように、よーく見れば作り物の肌のあちこちに継ぎ目が入っていることがわかるんだ。要するに、検査なんかの時、そこから義体を分解できるってワケ。メンテナンス不要な部品も増えてき
たとはいえ、これは最新型の義体でも同じだ。
たとえ、体のあちこちに継ぎ目が入っていたからといって、別に生活するうえで支障をきたすわけじゃ
ないんだけどさ、自分がツクリモノだと一目で分かってしまうよう身体では、義体ユーザーの精神衛生
上よくないとされている。だから、定期検査の後で、義体の継ぎ目をコーティングして、パッと見には普
通の身体に見えるように仕上げてくれるんだ。こういう細かい職人作業があってはじめて、見た目だけ
でもフツーの人と同じ身体を装えるというわけ。いってみれば義体のお化粧のようなもの。
でもコレ、一つ問題があるんだよね。このお化粧、ジョイントコーティング作業っていうんだけど、いくら
医療扱いで保険が適用されるといっても、タダではないんだ。毎月ゼッタイに必要な検査費用の他に、
こうしたただ見た目を取り繕うだけの作業にも安くないお金が消えていく。こういう身体で生きていくのも
ラクではないのだ。 前置きが長くなってしまったけど、なんで今の私の身体に継ぎ目があるかというと、それはモチロン、
ジョイントコーティングをしなかったからです。一般生活に支障をきたすわけではないということは、つま
り任意であるってこと。検査費用を安くあげるため、コーティングをしないという選択肢ももちろんある。
継ぎ目だらけの、服を脱げば機械人形って一目で分かる姿と引き換えにね。私が冒頭にお伝えした
「あること」をして作ったお金というのは、これのことでした。
しばらく抱き合っていた私たちだけど、藤原が、ぽんぽん私の背中を軽くたたき、それを合図にしたみ
たいにお互い抱き合いのをやめた。それで、私はもう一回、藤原と向かい合うカッコになった。さっきは
目をそらしてしまったけど、今度はまっすぐ藤原の顔を見るのだ。
「裕子さんが言いたいことは、なんとなくわかるんだ」
藤原が、私がより先に口を開いた。
「どうせ、裕子さんまた自分のことを、機械じかけのお人形さんとか、生体脳つきのダッチワイフとか言
うつもりでしょ」
げ、なんで分かるのさ。
私のウロタエを見て取ったのか、藤原はくすりと笑った。
「でもさ、僕に言わせれば、僕と会いたいっていう理由だけで、訳わかんない行動をとるの、それって、
機械人形でも、他の誰でもない、たまらなくいつもの裕子さんだよね」
「うー、それって誉めてるのか、あきれてるのか、どっちだよう」
口をとがらせて不満顔を作る私。でも、やっぱり表情はちょっと緩んでしまう。正直この身体を見てドン
引きされたらどうしようと、内心不安だったので、ほっとしたのが正直なトコロなのだ。
「両方かな。でも裕子さんのそういうトコ好きだよ。どんな身体とか、関係ないよ」
それを聞いて、私の中のちっぽけな理性のタガがガラガラ崩壊した。だしぬけに藤原に抱き着き、ぎ
ゅーっと抱きしめ、それから藤原のトランクスの中に手を入れて、充分に固くなっている藤原のそれをや
さしく握る。それにあわせて藤原が興奮したように息を吐く。息が私にかかるたびに、私の中にかすか
に残った動物としての本能に火がつくのだ。
「藤原っ!」
たいして大きくもない、作り物の胸を、藤原に押し付け、せがむ。
「あの、私どうしようもなく欲情した。藤原がほしい。今ほしい。ベッド、いこ」 “ばふん“
飛び込まんばかりの勢いでベッドに乗る私。子供か私はw
なんと天蓋まである重厚なつくりのベッドは私の120kgの体重を軟らかく受け止め、それでいて適度
な弾力を保ち深く沈むことはない。いつもの菖蒲端のラブホテルの安っぽいベッドとは、身体に伝わ
る感触がゼンゼンちがうのだ。
「うわあすごい。さすが一流ホテル」
しばらく、うつぶせで足をバタつかせてベッドの感触を、全身にちりばめられたつたないセンサーで味
わったあと、仰向けになって、藤原を受け入れる体制をとる。
「私、もう充分だよ」
身体を重ねてきた藤原の頭を掻き抱きつつ耳元で囁く。ついでに軽く息も吹きかけるのだ。そうして、
もう何もしなくても充分すぎるくらい潤っていて、すぐにでも入れてくれて大丈夫だよっていうか、入れな
さい!という強いサインを、精一杯藤原に送ったツモリなのである。
ところが、藤原のヤツ、私の顔を見て笑い出しやがった。ムードもへったくれもないのだ。
「な・・・なにがそんなにおかしいんだよう」
「いや、今日の裕子さんは、態度がコロコロ変わると思ってさ」
「うー、悪いかよう」
またもやはじまりそうな私の弁解をさえぎるように、藤原の手が私の身体を這いまわる。左手は胸の
上、右手はあそこの上。ぱんつの上から割れ目をすーっと軽く撫でられただけで、たいした刺激でもな
いのに、快感で身体が震え、またまたじわじわっと身体の奥から熱いものがにじみ出てきたのを実感す
る。しかも感じすぎて、尋常じゃない量の気がする。
藤原の手のひらが私のあそこの上に置かれて、ぐりぐりっと円を描くように動かす。同時にぐちゃぐち
ゃと、いやらしい音が響く。いや、なんかあまりにも量出すぎて、いやらしさを通り越ししている感じ。
「ああっ!」
ぱんつ越しに、クリを探り当てられ、手のひらで強く押しつぶされ、あからさまでわかりやすい快楽が
私に襲いかかり、たまらず私は悦びの声をあげてしまう。藤原は私の唇を吸いながら、左胸とあそこ
を本格的に攻めはじめる。
「ああっ、ちょっと待って藤原。ね、ちゃんとしよ。ああああっ!」
今更「前戯」なんかしなくてもいいのだ。すぐにでも藤原のものがほしいのだ、と伝えたつもりだった
んだけど、いつも以上の私の身体の反応に気をよくしているのか、藤原は私の抗議の声をガン無視し
て、ますます強く、ぐりぐり円をえがくように手を動かし続ける。このままイカせるつもりだね。
悔しいっ!何が悔しいかって、はっきりいって何のテクもメリハリもない、稚拙な動きのくせして、そん
なのにめちゃくちゃ感じさせられるのが悔しい。いつもなら、こんなすぐにはイカないはずなのに、なん
か今日の私はもうだめだ。
本当なら、こういうとき、私も藤原のあそこをさわってあげて、二人して一緒にキモチよくなるべきなの
かもしれないけど、私には、もはやそんな余裕もない。ハシタなくもふかふかベッドの上に大の字に
なり、藤原の手の平に操られるままに、素直に快楽に身をゆだねることに決めた。こういう時の私っ
てば、どんな恥ずかしい顔をしているのか、あとから考えれば赤面もの(いや、顔色は変わらないん
だけどね)なんだけど、もはや外面を取り繕っている場合ではないのである。
ざざっと私の視界にノイズが入った。普段だったら、あからさまに自分が機械なんだと自覚させられて
しまう、すっごく嫌な現象なんだろうけど、全身から集まってくる快楽の奔流を処理しきれず、サポートコ
ンピュータ−が悲鳴を上げていると思えば、それすらも自分を高める材料になるのだ。 「ダメっ!もうダメっ!!!!!!」
私は、股間の上で踊る藤原の腕を、手探りあてるとぎゅっと強くつかんだ。その瞬間に、何かお腹の
奥のほうにある、電気仕掛けの小さな淫魔をためこんで、パンパンにふくらんだ袋がばちんと弾け、そ
こからぶわっと一斉に飛び出した電子妖精が、今までの比じゃない、数十倍の快楽のペンキで、私の
身体をじゅうたんのように塗りつぶし、脳みそを真っ白にしてしまう。一回、二回、三回。身体を走る電
子妖精のピンク色のペンキに塗りつぶされるたびに、私の身体はひくんひくんと震え、そのたびに
「あっ」「あっ」という、喉を絞り出すかのような、か細い喘ぎ声が、まるで快楽の残滓のように吐き出さ
れるのだ。
「ひどいよ藤原。ちゃんとしてって言ったのにさ。意地悪」
ようやく身体が落ち着いてきたところで、半身を起こした私は、ふくれっ面で、恨めしげにそうこぼし
た。
「ごめん。なんか裕子さんがすごいキモチ良さそうだったから、調子に乗っちゃった」
ペロリと舌を出し、いたずら小僧のように笑う藤原が「ようやく」私のぱんつに手をかける。でも、もう遅
いのだ。私は藤原の手をぴしゃりと払った。もう、あんたのペースには乗らないよ。
あてが外れて拍子抜けした感じの藤原を後目に、私はのそのそと這いずって藤原に向き合うように、
正座すると、積極的に藤原のアレを握りにいった。そして、ちょっとしごいて藤原の感じる顔を楽しませ
ていただく。そうして、藤原の息が少し荒くなってきたなってところで、やめてやった。
「藤原クン、こんどは自分がきもちよくなる番だと思っていませんか?でも、藤原が意地悪をするなら、
私にだって考えがあるんだからね」
情けない顔で続きを懇願する藤原に向け、女王様もかくやとばかり冷たく言い放つのだ。そう、次は
私が藤原に意地悪する番なんだからね。
私は、きゅっと目をつむり、サポートコンピューターの設定画面を義眼に表示した。
目をつむった真っ黒な視界を背景に浮かび上がる、義体の様々な情報を表示したウインドウ。私は
思念でカーソルをゆるゆる動かしつつ、その設定画面の奥深くの階層にある「手足の着脱」という項目
たどり着く。
(えい!)
