「こっちから行くぜ」
俺は木刀を構えて突進した。
「せぇい!!」
しめた、横に薙ぎ払ってきた。俺はその一閃を前転して空振りに
させ、擦り抜け様に片手でもった木刀でリザ子の腰を叩いた。
「ぐっ!?」
手応えがあった。リザ子は痛みをこらえて振り向き様に木刀を
振り下ろそうとした。が、俺はすで立ち上がり、木刀をリザ子の
喉元に突きつけた。静止するする時間。木刀の先が微かに喉元に
触れている。
「これで勝負あり………じゃねぇかな?」
俺はおそるおそる言ってみた。
カランと地面に転がる木刀。リザ子のだ。
「私の……負けです」
次の瞬間、野次馬がドッと歓声を上げた。
『勝ちやがった!』『すげーぞ、傭兵!』『リザードマンに勝ちやがった』
『避けて、避けてってのは作戦か』『ボケ』
だから誰だよ最後にボケって言ったのは!
野次馬を余所に俺はそそくさと退散しようと走って路地に入った。
「あーやばい、やばい…警備兵に取り締まられなくて良かった!」
右に左、右と間借りに曲がって路地の行き止まりまで来た。
「ええ、よかったです」
止まって息を整えていると、後ろから声がした。
って―――なんでっ!?
「何でアンタがいるんだ!?もう終わったろ?仕返しとかやめてくれ
真剣で試合もノーだからな」
「そ、そんなつもりは!あのこれ、お金です!」
リザ子も肩で息をしながら、革袋をつきだした。
そうか、勝ったら稼いだ金全部くれるんだっけ。
「あーそういうことなら貰っておくぜ、にしても律儀だな」
「はい、そ、それと――」
何だ、まだ何かあんのか?
「私と結婚してください!」