あれ?雨?
部屋の中なのに……

痛さをこらえ、ぎゅっとつぶっていたまぶたをあける。
リカの顔に降ってきたものは雨ではなかった。

「空井さん、泣いてるんですか?」

大祐は、はっとして動きを止めた。

「空井さんの涙が降ってきました」

「なんでだろう
なんで涙が出てくるんだろう
泣いてるんじゃないんです
だって……すごく……稲葉さんの中はあったかくて気持ちがいいんだ。
あああ、すみません
稲葉さんこそいっぱい涙がたまってます。
すみませんすみません、痛かったんですね?」



初めての夜
いまだ苗字で呼び合う2人