かちり、と金属質の音がして、左腕のチタン製の人工関節のロックが外れる音がした。右腕で、左腕
を引っ張ると、ちょうど肩に走る継ぎ目の部分から、左腕が抜けた。腕が抜けるとともに、腕と義体をつ
ないでいたカラフルなコードがずるずる義体から引き出される。私は、デリケートな構造のコードを傷つ
けないように慎重に、右手だけで義体側に連結しているプラグを外していく。
「はい!あげる」
全てのコードが引き抜かれ、意のままに動く私の左腕から、ただの機械の塊になり下がったそれを、
私はにっこり笑って藤原に渡した。 「左腕一本でも、ネットオークションではすごい値段つくんだって。特に、若い女の子の脳が使ったもの
は、マニアに高く売れるみたいだから、大事に扱ってね」
私の左腕を受け取った藤原、どうしていいんだか分からないって感じの微妙な顔つきになっちゃっ
た。でも、そんな藤原には気付かないふりで、私は、さらに挑発的なコトバを投げつけてしまう。
「さて、藤原クンに質問です。こんな私が相手でも、できますか?」
私は実はちょっと疑ってるんだよね。何をって、藤原の覚悟をさ。もちろん口では私がどんな身体でも
こだわらないって言ってくれたけど、実際のところ、どこまでホンネなのか分からないんだ。だったら、
今のここで藤原のキモチを試しちゃおうなんて、ものすごーい意地悪なことを考えてしまった。
幸か不幸か、さっきものすごく深くイかせてくれたおかげで、まだ興奮していることに変わりはないけ
ど、多少は欲求不満が収まったというか、どうしても入れてほしい!っていう切羽つまった気持ちはなく
なった。それで変な余裕ができてしまったのかもしれないね。
「何度も言わさないでよ。裕子さんは裕子さんだって言ってるじゃないか」
あ、藤原少し怒ってる。ま、当たり前か。でも、右腕を、そうっと丁寧に枕もとに置いてくれたのは嬉し
いかも。機械だけど、私の身体の一部でもあるんだから、そういう心遣いって大事だよね。
さて、私はそんな少し怒った藤原には視線を合わせず、藤原のむすこ君を見てしまいます。彼が、ま
だまだ上を向いて元気そうなので、残る右手で藤原のあそこを触ってみます。やっぱり、まだ硬いまま
でした。
「おおー、すごい!興奮してくれてるんだね」
私は、まるでテストのデキがよかった小学生を誉めるみたいに、大げさな調子でそう言ったあと、目を
つむり、もう一度サポートコンピューターにアクセスして、さっきと同じ作業を繰り返す。
“かちり”
藤原のあそこを掴んでいたはずの右腕が、肩のジョイントから外れ、藤原の腰のところに落ちてしま
い、カラフルなコードの束だけで義体とつながっている状態になる。だけど、もちろん手は藤原のあそ
こを握ったまんま。
「あーあー、右腕も外れちゃった。といっても、もう自分じゃコード抜けないから、藤原抜くの手伝っ
てよね」
でも藤原は下を向いたっきり、顔をあげようとしないのだ。なにー?手伝うの嫌なの?嫌なの?私は
催促とばかりに、ごつんこと自分のひたいを藤原にぶつけた。
「・・・」
無視かい・・・
「手伝わないと、こうだよ」
右手で藤原のあそこをにぎにぎ。身体から外れてしまったとはいえ、まだ義体につながるコードを通じ
て電気がきているから、指を動かすことはできるのだ。
にぎにぎにぎにぎにぎにぎ
「藤原が外してくれないと、このまま永遠に私の右腕は、藤原のちんちんにぎってぶらんぶらんぶらーん」
「わかった。わかりましたよ」
とうとう根負けした藤原、ぶつぶつ言いながら、義体の左腕を接続するジョイント部分を覗きこみなが
ら、複雑に絡み合うコードとの格闘を始めてくれたのである。
義体側につけられたコネクタ―からコードが引き抜かれるたびに、私の右手が藤原のあそこを触っ
ている感覚が薄らいでいく。それは実に残念なことではあるんだけど、それとは別に藤原に義体をい
じられるという行為は、妙な気分になってくるというか、変なケに目覚めてしまいそうである。機械の
身体をいじられて悦んでいるとか、昔だったらありえないんだろうけどさ、もうそれだけ藤原のことを
信頼しているし、愛しているんだろうね。たぶん、藤原の前でだけ、ありのままの私でいられるんだ。
こういう機械の身体であるということも含めてね。 「なんかこれ、ミロのビーナスっぽくない?」
右腕も左腕もなくなった私。ちょっとモデルっぽい仕草で、身体を右に傾けたり、左に傾けたり。さらに
調子に乗って、ベッドの上で立ち上がってみたものの、よろけて倒れそうになってしまった。あるハズの
ものがないというのは、とてもヘンな感覚なんだね。
「さて、藤原クンに質問です。こんな私でも、やれちゃいますかって、できそうだね」
藤原を見下ろすカッコになった私は、まだ藤原の息子君が元気なのを確認した。
それで、私は決めた。もうトコトンまでいってしまおうと。藤原に意地悪とかじゃなくて、さっき藤原
に右腕を外してもらったときの感触が忘れられないのだ。
ごろんと、仰向けに、大の字ならぬ人の字に寝転ぶ私。サポートコンピューターを操って、今度
は両足を外してしまう。
「藤原、次は足をお願い」
ヤバイ。頼み込む声が興奮して声が上ずった。
藤原は相変わらず無言のまま、私の言いなりに、私の股間のあたりでごそごそ作業をしている。
両足の感覚が徐々に薄れ消えていく。それは、藤原の手が、私の身体の中をいじりまわしている
証拠なのだ。その光景を想像するだけで、肝心なところを触られているわけじゃないのに、あやうく
イキそうになった。本当に私は変態なのかもしれない。
とうとう、両手も両足もなくなってしまいました。外された私の手足は、藤原が、一本一本重そうに、
よっこらしょと言わんばかりに持ち上げ、窓際のテーブルの上に置いてくれた。テーブルに置かれた花
瓶のまわりを取り囲むように置かれた、もはやモノとなってしまった四本の手足。なんだかとってもシュ
ールな光景である。
「さあ、お待たせしました。藤原くん。存分に犯してどうぞ!」
手足を失い、ぽつんとベッドの真ん中に置かれるかっこになった私は、そう叫んだ。もう動かせるのは
首しかないんだけど、その首自体も、ややもすると身体が沈みがちになる、ふかふかのベッドの上では、
あまり、起こすことができないから、藤原がベッドから離れてしまうと、特に足元のほうに行ってしまうと
(もう足はないんだけどね)、どこにいるのかまるで分からなくなる。それで、ちょっと不安になって、大き
な声を出してしまいました。
でも、なんの反応もない。ちょっと藤原この部屋にいるんだろうね。両手両足のなくなったダル
マさん状態の私に、今更萎えて帰ってしまったとか、本当にやめてほしい。両手を使えない状態で、高
ぶりきったこの身体のまま放置プレイされたら、気が狂ってしまうと思う。
「ちょっと、藤原。この部屋にいるんでしょ。返事してよう」
沈黙が続き、冗談でなく本当に藤原が、この部屋から消えてしまったのかと不安になりはじめたころ
“ばふん”
突然ベッドに乗ってきた藤原。小さく縮んでしまった私を抱え込むような感じで、覆いかぶさってきた
んだ。っていうか、あんた顔めっちゃ近くありませんか。 「裕子さんさ、あのさ。気を悪くしないでほしいんだけどさ」
「な。なにさ」
なんか頭から湯気出てるんじゃないかって思うくらい上気して、鼻息も荒い藤原に、私は気おされうろ
たえる。なんだ、あんたさっきとゼンゼン様子が違うじゃないか。
藤原は、興奮しつつも、コトバを選んでいるんだなって私にもわかるカンジで、一文一文ブツ切れな調
子で話しはじめる。
「裕子さんが、機械の身体ってことは、自分で、はよく理解しているつもり。で、それは今の日本じゃ、超
特別ってわけじゃないことも、知っている。現に裕子さんが、そういう会社に勤めているくらいには、社会
に普及してるってこともね」
「まあね」
「そうすると、気になるわけさ」
「気になるって何が」
「世の中には、俺たち以外にも、そういうカップルがいるわけじゃない。そういう人たちがさ、一体どうい
う悩みをかかえて、どうやってそれを乗り越えてきたとか、そういうこと。そういうのって、ネットとかで分
かるでしょ」
「あー、ツーチャンネルとかに、専用の板はあるって聞いたことある」
そう、空とぼけた調子で言う私。しかし、藤原にはゼッタイ内緒だけど、私は密かにそういう板に出入
りしているのだ。つい先日「アンドロイドって家電の分際で人間そっくりの姿してるとか、おかしくね?」
っていうスレを立てたばかりである。
「それでさ、はじめは、おおーみんな同じような悩みを抱えているんだなーとか、ああそういう時はそん
な風に慰めてあげればいいのか、とか、そういうのを真面目に読んでいるんだけど、そのうちエロ方面
も読み始めるんだよね。そうすると、そこには、マンネリ打破のため手足を外してしてみました。とても新
鮮でよかったです、とか書いてあったりするわけだ」
あ。藤原の鼻息がさらに荒くなった。うーなんか、雲行きがあやしくなってきたぞ。
「でも、やっぱり俺から、次は手足を外してみようとは、とても言えないわけだよ」
さらに顔が近づいた。それから、藤原の両手が、腕の抜けた私の両腕のジョイント部分を覆うようにつ
かんだ。っていうか、結構尖ってるっぽい金属部品もあるんだけど、そんなに手の平押し付けたら、あ
んた手痛くないか。
「だ、か、ら、八木橋さんが、自分からこういうことをしてくれたってことは、もー俺的には願ったりかなっ
たりだったってこと!」
そう叫ぶと藤原は、私のぱんつに手をかける。スポンという音が出るくらいの勢いで、いとも簡単に私
はぱんつをぬがされたのだ。そりゃそうだ。なんたって足っていう障害物がないんだからね。
それで、そのあと無抵抗のダルマ状態の私は、手足がついていたらありえないような、あらゆる体位
で、ぐちゃぐちゃのめちゃくちゃに犯されたのでした。ひー! 翌日。朝起きた瞬間、カーテン越しに差し込む朝日が、なんかいつもより明るい気がしたんだよね。
いやな予感がして、現在時刻を表示したら7時半。展示場の集合時間の8時まで、あと30分しかな
いじゃないかよう。
昨日は夜中まで「主に藤原が」頑張りすぎたのだ。お蔭さまで、私は藤原が気を失うように寝たのと
同時に、スイッチが落ちたみたいに眠りに入ったのだった。体内目覚ましをセットするのを忘れてね。
生身ならまだしも、機械のサポートによって正確無比な行動が期待されているはずのサイボーグが
遅刻とか、ホントシャレにならないんですけど。
一瞬で目が覚めた私は、あわてて身体を起こ・・・せない。
しまった。私、手足、外しっぱなし。
「ふじわらっ、ふじわらっ!起きて。起きてよう」
私のただならぬ様子に、さすがの藤原も、あくびをしながら身体を起こした。
「ふじわら。ちっちっちっちこく・・・」
藤原は、首をかしげながら、ベッドの横の小机に置いた腕時計を取る。
「ゆうこさん、やばい、ちっちっちこく」
「ふじわら、どうしよう、ちっちっちこちこく」
ハタから見れば、ただのコントかもしれないけど、本当にシャレにならないんだって。
あわてて跳ね起きた藤原が、窓際のテーブルの上に置いてある私の両手足を抱え、どかどかとベッド
の上に置いていく。
「とりあえず、まず右腕お願いします。右腕さえつけてくれれば、あとは自分でなんとかするから。コネク
タ―についているマークの色と同じ色のコードをつなげばいいから。そんな難しくないよ」
藤原は、私の説明どおりに腕からコードを引き出して、私の義体のコネクタ―に接続していく。
よし。とりあえず、腕は動くようになった。あとは義体のジョイントとつなげるだけ。
ところが
「あれ?あれ?」
藤原は首をかしげるばかりで、腕がいっこうに義体につながってくれない。当然のことながら、義眼デ
ィスプレイに「接続完了」の文字も浮かびあがらない。
「おお落ち着いて。なにやってんのさ」
そういう私も全く落ち着いていないのである。そして、5分ほど藤原が悪戦苦闘したあげく、二人して
同時にあることに気が付くんだ。
「「これ左腕だ!!」」
ホント私たち、なんでこんなにバカなんだろうね。
「藤原、とりあえず服だけ着させてよ。もう手足はバラバラのままでいいから、とりあえず会場にだけは
連れて行って」
もう、余り時間がない。このまま二人して正気を失っていては、何かトンでもないことをしでかしてしま
いそうな気がする。だったら、とりあえず、もう恥をしのんで、手足はバラバラのままでも、展示会にたど
りつけさえすればいいと思ったんだ。
それではと、藤原が手足のない私の身体を持ち上げてみようと、頑張ったんだけど
「ふん」
といううなり声が上がるばかりで、私の身体は一向に持ち上がらない。
「一人じゃとても無理だ。運べない」
がっくりとうなだれる藤原。そうだよね。普通の女の子ならまだしも、義体全体では120kgの重さがあ
るんだ。いくら男手でも、一度に運ぶのは、到底ムリだよね。あ・・・一度にって・・・そうか。
「そういえば、ここのボーイさん、この部屋に入るとき『何か、ご用件がありましたら、なんなりとお申し付
けください』って言ってたね。ボーイさんたち何人かにも手伝ってもらって、手とか足とか、バラバラに運
べばいいんだよ。っていうか、そうするしかない」
私のコトバに藤原は大きくうなずくと、すぐさまフロントに電話をかけはじめたのでした。 <展示会会場にて>
「あーもー、忙しい。忙しい。忙しい。忙しい。猫の手も借りたいくらい忙しいのに、なんで、八木橋さん
はなんで来ないんでしょうね」
「松原さーん、八木橋さんがーーーー!」
「みわちゃーん!やった。猫の手が、やっとご到着ね」
「それが、八木橋さんの、手が届きました」
「・・・・・」
「松原さん松原さん松原さん!!八木橋さんの義手投げたら困ります!!あー っ!!!松原さ
ん!!困ります!!あーっ!!!困ります!!あーっ!!!!松原さん!!松原さん!!困りま
す!!あーっ!!!あーっまま松原さん!」
おしまい 以上、タイトル「ありのままの姿見せるのよ」でした。 http://www.geocities.jp/hokuman_hailaer/story/39.html
サイトに今回の投下ストーリーをまとめております。
Kさいくるさんからの素敵な絵もついてますので、ぜひごらんになってください。 超久しぶりにGJ!
無理のない程度に執筆再開希望。 >>337
義手投げたら義手壊れて
直すか新しいの用意するまでは両腕無い生活を強いられそうだな
肩の開口部に腕の代わりに保護カバーつけて
そういうヤギーを見てみたくもあるが どこか遠くの世界で「新しい愛の新しいカタチ」のテーマソングのサビメロディーが鳴ってるのが聞こえる。
イマドキ流行りから数年遅れのこの曲を携帯の着メロに使っているのは・・・
(私じゃないかっ!!!!)
もう一瞬で目覚めましたとも。目覚めると同時ぐらりとよろける身体。
そうだ。私は自分の部屋の入口のところで、立ったままで寝てしまったんだ。あわてて、目の前のドア
に手をつき倒れかけた身体をささえる。120kgの体重をモロに受けた安普請のドアが不気味な音をたて
てきしんだけど、そんなこと気にしている場合じゃない。
ぎゅっと目をつむり、うつむいて大きく息を吸い込み気を落ち着かせると、こんどはぶわっと髪をかき
あげながら顔上げて、おもむろに肩掛けしたバッグの中から携帯をつかみ取る。案の定藤原からだっ
た。
次に、義眼ディスプレイに表示されている現在時刻を確認する。13時30分。ああ、またやってしまっ
た。デート大遅刻だよう。
義体と生身の身体の違いは多々あるけど、その一つに義体だと肉体的な疲れを感じないってことが
ある。たとえ何キロメートル走っても、バッテリーに蓄えられた電気が減るだけで息が上がってバテてし
まうことはないし、もっと極端な例を挙げるなら、立ったまま眠ることだってできちゃう。私の中で唯一生
身の自分自身であるところの1キログラムちょっとの脳みそさえ休息できればいいのであって、私の身
体自体は、ただの精密機械部品のカタマリであって、正しく動作するのに必要なのは定期検査であっ
て、睡眠による疲労回復が必要なわけじゃなし。寝るときに必ずしも横になる必要はないんだよね。立
ったまま寝るなんて、ウトウトしかかったところでバランス崩して倒れそうになって、寝ているどころじゃ
ないって思うかもしれないけど、生意気言わせてもらえば、それは生身感覚ってやつだね。義体の場合
は、バランスを崩しそうになった時に、脳がいちいち指示せずとも、サポートコンピュ−ターが働いて、ち
ゃんと姿勢制御してくれるから、立ったままでも安心して眠りに集中できるんだ。威張って言うことでもな
いんだけどさ。
でもまあ、そうは言っても、それはやる気になれば可能だというだけで、立ったまま寝てしまうと、どう
しても義足の関節部分に負荷がかかって、ジョイント部分の摩耗が早いとか、立って身体をささえているぶん余計な電力を消費してエコじゃない、みたいな現実的経済的な理由とか、それにもちろん生身だ
ったころの習慣(どうしたってこれが一番大きいよね)とかで、義体ユーザーでも「寝る場所や姿勢には
こだわりません。私は立ったまま寝てます」なんて奇特な人は少数派だと思うわけです。
えと、それで今日の私だ。
もちろん今日は藤原とのデートの日であって、待ち合わせに遅れちゃならんってことは認識していまし
とも。それで、早めに起きて、ちゃーんとデート用の、ちょっと大人っぽい服着て、一応人並みに、たいし
て必要ないことかもしれないけど、軽くお化粧して準備万端整えました。で、イザ出発と部屋のドアの前
に立ったところで、このまま待ち合わせ場所に行ったら、待ち合わせの時間より早く着きすぎてしまうと
思っちゃったんだよね。 実は、これは言い訳になりますケレドモ、昨日、さあこれで仕事も終わりだって時に、担当ユーザーさ
んの義体トラブルの連絡が入って、サポートセンターの篠田さんと一緒に群馬県までトラブル対応に行
かされました。トラブル自体は単なるバッテリー切れで、ユーザーさんが、脈もなく、体温もなく、AEDに
「心臓停止してます」的なことを言われ続けながら、倒れて固まっているのを、周りの人が驚いていたく
らいで、大事にはならなくて、まあ良かったんだけどさ、寮に戻ったときには夜中の2時をまわってたん
だよね。
たとえ機械の身体で、疲れるような肉体はなかったとしても、脳は働いたらその分きっちり疲れるし、
睡眠時間が足りなければ寝不足にだってなります。夜中の2時まで働かされたら寝不足にならないわ
けがないよね。だから、
(まだ約束の時間には余裕あるし、少し横になって休んじゃおうよ)
と思ってしまったんだ。黒ヤギーさんの悪魔のささやきですよ。
(いやいや、でもそうするとせっかくの服にへんなシワがついてしまうから)
って白ヤギーさんも頑張る。そのまま、えいやあの気合で黒ヤギーを吹き飛ばして、そのまま出かけ
てしまえばいいのに
(ああ。別に横にならなくても、このまま立って休めばいいんだ。私って超頭いい)
と、思ってしまったのが運のつきでした。だってさ、ちょっと休むだけのつもりが、まさか1時間半も、部
屋の入口で立ったまま寝てしまうなんて思わないじゃないかよう。バカバカ私のバカ。
「もしもーし、裕子さん今どこにいるの?」
携帯電話越しの藤原の第一声は、いつもの、のろっとした調子ではなく、なんかトゲトゲした感じだ。
まあ、なんの連絡も入れずに30分も待たせれば、当たり前かもしれないけどさ。
「えと」
私は意を決し、おずおず口を開く。
「あの、まだ寮にいます」
「はい?寮?はあ」
あああ、そんなあきれ声出さないでよう。あからさまなため息つかないでよう。
「うー、決して待ち合わせを忘れてたわけじゃないんだ。時間どおり出かけるつもりで、ちゃんと準備し
て、それでほんのちょっとだけ休むだけのつもりで、立ったまま目をつぶって、気が付いたらこんな時間
になっちゃってたんだよう」
「なっちゃってた?他人事かよ。裕子さん自分で眠ったんでしょ?」
うわ。藤原の怒りが、突然ヒートアップした。私は思わず受話器を耳から離して顔をしかめる。
「そ、そうだけど、立ったままで、こんなに寝ちゃうなんて思ってもみなかったから・・・」
「身体のせいだと?」 「いや、そうじゃ・・・ないけど・・・」
「こういうことあまり言いたくないけど、裕子さんって普段機械の身体は好きじゃないと言いつつ、何か
あると結構すぐ身体のせいにするよね。都合よく言い訳に使ってる感じ」
「うぐぐ」
「まさかと思うけど、裕子さん寝坊することが人間らしいとか思ってない?寝坊と人間らしさとは全く関
係ないから」
「ぐぐぐー」
「裕子さんは人として、だらしないです」
早口でまくしたてる藤原の正論攻撃に、手も足も出ない私。というか、これ以上言い訳しようって気は
なくなりました。自分で自分を弁護できません。
藤原にしてみれば、自分は鉄道会社っていう一分一秒の遅刻も許せない世界に生きているからこそ、
時間にルーズな私の性格が許せないのかもしれないね。待たされて自分がムカついたから怒っている
ということもあるんだろうけど、それでも、こんなバカ相手に本気で怒ってくれて、嬉しくもあり、申し訳な
くもある。
「ごめんなさい」
私は素直に白旗をあげた。
「ごめんなさい。今後気をつけます。この埋め合わせは、何でもするから許してください」
「え?」
ごくり、と藤原の息を飲む気配が電話越しにも伝わってきた。
「ホント?本当に何でもしてくれるの」
あ、なんかいつもの、のろっとしたペースに戻ったね。それから、あからさまにテンションが上がったね。
っていうか、あんなに怒っていたのに滅茶苦茶単純だね。あんた。
さすがに、何でもするは言い過ぎだったかと、言ってしまったあとで少し後悔したけど、今更やっぱり
嘘ですなんて言えるわけない。
「うーなんでもしますよ。どうにでもしてください」
どうせ、いつものごとく藤原の前で、変わった格好の服を来てあげればいいんでしょ。それで信頼を取
り戻せるならお安いご用だ。
「で、次は、どんな格好をすればいいわけ」
「あ、やっぱ分かっちゃう?」
うーん、電話の向こうで、舌ぺろっと出して、頭かいてる藤原の姿がありありと目に浮かぶな。あんた
のような単純男の思考回路は、三歳児でも、チンパンジーでも分かると思うよ。
「でも先に言ったら、裕子さんも着る楽しみがなくなると思うから、それは、見てのお楽しみってことで」
「ははは」
もうあきれて、乾いた笑いしか出ないよね。
それはそうと、今日のこれからのことをまだ決めていない。私は、なんとか気を取り直して、部屋のド
アノブに手をかけつつ言葉を続けた。
「あ、それで、今から大急ぎでそっちに行くから、藤原どこで待ってるの?」
「あ、今日はもういいや。裕子さんが何でもしてくれるってことであれば、こっちも色々準備があるからさ。
はっきり言ってもうデートどころじゃないんだよね」
藤原は弾む声でそう言うと、こっちが言葉を返すより早く一方的に電話を切ってしまった。
ドアノブに手をかけたままの姿勢で、天を仰ぎ、頭をかかえ、立ち尽くす私。ああ私って、藤原の何な
んだろうと思うよ。はっきりいって。とほほ。 でまあ、ゼンセン待ちに待ってないけど、それでも約束の日が来てしまうわけです。藤原と合う場所は、
ホテルとかではなくて、月並みにビンボーくさく、藤原の住む菖蒲端の武南電鉄の寮ってことになった。
なんでも聞くところによれば、今回用意したの相当嵩張るブツらしく、それ持って外を出歩くのが困難
であるというのが、そうなった理由らしい。いや、それを真面目な口調で説明するあんたはすごいです
ねー(棒)。あのバカ、一体何を着せてくれるつもりなのか。内心溜息しか出ないのだ。
藤原は、私を4畳半くらいの、ベッド以外に大した空きスペースもない狭苦しい部屋に招き入れるが早
いか、部屋の物置から、大きなダンボール箱を引っ張り出してきた。ベッドに座った私の前の猫の額ほ
どの床に、まるで開店準備中の露天商みたく、ダンボール箱の中から、赤系統の色のついたナニカを
取り出しては並べていく。てっきり一着ものかと思いきや、結構たくさんのパーツに分かれていって、そ
れぞれなんだかゴテゴテ謎の装飾がついているし、ああ確かにこれ全部持って外出するのは無理だと思いました。それぞれのパーツは、見た目で用途が想像つくものもあれば、どこにどうつけるのか、全く
見当もつかないものもある。
たとえば、ブラというか、胸当てというか、まあこれは、少なくともどこに身につけるものかは分かる。
パンツもわかる。それから、あれはきっとヘルメットなんだろうね。少なくとも頭にかぶるということは分
る。その他、金色の縁取りで、赤く塗られた細かいパーツがまあいろいろだ。これは、どれが何なのか
全く見当がつかない。そしてパンツ以外は、見た感じツヤツヤして金属っぽくて、どう見ても布製ではな
くて、いかにも着心地悪そうっていうか重そう。まあ、私に着心地とかあんまり関係ないかもしれないけどさ。
「で、藤原くん。これはいったい何なのですか」
実に幸せそうにブツを並べていた藤原、最後にバカでかいおもちゃ(なんだよね)の剣を置き、ようやく
作業終了したところを見計らって、私は言った。藤原は見てのお楽しみといったけど、見てもなんだかさ
っぱりワカラン。
「裕子さんは、バリアブルボルテージってゲーム知らない?」
「うー私ゲームとか、ゼンゼンやらないから。ドラゴンファンタジーくらいしか分からない」
「うん」
我が意を得たりって感じでうなづく藤原。
「バリアブルボルテージも、要は裕子さんの知ってるドラゴンファンタジーっぽいゲームだよ。それで、こ
れはその中に出てくるカーリ・ターダーっていう女騎士のキャラクターのコスプレ。今、すごく人気なんだ
よ」
「ふーん。かーりたーだー。女騎士。つまりこれは鎧ってことだね。だから剣もあると。よく分からないけど、かっこいいかもしれないね」
女騎士というくらいだから、きっと勇敢な女性なのだろう。勇敢とはまるでかけ離れた自分だけに、コ
スプレとはいえそういうキャラの服を着ることで、自分も勇ましくなった気になるのは悪くないかもしれな
いと、一瞬でも思ってしまったのは、うん、とても悪い傾向のような気がする。藤原に洗脳されつつある
感じ? 案の定藤原は大喜び。 「そうでしょそうでしょ。苦労して作った甲斐あった」
「なに、これぜんぶ藤原が自分で作ったわけ?」
私は一番手近な場所にあった、ブラ的な何かをつまみ上げた。見た目に比べたら思いのほか軽くて、
裏側から見ればああプラスチックかって分かるんだけど、ぱっと見は金属っぽい質感でリアルだ。カッ
プとカップの連結部分には、トルコ石っぽい小さな水色の玉がはめ込まれているけど、もちろんこれも
ホントの宝石ではなくて、よく見るとゴムに色つけているんだと分かる。でも、よくできてる。正直、藤原
がこんなに器用だとは思いませんでした。
「毎日少しづつコツコツ仕上げて、昨日ようやく完成」
どうだとばかりにドヤ顔する藤原。でも、これは胸をはるだけのことはあるかもしれない。さすがデート
どころじゃないって言うだけのことはあるねって嫌味が口から出かかったけど、流石にそれは大人げな
い気がするので言うのはやめてあげた。
試しに服を着たまま、お店で試着するときみたいに、ちょっと鎧の胸当てを胸にあててみた。あらら、
貧相な胸にぴったりですこと。
「ブラのサイズとか、よくわかったね」
私は赤い胸当てを胸の前で右に左にふりふりしながら苦笑した。
「いや、俺、裕子さんの義体トラブルの緊急連絡先になってるじゃない。それでずっと前にイソジマで講
習を受けたときに、裕子さんの義体のデータディスクをもらってるから」
そういえばそうでしたね。はは。
「はい。藤原入っていいよー」
藤原の用意した鎧というか、衣装というか、パーツを全て身に着けた私はドア越しに藤原に声をかける。
さすがに藤原の見ている前で着替えるのは恥ずかしいというか、抵抗感があったので、身に着け方
だけ教えてもらって、着替え中は藤原を部屋から追い出したんだ。で、なんとか着替え完了ってわけ。
それにしても露出が多いわりに、なんて着るのがめんどくさい服(服なのか?)なんだろうね。胸当て
だのパンツだのは、ビキニっぽい感じでほとんど無防備なわりに、ヘルメットというかカブトは、ニセ宝
石がついたり、羽根をあしらった白い飾りがついて、やたらゴテゴテしているし、肩あてだの膝あてだの、
籠手だの、手足につける鎧は、やたら細かく分かれているんだ。
「これ、一着の鎧にしたほうが、どう考えても合理的なんじゃないの」
と、藤原から説明を受けているときに思わず口を滑らせてしまったトコロ、やれ、びきにあーまーは男
のロマンであるとか、こういうのは突っ込んだら負けなんだとか、藤原がぐちぐち言い出したから、アー
ハイハイと聞くふりして適当に流したのだが、案の定、裸の状態から全部着るまで20分は軽くかかるア
リサマだ。何かとリアリティーがどうこうと言い出すくせに、こういう謎鎧を有り難がっているあたり、男と
いうのはホントバカな生き物なんだなと思った。とりわけバカなのが藤原なんだけどさ。
「おーすげー、カーリ様だ」
藤原に言われたとおりに、左手は腰にあて、右手でつかんだ大剣を床に突き立てるようなカッコで藤
原を出迎える。
それを見た藤原は、感極まった感じ。私を見て喜んでくれるのは嬉しいけど、あんまり大きな声出す
のは人が集まって来そうだからやめてほしいよね。
「自分で作ったものだけど、こうやって着ているところをみると、やっぱり感動するよね。裕子さん、あり
がとう」
「というか」
私は、大剣の切っ先で床を「どん」と着いた。
「そのカメラは何だよう。まさか、ようつべなんかに動画を上げるつもりじゃないだろうね。そういうの、や
めてよ」
そうなのだ。藤原のやつ、部屋に入った時からすーっとカメラ片手に私のことを映しているんだよね。
「あー、ダメダメ」
藤原は構えたカメラの横から顔を出す。
「裕子さんは、高貴なカーリ様なんだから、そこはカーリ様になりきらないと。剣を俺のほうにつきつけて、
こう。『このけがらわしい豚め。ようつべに流したら、貴様の命はないと思え』」
「こっ、このけがらわしいぶため。ようつべにながしたら、きさまのいのちはないとおもえ」
「ちょっと棒読みっぽいけど、そんな感じ、そんな感じ
満足げにうなづく藤原。頭痛が痛いです。 新作を投下します。タイトルは「くっころせ!!」です。
今回投下分はエロなし進行で申し訳ございません。
それほど長い話ではないので次回投下で終わらせたいと思います。 「それで?これからどうするの?」
無駄に大きなおもちゃの剣を、上下にふりふりしながら私は言う。
どうするのさって、たぶんえっちするのではないかと思っているけど、20分もかけて衣装を着ているう
ちに、藤原はどうか知らないけど、私は、そんな気分は消えうせてしまった。だいいち、この衣装、一度
に身に着けたら、脱ぐのがすごく面倒くさそうだ。
(しかしまー)
私は自分の身体に目を落とし思う。果たして鎧なのかと。これだけ露出が多いと、そもそも鎧本来の
意味以前に、朝とか夜とかすごく寒そうだ。
でもまあ、私自身は寒さを感じることはないし、ちょっとやそっと切り付けられたくらいで死ぬこともない
だろうし、急所さえ守れれば、軽いほうがいいってことで、サイボーグ用の鎧としては、理に適っている
かな?なんて下らないことをぼんやり考えてしまう。
「あーあー、そんなネコ背じゃだめだって」
ほんの少し上の空になった私に向かって、まるで映画監督にでもなったかのような、藤原の厳しい指
摘が飛ぶ。えーと藤原のことだから、いつものとおり、私のカッコに興奮して飛びついてくるかなとも思
ったんだけど、なんだか全然様子が違うんだ。
「裕子さんは、今は、ハンプヤード聖騎士団の騎士長カーリ・ターダなんだから、ちゃんと自覚をもって
演じてもらわないと」
「はあ」
おおせのとおり、背筋を気持ち伸ばし気味にすると、藤原は満足げにうなづいた。そして、
「これを読んで」
と、唐突に藤原から、ホチキス止めのA4の冊子を渡された、というか押し付けられた。
「それが今回の台本だから、ちゃんと目を通して」
「はあ、台本」
監督様のご命令なので。少し中を読んでみる。
_______________________________________
オーク: 「くっくくく。お嬢さん、お目覚めかな」
カーリ:「くっ、なんだ、貴様は。ここはどこだ」
オーク:「ここは我々オーク族の住穴倉のいちばーん奥にある地下牢さ。無様に一騎打ちにやぶれて、
気を失ったお嬢さんは、ここに閉じ込められたってわけだ」
カーリ:「貴様、何をした」
オーク:「くくく。まだ何もしちゃいないさ。まだな。気絶したまま嬲っても、面白くもなんともないからな」
カーリ:「くっ・・・・殺せ。貴様ら汚らわしい豚どもに嬲られるくらいなら、死を選ぶのだ」
_________________________________________
・・・・・・
ああ・・・また頭痛が痛くなってきた。もう私には脳しかないのに、こんなの見たら、その脳までダメにな
ってしまいそう。
私の彼氏が、こんなものを寝る間を惜しんで、大真面目に作っていたのかと思うと、あまりの情けなさ
に涙せないはずの涙がこぼれ落ちてしまいそうだ。
悲しみにくれながら、ぱたんと台本を閉じ、ベッドに腰を下ろした私は、ショルダーバッグから、スマフ
ォとスマフォ用のコードを取り出して、つないだ。そして、左手で髪をかき上げつつ、右手で首筋のカム
フラージュシールをはがし、外部接続端子のカバーを開ける。今度はコードのもう一方の先端をつかみ、
手探りに義体の外部接続端子の場所を探りあてて接続する。同時に「ぽーん」という音が頭の中に響
いて、視界の片隅に小さく「デバイス接続完了」と緑の文字が浮かぶ。これで、スマフォのアプリで義体
の各種設定ができるというわけだ。
台本横目にスマフォをいじりはじめた女騎士に、藤原は興味深々の様子で近寄ってきた。
「裕子さん何やってるの」
私の隣に腰掛け、スマフォを覗き込む藤原。
「カーリ様じゃないの?か、ん、と、く、さ、ん」
スマフォ画面に目を落したまま、つっけんどんな調子でそう言う私
「そうでした」
藤原は、照れくさそうにぽりぽり鼻の頭をかいた。そんなのんきモードの藤原の鼻先に台本をつきつ
けてやる。
「藤原、あんたバカでしょ」
「え?何が」
きょとんとする藤原。はあ、と、わざとらしいため息をつく私。
「このストーリー自体バカみたいだけど、もっと言うと、こんなたくさん、セリフ覚えきれるわけないじゃな
いかよう。だ、か、ら、セリフを打ち込んで、視界に文字で表示させるようにしてるの」
「あ、セリフを字幕みたいに表示されるのか。確かにセリフたくさんあるからね」
まるで他人事のように感心している。やっぱりバカだった。
そんなわけで、藤原の書いたシナリオを、嫌々セリフ入力していた私だけど、さすがに「下の口はよだ
れをたらして欲しがっているようだぞ」というお相手のオークのセリフあたりで、ますます気が滅入ってき
て作業中断。何でもしますと言ってしまったこと、かなり後悔しています。
「あの、そうやってガン見されると、気が散るんですけど」
私はスマフォ画面を隠すように藤原に背を向けた。しかし、藤原は、おかまいなしに背中から抱き着
いてくる。はっきり言ってかなりジャマ。
「裕子さんていうかカーリー様。あのさ」
耳元で遠慮がちにささやく藤原。私の話はゼンゼン聞いてない。
「このアプリって、義体の色々な調整ができるんでしょ」
「まあね」
「ひょっとして性感の調整もできたりする?」
藤原のストレートな物言いに思わずぶっと噴出してしまう。
「まあ、できるとは思うよ。やったことはないけど」
そういう設定があるのは知っている。興味はないと言ったら嘘になるけど、ウワサではたいそう電気を
食うらしいし、感覚的にデフォルト設定で生身の時と近いかなという、経済的かつ現実的な理由で、試
したことはない。
「まじかー」
そう聞くが早いか、藤原は私から台本をひったくると、鼻息荒く台本にペンを走らせはじめる。
あきれた調子で、その光景を眺める私。待つことしばし。
「じゃあ、シナリオはこれで」
藤原の追加修正ががっつり入ったナリオを手渡される。
ざっと目をとおしたけど、これは・・・。
「藤原あのさ。あんたさ。これ、本気なわけ?」
あきれた。本当にあきれた。 「くっくくく。お嬢さん、お目覚めかな」
仰向けに横たわっている私の顔をのぞき込んで、藤原っていうか、オークです、オーク、は、下卑た薄
笑いを浮かべる。
あわてて(という設定で)跳ね起きた私は、すぐに腰の剣を抜けるように身構えるも、そこにあるはず
の剣はなく、手のひらはむなしく空を掴む。剣は残念ながらオークの手元にあるのだった。
「くっ、なんだ、貴様は。ここはどこだ」
武器を失った悔しさに唇をかみしめながら、私、ではなくてカーリは周囲を見回す。もちろん、いつもの
藤原のせせこましい部屋なんだけど、そう思ってはいけない。部屋は雨戸も閉めて、豆電球だけつけて
いる状態だけど、そう思ってもいけない。周囲は、湿った土塊の壁。もちろん窓はない。明かりは、わず
かに壁に掲げられた松明だけ。ゆらめく松明の薄明りが、でこぼこの土壁のコントラストを強調している
、という設定である。
「ここは我々オーク族の住穴倉のいちばーん奥にある地下牢さ。無様に一騎打ちにやぶれて、気を失
ったお嬢さんは、ここに閉じ込められたってわけだ」
こういっちゃ何だけど、このオーク、やたらノリノリなのである。この暗さじゃ、せっかくの私の女騎士姿
もよく見えないと思うんだけど、そんなことより、こういうシチュエーションを楽しみたいんだとさ。はは。
「貴様、何をした」
話すべきセリフは義眼ディスプレイに表示されるけど、それをただ棒読みチックに読みあげるだけだと、
藤原に怒られる。練習(笑)で、何度もやり直しさせられたのだ。私の声は、所詮はスピーカーから出る
合成音声でしかないけど、それでも
(気を失っている間に、身体に何かされたのではないか)
というカーリの不安とか恐れとか怒りを精一杯セリフにこめなくてはいけないんだとさ。
「くくく。まだ何もしちゃいないさ。まだな。気絶したまま嬲っても、面白くもなんともないからな」
「くっ・・・・殺せ。貴様ら汚らわしい豚どもに嬲られるくらいなら、死を選ぶのだ」
カーリは、絶望に顔をゆがめつつ、精一杯の虚勢を張る。
「ずいぶん威勢のいいことだが、お嬢さんは、どうやら自分の立場をわかっていないらしい」
オークは、しゃがみ込むと、自分の優位を見せつけるみたいに、カーリのほおを、ぴたぴた軽くたたい
た。
「汚らわしいっ!」
オークの手を払いのけ、カーリは一喝する。
「私は女ではないっ!誇り高きハンプヤード騎士団の騎士長、カーリ・ダータであるぞっ!殺せっ!」
「おやおや、まだまだ元気そうだな。安心しろ。殺したら、後の楽しみがなくなってしまうではないか」
オークは、ぶひぶひ笑い、カーリの胸から太腿にかけて、なめるように見る。鎧を身にまとっていると
いっても、その鎧は、胸や腰を僅かばかり覆う程度のシロモノ。さすがのカーリも、怒りと嫌悪感に身体
を震わせ、両腕で胸と腰を覆い、オークの視姦に対してはかない抵抗をするのだ。
「一つ、いいことを教えてやろうか。貴様の部下とやらも、大勢捕虜になっているぞ」
「なん、だと?あいつら、逃げきれなかったのか」
「大事な部下を逃がすために、お嬢さんは、一人で戦ってなかなか勇ましいことだったが、多勢無勢だ
ったな。あいにくお嬢さんが逃げろと指示した方向にも、我らの手のモノが待ち構えていてな。指揮官
が無能だと、部下も災難だな」
「ぐっ・・・」
オークの言葉責めは、カーリの希望をゆっくりと、しかし着実に奪っていく。両方の拳を血を流さんば
かりに、何度も地面に叩きつけ、無力感にさいなまれ、うなだれるカーリ。
「そこで、どうだね?部下の命を助けたくはないか?」
オークは、うって変わって、妙に優し気な声色で、カーリの耳元でささやく。
「私に・・・どうせよというのだ」
「ふふふ、心がけ次第で、お嬢さんの部下の命、助けてやらんでもないぞ。ついでにお嬢さんの命も助
けてやろう」
「私まで助けるだと。ふん。汚らわしい豚め。騙されんぞ」
口先こそ強がってみせるものの、カーリの声にさっきまでの威勢はない。一度希望を見せられると、
人間は弱くなってしまう。そんな心の機微を知り尽くしたオークの言葉。膂力も、駆け引きも、全てオー
クが上回り、哀れな囚われの女騎士は、なすがままに翻弄されるだけなのだ。 「まあ、信じる信じないはお嬢さんの勝手だが、黙っていても、お嬢さんの可愛い部下とやらが処刑され
るだけだな。そうだ。お嬢さんの前で、一人一人首を刎ねてみせよう。さぞかし面白いショーになりそう
じゃないか」
「くっ。卑怯者め。・・・私は・・・何をすればいい」
「ほほう。ちゃんと、素直にお願いできるじゃないか。いつまでもさっきみたいに尖っていたら、可愛いお
顔が台無しだぞ」
「何をすればいいのかと聞いている」
オークは、にやっと笑って何か黄色の小さな物体をカーリに向けて放り投げる。それはフローリングの
床、じゃなくて、湿った土牢の床をコロコロと、カーリの足元まで転がった。
「その薬を飲むだけでいい。それで、お嬢さんも、部下も解放してやろう。ただし、お嬢さんがそれを望
めば、だがな」
「なんだ、それを望めば、というのは」
「ふふふ。その薬は媚薬さ。それも特級のな。一口飲めば、男が欲しくて欲しくてたまらなくなる。ここを
出たいという気持ちもなくなるくらいにな」
実は、これ、ただの私の栄養カプセルなんだけどね。大真面目な藤原の演技に思わず吹き出しそう
になるけど、ぐっとこらえる。そして、高貴なカーリ様になりきって、義眼ディスプレイに浮かぶ文字を、
怒りを込めて読み上げるのだ。
「なめるな!私は女など、とうに捨てている。こんな薬ごときに惑わされることがあろうはずもない」
カーリは、床に転がった媚薬を拾い上げ、オークをにらみつける。
「本当だな。これを飲めば、部下も私も解放するんだな」
「くくく、オークは貴様らヒトと違って嘘はつかない。約束しようじゃないか。だが、それを飲んで、果たし
て正気でいられるかな?」
カーリは、決意を固めるかのように、目をきゅっとつむり、ひと思いに媚薬を口の中に放りこむ。
「ふん、こんなもの、どうしたと言うのだ」
特に身体の様子に変化はない。実力で勝ち得た結果でないことは残念だが、ともあれこれで自身と
部下の帰還は約束された。カーリは内心の安堵を気取られまいと、あくまでも強気の姿勢を貫く。まあ、
ぶっちゃけ、ただの栄養カプセルなんだから、身体に変化がないのは当たり前なんだけどね。
「さて、そんな強がりも、いつまで続くかな」
オークは手持ちのスマフォを指先でちょちょっといじった。スマフォから伸びるコードで私の義体につな
がっている。
今までスマフォもコードも見えないふりをしていたけど、まあそういう状況です。
で、今オーク藤原は何をしたかっていうとさ、私の脳が義体の性感帯から受け取れる刺激、いわゆる
感度をデフォルト設定より、ぐっと上げんだた。媚薬を飲まされ薬の力に屈し、心と裏腹に身体はオーク
の肉棒(うわー、自分で言うと滅茶苦茶恥ずかしいね、これ)を求めてしまう女騎士っていうシチュエー
ションを、リアルに再現したかったんだって。ホント、こんなこと、よく考え付くよね。バカだよね。まあ、そ
れに付き合っている私も充分バカなんだけどさ。
そして、実はこれからが本番。練習では、さすがに感度設定をあげるなんてことはしていない。さすがに
感度設定をいじるのは初めてのことで、カーリになりきるまでもなく、自分の身体に何が起きるのか、正
直恐くはある。もちろん、期待していないといえば嘘になりますけれども。 本日はここまでです。
今回投下では終わりませんでした。次で終わらせます。 ・・・・・・
・・・・・・
息を飲み、目をきゅっとつぶり、膝を崩した正座状態(いわゆる女の子座りだ)で、自分の身体に
一体どんな変化が起こるのか身構える私。だけど、目だった変化は起こらず。何だ面白くない。
照れ隠しに苦笑いしつつ、ゆっくり薄目を開くと、ちょうどオークが鼻息荒く迫ってきたところだった。
「くくくくく、そろそろ薬が効いてきたころだろう」
下劣な薄笑いを浮かべ、舌なめずりしながらオークは両手を私に向けて伸ばしてくる。手のひらは、
何かをもみしだくみたいな、わざとらしいくてイヤらしい動き。あんたホント、ノリノリだよね。
私は苦笑しつつ、オークの魔手から身を守るカーリを演じるべく、ゴテゴテした籠手をつけた両腕で
ビキニブラのような形の赤い胸当てに覆われた胸をガードした。下半身はというと、膝に赤い膝あてを
つけ、脛から下は金属っぽい質感の脛あてをつけているという格好。そして腰まわりは腰まわりで、
例のビキニパンツを履いているのだけど、なにぶん露出度高めの衣装なもので、大腿のあたりは完全に
素肌むきだしで、これのどこが戦う騎士なんだ状態。オーク藤原の指先は、そんな私の無防備な太腿に
狙いすましたかのように伸びて、さっきまでの粗雑でイヤらしい手の動きとは打って変わった、
触れているようで触れていない、でもやっぱりちょっとだけ触れるっていう絶妙な繊細さで、
すすっと軽くひと撫でしたんだ。
その瞬間、ぞくぞくっと快感が背中を這い上って・・・
「ひゃっ!」
心の準備が全くなかったところを、自分の身体の予想外の反応に不意討ちされ、私は思わず
あんまり色っぽいとはいえない嬌声をあげてしまった。もともとのシナリオでも、ここで、媚薬の
効いてきたカーリが、快感に耐え切れずに甘い悲鳴を上げることにはなっていたけど、演技する
までもなかった。ただ太腿を軽くなでられただけで、いきなりあそこがうずきまくって、どっと
溢れんばかりに愛液が漏れだしてくる。明らかに普通の身体の反応じゃない。
えーとなんと言うか、たとえるなら、快楽妖精さんを吹き込んだ身体の中の風船が、いきなり
ぶわっと破裂寸前まで膨らんじゃった感じ。もう一息の刺激で、あっけなく、ぱちんと破裂して
しまいそう。ただ太腿を軽く触られた程度でこのアリサマ。義体の感度設定というものを、
ちょとなめすぎていたかもしれない。
「ふじわら、ちょ、ちょっとまって!」
あまりの身体の反応に、不安にかられた私は、次の攻撃を仕掛けようと胸のほうに伸び始めた
藤原の手をつかみ、押し返す。本来ここは、カーリが媚薬のもたらす快楽の身を焦がしつつも、
なんとか気丈に正気を保とうとする場面なんだけど、ちょっともう私にカーリを演じる余裕は、
ないのである。
「ごめん。なんかこれ、すごすぎ。もう少し感度を下げたほうがいいかも」
女の子座りで太腿もじもじしながら、義体設定したときに使った、ベッドに置いたままの
スマフォを横目に藤原に懇願する私。でもそれで、かえって藤原の嗜虐心に火をつけちゃった
かもしれない。
「ふがー」
藤原は、演技なんだか素なんだかよく分からない謎の唸り声をあげながら私を押し倒しにかかる。
確か台本だと、ここはもう少し、じっくりねっちりカーリへの言葉責めがあったはずなんだけど。
「ちょ・・・ちょっとだめだってば」
私は押し倒されながらも抗議の声を上げるが、藤原はまるで聞く耳をもたず、例のビキニパンツの
ような形の、大事な部分だけほんのちょっぴり覆う程度の大きさのパンツの止め金に手をかけ、
外そうとする。このパンツはテカテカした合成皮革っぽい材質で、ほとんどの伸び縮みしないから、
ごつごつした膝あてとか、脛あてとかを身に着けたまま脱ぐのはムリ。だからパンツの両脇に金具が
ついていて、そこから外せるようになってんだ。
でも、藤原くん、気がせいているのか不器用なのか、その両方なのか、私は大した抵抗をして
いないっていうのに、パンツの金具をかちゃかちゃさせるだけで、なかなか外せない。そのくせ
「うわ、なんかすげー濡れてる」
・・・こういう、いらんことばかり気が付くのである。言っとくけど、濡れているのは、私が
淫乱なのではなくて、藤原が余計な設定をしたせいなんだからね。 私が身に着けている藤原お手製のカーリ様のパンツは、合成皮革っぽい厚めの材質でできて
いるから、水分をまるで吸収してくれない。それで、限界一杯たぷたぶになって、受け止め
きれずに秘所から溢れ出た私の恥ずかしい何かは、いつの間にかダダ漏れで太腿まで濡らしてた。
それを目ざとく見つけた藤原が、恥ずかしい液体を掬うみたいに、私の太腿の付け根を
指一本でさっと一撫でする。
ただそれだけ、ホント、ただそれだけで、クリから全身にかけてびりびり強い電気が走る。
クリに直接触れてもいないのに、自分で指でいじったり、藤原にこねまわされたりしたときの
刺激を何倍にも増幅したような大波が全身を蹂躙する。その刺激は、もうすでにいっぱいに
膨らんでいた快楽の風船を割ってしまうのに、充分すぎるくらいだった。
「ぐう」
唇をかみしめて、必死にイかないようにこらえようとしたけど、所詮機械に閉じ込められた
ちっぽけな魂の抵抗が、サポートコンピュータ−のプログラムに敵うわけない。悪魔じみた
快楽が、何かそれ自身に意志でもあるかのように、私の頭とつま先をつかみ、身体を
弓なりにさせる。何度も空をつかみながら、やっとのことで藤原の腕をさぐりあて、握りしめる。
ああだめだ。本当に身体が壊れて、バラバラになってしまう。
「あっあっあっあはああ!」
私の身体の中でいっぱいに膨れ上がった風船がぱちんとはじけて、風船から解放された
妖精たちが快楽信号をまき散らしながら体中を駆け巡る。力を失って、どすんと仰向けに倒れた
私の身体を、強烈な快感が幾度も幾度も突き抜け、そのたびに頭の中を真っ白に塗り替えていく。
あえぎ声を出して、少しでも口から快感を逃がさないと頭がおかしくなってしまいそうだ。
藤原の部屋は狭いし、壁も薄いから「ここであまり大きな声は出せないね」って事前に
冗談交じりに二人で話しをしていたし、実際今までは、ある程度声を抑え気味にしていた
はずなのに、その努力は、全部台無しになってしまった。
悔しい。私は、たぶん生身の身体では味わうことができない類の快楽を体験したのかもしれない
けど、じゃあこれはイイものかと言ったら、絶対そんなわけない。セックスの快感っていうのは、
自分の五感を駆使して愛する人との共同作業で、じわりじわりと高ぶっていくのがいいのであって、
むりやり絶叫マシーンに乗せられて、坂のてっぺんから突き落とされるみたいな快楽は、
ただ単に機械に操られているだけ。そういうのは人間としてのプライドが許せない気がする。
そして、結局、私は今まで自分が自然なセックスをしていたように錯覚していたけれど、
それも義体の感覚を生身の身体の感度に近い形に設定していたからであって、それは自分自身の
五感とはとうてい言えない、設定ボタン一つで簡単に変えられる電気信号にすぎないってことも、
まあ分かってはいたことだけど、改めて存分に思い知らされた気がして余計に悔しいのだ。
私は、私に残された唯一の生身である脳をいたわるみたいに右腕を額にあて、左手は藤原の
腕を握りしめたまま、絶頂にほてった身体が落ち着くまで、そんなことをぼんやり考えていた。
「あの・・・ゆうこさん、腕が・・・痛い」
遠慮がちな藤原のつぶやきに、私はようやく我に返る。藤原は、パンツの金具を外すという
大仕事を忘れ、あっという間にイってしまった私をあっけにとられたように見下ろしていた。
「えと、ひょっとして、いった?」
「あーうるさいっ!」
我を失う醜態をさらしておきながら、イってないなんてバレバレの嘘をついても仕方ない。
悔しいから照れ隠しに、藤原の腕を握りしめるのをやめ、その同じ左手で、スナップつけて
藤原の腕を思いっきりひっぱたいてやった。
「うー、こんなの演技するどころじゃないし、もうやめようようって藤原あんた何を・・・」
藤原は、ふくれっ面で述べる私の不満を聞き流しつつ、からかい半分ってカンジで
握りこぶしで「こつん」とパンツ越しにクリのある場所をたたく。直接クリを触られたわけ
じゃない、パンツ越しではあるけれど、今までの間接的な刺激で、ぷっくり膨れているで
あろう一番の性感帯をいじられたんだ。さっきは快感の風船がいきなりふーっと膨らんだ
みたいな感じになって自分の身体の反応に驚いたけど、今回はさらにその上をいった。
イった直後だっていうのに、風船にたとえるなら、縁日とかにある、空気ボンベで一気に
風船を膨らまして、そのまま破裂させてしまうような感じの、情けも容赦もわびもさびもない
絶頂感が再び私に襲いかかる。 「あああああああああ!」
精神的な充足感なんか一切ない。機械的な快楽信号に翻弄され、鋭く身体を突き抜ける
快楽信号に身体をひくつかせながら、私は悲鳴を上げるばかり。あまりにも強すぎる快感は、
はっきり言って苦痛でしかない。
「藤原・・・ほんとうに・・・もう・・・やめようよう・・・お願いだから、ね」
息も絶え絶えに懇願する私。いや、機械の身体だから、実際はたいして呼吸が必要なわけ
じゃなし、イったからって、生身の身体のように呼吸が荒くなるわけではないんだけど、
余りの刺激に生身の頭と機械の身体がくらくらして、言葉がうまく出てこないんです。
クリをさわられてこのアリサマなら、藤原のあれを入れられたらどうなってしまうんだろう。
私、気が狂ってしまうんじゃないだろうか。
「くくくくく。上の口は嫌がっていても、下の口はよだれをたらして欲しがっているようだぞ」
いつの間にか「オーク」口調に戻った藤原の手が、またもや私のあそこに伸び始めたから、
そうはさせじと、秘所を守るべく、だらしなく伸ばしきっていた足をあわてて縮めて、
身体に引き寄せる。
・・・あんた全然聞いてくれてないうえに、まだ演技続けるんだね・・・
ちょっと、いや、かなりあきれてしまった私だけど、だからと言って事態が良くなるわけではない。
それどころか、ああ何トランクスを脱ぎはじめてるんだよう。藤原のナニが突っ立っているもの見え
ちゃった。いつもは愛おしささえ感じるそれも、今は私の身体を貫く暴力的な槍にしか見えない。
男の子がああいう状態になったら、もう何を言っても勘弁してもらえないことは経験上分かっています。
でも、これ以上なすがままに藤原に付き合っていたら、本当に気を狂わされてしまう。そう思った
私は非常手段を取ることにした。
「んっ」
目をつむり、義眼ディプレイに表示される情報を見やすくしておいてからサポートコンピューターに
アクセス。そして、義体設定を選ぶ。
そう。こうなったら感度設定を自分で変更してしまうしかないのだ。もちろん、外部端末を使った
ほうが操作しやすいにきまってるけど、そんなことしたら藤原に気付かれるし、気付いた藤原が私に
猶予を与えてくれるはずない。私とて、もう義体歴はかなりのもの。外部端末に頼らずとも
義体設定くらい、簡単に変えてみせる。
「んんんんん」
視界の中でよろよろと頼りなげに動くカーソル。自分としては、もっとスマートに動かせ
ているつもりなのだけど、まあいい、とにかく急がなけれああああああああああああ!
クリからの全身に広がる強烈な刺激。何が何だかわからないままに、三度目の絶頂を迎え、
義体の感度設定の変更が全く間に合わなかったことを悟る。
イくたびにどんどん深くなる快楽。恐ろしく気持ちよくて、だからこそ果てしなく不安を
感じる。気持ちよければいいじゃんって思うかもしれないけど、自分の身体が、自分の
コントロールを離れて暴走することほど恐ろしいものはないのです。
底抜けの快楽に身を苛まれて、ひくひく身体を痙攣させながらも、何とか視界を
切り替えた私の目に飛びこんできたのは、とうとう私のパンツを剥ぎ取ることに成功して、
得意満面の藤原。藤原の右手の指先が濡れて光っているのは、なんの守りもなくなって、
無防備なクリを指でこねまわしたからだね。
「嫌だよう。ホント、勘弁してよう」
私は、弱弱しく抵抗の声を上げるものの、イカされすぎて、頭の中がぐにゃぐにゃで
身体も全くいうことをきいてくれない。感度設定を自分で変えるような集中力も、
もはや尽きてしまった。
そんな私に、藤原はいつになくサディスティックな刺激を受けたのか、強い力で
私の両腕を上から床に押しつける。そして、なんだか強姦するみたいに、力ずくで私の両脚を広げ、
私の身体の中に、アレを押し入れくぁwせdrftgyふじこlp;zsxdcfvgbhん
jmk、l。お、いむnybtvrせxwzfェ、、召キ・テ・ケ(^-^)/クオオ、、
キ、ニ、・□、オ、。。シ
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
その晩、私は天国と地獄を同時に味わうことになったのでした。とほほ。 翌朝、私は藤原より先に目覚ました。懸念された頭痛もなく、意外にすっきりと起きられた。
感度最大値にしたとはいえ、それでも自分で設定できる範囲内なだけあって、昨日は何十回とイかされた
ものの、あれで死ぬなんてことはなさそうだ。
(なら、たまには遊んでみるのも悪くないかもね)
なんて思いながら、鼻歌混じりに自分の服に着替える。シャツの袖に腕を通すついでに、部屋のドアの
下にメモ用紙がさし入れられていることに気が付いた。
(なんだこれ)
何かの伝言なら藤原に渡してやろうと、何の気なしにメモ用紙を拾い上げる。メモ用紙はとくに
折りたたまれてもいなかったので、書いてある内容は自然と目に入る。
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藤原君の彼女さん
実は昨日のことで大変苦情が入っています。
楽しむなとはいいませんが、もう少し声を抑えていただけると助かります。
管理人
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・・・メモを持ったまま、しばし思考停止。ちょっと遅れてやってくる、圧倒的な羞恥心。
あまりの恥ずかしさにかっと頭に血が上っていくのがわかる。機械の身体だけに顔色は
変わらないけれど、身体がわなわな震えるのは止められない。
「くっ・・・ころせ」
「裕子さんどうしたの?」
ようやく目を覚ました藤原は、あくび混じりに、のんきな顔で近づいてくる。全部あんたのせいだからね!
「くっ、ころせええええええええええ!」
おしまい 少子化が二一世紀初頭の日本よりはるかに深刻になってしまった世界。
自然に産まれる子供はもはや稀であり、やむを得ず子を産む事に特化した改造を受けた母体に専門的に子を産んでもらう事で辛うじて最低限度の子を社会は得ていた。
貴重な自然妊娠の子も、改造母体に育てられる子も、いまや産まれてくる子のほとんどは女で、男は滅多に産まれず絶滅さえ間近に迫っている事が更なる人口減少を招いていた。そのような男女比になる原因は不明のままであった。
貴重な受精卵でさえ、今や卵子同士を人工的に合体させて作るものがほとんどとなっていた。それほどまでに男の数は減っていた。
ある日私は、政府から子を産む係になって欲しいとの懇願の通知を受け取った。
体に自然に子を産む事ができない不具合を抱えていた私は、こんな私でも良いのかと思ったけれども、
子宮そのものの機能と卵巣の卵子を作る機能は無事なので大丈夫、むしろ体の改造で望めば自分の子を持てるようにもなる、との事だった。
産む事以外ほとんど何も出来ない体に改造されてしまう為、産む役目を降りた後も政府の手厚い支援が得られ生活できる体制も整っているという。
また幾ら社会的に子不足が逼迫しているとはいえ、改造を受け出産に専念するのは強制では無かった。もちろん断る事も出来たのだが、悩んだ末に話を受ける事にした。 そして私の体が改造される時がやって来た。
首から下は必要な臓器を残して義体化される。義体には手足は無く、設備にがっちり固定できるマウンタや、栄養老廃物などの入出力の為のチューブやケーブルを取り付けるコネクタが無数につく。
子宮など生殖機能まわりと母乳を作るための乳房の各種器官は残され、更に強化される改造を施される。
肝臓や腎臓などの解毒・老廃物排出系も温存されるが、それとは別に更に機械の人工器官による浄化系統が増設される事で強化される。
対して消化吸収器官は全て取り払われ、外からの栄養供給に頼るように改造される。
このようになっているのは連続して出産するため、生身の体では消費する栄養の供給や老廃物の輩出が追いつかないからなのだそうだ。当然、もう食事を摂る事は出来ない体になる。
腸が丸ごと取り払われるため肛門も無くなるし、尿の排泄も体にたくさん接続されるチューブの一つから行われるため、股間は排泄の機能がなくなり、専ら生殖の為だけの部位となる。
その股間も、膣は出産をスムーズに苦痛なく行えるために人工のものに取り替えられる。これで出産時に子がすんなり通れる広さに拡張されるし、受精卵または精子を「植える」時に快感を得る事も出来るようになっている。
血中の酸素濃度などを常時正確にコントロールするため、呼吸器系も生身の肺を全摘出し外付けの人工臓器に替えられる。
両目もくり抜かれ、眼窩には映像信号を神経に繋ぐコネクタがつけられた。どうせ体を動かせないので同じ景色しか見れないので、代わりに何か楽しめる映像を観れるように、らしい。
そもそも眼球を残したところで同じ景色どころか何も見えないような場所に固定・設置されるのだそうだ。
耳も同様に、三半規管ごとごっそり取り除かれた。こちらも音声放送を聴く為のコネクタがつけられた。どうせ体が固定されていて加速度を感じる必要が無いため、
三半規管の代わりの加速度センサーはつけられないらしい。
そうして産む専用の体に出来上がった私は運ばれて、所定の位置に固定された。もう産む仕事をやめるまで固定を外される事は無いし、仕事をやめた後も自由に歩き回れる体にはならない。 いよいよ子を宿す仕事の時がやってきた。
まず人工の膣が掃除された。専用のブラシが往復と回転しながら膣をなでる。くすぐったい様な妙な快感の感触が伝わってきて変な声を出しそうになった。肺が無いので実際には出る事は無いが。
次に保護液がたっぷり注入された。体温より少し低い温度なので体に入ってくるのがよく感じられて変な気分になる。
そして膣に管が挿し込まれ子宮に着床させる為の受精卵が管を通って運ばれてくる。管は膣を越え子宮の内部にまで入り込んでくる。苦痛は無いがやっぱり変な感覚だ。
着床が確認され管が外されると、人工の膣の入り口はロックがかかりがっちり封をされる。お腹の受精卵が立派な赤ちゃんに育つまでは、定期的な検査の為の管が挿し込まれる時を除き開く事は無い。
受精卵を得て一段落し、流れてくる映像と音声をゆったり観聴きしているうち、真っ暗な巣の奥で産むのに特化しろくに動けない体でひたすら子を産むだなんて私は女王蟻か女王蜂のようだな、などと考えていた。
お腹の子が順調に育てば、何ヶ月か経った後には内側からお腹を蹴ったりするようにもなるだろう。
そうして私は、これから沢山産む事になる子供たちの最初の子を宿し育てていくのであった。 良心回路や悪魔回路があるならビッチ回路もあってもいいじゃない
でも、胸の中に内蔵すると胸板が盛り上がってバストの形にも影響してしまいそう アンドロイドとサイボーグの違い、について熱い議論的なのが交わされてた時代があったっけ?
個人的には、完全に無機質部品だけで人型にしたものが「アンドロイド」で
あくまで生身の肉体に一部機械を加えた的なものが「サイボーグ」だと定義していたが… ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています