【なんでもあり】人外と人間でハァハァするスレ8
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0001名無しさん@ピンキー2013/07/07(日) NY:AN:NY.ANID:EvXFiz6W
ここは異種族と人間のエロ・非エロでハァハァするスレです。
モンスターでも異星人でも動物でも植物でも無機物でも!
とにかく人外と人間でハァハァ萌え萌えエロエロしようぜ!
人外の見た目に貴賤無し、人外なら何でも受け入れます

《利用上の注意》
・sage推奨
・厨くさい書き込み、荒らしはスルー
・801は801板へ
・SS投下の際には種族や傾向等の注意書きを
・議論したい人は避難所へどうぞ、移動しない人も荒らしです

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「人外と人間でハァハァするスレ 避難所」 管理人:◆AN26.8FkH6 氏
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本スレに投下するか迷ったような作品を投下するスレ
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12634/1240613751/
0201蜘蛛と女商人2014/09/19(金) 00:29:47.83ID:nz4ONKZd
アロアは商人である。
きっちりと金髪を結い纏め、皮鎧装備に、大きなカバンを背負い、歩いてお得意様の家や街を行き来きしている。
女商人の一人旅というのは本来酷く危険である。
通常ならば護衛を雇ったり、契約した精霊を呼び出しておくなど防衛策は欠かさないのだが…
『何度も歩いてるルートだし、怪しい気配はなかったから……油断してたなぁ』

首筋がじんじんと痛むのを感じ、アロアは小さなため息をついた。

アロアの見つけた、とある森の獣道。
とある事情で今夜は魔法の使用を避け、無謀にもランタン片手に一人で進んだ結果……
木の上の「彼」に奇襲をかけられ、無防備であった首筋に毒牙を打ち込まれ、意識を失った。
こうしてまた意識を取り戻せたのは不幸中の幸いだった。
『頭痛がする……どこかの洞窟に運ばれたか……首痛い……今度から襟巻きでもしよう……』
そんな事を考えながらアロアは周囲を見渡す、薄暗い洞窟で湿った空気の匂い、アロアの荷物が荒らされる音がする。
麻痺毒が緩やかに抜け、ぼやけていた視界がクリアになっていく。
自分を縛っているのは麻縄ではなく、白い分泌液が固まったものであることが分かる。
そして、アロアが使っていたランタンの光で、荷物の商品を吟味しているのは……
「……アラクネ?」
「!?」
アロアの言葉に、その男は八つ目が揃った顔で振り返った。
下半身は巨大な蜘蛛であり、女の上半身がついたものが、この世界の通常のアラクネなのだが……
「へぇ、男のアラクネなんて初めて見たわ……」
下半身は巨大な蜘蛛であるものの、上半身は甲殻に覆われた男の上半身のようだ。
通常のアラクネが美女の顔を持つのに対し、こちらはそのまま蜘蛛の顔だ。
口器である鋏角を震わせ、アラクネが身動きの出来ないアロアに近づく。
「いたぁっ!」
ぐちり、とアロアの首筋の傷跡に牙が刺さり、広がったのがわかった。
毒を流すついでに、血もすすられ、アロアはうめき声をあげる。
「や、やめなさい……後悔するわよ?」
息も絶え絶えな獲物の言葉に、蜘蛛は返事もせず食事を続ける。
すぐに、アロアは意識を手放しおとなしくなった。
0202蜘蛛と女商人2014/09/19(金) 00:31:44.23ID:nz4ONKZd
このアラクネに名は無い。
本来、アラクネは女性だけの魔物で単性繁殖の場合、また雌を産む。
別種族を含む雄の精と肉を食らって繁殖した場合のみ、極稀に雄のアラクネが生まれるのだと言う。

「?」
アラクネは興味深そうに透明な瓶を眺める。中には液体が詰まっている。
キラキラとしたコインや、宝石、ガラス瓶にアラクネは何度もランタンの光に照らしてその輝きをうっとりと見つめる。
アラクネは獲物の荷物を分ける。硬いもの、綺麗なもの、柔らかいもの、美味しそうなもの。
よく使い方のわからない道具は、樫の木の精霊にでもに聞けばいい。
再び、うめき声が洞窟に響く。もうあの獲物が起きたのかと、アラクネは獲物の元へと向かった。
「くっ……ううっ……」
蜘蛛の糸で身動きできない獲物は、アラクネを見る。
また毒牙で噛もうとしたとき、アラクネは違和感に気づく。
もう傷がふさがりつつあった。はて、人間は治癒能力が高いのか?と、アラクネは小首をかしげる。
「もう止めて……これ以上治癒に魔力を使っちゃうと……」
獲物の言葉に、アラクネは少しだけ考えて、その白い首筋に牙を立てた。
「あ……」
甘い吐息が聞こえる。魔力の満ちた血肉は今まで食べた何よりも美味であった。
「だ、ダメ、今夜はホントにダメなの……」
じゅるじゅると魔力が吸われていく。獲物、アロアはそう懇願するが、アラクネは止まる気配がない。
「ああああああ!も、もうダメぇぇぇぇ!!!」
ぶちぶちぶちぃっ!、と音を立ててアロアを縛っていた蜘蛛の糸がちぎれ、アラクネはとっさに後ろへと跳ぶ。
「もーーー!!今日に限って……もーーー!!」
アロアは己の股間を両手で抑えて子供のように癇癪を起こす。
「もう無理!もう!もーーーー!!だから今日だけは魔力消費したくなかったのにぃぃぃ」
がちゃがちゃと自らの装備を外して行くアロアを、アラクネは警戒しつつゆっくりと近づく。
白い女の肌が、結われていた金髪が、荒い息に、何故かアラクネはひどく魅了されていく。
アラクネの蜘蛛である腹部が大きく膨らみ、固く閉じられていた生殖孔から触肢がその姿を現していた。
明らかにおかしい行動をしている獲物に、何故かアラクネは引き寄せられていた。
「ごめんなさいね。もうこうなると「魅了」の魔法が自動発動しちゃうの」
いまにも飛びかからんとするアラクネに、アロアはそう言うと軽く腕を振るう。
「ギッ!?」
強い衝撃にアラクネは弾き飛ばされ、洞窟の壁にぶつかる。
アロアの魔法によって、ひっくり返って仰向けになったアラクネに、アロアは早足で近づく。
「ギャッ!!!」
生殖孔から飛び出たアラクネの触肢に女の手が包み込む。
敏感な箇所を触れられ、アラクネは身を強ばらせた。
「綺麗なピンク色……もー、久しぶりだから……我慢できない……」
アラクネの腹部にまたがると、アロアは自ら秘所を広げて、その先を添える。
その秘所はすでに蜜をあふれさせ、艶かしく指を濡らしていた。

「いただきます」

その一言と共に、アラクネは、初めて捕食される側に立たされた―――
0203蜘蛛と女商人2014/09/19(金) 00:33:35.92ID:nz4ONKZd
「!!!!ーーーーーっ!!」
アラクネは初めての性行為にその体を震わせていた。
自分の腹部にまたがり、生殖器を「飲み込んだ」のは先ほどの女だ。
アロアは、ソファほどもあろうかというアラクネの蜘蛛の腹部に向かい合って座り込んでいた。
アラクネの柔らかで敏感なその箇所を、穏やかな女の内部とは思えぬほど責め立てる。
きゅうきゅうに締め上げたかと思えば、肉壁が脈動するように蠢き、あと少しというところで……
「ギッ!!!」
わざと動きを止められて、女の腰使いで焦らされる。
そんなことを数度繰り返され、とうとう大きくアラクネの腹部が膨れ、生殖孔より後ろの糸疣から音たてて糸が飛び出した。
「あら、ごめんね、いじわるが過ぎちゃったかな?」
くいっと、アロアが腰を動かすと、アラクネは声にならない声を上げて射精した。
生まれて初めての射精に、アラクネの体が大きく揺れる。
「アッ!アッ!ウアア!」
何が起こっているのか正直分かっていないアラクネは八つの目でアロアを見る。
白く柔らかな肉、乱れた金髪、色香を匂わすその仕草、そして慈母のような微笑み。
それらとは正反対の快楽責めに、アラクネは目を白黒させる。
「!?!!!ギッ…!」
アロアが「飲み込んでいる」部分から何か、暖かいものがアラクネの生殖器を包む。
蜜のような愛液は、接合部から溢れ、アラクネの腹部を濡らす。

「あ、おっきくなってきたね」
己の内部で熱く固くなってきたアラクネの生殖器にアロアは甘い声を出す。
腰を動かせば、アラクネの喜びの悲鳴が洞窟に響く。
「もう、意地悪してる余裕もなくなっちゃった」
目にハートでも浮かんでいるように、蕩けた顔でアロアは腰を動かす。
「沢山、出してね?」
二発目を射精させようとアロアは腰を激しく動かす。
アラクネの声にならない悲鳴は、やがて荒い息に、そして、時折呻き声を漏らすだけになっていく。
「言っとくけど、私、最低2桁はイカないと満足しないから」
その言葉を聞いて、アラクネの八つ目が潤み出してきたのは気のせいだろう。
「ほら、一緒にイこうねー」
くるりと体を丸ませているアラクネに、アロアは体を預けて尻を動かす。
「ギァッ!ギヒャッ!!」
アラクネは悲鳴のように喘ぎ声をあげつつ、アロアのそのもっちりとした白い臀部に、アラクネは甲殻質の足で押さえる。
そして、また、その恐ろしい捕食者に精を放つのであった。
0204蜘蛛と女商人2014/09/19(金) 00:35:57.54ID:nz4ONKZd
―――洞窟内に交尾の音が響き始めてから、どれぐらいの時間が経過したのだろう
「ーー!ーー!ーー!」
息を吸う、吐く、そして快楽に負けて射精する。もう回数を数えることも出来ない。
とうとうアラクネは精根尽き果てたとばかりに、脱力する。
「あら、もう飽きちゃった?じゃあ、別の遊びをしましょうか?」
ゆっくりと腰を浮かせると、ごぽりと下劣な音を立ててアラクネの生殖器がアロアの膣から抜かれる。
そして蜘蛛部分の力尽きた生殖器が、ゆるゆると生殖孔にしぼむように引っ込んでいった。
アロアは内部に吐き出された白濁液を、太ももに垂らしながらアラクネの腹から降りる。
歩くたびにどぷっ!と白濁液があふれる様が下品としか言い様がない。
「何か道具が荷物にあったかしら……荷物……?」
ハッ!とアロアはようやく正気を取り戻す。
「あ、あぁぁ――……あー……ひさびさにやらかしたなぁ……」
ごくまれに、ボーイフレンド相手にやらかしたときは、決まって別れを告げられたものだ。
曰く、「君の相手をしていたらいつか死ぬ」と、真面目に言われて。
ちらりと見てみれば、アラクネの腹部の膨らみは半分以下になっており、いくつか糸が出た痕跡もあった。

「アラクネ相手にはしゃぎすぎでしょう……私……」

さすがに腹上死させてしまうのは目覚めが悪い。
アロアは少し考える。
雄のアラクネ、ふむ、友人のカミラなら何か良い使い道を思いつくかもしれない。
「えーと、この薬と……干し肉は食べれるかしら……あ、蜂蜜もあったわね」
アロアは全裸のまま、体力が尽きかけているアラクネの世話の用意を始める。
それでもついつい、悪戯心が湧いてアラクネの生殖孔に触れてしまう。
スリットをなぞれば、びくん!と大きくアラクネの体が震え、嗜虐心がそそられる。
「回復魔法かけてもいいけど、それで私がまた魔力補給のために精力搾り取ったら……意味ないわねぇ……」
仰向けになっているアラクネの口元に、蜂蜜を入れてやろうとすれば、腕を掴まれた。
また毒牙で刺されるかと思えば、アラクネはキィー、キィーと甘えるような声を出してアロアに擦り寄る。
「あら、気持ちよかったの?それは良かったわ。大抵、私とシた後の男ってミイラみたいになっちゃうから」
初めは甘えるような声を出していたアラクネだが、段々息が荒くなり、またも興奮状態に入ったようだった。
「困るわぁ、私もそんな風にされると、我慢できなくなっちゃうんだけどなぁ」
アロアは自らの乳房に蜂蜜を垂らす。豊かな乳房の間で黄金色の液体をぬちゃぬちゃと挟んで見せる。
「上手に舐められるかな?」
また、アロアはアラクネに跨るとその乳房を彼の顔の前につきだしてやった。
アラクネはアロアを抱きすくめて牙でその肌を引っかきながらも、蜂蜜を舐め始めた。
全て舐め終わる頃には、アラクネの生殖孔から、はちきれんばかりの生殖器が飛び出ていることだろう。
「もうちょっとだけ、遊びましょうねぇ」
その言葉に、コクコクと大きく頷いて蜂蜜を舐め続けるアラクネに、アロアは舌なめずりをし、下の口からさらに涎を垂らすのであった。
0205蜘蛛と女商人2014/09/19(金) 00:38:14.86ID:nz4ONKZd
―――――
とある森の、女魔術師カミラの隠れ家にてーーー
「サキュバスのハーフ?」
「そうだ、アロアは魔法使いの父とサキュバスの母との半人半魔だ」
アロアの友人にして、傲慢、高飛車、陰気という典型的な女魔術師カミラはそう語る。
「そのせいで魔力は一流だが、王立魔術団から弾かれたし、本人もなるべく一箇所には留まらないよう、旅商人になった」
「魔術団からはじかれたのは、半魔だからってのはわかるが……もう一つは?」
カミラと同居している、青い肌の一つ目巨人…サイクロプスのトルトニスは疑問を口にする。
「普段は抑えているが、やはり男を狂わす魅了の魔法が常に出るらしい。微量だがな。
だから、一箇所に長く滞在すると雄がアロアに惚れちまうんだよ」
学院時代は大変だったぞ……サキュバスってだけで男どもがはしゃぐしなと、カミラが吐き捨てる。
「一定周期でサキュバスの血が強く出るって聞いたな。まー、発情期みたいなもんだろ」
「そうなのよー、そんな時にこの子と出会っちゃってねー」
隠れ家に商売に来たアロアが、なんてことのないように語る。
「この子」こと、雄のアラクネがアロアの後ろで物珍しそうにキョロキョロを周囲を見回している。
「……で、うまく懐かせたってことか」
その家の主であるカミラは、アロアの後ろの雄のアラクネを見やる。
「懐くと可愛いわよー。大抵の男は暴走した私と「した」後は怯えるか、逃げるかなんだけど……
この子、またおねだりしてきて。そこがまた可愛くて……」
うふふふーと笑うアロアに、カミラはへいへいと軽く流す。
「名前はね、オニキスにしたの。ほら、この八つのお目目が黒瑪瑙みたいでキレイでしょう?」
「惚気はいいから、商談を始めようぜ……」
「あらー、カミラも惚気けてくれていいのよー?」
「惚気けないからな!」

二人のやりとりをオニキスは小首を傾げて眺め、ト二トルスはニヤニヤとしながら眺める。

「で、オニキスでうまく商売できないかしら?」
「無理だろうな。雌のアラクネは愛好者が多いが……アラクネ自体はそう珍しくないしな。糸も結構流通してるし
特にアラクネ愛好者は男が多いから、雄のアラクネはなー……」
「あらー、残念。じゃあしばらく私のお手伝いしてねーオニキス」
少しも残念に思っていない声音で、後ろにいるオニキスに振り返ると、アロアはその硬い甲殻に覆われた顔に何度もキスをする。
拙いしゃべりで、オニキスも「あろあ、あろあ」と嬉しそうに彼女の名を呼ぶ。
「いちゃつくなら帰れ!」
「何よぅ、この間、目の前でト二トルスさんと交尾して見せつけたくせにぃ」
「っーーー!!」
「冗談冗談、はい、この間注文受けた品」
「あろあ、これも、これも」
オニキスが商品をアロアに手渡す。立派に商人の護衛、荷物持ちとしての手伝いは出来ているようだ。
「そうそう、ありがと。オニキスはいい子ねー」
また、オニキスの頬にキスをするアロアに、見てられないとばかりにカミラは大きくため息をついたのだった。

終わり
0206蜘蛛と女商人2014/09/19(金) 00:39:35.46ID:nz4ONKZd
投下終了。ありがとうございました。
0211名無しさん@ピンキー2014/11/05(水) 21:19:57.48ID:GmpbIy98
もうハロウィン過ぎたけど、人外キャラにハロウィンっておいしいイベントだよね
0212名無しさん@ピンキー2014/11/06(木) 00:15:21.73ID:XcyUehAa
「うっわすっごーい、これ一品モノ?
超良く出来てるんだけど!
手触りも化繊とかじゃなくて何か妙にあったかいしヌメってしてるし
えーとこれマジなにこれ」な展開ですね
0213名無しさん@ピンキー2014/11/07(金) 01:05:20.56ID:awA/eQIM
アカデミアのカエル娘がぬるぬるでエロくて勃起する
0216名無しさん@ピンキー2014/11/21(金) 13:42:49.45ID:lCIZiSao
美女と野獣見てきた。
美術すごくてそれだけで見る価値あるけど、
萌えはそこまでじゃなかったかな……
世界観を楽しむ映画な気がする
0217名無しさん@ピンキー2014/11/21(金) 23:17:11.56ID:0XTUZH4I
元々人間だし最後は人間に戻るし
あれは人外と人間のラブストーリーではないから
人外萌えを考えると微妙
0218名無しさん@ピンキー2014/11/23(日) 17:08:20.37ID:bJoYA4GG
一番肝心なエロが無いだろw

野獣の仔を孕め!と
引き裂かれたドレスの隙間に
野獣の剛直が貫いていたなら該当
0220羊娘のお正月1/19 ◆vpePLp7Z/o 2014/12/17(水) 02:21:14.07ID:MDm2Ni8M
空気読まなくてすまない。
どうしても干支という話題を皆が覚えているうちに書きたかったんだ……
そういう訳で、人間男×羊獣人女。濡れ場は9〜11辺りです。
NGは「羊娘のお正月」で。

**

駅の混雑を抜け振り返ると、案の定彼女はいなかった。
さすがにもう慌てず、携帯を取り出す。
「今どこにいるの」
「……わかんない」
スピーカーの向こうから、泣きそうな声が帰ってくる。
「建物の中?」
「建物の中」
「上の方に案内板はない?」
「あるけど、漢字が多くてわかんない」
「落ち着いて。英語でも書いてあったりしない?」
「あ、書いてある。ええと『西口改札』ってあって……」
そんな風にいくつもの質問を重ね、彼女に辿りついたのは二十分後だった。
いつもと同じように、彼女は潤んだ目で僕を見上げてきた。
「ごめんなさい」
「大丈夫だよ。すぐ会えたじゃないか」
「人が多くて、何がなんだかわからなくなっちゃって……癖、直そうと思ってるのに」
僕は言いつのる彼女の頭を撫でる。指がやわらかな白い巻き毛に沈んだ。

「ママー、ぼくもあのフワフワさわりたい」
「こ、こら、ダメよ」
彼女を指さす幼児とそれに慌てる母親、これも彼女の『迷子』同様、よくあることだ。
「平気ですよ。さわっていいからね」
彼女はすぐに笑顔を浮かべ、幼児の前で腰を屈める。
きゃあきゃあ声を上げて彼女の髪を掻き回す幼児。
それをおろおろ見守る母親と目が合った。
「どうも、すみません」
「いえ、あいつ子供好きですから」
「奥様、ですか?」
「ええ」
「日本語お上手ですね」
「もともと、日本語の通訳だったんですよ。仕事で向こうの国に行ったときに知り合って」
こうして見ず知らずの他人に彼女との馴れ初めを話すのもいつも通り。
外国の旅番組でしか見ることのない彼女の姿は、いつも周囲の詮索を呼ぶ。

頭をおおう白い巻き毛
左右のこめかみから生えるねじれた角
にこ毛の生えたとがった耳
つま先立っているように見えるひづめのついた足

彼女は高原の少数民族「羊人」だ。
0221羊娘のお正月2/19 ◆vpePLp7Z/o 2014/12/17(水) 02:26:31.10ID:MDm2Ni8M
「ねえ、つのにもさわっていい?」
「いいよ」
幼児のちいさな指が、彼女の角をなぞる。
「こうするとくすぐったい?」
「そんなでもないかな」
いつものこと、ではあるのだが、
彼女が赤の他人にいじりまわされているのは、正直おもしろくない。
相手は就学年齢にも達していない幼児だ。
大人げないとはわかっているが、
朝、寝覚めのキスをするようなときに撫でる場所を他人にさわられるのはいやだ。
彼女の方はそんなこと、気にもとめていないようだが。
「おねえちゃんは『羊人』?」
「うん、そうだよ」
「『羊人』は自分の毛皮があるから服を着ないってほんと? 
そのコートの下ってはだかなの?」

この質問も初めてではないのだが、彼女は前と同じく真っ赤になり、
悪ガキは謝る母親に引きずられて離れていった。

ガキ(もう幼児とは呼ばない)がいなくなってから彼女は僕にささやきかける。
「私ってやっぱり、服を着てないように見えるのかな」
「まさか。みんな羊人をよく知らないだけだよ」
僕は彼女を上から下まで眺める。
ひづめに合う靴はないので裸足だが、くるぶしはレッグウォーマーに覆われている。
その足の大部分はロングスカートで隠されていた。
上はコート。その下には薄手のセーターを着ていることだって知っている。
でもまあ
たっぷりつきだした乳房や丸い尻肉は衣装の下からでも自己主張しており、
見た人間がその下の裸を想像するには十分だ。
「ぜんぜん裸じゃない。ふつうの人に見えるよ」
僕がそうなぐさめても、彼女はだいたい三十分くらいは納得してくれないのが常だった。

数時間後

僕はその日二度目の迷子となった彼女に電話をかけていた。
目の前を流れる人波を眺めながら、無謀だったかなと後悔する。
日本の年末らしい風景を見せてあげたいとアメ横まで来てみたが、
彼女には刺激が強すぎたらしい。
その上、羊人には「群の流れに沿って移動する」という癖がある。
遊牧を営み、何千年も羊の群と草原をさまよい歩いてきた彼らの習性だ。
今日だけでなく、日本に来てから何度も何度も彼女は人波に流されつづけていた。
0222羊娘のお正月3/19 ◆vpePLp7Z/o 2014/12/17(水) 02:32:27.35ID:MDm2Ni8M
人波を眺めながら、
彼女の国の首都だって、こんな人口密度になることはなかったな、と思い返す。
いや、今ここにいる人数だけで彼女の国の人口より多いかもしれない。
空港を一歩出れば、見渡す限り広がる草原、彼方にかすむ山脈、
そして僕の会社名が書かれたボードを持ち待っていてくれた彼女。

電話がつながった。
彼女の泣きそうな声に応じながら、
僕は彼女をここに連れてきてはいけなかったのではないか、とかすかに考えた。


自宅の玄関に、ぱんぱんに膨れたエコバッグを置くと、彼女は大きく息をついた。
「疲れた?」
「ぜんぜん。でもおなかいっぱいで夕ご飯食べられないかも。
あのニンギョヤキ? いっぱいもらっちゃったから」
迷子になっている間、
彼女は羊人を珍しがる中年女性の群に捕獲され、大量の和菓子を与えられていた。
彼女は子供にも人気だが、妙に年輩の女性に好かれるところがある。
僕の母親も「めえちゃん」と呼んでかわいがっていた。
「今年はめえちゃんを連れてきてね」
母親の声が耳の奥に蘇り、僕は頭を振って打ち消す。

彼女は僕の方を見ずに、エコバッグの中身を冷蔵庫に詰めていたが、ふと口を開いた。
「今年はいつおうちに帰るの?」
考えていたことを言い当てられたようで、一瞬うろたえる。
そのため、少し荒い口調になった。
「説明しただろ。今年は仕事が忙しくて行けないって。大晦日だって仕事はあるんだよ」
「でも、お正月をすぎたらお休みがとれるでしょう? 
新幹線の切符、早く買った方がいいんじゃない?」
「そんなの、そのときになったらすぐ取れるよ」
「ねえ」
彼女は僕の肩をつかみ、強引に振り向かせる。
「本当は、私のせいで帰らないんじゃないの? 私が変なこと、言ったから」
「違う」
「私が羊人で、変なことをしてしまうかもしれないから」
「これ以上言ったら、怒るよ」
僕がにらみつけると、彼女はうつむいたまま背を向けた。
「……ごめんなさい」
ぽつんと言ってから、彼女はアメ横の戦利品を冷蔵庫に詰める作業に戻る。
僕はその背中を見つめながら、うまく言葉にできない思いをもてあそんでいた。
彼女がピントのずれた言動をするからじゃない。
僕の両親や親戚に苦笑いされるのがいやなんじゃない。
ただ、僕のものにしておきたい。
ほかの誰かのものにもできる、という可能性を、誰にも気づいてほしくないだけなのだ。
0223羊娘のお正月4/19 ◆vpePLp7Z/o 2014/12/17(水) 02:37:06.29ID:MDm2Ni8M
今年の八月。まだ僕と彼女が結婚したばかりで、日本に帰国したばかりのころ。
僕は彼女を連れ、意気揚々と帰省した。
本音を言えば、美人でかわいい嫁を見せびらかしたいという気持ちもあったと思う。
僕の家は田舎の旧家というやつで、やたらに広い住居とやたらに多い親戚がいる。
その親戚たちと家の広間でどんちゃん騒ぎをするのが、いつものことだった。
それでも年寄りが多いので十時くらいにはお開きになり、
泊まるものは別室に寝床を作り、家が近いものは帰っていく。
今年もそうで、そろそろ別室にお布団をしきましょう、
羊のお嫁さんも手伝って、と言われたとき、彼女はこう答えた。
『えっ、ここでみんなで寝るんじゃないんですか?』
周囲の親戚たちは笑い、
僕は『羊人は大きな天幕でみんな一緒に寝る習慣だから』とフォローした。

ただそれだけの話だ。
僕の両親や、親戚たちにとっては。

僕と彼女も自室にひっこむ。
自活するまで使っていた部屋だが、
真ん中に大きな布団と二つ並んだ枕が置かれると、なんともむずがゆい気持ちになる。
僕が感慨にひたっている間も、彼女は落ち着かない様子で部屋の外に視線を泳がせていた。
「本当に一緒に寝なくていいのかな」
「いいんだよ」
彼女がなにを気にしているのかわからない僕は適当な返事をした。
「あとで怒られたりしない?」
「そんなことないって」
「あそこの嫁は気がきかないって言われたりしないかしら」
そう言っている彼女の顔は妙に赤く染まっていた。
座っていても腰は落ちつかなげにくねり、浴衣の下で胸がたゆんと揺れる。
「あのね、勘違いしないでほしいんだけど」
「うん」
「私が『それ』を、したいってわけじゃないの。あなたが一番に決まっているでしょう」
「うん」
「でも、おつきあいって大事だし、嫁いでくるときも両親に、粗相をしないように、
わがままを言わないように、って言われたし」
「うん」
僕はまったく意味がわからないまま相づちをうっていた。
しこたま飲み食いして眠くなっており、考えるのが面倒くさかったのだ。
「こういうとき、まず、あなたの義父さまのところから行ったほうがいいのかな。
それとも一番お年を召した方から?」
彼女がそう言いながら襟をゆるめるのを見て初めて、なにかが食い違っていると気づいた。
0224羊娘のお正月5/19 ◆vpePLp7Z/o 2014/12/17(水) 02:42:11.03ID:MDm2Ni8M
羊人は移動式の巨大な天幕で、二十〜三十人単位で生活している。
仕切などはなく、老若男女が雑魚寝だ。
僕も泊めてもらったことがあるが、
誰ともしらない人間(朝になってから気づいたが、僕は彼女の祖父母にはさまれていた)
の体温と体臭に包まれ、無数の寝息といびきを耳にしながら眠るのは難しいものだった。
真っ暗闇の中、空気自体がねっとりとした質感を持ち、
巨大生物の内臓に飲みこまれた気分だったと記憶している。
そう、あのときだって気づいていた。
あの無数の寝息の中に嬌声が混じっていることも、
天幕の空気に馴染み深い生臭さが含まれていることにもだ。
「よくまあこんな人だらけのところで出来るな」と僕はあきれ、
その次に「いやいや、これが彼らの風習なのだから、馬鹿にしてはいけないな」と反省し、
最後に彼女と僕がここでそうするところを想像した。
彼女と、彼女の両親や祖父母や弟妹が眠る横で、獣のように交わるさまを。
一晩中そんなことを考えていた僕の股間は、彼女の祖父の尻に押しつけられていたらしく、
翌朝の彼は明らかに引いた様子だった。
帰国までに誤解をといておきたかったのだが、
羊人語しかわからない彼に説明する言葉を持たず、彼女に通訳してもらう訳にもいかず、
結局そのままになってしまった。
心残りの一つだ。
もっとも、この晩の体験は僕にとって「めずらしい土産話の一つ」でしかなかった。
このときまでは。

「こういうときは、父さんからだ。廊下の突き当たりが父さんの部屋だよ」

そして僕はそんなことを言ってしまった。
口にしながら、これはきっと勘違いで、
そう言ったところでなにがおこるわけでもないのだ、と自分に言い聞かせていた。
彼女はほっとしたような笑顔になり、浴衣の帯を解く。
全身に生えた白い縮れ毛は汗に濡れ、甘い匂いを放っていた。
「あなたも、はやく、ぬいで」
そう言って僕の帯に手をかける彼女の胸に、僕は顔をうずめた。
口の中に彼女の乳首と、汗と、じゃりじゃりした毛の感触を感じながら、
僕は彼女の甘い声を遠くから響いてくるように感じていた。
0225羊娘のお正月6/19 ◆vpePLp7Z/o 2014/12/17(水) 02:47:20.57ID:MDm2Ni8M
彼女の中で果ててから、僕はあえて彼女と距離をとり、背を向けて眠ったふりをした。
そんなに気になるのなら、しがみついて離さなければいいのだ、とわかってはいる。
だがそうすると、彼女が離れていくと認めるようで、どうしても抵抗があった。
それにもし、彼女が僕の腕をふりほどいたらと思うと、
僕の豆腐よりやわな心臓はつぶれそうだった。
彼女は僕から離れたりしない。
僕が想像したのは、くだらない邪推なのだ。

掛け布団が一瞬軽くなり、その前よりも重量を増して僕を押しつぶす。
僕と一緒に掛け布団を支えていた彼女の身体が、そこから抜け出た証だ。
背を向けたまま耳をすます。
身繕いをしている気配があり、やがて静かにふすまが開かれる。
廊下の明かりが部屋に差しこみ、僕の上に彼女の影を落とした。
静かにふすまが閉じられ、部屋はまた闇に包まれる。

僕は布団の上に起き上がり、また耳をすませる。
板張りの廊下を少しずつ遠ざかっていく気配がある。
やがて足音はとまり、がたっという音が聞こえた。
突き当たりの木戸の音だ。他の部屋はふすまなので、こんな音をたてたりしない。
木戸はたてつけが悪く、開けるのにこつがいる。
また、がたがたと音がする。開けられないようだ。
僕は立ち上がって身繕いをし、静かにふすまを開けた。そっと廊下をうかがう。
はたして、突き当たりに彼女がいた。
木戸に集中していて、僕にまるで気づいていない。
僕はそっと足音をひそめて背後に近づいた。
桃色に染まった耳と、おくれ毛の張り付いたうなじが見えるほどの距離で、
やっと彼女は気づく。

「あ、あの」
「その戸、開けるにはこつがいるんだ。開けてあげるよ」
「だ、だめ」
彼女は声をひそめて囁きかける。
「おねがい、帰って」
「どうして?」
僕は唇をいやらしくつり上げて笑う。
「僕に見られて困ることでも、するつもりなの?」
彼女はこわばった顔で僕を見返した。
「ねえ、もしかして、日本では……」
僕はそれに答えず、彼女の身体ごしに手を伸ばして木戸を開ける。
すうっと涼しい風が戸口から吹きこんだ。
ほかにも、いろいろなものが入ってくる。
虫の声、草のにおい、月の光。
0226羊娘のお正月7/19 ◆vpePLp7Z/o 2014/12/17(水) 02:53:25.86ID:MDm2Ni8M
「うそをついたんだ」
僕は彼女を突き飛ばした。
彼女はたたらを踏んで戸口を越え、土の上に手をつく。
僕は戸口、すなわち裏口の前にそろえられていたサンダルを履き、彼女に歩み寄る。
「父さんの部屋は別の場所だよ。そこで母さんと寝てる。
日本では夫は妻以外と寝ないし、妻も絶対に夫以外とは寝ない」
「ゆるして」
僕を見上げる彼女の目にはきらきらした涙がたまっていた。
「知らなかったの。こうするのがあなたのためだと思ってたから、わたし」
「きみはなにも悪いことをしていないよ」
僕はいつものように、彼女のふわふわした頭を撫でた。
それから、その場で彼女の浴衣を剥いで犯した。

この一件で彼女との関係が壊れたというわけではない。
乱暴なことをしたのも、あの夜だけだ。
端から見れば理想の新婚夫婦に見えるだろう。
僕の母など「仲がいいのもいいけど、少しはひかえめにしなさいよ」と注意するくらいだ。
でもお互い、他人に見えない部分にざっくりとした傷がついているとわかっている。
屈託のなかった彼女はすっかり臆病になり、
ふつうの日本人らしい行動にこだわるようになった。
僕の方は彼女に対する独占欲が日増しに強くなっているのを感じる。
本当は、彼女と外出なんかしたくない。
他人と親しく話して欲しくないし、ずっと部屋にとじこめておきたい。
自分の異常さに気づいているから、
あえて逆のことをしようと努めているが、いつまで持つかはわからない。
パートナーを束縛したり暴力をふるったりするような男なんて、
自分とは別の生き物だと思えていた昔が懐かしい。
来年には、僕もそいつらの仲間入りをしているかもしれないのだ。
0227羊娘のお正月8/19 ◆vpePLp7Z/o 2014/12/17(水) 02:56:52.79ID:MDm2Ni8M
**

シャワーの音で目を覚ました。
ソファでねころんでいる間に眠ってしまったらしく、身体には毛布がかけられている。
彼女の毛で編まれた手作り毛布だ。
僕はぼんやりした頭を振っておきあがり、彼女の名前を呼んだ。
「起きたの?」
風呂場の扉ごしに声がかえってくる。
「一緒に入ってもいいかい?」
かすかな間があった。
「今、ちょっと、毛を剃っているから」
「先月剃ったばかりじゃないか」
「寒いとすぐ伸びてきちゃうの。それに、コートを着てると暑いし」
「また風邪をひくよ」

先月剃ったとき彼女はひどい風邪をひいてしまった。
冬なんだから剃ることはない、と言っているのだが、
彼女はなんのかのと理由をつけて剃ろうとする。
太って見えて恥ずかしいとか、毛が多いと掃除が大変とか、だ。
でも、僕の実家に行くまで、彼女はそんなことを気にもしていなかった。
水着だって毛の上から着ていたくらいだ。
それなりに布地の少ない水着だったのだが、
もこもこした体毛のせいでさっぱりいやらしくならなかった。
あの夜から、彼女は自分の中の羊人を殺そうとしているように思う。

「手伝ってあげようか?」
僕の声に対し、また少し間があった。
「一人で大丈夫だから」
「背中とか、うまく剃れるかい?」
「平気」
「手伝うよ」
「……じゃあ、おねがい」
0228羊娘のお正月9/19 ◆vpePLp7Z/o 2014/12/17(水) 02:59:29.18ID:MDm2Ni8M
できるだけゆっくり扉を開けたつもりだったが、
白くてふわふわの毛が舞い上がり、風呂場の外へ流れ出す。
踏み出した足が踏みしめるのも、ふわふわの毛だ。
僕はすべらないように気をつけて彼女に近づく。
毛がたまった層の下はビニールシートだ。
毛をそのまま流したのでは、すぐ排水口が詰まってしまうので、
僕たちは風呂場のタイルにビニールを敷き、その上で毛を刈ることにしていた。
「前の方は、もう刈っちゃったから」
という彼女は片手で胸を隠している。
言葉通り乳房や腹部分は毛がなく、つるんとした地肌をのぞかせていた。
肝心な部分がすべて丸だしの格好は、いかがわしい衣装を着せられているようにも見える。
短いしっぽがぱたぱたと水滴を払いながら振られているのも、どこか誘っているようだ。

「背中の方、せっけんは塗ったのかい?」
「いちおう。泡立ってない?」
「ちょっと、泡立ちがたりない感じだ」
僕はそう言いながら彼女の背に手を当てた。
指に湿った毛とボディソープのぬめりが絡みつく。
「もう少し、泡立ててから剃るよ」
「……うん」
僕は毛に差し入れた指をゆっくり動かし始めた。
肩胛骨をなぞるように大きく楕円を描きながら、爪が素肌にかからないよう気をつける。
僕の前で彼女の耳はぺったりと寝て、かすかにふるえていた。
白い毛が薄く生えた耳は血管が浮き、桃色に染まっている。
短い毛に落ちた水滴は丸まり、耳を飾るアクセサリのようだ。
僕はそっと舌をのばし、水滴の一つを舐めとる。
彼女の身体が跳ね、毛のかたまりが宙に舞った。
「だめ。まじめにやってくれないと、怒るから」
「ごめんごめん」
僕はそう反省もせず手を動かし続ける。
僕たちの前には鏡があり、若干くもってはいるものの、
彼女のとろけた目やぽっちりと自己主張する乳首をはっきり見てとることができたからだ。
鏡の向こうの乳房をもみあげるつもりで、背中にふわふわと泡を盛り上げる。
胸も自分に剃らせてくれればよかったのに、と理不尽な不満がこみあげ、
こうなれば絶対触ってやるもんか、とさらに理不尽なことを思う。
自分の両手をぎゅっとかかえ、赤い顔でうつむいた彼女が、自分の口でねだるまでは、
絶対に「身体の前側」は触らない。
0229羊娘のお正月10/19 ◆vpePLp7Z/o 2014/12/17(水) 03:03:56.29ID:MDm2Ni8M
結婚してから、友人に聞かれたものだ。
「下世話な話だけど『毛だらけ』」の相手と寝るのって抵抗ないのかい? 
ざらざらしてうっとうしくない?」
正直、最初はとまどった。
独特の触感に慣れなかったというのもあるが、
着衣の相手としているみたいだと感じたからだ。
こっちは全てさらけだしているのに、向こうとは毛皮一枚へだてられ、
いくら探っても本体にたどりつけない感覚。
今でもその感覚はあるが、また別のことを考えるようになった。
毛皮にとじこめられ悶える彼女に、指を差し入れ愛撫するも、
表面だけ撫でてじらすのもこちら次第、という考え方だ。
けばだった胸の毛で乳首をくるんでこすりあげるのも楽しいが、
あえて手をふれず期待に膨らませるのも楽しい。

「……んぁ」
「そろそろ、剃ろうか。首のまわりは残しておく?」
「……え? あ、そ、剃っちゃって。服、着辛いから」
やっと我にかえった彼女のうなじにシェーバーを当て、左手を彼女の肩に置く。
「じゃあ、遠慮なく」
何度も、撫でるようにシェーバーを動かすと、泡にまみれた毛の下から地肌があらわれる。
うなじから背骨に沿うように、しっぽの生える尻のくぼみまでを剃り落とした。
着ぐるみならここにチャックがあるんだろうな、と思いながら指でなぞる。
「や、やめ、くすぐったいよ」
「わざとじゃないよ」
もちろんわざとだ。
毛を失った直後の肌は極端に感じやすく、それがおもしろくて手を出してしまう。
「ここからどう剃るか考えててさ。うん、やっぱり腋かな。ばんざいして」
「う、うん」

僕はひざまずく彼女の背後で立ち上がり、彼女の両手首を左手でつかむ。
彼女はかすかに震えたが、抵抗はしなかった。
僕は左掌の中にある細い手首に、胸がざわつくような征服感を得ていた。
自分でもつまらないことを考えていると、わかってはいる。
だが、僕は彼女を所有したい。
他の誰にもできないことをさせ、誰も見たことのないところを見たい。
僕は狩りの獲物を吊す気持ちで彼女を吊し、毛皮を剥ぐ気持ちで刃を滑らせた。
頭の中ではなめらかに剃刀を動かしているつもりだが、
実際は電動シェーバーにすぎないので「なめらか」とはいかず、
刃はぶぶぶぶぶと蠅のような動作音をさせ毛を引っかけながら進んでいく。
0230羊娘のお正月11/19 ◆vpePLp7Z/o 2014/12/17(水) 03:10:19.63ID:MDm2Ni8M
右腋を剃り終わろうとしたころ、彼女が小さな声をあげた。
「痛くしたかい?」
「……ちょっとだけ」
右の二の腕が、かすかに赤く染まっている。
お湯をかけると、地肌についた小さな傷から赤い珠が盛り上がってくるのが見えた。
すっと頭の奥が冷え、それから罪悪感が頭を沸き立たせる。
こんな小さな傷、一日も立たず消えるような傷だ、と自分に言い聞かせるが、
それは心の傷口を押し広げるようなものだった。
僕は唸り続けるシェーバーを持ち、しばし固まる。
「ねえ」
そんな僕に、彼女は鏡の向こうから呼びかけた。
「なめて」
彼女は熱に浮かされたばら色の頬と、じんわりと潤んだ瞳で、言う。
「血がでたとこ、なめてくれると、うれしい」
「いいのかい」
「そうされると、きもち、いいから」
その後、目を伏せて続ける。
「でも、全部をするのは、全部を剃ったあとだよ。
全部剃って、ほんとに裸になったあとが、いい」
「そう」
僕は彼女の二の腕に唇をつけ、強く吸う。
腕の中で彼女の身体がびくびくと震え、
僕の下腹にちょうど当たっている彼女のしっぽが男性器のように硬くこわばる。
僕は自分自身を彼女のしっぽにこすりつけ、
こういうのも兜合わせと言うんだろうかと少しくだらないことを考えた。
そして、このあとの流れを夢想する。

彼女を床に這わせ、背中の毛を刈り取る。
一気には刈らず中途半端に残すのも好きだ。
その方が背中をつかみやすいし、
最中に縮れ毛を引っ張ったり指に絡めると彼女の「中」が引きつれたりするのが楽しい。
逆に尻はつるつるに剃りあげるつもりだ。
一般人の感性を捨て切れていないのを恥じる気持ちもあるが、
やっぱり女性の尻はつるんとしているのが好みだ。
足やしっぽの毛は残す。
そうすると尻がより「裸らしく」見えてそそる。
僕の前で無防備に揺れる尻に突き入れる。
彼女と僕の身体の下で、ふわふわの毛が精液と淫水で汚れていく。

それが僕と彼女の「毛刈り」の、いつもの流れだ。
0231 ◆vpePLp7Z/o 2014/12/17(水) 07:12:26.02ID:MDm2Ni8M
連投規制にひっかかったです……
本日夜に必ず続きを落とすので、ちょっと待ってて
0232羊娘のお正月12/19 ◆vpePLp7Z/o 2014/12/17(水) 21:19:46.13ID:MDm2Ni8M
ご迷惑おかけしました。
続きです。

**

さて、こうして刈られた毛だが、
基本的には「燃えるゴミ」として捨てられているはずである。
「はず」というのは、
「はず」なのに我が家には少なからぬ「彼女の毛製ニット」が存在しているからだ。
彼女の毛の靴下、彼女の毛の膝掛け、彼女の毛の布団カバー。
彼女は「自分一人のときに剃った毛だし、きちんと洗ってある毛だから汚くないよ」
と主張するし、既成品よりずっと暖かく肌触りもいい。
だがこうして「彼女の毛のマフラー」に鼻を埋めていると、
どこか彼女や僕の体臭を感じる。
だまされているんじゃないだろうか?

「毛刈り」に疲れ果てた僕は翌朝七時に叩き起こされた。
「大変! 寝坊しちゃった! 朝ご飯、食べる時間ある?」
大晦日くらいゆっくり寝かせてほしい、という言葉をあやうく飲み込む。
「会社は何時から? 休日出勤も普段の日と同じなの?」
「……普段よりはゆっくりで大丈夫だよ」
僕は彼女があわてて作ったこげ気味のスクランブルエッグを牛乳で流し込み、
今日は残業なしで帰れるよと言ってから軽くキスして玄関を出た。
早足でエレベーターに乗り込み、マンションを出ても歩調をゆるめず、
駅に着いたところでやっと息をつく。
ちょっと迷ったが「いつも通りにした方がいいだろう」と考えて改札を通り、
人のまばらなホームで電車を待つ。
そして平日よりもずっと空いた電車に乗り込み、席に座る。

がらがらの車両で彼女の毛のマフラーに鼻を埋める僕には、自虐的な笑みが浮かんでいる。
まったく「大晦日も仕事がある」なんてつまらない嘘をつくから、こんなことになるのだ。
どう時間をつぶしたものかな、と流れる景色を見ながら考える。
買い物でもすればいいが、まだふつうの店が空いていない時間帯だ。
喫茶店にでも入るしかないだろう。
ソファに座って、ゆっくり、あたたかいコーヒーが飲みたい。

そう思っているうちにうとうとして、目が覚めたときには一時間ちかく経っていた。
僕の懐で、携帯電話がぶぶぶぶと震える。
うしろめたいところがあるので僕はどきどきしながら取り出し、
着信の名前を見て安堵とも警戒ともいえない気持ちになる。
着信者は、僕の母だ。
手の中で震え続ける携帯をにらむが、おとなしくなる様子はない。
0233羊娘のお正月13/19 ◆vpePLp7Z/o 2014/12/17(水) 21:30:04.84ID:MDm2Ni8M
僕は周囲を見回し、小声で応えた。
「もしもし」
「まあ、なかなか出ないから、寝てると思った」
「今電車の中なんだよ」
「ちょっと相談したいことがあるのよ」
「今電車の中だから」
「人の話ちゃんと聞いてちょうだい。こまったことになったのよ。お父さんがね」
電車がトンネルに入った拍子なのか、携帯が切れた。
ほっとすると同時に、会話の内容が頭にひっかかる。
お父さんが、どうしたのだろう?
検査で悪いところが見つかったとか?
先週電話したときはそんな話出なかった。
それに、なんとなくではあるが、父の健康とは違う話のような気がする。
電話口の母の声が、不機嫌だったからだ。

トンネルを抜けると同時に、また電話がかかってきた。
今度の着信者は父だった。
僕が再び電話に出ると、向かいに座る会社員風の男がとがめるような視線を投げてきた。

「おう、今どこにいると思う?」
「あのさ、今電車の中だから」
「おまえが今どこにいるかは聞いとらん」
「酔ってない?」
「今朝はもう飲んどらんぞ」
ため息をつく。
「母さんから電話があったよ。これ以上怒られる前に帰ったら」
「しかし、帰るのは簡単じゃなかろうしなあ。
タクシー代ももうないし、新幹線もとれんだろうし」
「ほんとにどこにいるの?」
「おまえん家の前だが」
「はあ!?」
向かいの乗客が今度こそとがった視線を投げてくるのを、僕は頭を下げてやり過ごした。
「おまえ出かけてんのかい。じゃあ、嫁さんに電話して開けてもらうわ」
「ちょっと待っ」
切られた。
携帯を持って立ち上がる僕を、向かいの乗客は不審者を見る目で見ていた。

次の駅で降りて、反対方向のホームに立ってから、
自分はなにをしているのだろうと考えこんだ。
『自分の留守中、父が自宅を訪ねてくる』
そうおかしいことでもないはずだ。
父はよく言えば豪放、悪く言えば自分勝手なところがあり、
母とけんかになることも初めてではない。
神経質な母と対するのが面倒なのか、
父はそういうとき雲隠れをし、友人宅や子供たちの家に押し掛けたりする。
僕自身、そんな風にして上京してきた父を泊めたことがあった。
だが、それは独身時代の話だ。
0234羊娘のお正月14/19 ◆vpePLp7Z/o 2014/12/17(水) 21:40:42.05ID:MDm2Ni8M
僕は思いだして母に電話をかけた。
「なんで電話切るのよ」
「切ったんじゃない。切れたんだよ」
不機嫌な母の声に不機嫌に返す。
「で、父さんがどうしたの?」
「まったく。帰ってこないのよ。大晦日だっていうのに」
「けんかしたの?」
「けんかですって!?」
裏返った声に、おもわずスピーカーを遠ざける。
それから二本、到着した電車を見送って母の話に耳をかたむけて、
僕は両親の状況を頭に入れることができた。
「まさか東京まで行ってはいないと思うけど、
あんたのところに来たらすぐに叩き出してね」
というのが、母の捨て台詞だった。
父の電話の件を伝え忘れた、と気づいたのは電話を切ったあとだ。
伝えるべきだとわかってはいるが、母の怒りに油を注ぐ気になれない。
だいたいなんで僕が、こんな苦労をしなきゃいけないんだ?
今、彼女の元に父がいるかどうかという重大な問題を抱える僕が、だ!

落ち着こう。

さっきも繰り返し考えたが、
僕の家に父が来ること自体は変わったことでも間違ったことでもない。
仮に父と彼女が一緒に居たからといって、
僕が妄想するようなことが起こるとはとても思えない。
たとえ父が、
『年末になってキャバクラに多額のつけがあることが判明し、
その上カルチャーセンターで知り合った女性と親密なメールを交わしている』
男だとしても、息子の嫁と間違いはおかさないだろう。
そこまで向こう見ずな人間ではないはずだ。
でも、でもだ。

僕はがらがらの車両で座りもせず、血走った目で流れる風景を眺めていた。
自宅マンションのロビーにたどり着くまで、
ほとんどなにも考えず、熱に浮かされていたように思う。
われに返ったのは、ロビーで声をかけられたときだ。
「なあ」
ロビーには無精ひげでよれよれのジャンパーを着た父が所在なげにたたずんでいる。
「本当のお義父さんかわからないから開けられないって言うんだよ。
そりゃあ盆に一回会ったきりだけど……おまえの嫁さん、ひどくないか?」
0235羊娘のお正月15/19 ◆vpePLp7Z/o 2014/12/17(水) 21:51:22.31ID:MDm2Ni8M
玄関のドアを開けても、彼女は出てこなかった。
それどころか、誰もいないかのように静まり返っている。
「帰ったよ」
返事はない。
「あのさ、父さんのことだけど」
台所をのぞいてみたが姿はなかった。
代わりに細切りにされた大量の大根とドライフルーツがある。
そういえば「おせちを作ってみたい」と言っていた。
これが彼女なりの「おせち」なのだろうか……無理はしなくてもいい、と言ったのだが。
まな板の上にまだ切られていない材料があるので、料理はまだ途中らしい。
「どこにいるんだい?」
返事はない。

僕はまずトイレのドアをノックしてみて、それからノブをひねる。
中には誰もいない。
寝室を開けてみるが、いない。
もちろんリビングにも人影はない。
風呂場も開けてみるが、いない。
ふと思いついてバスタブのふたを開けてみると大量の毛があってここか! と思うが、
よく見たら昨日刈った毛だった。
バスタブで漬け置き洗いしていたらしい。
やっぱり「ああいうこと」をした後の毛も洗って使っていたのか。
ちょっとショックだ。

だが、それはそれとして
彼女がみつからない。

もしかして本当に留守なんだろうか。
だがコートも財布がはいったバッグも置いてあるし、出かけたようには思えない。
それに玄関を通れば、父と鉢合わせしたはずだ。
いや、裏口を通ったのかもしれない。
僕は非常階段を降りて、この家から遠ざかっていく彼女を想像した。
なにもかも捨てて、僕から逃げていく彼女。
0236羊娘のお正月16/19 ◆vpePLp7Z/o 2014/12/17(水) 21:59:25.95ID:MDm2Ni8M
後から考えれば、僕はよほど動転していたのだと思う。
彼女が財布も持っていないと承知していたにも関わらず、
海を越えた故郷に帰ったと思いこんだのだから。
追いかけるしかない。
まず引き出しを開け、パスポートを出す。
それから荷造りだ。
僕は押入を開け、トランクを取り出す。

そしてトランクの隣に座っていた、彼女と目が合う。

「あの」
「ええと」
「ごめん」
「ごめんなさい」

思わず謝ってから、互いに「なんで謝ったんだろう」と顔を見合わせる。

「その……なにやってるの?」
「怒らない?」
「怒らないから」

彼女はしゅんと肩を落とし、ひざを抱える
「さっき、お義父さまが来たの」
「うん」
「でも、よく考えたらお義父さまに会ったのは一度だけだし、
そのときと様子も違うし、本当にこの人かなって」
「わかるよ」
お盆に会ったときの悠々とした恰好と、今日のよれよれ姿。
知らない人間が見たら、確かに同一人物か疑うところだ。
「『おれおれ詐欺』というのに気をつけなきゃ、って思ったし」
「うん。でもおれおれ詐欺というのは違うものかな。
そんなことで怒らないよ」
「ううん」
彼女は押入の奥に遠ざかるように身をよじる。
「でも本当は、お義父さまだってわかってた。
わからなかったのは、
お義父さまを迎え入れるのと、入れないの、
どっちがあなたが喜ぶことなのか、ってこと」
0237羊娘のお正月17/19 ◆vpePLp7Z/o 2014/12/17(水) 22:07:41.24ID:MDm2Ni8M
僕の家の押入はごく当たり前の奥行きしかないはずなのに、
彼女がすごく遠くにいるように思える。
「本当はしなきゃいけないこととか、逆にしちゃだめなこととか、
嫌われるかもって思うとわからなくなってしまう。
そう考えたら情けなくなって、
あなたから離れなきゃ、一人立ちしなきゃいけないのかな、って。
もしかしたら実家に帰った方かいいのかも、なんて馬鹿なこと考えて」
「で、押入を開けて」
「うん」
「トランクを出して」
「うん。どうしてわかったの?」
「いや、だってさ。そうじゃないと君が入るスペースないし」
「頭いいねえ」
「出したトランクはどこにやったのさ?」
「……」
「もしもし?」
「……宅配で空港に送っちゃった。どうしよう」
「……ま、まあ、取りに行けばいいよ! 送り返してもらえるかもしれないし!」
「送ってから馬鹿なことしたー、って気づいて、
なおさらどうしたらいいかわかんなくなって」

ますます押入の奥に遠ざかる彼女に、僕は手を伸ばす。
指先が、いつもの、ふわふわの頭に触れた。

「あのさ。僕もわりと、馬鹿みたいなことばかり考えているんだ。
君が僕だけのものじゃなきゃいやだとか、ほかの人と話すとむかつくとか、そういうこと。
だから」

そのあと、何と言おうとしたのかはよくおぼえていない。
僕の父が玄関をがんがん叩き「いいかげん中に入れてくれ、寒い」とがなり始めたからだ。
0238羊娘のお正月18/19 ◆vpePLp7Z/o 2014/12/17(水) 22:16:06.83ID:MDm2Ni8M
**

結局、僕たちは不本意ながら、父と大晦日を過ごすこととなった。
紅白歌合戦と両親の電話越しの夫婦喧嘩をBGMに年越しそばを食べ、
十二時になったらTVを消して、どこかわからない遠くから響く除夜の鐘に耳を澄ませた。
その後、おせち作りが間に合わない、とやっきになる彼女を手伝い、
言われるままに材料を刻んで鍋に放り込んだ。
やっぱり、僕が知っているおせちとはなんだか違うものを作っていた気がする。
そんなことをしている間に、夜があけた。

日が昇るほんの少し前、僕たちはベランダに出てみた。
外に出たことどころか生まれてきたことを後悔するくらいの寒さに固まる僕に、
彼女が身を寄せる。
いや、抱きしめて、暖めようとしてくれているのだ。
毛は剃ったはずだが、彼女の肩も胸も頬も、僕よりずっと熱かった。
冷たいのは、こめかみから生える角だけだ。
僕はその角を両手で包んで、あのときなにを言いたかったのか思いだそうとした。

「あのさ」
「なあに?」
「僕はわりと、馬鹿みたいなことを考えたり、したりする方なんだ。
去年はずっとそうだったり、今年も、そうかもしれない」
「馬鹿みたいなことって、会社があるって、嘘ついたり?」
「気づいてたんだ」
「そりゃ、気づくよ」
彼女はぷうと頬をふくらませる。
「ほんとは、大晦日なのに一人なんて嫌だもん。ついていい嘘とだめな嘘があると思う」
「ごめん」
「ふつうは、すぐ謝るべきだと思うよ。帰ってきたときに謝るものでしょ」
「だってばたばたしてたから」
「一人でさびしいときに、酔っぱらったお義父さんがなんか言ってきたりするから
パニックになっちゃったんだよ? 
そもそも家にいてくれたらこんなことにならなかったのに」
「だからごめんって。いや、僕は言いたいことがあってさ」
「ねえ」
彼女は僕の言うことなど気にしない、という風に、顔を横に向ける。

いや、
0239羊娘のお正月19/19 ◆vpePLp7Z/o 2014/12/17(水) 22:22:30.31ID:MDm2Ni8M
「ほら、出てくるよ」
昇ってくる朝日に、顔を向ける。
今年初めての陽光が、彼女の白い毛を黄金色に変える。
僕が触れたままだった角が、少しずつ温かみを帯びていく。
彼女は真っ赤に凍りついた頬をゆるめ、笑みを作った。
「いい一年にしようね」
「うん」
僕は、彼女の角を撫でながら応えた。
そのときには、言おうと思っていた言葉は朝風に吹き流されて、
頭のどこにもなくなっていた。

彼女はまた少し頬を赤くして言う。
「あの、くすぐったいから、角触るのやめて」
「……くすぐったいの?」
「うん」
「……わりと、子供とかに触られてるじゃない。平気そうに見えたけど」
「子供は平気だよ。でも、なんか、触り方がやらしい」
「なんで子供はよくて僕はだめなんだよ!」

その五分後、僕はベランダで彼女の頭を撫でくりまわしているところを父に見られ、
三人とも無言でおせちを囲むことになる。

僕たちの一年は、そんな感じで始まった。
0241名無しさん@ピンキー2014/12/19(金) 15:32:18.90ID:0jxTVV2a
ヒツジ娘さんかわいい
文化差とかめんどくさくぐるぐる考えてる感じとか面白かった
表面上はいちゃいちゃしつつ悩んでるんだろうね
0242保守2015/01/10(土) 07:44:34.60ID:VueTbAkC
保守
0243犬の人 ◆PN..QihBhI 2015/01/24(土) 17:57:04.74ID:C92CJLU3
 人と魔物や亜人が共に生活をするモンス大陸の北方に位置する街、トラシュル。
 切り立った山や澄んだ河川、湖が周囲を囲う自然豊かな地域である。
 そしてトラシュルには神惚花と呼ばれる花の伝説がある。
 神も惚れる程に美しい花と呼ばれる神惚花の加護を得た者は、如何なる魅了の力も天使の囁きにも魔の誘惑にも決して心奪われることは無い。
 そのトラシュルから少し離れた森を抜けた先にある切り立った崖。
 崖を見上げるように立つ一人の青年。
 青年の名はエイリーク。
 エイリークの視線の先には崖の窪みを利用して作られた大きな鳥の巣があった。
 鳥の巣から落ちたであろう羽を摘み上げて羽の大きさや細部を確認している。
 茶色の羽は二の腕程の大きさをしており大きな鳥の羽であると誰もが想像するだろう。
 だがエイリークはその羽から鳥では無いものを想像していた。
 思い浮かべたのは猛禽類の四肢に人の身体と頭を持つ亜人種族。ハーピーである。
 そう、この巣はハーピーの住処なのだ。
「崖を登るの大変だなぁ」
 溜息を吐きつつ持ってきた荷物で崖を登ろうとすると青年の上を大きな影が横切る。
「え?」
 何の影か確認しようと空を見上げる青年を囲うように黒い影が円を描いていた。
 大きな鳥の姿をした影はゆっくりと青年を中心に回り青年が逃げればいつでも青年を捕まえに降りてくるだろう。
 螺旋を描くように降下する姿は鷲か鷹を彷彿とさせる。
「何者ですか」
 ただの鳥と違い知能のあるハーピーは突如現れたエイリークを出迎える。
 その顔には疑いの表情が浮かんでいた。
「僕はトラシュルのエイリーク。訳あって崖を登りたいんだ」
 崖を登るという行為についてハーピーが不審そうにエイリークを見つめる。
 茶褐色の羽毛に包まれた下半身を持ち足の先には巨大な爪が尖っていた。
 羽毛と同じ茶色の髪は首元で止まっている。膨らみかけの小さな胸は彼女が女性である事を分からせている。
 ハーピーらしく小柄なその容姿は美しいというよりも可愛いという表現が似合うだろう。
「崖の先の村に用があるんだ」
 鈴を転がしたような美しい声で囀るように喋るハーピーにエイリークは挨拶を始めた。
 エイリークは生態研究家のような仕事をしている。
 各地の種族の話を聞いたりして本を執筆し生計を立てているのだ。
 基本的にハーピーは外敵に対して警戒心が強い種族だ。
「そうですか。回り道をすると数日はかかってしまいますものね」
「うんそうなんだ」
 そういうと彼女は少しだけ眉根をよせると両手を羽ばたかせてふわりと浮いた。
 バサバサと音を立てて風を巻き起こす。
「崖を登られては邪魔ですし運びますわ」
 すると爪が食い込む寸前の力でエイリークの肩を掴むと大空へと舞い上がる。
 眼下には無数の針葉樹の森が広がっていた。
「う、うわあ」
 人の身では決して味わえない天空の光景に心臓の鼓動が早くなる。
0244犬の人 ◆PN..QihBhI 2015/01/24(土) 17:57:45.43ID:C92CJLU3
 するとエイリークからえもいえぬ芳香が漂い始めた。
「なんだこの甘いにおっい」
 ハーピーがその芳香を嗅いだ途端に空を蛇行し始める。
「なっ、お、落ちる」
「ふああっ」
 辛くも彼女の巣へと軟着陸した二人はもつれあう。
 枝葉を崖の窪みに器用に組み入れたその巣は二人が寝そべるだけの空間しかなかった。
「エイリーク、んっいい匂いだな」
「あ、ありがとう」
 エイリークの芳香は神惚花の加護を受けている。
 それは魔を酔わせる力を持っていた。
「エイリーク、私と、ブレジィアと子作りしよう」
 彼女はとろんとした目でエイリークを押し倒す。
 エイリークはその状況に慣れているのか平然としていた。
 魔を酔わせる力とは発情させる力なのだ。
 当然今回が初めてというわけではない。
 エイリークは彼女の服を剥ぎ取り小ぶりな胸へ舌を這わす。
「んっあ」
 胸の頂きは固くとがり快感を伝えていた。
 エイリークはその突端を舌で転がし彼女の反応を楽しむ。
「んっ、んうっ」
「子作りしたいなら僕を本気にさせてよ」
 そう言うとエイリークはズボンを脱ぎ始める。
 まだ半分程度しか屹立していない雄芯をブレジィアの口元に寄せた。
 ブレジィアはその小さな口を開いてエイリークの雄芯を迎え入れる。
「んっ、んぐっ、んっ」
「君の舌は暖かいね」
 雄芯を包むように舌が動きエイリークの雄芯が少しずつ固く大きくなっていく。
 完全に大きくなるとブレジィアの口には収まりきらなくなった。
「んぐぐぐぅ」
「うん、もういいかな」
 エイリークは羽毛をかき分けると陰唇に触れる。
 他のどこよりも熱いそこはじんわりと濡れ始めていた。
 羽毛に隠れた陰唇へ指を這わせゆっくりと奥へと進ませていく。
「んっあっはっ」
 柔らかな肉を開くと糸をひくように熱い蜜があふれてくる。
 彼女の愛蜜だ。
「入れてもいいね」
「ひぁっあっまっ」
 待ってと言おうとしたブレジィアを抑え込みエイリークは自らの雄芯で彼女の中を押し広げていく。
「あっぐ」
 ブレジィアの中で何かを引き裂く音が聞こえた気がした。
0245犬の人 ◆PN..QihBhI 2015/01/24(土) 17:59:26.13ID:C92CJLU3
 それは処女としての証だった。
「あっ……はぁ、はぁ」
「大丈夫?」
 エイリークは涼しい顔でそう問いかける。
 別に何も気に留めた様子は無い。
 むしろこうなるのを見越して雄芯を入れたかのようだ。
「はぁ、エイリークの、いじわっ、る」
「そうだよ。気づかなかった?」
 ブレジィアの中をごりごりと雄芯が動き初めて異物を受け入れる膣道を蹂躙する。
 雄芯には愛蜜とともに純潔の証が混ざり赤く彩っていた。
 エイリークはその色に満足そうに口元を緩める。
「こんなに感じているんだから痛くないでしょ」
「あっ、やっ、いた、あっ、ん」
 時折感じる身体を裂くような痛みにブレジィアの身体が硬直する。
 だがそんな事をお構いなしにエイリークは翼を抑え込み雄芯を抜き差しする。
「んあっ、あっ、エイリークっ」
「気持ちいいよ」
 エイリークの雄芯は血と愛蜜が混ざった色をしていた。
 鳥のさえずりのようなブレジィアの嬌声が響き渡る。
「んああっ、あっ、いたっ、あ」
 ブレジィアが喘ぎ声をあげる中エイリークは彼女の胸を揉み続ける。
 ハーピーにつきものの小ぶりな胸は感度が良いようで乳首を指が掠めるたびに彼女が震える。
「あっ、ひぁっ、あっ」
「可愛い乳首だね」
 エイリークはブレジィアの腰に手を回し勢いよく持ち上げて態勢を入れ替える。
 鳥の身体は軽く簡単に動かされてしまう。
 今度はエイリークが寝そべりその上にブレジィアが乗る騎乗位の体位になった。
「ひああっ」
 エイリークの手が翼を掴み雄芯は荒れ狂うように突き上げられる。
 逃げる事も出来ずにブレジィアは喉を逸らせて悲鳴のように喘ぎ声をあげた。
「ひあっあああっああっ、あっあっあっ、あああっ」
 ぐちゅぐちゅと音をたてる程に愛蜜があふれエイリークの身体を濡らしていく。
 ブレジィアの羽毛は濡れてべったりとしていた。
「ああっ、あんっ、えいり、エイリークっ」
「っく……うん」
 エイリークの腰が勢いよく上がり雄芯がブレジィアの中を深くえぐる。
 彼女は彼の名を叫びながら絶頂へと達する。
「エイリークっ」
「いく……うっ」
 雄芯からどくどくと真っ白い子種が放たれた。
 子種はブレジィアの膣道の奥深くと穢していく。
0246犬の人 ◆PN..QihBhI 2015/01/24(土) 18:00:28.70ID:C92CJLU3
「うっ、はぁ、はぁ。気持ち良かったよ」
「えいり、エイリークっ」
 ブレジィアは未だ冷めぬ熱を帯びながらエイリークの雄芯から身体を離す。
 どろりと真っ白い子種がブレジィアから垂れ落ちる。
「はぁっ、エイリークっ」
 熱で浮かされたままブレジィアはエイリークの雄芯に舌を這わしていく。
 普通の人よりも幾分か長く細い舌は器用に雄芯を包むように舐めまわしていた。
「う」
「エイリークの綺麗になったね」
 愛蜜と血と子種で濡れていた雄芯は唾液で光を反射し綺麗になっていた。
 エイリークはその雄芯を確認するとズボンにしまいこむ。
「エイリークの子種大事にするからね」
 ブレジィアは頬を染めながらエイリークの胸板に顔を埋めてエイリークの芳香を力いっぱい吸っていた。
 それはどんな魔も狂わせる魅惑の芳香。
「ありがとうブレジィア」
「ふふっ、上に行きたかったんだよな」
 そう言うと両翼を広げて空へと滑り出す。
 そして再び足の爪でエイリークを掴むと両翼を羽ばたかせ上空へ舞い上がる。
「うわっ」
「ふふふっエイリークの頼みなら断れないからな」
 エイリークの身体はブレジィアに引きずられるように崖の上へとたどり着いた。
「ありがとうブレジィア。またね」
「うんエイリーク」
 エイリークは別れを告げると崖の先の村へと旅路を急ぐのだった。

-終-
0248名無しさん@ピンキー2015/03/13(金) 19:11:43.77ID:l1WNwQg7
性別のない人外ってどう扱うか悩むけど
カップルになった人間の性別に合わせてくるのも人外っぽいかもしれないな
0251名無しさん@ピンキー2015/05/19(火) 18:19:39.71ID:WTWhB6Do
人外もの好きなんだけどネタがない
話思いついたら投下するね
0252名無しさん@ピンキー2015/06/09(火) 05:12:29.02ID:4Nb076uU
映画、トゥモローランドが人間×人外かなあと思いました!
詳しく話すとネタバレになっちゃう
0255名無しさん@ピンキー2015/08/17(月) 23:35:12.71ID:3dD4fpZI
今テレビでやってる「モン娘」が男女逆なら超どストライクなんだが
ディスってるつもりはない、女が異種族に孕ませられるシチュが好きなもんで
02572552015/08/18(火) 04:46:20.98ID:U4ydMoQ5
例えばさ、ラミアって男版あるのか?あるとして確か爬虫類のアレって2本Vの字な感じで生えてるはずだから

主人公(女)に最初は一本、そのうち2本楽に入るようになっちゃったり

牛?つーかケンタウロス?のでっかいのを…からのスライム(男)で物理的に大きい×××じゃないんだけど、子宮いっぱいにスライムが〜とか

ハーピイ(男)はどうするんだ?とりあえず主人公(女)に卵ボコボコ生ませたり無理か鳥類わからん

なんかチラシ裏っぽくなってしまってすまん
0258名無しさん@ピンキー2015/08/19(水) 22:01:38.43ID:p/qOsWhb
人外サディスト向けは無いのかな…
そもそも自分以外に居るのか
0259名無しさん@ピンキー2015/08/24(月) 00:33:22.86ID:4dZbLNpv
最初は愛情を頼りに恐る恐る繋がりつつも
段々と人間では得られない異形の交接に夢中になり、
脳味噌ドロドロになる快楽漬けってのが個人的に好み
0261名無しさん@ピンキー2015/08/29(土) 04:07:37.66ID:ttQGjLsu
サイレントヒルのスレが見当たらないからバブルヘッドナースで書いていい?
0265 ◆se.eiIUl2E 2015/08/31(月) 01:16:36.26ID:fvV8yuDZ
書いてみる。因みにアーケードでは必ずナムボディで一回死ぬけどみんなそんなもんだよな?
0266名無しさん@ピンキー2015/08/31(月) 01:59:17.54ID:fvV8yuDZ
 この街には観光できていた。所謂自分探しと言う奴であり、静かな観光地で自分を見つめ直
そうとそう決めていた。見る物は全て見て、遊べる物は全て遊んでみようと。
 しかし、この街がおかしくなり始めたのは見知らぬ錬金術の本を手に取ってからだ。
 気がつけば周囲は濃霧に囲まれ、街は異様な怪物達が自分に襲い掛かって来る。
 あの不出来な肉のかたまりのような存在から、犬のようななにか。
 鉄パイプを手にそれらの相手をするがキリがない。出口の見当たらない街を彷徨っている
最中、巨大な病院を見つけた。
 病院なら食料も備蓄されているかもしれない。ほとぼりが冷めるまで隠れているつもりで
病院へと上がり込んだ。
 静寂に包まれた病院は外の濃霧によって不気味さを醸し出していた。
 事務室に上がり込むとそこには保存食が段ボールで置かれており、一つの安心を得ながら
適当な病室へと運び込む。
 落ち着いた所で錬金術の本に目を向ける。そこに書かれていたホムンクルスという存在に
目を引かれた。
『ホムンクルスはフラスコの中の小人であり、科学に塗れた世界では表に出して歩かせる事
等到底不可能。しかし、そこに魔術的要素が加われば一気に現実味が増して行く』
 おそらく表で暴れているのはホムンクルスと呼ばれる存在だろう。灰色の肉体を持つとも
書かれており、その特徴が表で見たのと一致する。
『そして動かすに当たって必要なのは心を付加させることである。完成した心を与えるのは
今だ成功していらず喜怒哀楽を与えるのも難しい。それよりもその感情だけでは歩いたのち
に食料を求めようとはしない』
 自分はここに来るまでに何度も襲われている。それはあの化け物達が自分を食料と見なし
ているのであれば合点が言った。
『まずは七つの大罪と呼ばれる要素を与えるべきであろう。しかし、どれか一つでも与えた
時点でその感情に合わせた身体を構築して一人歩きし始めていく事を注意されたし。例えば
憤怒なら暴れる為に肥大化した身体を作り、暴食なら犬のような形状を構築する。またその
身体によって身体維持の生存条件が変化する』
 途中で見た犬のような何かは暴食の権化だった。一歩間違えていれば喰われていただろ。
『例えば、色欲なら』
 次の瞬間、部屋の扉が外から叩かれる。鍵自体は閉めているが、何と外による力が強過ぎ
て一気に金具その物が外れかけてしまっていた。
0267名無しさん@ピンキー2015/08/31(月) 02:31:33.73ID:fvV8yuDZ
 扉は五秒と持たず大胆に開けられた。開けたのは人間の女性の身体を象ったホムンクル
ス。
 しかし、その顔はまるで複数の泡が立ったようにぶくぶくに膨れており、辛うじて顎の輪
郭と口の存在が確認できる手度だ。恐ろしいのはそれだけでなく、手にはメスを握ってい
る。
 ああぁ……と甲高い声を上げる女性のような存在。
 嫉妬か、虚飾と言った所か。人間モドキの分際でナース衣装を身に纏っていた。
 こちらも生きる分に必死だ。鉄パイプを手に取り、伸ばしてくる手を打ち払い、その頭を
勢いよくぶん殴る。
 相手はメスを落とし、地面に倒れ込む。
 しかし、それで倒せた訳ではなく、足下に伏せただけで足を掴み、自分の動きを妨害しだ
す。
「離せ!」
 空いている足で蹴り飛ばそうとした時に初めて、相手の背にもう一体いることに気がつ
いた。
 気を取られている隙に飛び込んで来たナースに胸ぐらを掴まれ、身体が背中にある窓へ叩
きつけられた。
 その衝撃で手から鉄パイプを落としてしまい、カランカランと虚しい音が鳴り響く。
 畳み二畳半程度の個室の壁際。逃げる空間は左手のベッドの上だけで唯一の出口はナース
の後ろ。甲高い唸り声が自身の恐怖を煽った。
 死を覚悟して目を瞑る。
 だが、次の感覚は苦痛ではなく別の感覚。
 唇に当たる柔らかな弾力。その口を吸い込もうとする僅かな吸引。
 そっと目を開けると、そこにはぶくぶくに膨れ上がった化け物の頭部。それを見て何事か
を理解した。
 化け物ナースとキスをしていた。
 動揺したせいで思わず口が開き、しめたように舌が口の中へと滑り込む。
0269名無しさん@ピンキー2015/09/02(水) 00:51:17.44ID:F0suuhhV
執筆が遅くてすまぬ。
そこまで凝った内容にする訳じゃないからなるべく早く終わるようには心がけるよ
0270名無しさん@ピンキー2015/09/02(水) 01:46:54.37ID:F0suuhhV
 ぬらりと唾液のたっぷり乗った舌が自分の舌に触れる。
 まず舌の尖端同士をくっつけ、円を描くように舐め回し舌の上に舌を被せる。唾液の量は分泌
腺が壊れているのか、その粘度は例えるであれば生臭い蜂蜜。そしてその舌の長さは人間のそれ
とは段違いであり、奥に侵入した舌が口蓋垂に触れるほどである。
 ん、んんぅ……。
 おぞましくも誘惑するような声を上げるナース。その声を聞いた時、悲しいかな僅かにこ
のまま大人しくしていればいずれはと期待してしまっていた。
 化け物とはいえ、手を伸ばし、短いスカートの中へ手を伸ばすとそこには肉付きのいい尻
肉。キスのため密着している二つの巨塊は人間なら間違いなく一目を引いていた。
 今現在口の中に侵入している舌。分厚く僅かに体温があり、口から溢れてしまう量の唾液
を放つこの舌で自分のモノを舐められたらどんな気分か。
 そんな事を考えている最中、足を掴んでいたナースがメスを持って這い上がる。
 腹に当たった冷たい感触に一瞬の恐怖を覚えるが次の瞬間にはズボンと下着を切断。
 いきり立ったモノがナースの鼻先で揺れ動く。
「ん、んんー!」
 キスをされている最中に竿が握られ、生臭い蜂蜜と称した唾液が尖端から毛の生えた根元
へと滴り、馴染ませるかのように細い五本の指が前後へと動き始める。
 そのモノにキスをしているナースが尖端をゆっくりと撫で回す。スナップを利かせ掌と五
本指の感触が自身でいじるより何倍も気持ちいい。
0271名無しさん@ピンキー2015/09/02(水) 02:28:37.62ID:F0suuhhV
 このナースは色欲を象徴している。はっきりと言えた。色欲の説明の続きにはこうあった。
『存在維持に必要な体液を吸った存在は獲物の状態を体液から理解する。弱い場所、されたい
趣向が筒抜けとなり、獲物を完全な支配下に置こうと快楽へと陥れる』
 キスをするナースがもう片方の手でナースコールのボタンを押した。自分の唾液からされた
い事が筒抜けとなったナースにはもはや抵抗はできない。
 尖端を包んでいた手が消えると這い上がっていたナースが尖端に小口の唇でしゃぶりつ
く。
 ナースの口の中には歯が一本も無い。体液を啜るだけの存在には意味は無いとして抜け落ち
たかはわからない。しかし。歯の無い歯茎の凹凸で左右にもごもごと動かされれば、歯では
絶対に味わえない刺激がそこにはあった。
 ごりごりとした感触だが痛みはない。シリコンのブラシで擦られているようだ。
 入り口だけでこの歓迎。しかし、ここからだ。
 凄まじい吸引力で吸われた口内には蜂蜜を浴びた蛇が獲物を待ち構えていた。
 長い舌が尖端からカリを通り、竿へとぐるぐるに巻き付く。根元に口をつけ、そこから舌
を出して袋を舐めるあたり本当に長い。
 その巻き付かれた状態で相手の首が前後へと揺れた。
0272名無しさん@ピンキー2015/09/04(金) 02:09:21.62ID:lSX3Optt
 まるでバネが巻き付いたかのような波状的刺激、一段目のベロが通ったと思ったら二段目、三段目の
刺激が続けて襲う。その際にぐいぐいと締め付けられ、刺激と苦しさが伴い無意識に力んでしまう。
 そして、再び前に顔を押し出すと再び刺激のウェーブが何段も重なり、今度は緩まった事で力に緩急
が出来て行く。
 もごもごと口の中で動く感触はたこ壷の中にモノを突っ込んでいるような気分をさせられる。実際こ
の口は自分の体液を啜ろうとする軟体生物の巣窟だ。
 蛇のようにちろちろと尖端を舐め回し、ぐちゃぐちゃに入り乱れる口の中でモノを一心不乱にかき乱
す。
「ん、んん!!」
 出る、そう言いたかったがキスで封じられて声は出ない。ただ、言葉よりも早くその口の中へと白い
体液を流し込み、先ほどまで刺激し続けた舌が変わらずもっと出せと言わんばかりにその口の中で乱れ
る。
 下のバブルヘッドナースは満足したのか口を離し、代わりにキスをしていたナースが自分をベッド
の上へと投げ飛ばす。
 自分としてはもうしばらくぶりに抜けたからもう逃げてしまいたくもあった。しかし、ナースが上
着の胸元のボタンを引き千切り、谷間を強調しながら近づくとそんな気分も一転してしまう。
 薄汚れた乳白色の肌に浮かぶ灰色の乳首。目の前に迫るおぞましい頭部にある魅力的な唇。
 抵抗せず残りの服を全部脱がされるとその後ろからはナースコールで呼ばれた複数体の同じ魅力を
持つナースが六人もいればぎちぎちの個室へと押し寄せた。

 アレからどれほどの時間が立ったかわからない。顔は上四方固めのように胸で顔を押さえ込まれて
いるため長らく光も見ていない。耳で感じるのはぴちゃぴちゃとなる水滴音と彼女達のおぞましい歓
喜の声。
 身体に感じるのは延命の為の献血の痛みと残りは彼女達の唇と舌の感触。何人かは見えないが、も
う何度も白い液を噴き上げたモノは複数人に唇で遊ばれ、脇から脇腹に掛けて舌が滑る。
 自分の両手には胸の感触が伝わり、足の裏には硬い乳首で筋をなぞられていて今でもくすぐったく
感じる。
 もはや逃げられるとも思わないし逃げようとも思わない。もはや餌となった自分には何もすること
ができない。しかし、不幸だとは思わない。もう何も考えず、ただ気持ちよくなってればいいのだか
ら。

終わり
0273名無しさん@ピンキー2015/09/04(金) 02:10:13.37ID:lSX3Optt
うん。自分で書くとやっぱり辛いな。
0276名無しさん@ピンキー2015/09/04(金) 16:09:36.30ID:4fBAFSyO
乙でした。

夜にでも自分も投下します。
定番モノなので需要があるかはわからないけど。
0277勇者と魔王の一夜限り。 ◆4tZQDZ6Jk.Zt 2015/09/04(金) 20:41:06.93ID:4fBAFSyO
投下します。
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 勇者・志乃は紆余曲折の末、魔王城の最奥にたどり着きました。

「とうとう追い詰めたぞ! 魔王バアル!」

 光の剣を振りかざし、志乃は一人声を張り上げます。
 闇の中に、赤くぎらつく眼が光りました。

「おお志乃よ、よくぞ来た! この私に真の姿を現すことを余儀なくさせるとは、やはり予言の勇者と呼ぶべきか!」

 魔王バアルは咆哮を上げます。逞しい褐色の肌に白いたてがみを戴き、四本の腕を持つ身体を豪奢な装飾品で包んだ魔王は、しかし背丈が常人の倍はありました。
 鋭い牙、眼光、見るものすべてを恐れさせると言う魔王の威圧感に、歴戦の勇士である志乃もわずかに気圧されていました。
 しかし、そんなことで逃げ出す志乃ではありません。何せ、自分の背には世界中の期待がかかっているのです。
 そして何より、恐れる道理はありません。何故なら、勇者が魔王を倒し、世界に平和をもたらすことは、古来より定められた理なのです。
魔王に負ける勇者など今までもこれからも絶対に存在しないのです。
 どんなに苦境に立たされようと、必ず勇者が勝つ、世界はそういう風にできているのです。
 志乃は右手に握った聖剣に魔力を注ぎ込みました。

「行くぞバアル! 我が剣を受けてみろ!」

 自信に満ち溢れた志乃がまさに魔王に斬りかからんとしたとき、魔王バアルが右手をスッと上げました。

「まあ、待て。志乃」
「!? な、なんだ!?」

 出鼻をくじかれ、志乃はつんのめります。

「貴様、この世界における勇者と魔王の定めは知っていよう」
「……?? ああ、知っている。魔王は必ず勇者に倒されるということだろう」
「その通り。如何に力を蓄えたとて、勇者に勝てる魔王はおらん。だが考えてみてくれんか。そんな魔王は実は同情に値する存在ではないかと」
「な、何!?」

 思いがけないバアルの言葉に、志乃はうろたえました。

「どれほどの魔物に傅かれ、奴隷を侍らし、世界を恐怖と混沌に陥れようとも、最後は必ず勇者に倒される。空しいものよ」
「……っ、何が言いたい。それが魔王の定めだろうが」
「私は貴様が故郷の村を出て、王に謁見してから、世界中を旅し、魔物と戦う力を得、聖なる武具を手に入れ、尋常ならざる魔力を以って我が城に辿り着くまでの数年を具に見てきた。
時に忍んで行った街でうわさを聞き、時に配下の魔物に貴様を見張らせてな……そう、まるで貴様に恋をしているかのように」
「っな、な、な、なっ!!」

 思いもよらぬ魔王の言い草に、戦いばかりに明け暮れ、恋愛経験に乏しい志乃は見る見る顔を赤くします。

「そ、そ、そ、そんなことを言ってわたしを動揺させようなどとしても無駄だぞバアルッ! おおお前は必ずこのわたしが倒すッ!!」

 思いっきり動揺しながら、志乃は剣を構えました。

「ああ、構わん。私は貴様に倒されよう。だが、その前に私の望みを一つだけ叶えてくれんか」
「何!? ま、魔族と取引など……」
「たった一つだ」
0278勇者と魔王の一夜限り。 ◆4tZQDZ6Jk.Zt 2015/09/04(金) 20:41:37.15ID:4fBAFSyO
 バアルはずいと志乃に詰め寄ります。

「倒される前に、たった一度でいい。貴様を抱きたいのだ」
「は……はあああ!? ま、ま、待て、ちょっと待てッ!!」
「貴様は美しい……戦いのために傷つき、疲れた身体を引きずりながら、決して諦めぬその瞳の気高さは千の玉石よりも貴いものだ」
「お、お前一体何を言って……」

 バアルの大きな四つの手が志乃の腕に、腰に触れます。

「やっ、ちょっと……」
「見た目よりも女らしいのだな」
「ば、ばかを言うなッ!」
「貴様に倒される者の最後の願いだ……頼む」

 勇者は元来お人好しと相場が決まっています。志乃は切なげなバアルの声についに絆されたのでした。

「わ……解っ……んむっ」

 志乃が了解の返答をする途中で、バアルは志乃の唇にむしゃぶりつきました。

「んうっ、は、あぁ、ん、む……」

 魔王の長い舌が志乃の口内を存分に味わいます。ぞくぞくと志乃の身体に鳥肌が立ち、それを確かめるようにバアルは聖なる鎧を外しにかかりました。

「え!? ちょっ、あの」
「これを外さねば貴様を抱けまい。それにどうあろうと必ず貴様に倒されるのが魔王というもの……鎧がなかろうと剣がなかろうと、結局どの道なのだ」
「う……そ、そうなのか。なら自分で外す。お前には解きにくいだろう」

 志乃が革紐を解き、鎧を外すと、まるで重量を感じさせない魔法の鎧はふわりと床に落ちます。下に置いた剣をそっと遠ざけると、その瞬間バアルの四本の腕が志乃をかきいだきました。

「きゃあっ!?」
「志乃、待ったぞこの時を!」

 言うや否や、バアルは無理やり志乃の服を引きちぎりました。小ぶりながらはっきりと膨らんだ乳房や、程よく筋肉が付きながらも滑らかな曲線を持った下半身があらわになります。
 志乃は初めて怯えました。こんな寝台もないところで、魔王相手に肌を晒すことが急に恥ずかしくなったのです。しかし、どうしたことか、それ以上にバアルが並々ならぬ快楽をもたらしてくれるのではないかという期待がありました。

「待っ、や、なんか変……っ」
「くくく、効いてきたようだな。私の唾液には催淫作用があってな。どうだ、『そこ』が熱くはないか?」
0279勇者と魔王の一夜限り。 ◆4tZQDZ6Jk.Zt 2015/09/04(金) 20:41:59.74ID:4fBAFSyO
 二本の手に両腕を、もう二本に腰を押さえつけられ、冷たい玉座の床に組み敷かれて、志乃の鼓動は昂ぶりました。脚の間に割り入ったバアルの膝が志乃の『そこ』に触れ、志乃はびくりと身体を震わせます。

「あっ、あ……」
「どれ、味見をしてやろう」
「ひゃああっ!?」

 陰唇から陰核にかけてをバアルの舌がねぶりました。
 ぴちゃ、ぴちゃと音を立てて、バアルはゆるゆると唾液を志乃の中に送り込みます。熱を帯びてくる粘膜が自分のものでないようで、志乃は唇を噛みました。

「口から飲ませただけでこの効果だからな。直接舐めたらどうなるか、想像くらいはつくだろう。見ろ、もう物欲しそうにひくついているぞ」
「う、あっ、嘘……っ、っひ!?」

 もじもじしているうちに、バアルの指が志乃の蜜壷に埋め込まれました。指とは言っても、普通の人間のものよりもずっと太く長いそれは、まるで性器のように奥深くまで入り込みます。

「あっあああっ!? あ、あ、あうっ、やあぁ」

 困惑と快感の中で志乃の腰が揺れ、催淫作用のおかげで何倍も感じやすくなっているそこを、バアルの無骨な指が蹂躙していきます。

「駄目、だめええっ」
「何を言う、ここか? ここがいいのか? 腰が動いているぞ志乃!」
「いやっ、違うのお! あっ、あ、指、増やさないでぇっ」
「ほう、よほど好いと見えるな、唾液の作用か? それとも元からいやらしい身体をしているのか?」
「ひんんっ! やぁあっ、ちがっ、駄目、だ、め、あああ」

 わずかに志乃が腰を浮かせ、息を荒げはじめたところで、バアルはじゅぷりと指を引き抜きました。

「え、あれっ……」

 突然自分の中から消えてしまった質量を探るように、志乃は頭を起こします。そして見てしまいました。バアルが、その魔王という名にふさわしい巨根を自分の脚の間に宛がっているのを。

「ひっ……!?」
「充分に準備が出来たようなのでな。私と繋がり一つになろうではないか、志乃」
「あ、あ、はあああああ……っ」

 バアルが猛る肉棒を志乃の中にゆるゆると沈めこみ、志乃の肉の壁は快楽とともにそれを受け入れます。志乃は大きく息を吐き出さざるを得ませんでした。常人のものよりずっと大きく歪な形をした魔王の男根が、横隔膜を圧迫したからです。

「私の種族は生殖行為を行うことが少なく持ち物も退化してしまったのだが……やはり人間には少々大きすぎたようだな」
「あっ……は……」

 自分の体内に打ち込まれている太くうねった杭に、志乃は息もできません。
0280勇者と魔王の一夜限り。 ◆4tZQDZ6Jk.Zt 2015/09/04(金) 20:42:30.35ID:4fBAFSyO
「そら、見るがいい」
「んううっ」

 強引に身体を折り曲げられ、志乃は自分の恥部を深々と貫く赤黒い『持ち物』をはっきりと認識させられました。
 それが脈動していることも、人間のものと違って古木の幹のような形状をしていることも、そして自分はそれを根元まで銜え込んでいるわけではないということも知りました。
 バアルがゆっくりと抽送を始めます。

「んああ、ああ、あっ、あ」
「貴様の膣は小さいな志乃……ッ、見ろ、全部入りきっておらんぞ」
「あんんんっ、はああっ、ああ、あーっ」

 木のうろのような引っ掛かりが志乃の入り口を責め立てます。ぐんぐんと出し入れを繰り返すたびに志乃の身体は面白いように跳ね、バアルは愉快そうに牙をむき出して口の端を歪めました。

「いやっ、い、ああっ、はっ、あ、あはあっ」
「何が嫌なものか、これほど善がって悦んでいるではないか。これは私の唾液ではないぞ」

 結合部からぐちゅぐちゅと液体が零れ落ちます。それは持ち上げられた腰を伝って背中のほうにまで流れ出ていました。ところが、突然バアルが己自身を志乃の体内から引き抜きました。いやらしい糸が二者の間に光り、飛び散ります。

「ひゃあうっ!?」
「しかし、惜しいことだ」

 腰を高く持ち上げさせ、バアルが嘆息しました。灯かりに照らされた志乃の秘部がぬらぬらと光っています。バアルはまじまじとそこを見つめ、舌なめずりをしました。志乃の身体が羞恥に赤く染まります。

「や、やだ……見ないで……っ」
「この交接が終わったら貴様に倒される運命とはな」
「ああっ!」

 指の一本で裂け目をずぶずぶと弄び、赤く膨れた豆をちろちろと舐めると、志乃が身体を震わせました。

「折角の機会だ、隅々まで味わってやるとしよう」

 言うや否や、バアルはその長い舌を志乃の中に挿入しました。

「あっ、あああっ!」

 恥ずかしさと生暖かい感触に志乃は再び肌を粟立たせます。バアルは舌を蠢かせ、志乃の愛液をすべて舐めとるかのように出し入れを繰り返しました。
 舌先が志乃の最も奥、子宮の入り口にまで達します。本来ならまだ痛みを伴うはずの刺激でしたが、バアルの唾液の作用によってじわじわとそこも快楽に包まれていきました。

「んっうう、ああ……っ、あ、あ、あ!」

 膣の中で生き物のように動く舌がくにくにと子宮口をねぶります。
0281勇者と魔王の一夜限り。 ◆4tZQDZ6Jk.Zt 2015/09/04(金) 20:42:55.53ID:4fBAFSyO
「ひっ! いや、だめ、そこぉっ! いっ、いっちゃ……ああっ あああーーっ!」

 びくんと志乃はのけぞって、爪先をピンと伸ばして何度も痙攣すると、やがて脱力し力なく横たわりました。ぬるりと舌を抜き取ると、バアルは満足そうに笑います。あまり大きくない志乃の乳房をゆっくりと撫で回し、その頂点を優しくつまんで刺激しました。

「ん……んっ、はあっ……」

 バアルは絶頂の余韻に浸っている志乃の身体をくまなく撫で、いとおしげに眺めます。勇者とは言っても女、オスを昂ぶらせるのに充分な機能を備えています。秘部からはとろりとした液体が溢れていました。
 それを指で掬って舐めとり、バアルはぐったりした志乃の身体を反転させます。尻を突き上げさせ、ぱっくりと開いた秘裂に指を這わせると、志乃が呻きました。

「いい眺めだ……志乃、貴様に生命の秘術を施してやろう……」

 バアルは自らの陽根を二、三度志乃に擦り付けると――、一気に内部に突き立てました。

「ああっぐ!?」

 一度達した志乃の膣内はぬめりを以って容易にバアルを受け入れます。背後から突き入れられた巨大な質量に、
 肉の剣先が先ほど唾液をすり込まれた子宮口に当たり、志乃の肉壷はきゅっとバアルの肉棒を締め付けました。バアルの持ち物が体内で暴れ周り、志乃はあたりはばからず嬌声を上げます。

「ああっ、はあん、んああっ、あああっ!」
「くくっ、心地よいぞ志乃! 貴様の肉が吸い付いてくるようだ!」
「ひんんっ! だ、だめえ、あぁっ、中……奥、までぇ……っ、ふあぁ」
「そうだ志乃、もっと深く銜え込めッ! 貴様を送り出した者たちはどう思うだろうなあ!? 倒すべきはずの魔王と獣のようにまぐわっている貴様を見たら!」
「いやっ、いやあぁっ! やめ、あぁあっ」

 喘ぐ志乃を見て、バアルは満足そうに笑うと志乃の下腹部に手を伸ばしました。男性器を出し入れするたびにうねるそこを撫で、指の腹で優しくさすります。
 そして粘膜同士で繋がったまま、もう一度志乃の身体を仰向けにさせました。
 内部をえぐられるような強い刺激に志乃はまた小さく絶頂したように思います。

「あ、あ、あ、あぁ、バアル……っ!」

 いつの間にか志乃はバアルの巨躯にしがみつき、バアルを尚奥まで導こうと腰を振っていました。
 バアルは上の二本の腕で志乃の上体を抱え乳房を揉みしだき、下の二本の腕で尻たぶをこねくり回します。全身への愛撫に志乃は恍惚となり、物欲しそうにバアルの唇に自分のそれを寄せました。
 蕩けるような気分にさせるバアルの唾液がどうしても欲しくなったのです。

「んっ、ふ、ああ……バアルぅ……っ」
「くくく、嬉しいことよ志乃……自ら私を求めるとは」

 舌を絡ませあい、恋人同士のように深く繋がります。バアルが志乃のぴんと尖った乳首をつまむとまた志乃の膣内が収縮しました。
0283勇者と何たら2015/09/05(土) 01:25:21.16ID:XSyexgtb
規制食らってあと20時間ほど書き込めません
すみません\(^o^)/
0284名無しさん@ピンキー2015/09/05(土) 06:50:08.84ID:+AJ3Pzkt
最近やたらと連投規制厳しくなってるよね、ピンク板
焦らずゆっくりやってくれ
0285勇者と魔王の一夜限り。 ◆4tZQDZ6Jk.Zt 2015/09/05(土) 21:50:38.17ID:jcM4xU8h
「もうすっかりほぐれただろう」
「はぁっ、あっ、え、えっ?」

 大人の腕ほどもある逞しいものを、いまやほとんど根元まで飲み込んだ志乃はバアルの言葉に首を傾げました。

「いや、魔王とは悲しいものだ……これほどの快楽に勇者を陥れても、結局は倒される定めにあるとは。しかしな志乃……世界の摂理は魔王の生殖行為まで否定しているわけではないのだ」
「あぅっ、あっ、はぁん、お、お前、なにを言って……っ?」

 バアルの大きな手のひらが志乃の腹を撫でさすります。

「勇者の子宮を借りて魔王が子を生そうとも運命は干渉しない、ということだ」
「……っ!!」
「私がただ色欲に負けて貴様を抱いていると思ったか?」
「やっ、ああっ、やだぁ……っ!」
「今更遅い、志乃、貴様に我が子を産ませてやろうぞ!」
「ひっ、ああぁ、や、ああんっ!」

 あまりの快楽に、志乃は自分がしていることが動物における交尾と同義だということがすっぽり頭から抜けていたようです。

「ああぁっ! だ、め、あぁんっ!」
「本当に嫌がっているなら何故このように腰を振るッ? 声にも艶が失われていないぞ志乃! 強く優れた私の遺伝子を、貴様の子宮が欲しているのだ!」
「ひぃっ! あぁ、ち、ちが……っ! ぁああっ! いやっ! いやあぁっ」

 嫌とは言いつつも、志乃の脚は知らず知らずにバアルの腰を掴みます。
 結合の喜びと魔王の子を孕まされるという恐怖感が綯い交ぜになり、志乃の頭は何も考えられなくなってしまいました。

「あっ、あっ、あっ、だめ、あ、やっ、あんんっ」
「くっ、いいぞ志乃……ッ!」

 志乃は壊れたおもちゃのように口の端からよだれを垂らし、魔王による蹂躙を難なく受け入れています。催淫作用のある唾液をたっぷりと飲んだことも一因でしょう。

「我が子種を、貴様の胎内に注ぎ込んでくれる!」
「あんっ! ひあぁっ、も、だめ、バアル、いっ、いくぅ……っ!」

 呼吸を荒げるバアルの吐息が志乃の耳にかかり、志乃の性感をいっそう高めていきました。

「ああ、あ、あ、あ、ああああああああっ!!」
「くぅ……ッ、志乃……ッ!!」

 志乃が絶頂を迎えると同時に、バアルは志乃の身体の一番奥、その胎にどくどくと精液を吐き出しました。
0286勇者と魔王の一夜限り。 ◆4tZQDZ6Jk.Zt 2015/09/05(土) 21:57:44.33ID:jcM4xU8h
「あ……ぅ……」

 小さく呻き声を上げる志乃と、肩で息をするバアルの繋がった部分から、こぽりと白濁液が零れ落ちました。身体が大きい分、出すものも多かったのです。
 バアルが自分のものを志乃の身体から抜き取ると、もうどちらのものか判らない液体が志乃の腿を汚しました。
 バアルはぐったりした志乃を抱き起こし、顎をくいと持ち上げると、ほとんど意識のない志乃に口付けました。舌を引き抜くと唾液が糸を引き、志乃の胸に落ちます。

「んっ……」
「志乃、起きろ。次は貴様が私を倒す番だ」
「あ……」

 余韻の中でとろけていた志乃の意識が段々とはっきりしてきます。

「バアル……」
「なんだ、私を倒すのが惜しくなったか?」
「ばっ、ばか、そんなわけあるか」

 強がってみたものの、志乃は先ほどまでの自分の痴態が恥ずかしくてしょうがありません。魔王の玉座で魔王に抱かれて悦ぶ勇者など、恐らく前代未聞です。
 膣口から子宮にかけて、まだ甘く疼くように快楽が残っています。唾液の効果か、自分自身の肉体のせいか、志乃には判りません。

「そんなに好かったか。もう一度私のもので気を遣りたいというなら考えてやらんでも――ぐふっ!」

 調子に乗ったバアルの左頬に、志乃が右ストレートを叩き込みました。
 その瞬間。
 バアルの身体がぼろぼろと崩れていきます。聖なる武具がなくても魔王を倒せるというのは出任せではなかったようです。

「バアル!」
「ぬぅ、しまった……いきなりクリティカルヒットを叩き出すとは、さすが予言の勇者……」

 バアルは崩れ落ちる自身を見ながら、それでも不敵に笑いました。

「まあ、最後に貴様を私のものにできたのだ、良しとするべきだな」
「へ、減らず口を……っ」
「お前を抱けてよかった、ぞ。志、乃……」
「バアルッ!」

 志乃が思わず伸ばした手を取ることなく、バアルは灰になって消えていきました。
 荒涼とした風がどこからか吹き、バアルの遺灰を流し去ります。

「あ……バアル……」

 呼んでみても、返答はありません。ただ、脚の間を混ざり合った体液が伝い、床を濡らしました。
 志乃には解っていました。きっとこの先、普通に誰かと結婚して幸せな家庭を持つことはないだろうと。もう二度と、決して応えることのないその男に、志乃は恋をしてしまったようでした。

 勇者は魔王を倒し、再び旅に出ました。
 引き止める故郷の人々を振り返ることなく放浪の旅に出た勇者の行方を、今はもう誰も知りません。
 数百年後、再び魔王と名乗る者が現れるまで、人々は勇者のことを忘れていることでしょう。
 その魔王がバアルに似ているかどうかは――、たった一人だけが知っている秘密です。

終わり。
−−−−−−−−−−−−−−−−

定番モノで失礼しました〜
勿体つけてたった残り2レスっていうねw
自分の萌えワード盛り込んでるので共感してもらえるといいなあ。
0287名無しさん@ピンキー2015/09/05(土) 22:20:49.99ID:u6FdBGMF
悪くない。魔王と勇者は定番だがこんなオチがつくとはwww
0288名無しさん@ピンキー2015/09/05(土) 23:33:01.87ID:dqJUlj+q
人外×少女が好きだったから、このSSは どストライクだったわ。
乙!
0291名無しさん@ピンキー2015/11/21(土) 13:28:13.81ID:EyIwWOdG
保守age
0292名無しさん@ピンキー2015/11/25(水) 23:20:43.42ID:ZDapkEna
ネタ思いついたので明日か明後日くらい投下しますね保守
0295わたしの婚姻 ◆4tZQDZ6Jk.Zt 2015/11/26(木) 22:47:59.51ID:L4TTvLtR
 『彼』に名前はなかった。
 人間社会から少々逸脱した存在であるところの彼には戸籍がなかったのである。
 とは言え、彼は完全に社会から隔絶されていたかといえばそうではなく、近年は特にインターネットを使って世間との繋がりを持つようになっていた。
 晴江の両親と彼の繋がりもそういったところから始まったということだったが、晴江にとってはそんなことはどうでも良かった。
(結局は単なるひきこもりじゃないか)
 というのが晴江の当初の見解だった。

 『彼』――、その生き物は、定型の姿を持っていなかった。人間が言うところの『定着型粘質性多肢属』である彼は、もちろん人間ではなかったし、人間の世界で人間のようには生きていなかった。
 かろうじて町外れの、小さな山の洞窟を利用した祠の中で、古くから彼を知る周りの人間によって助力を得ながら暮らしているのだった。
 前述のとおり名前というものはなかったが、呼び名がないのは不便であるとのことで、いつからか彼は『礎さん』『礎の人』と呼ばれていた。
 これも晴江に言わせれば、
「人間でないくせ、何が『ヒト』か」
 ということになるのだが。

 晴江が彼に嫌悪を抱いているのには訳があった。彼が人間でないからではない。
 晴江がまだ小学生のころ、事業を営む晴江の父が資金繰りに困り、『礎さん』を頼ったことがある。
 どういうわけか『礎さん』には資産があり、快く晴江の父に大金をほとんど無条件で融資してくれた。晴江の父はそれで難を乗り切り、今でも何とか商売をやっていられる。
 と言っても、晴江の家は決して裕福にはならなかったし、礎さんへの金の返済も毎月滞っている。そこで、一時は一家心中まで考えた晴江の父は、返しても返しきれない恩のために、まだ子供だった晴江を彼の許嫁に据えたのだった。
 晴江はそれこそ幼い頃から、「お前は礎さんのお嫁さんになるのだよ」と聞かされて育ってきた。
 単なる婚約者なら別に良かったのだ、と晴江は思う。
 父が『礎さん』に自分を売ったのだ、という認識は子供の頃から持っていた。一家心中しなくて済んだのはまあ有り難いが、礎さんは金で嫁を買ったのだ、と思うとやはり好感など持てるものではなかった。
 それに、人間でないものに嫁いで果たして幸せになれるのだろうか。
 聞いた話では、彼はこの町が戦前に拓かれる前からその祠に住んでいるのだという。
 だとすると相当なおじいさんではないか。たとえ人間であっても嫌な金持ちのヒヒジジイに嫁に出されるなんて、と晴江は身の上を嘆くしかなかった。
 礎さんの妻となるべく育てられた娘は、それでもそうやって生きる以外の方法を知らなかったのである。

 大学を卒業したら。
 それが晴江が独り身でいられる期限だった。
 高校、大学と、周りの友達が気兼ねなく恋愛し、結婚に夢を見ていることが、晴江には羨ましくてならなかった。
 高校生のころ、密かに同じ学年の男子生徒と恋愛関係になったことがある。しかし、それはすぐに露見し、晴江は厳しく叱責された。
 礎さんの嫁になるのだから、他の男などと付き合ってはいけない。晴江の父と礎さんが取り交わした決め事は、町内の人間の誰もが知っていたのだ。
 それ以来、晴江は誰とも恋愛などすることなく、時に恋をしても、その気持ちを無理矢理封じ込めて過ごしてきた。そのたびに、僅かずつ鬱積を心に貯めこみながら。

 晴江は、この春大学を卒業する。
0296わたしの婚姻 ◆4tZQDZ6Jk.Zt 2015/11/26(木) 22:52:09.70ID:L4TTvLtR
 『礎さん』は人前に出ることがない。その姿の全容を知っている人間もいない。
 よって、晴江と礎さんに限っては、通常の結婚のように式を挙げたり、披露宴をしたりなどいうことはない。
 戸籍もないのでいわゆる結婚には該当しない。
 これから晴江がすることは、ただ礎さんの祠に居を移し、礎さんに尽くして暮らすことだけだ。

 まだ肌寒い風が祠の周りに植えられた木々を揺らす。
 『庭』と称すべきそれは、礎さんと交流のある近所の老人たちの手によるものということだった。
 晴江の荷物はあまり多くなく、手回り品以外の全てはすでに新居の中に運び込まれている。
 先日両親とともに挨拶に訪れた時に知ったことだが、おどろくべきことに、祠の中には人間が文化的に暮らすに足りる充分なものが備えられていた。
 明かりの灯る広いリビングに始まり、晴江が不自由なく使うためのキッチンもあり、上下水道から家電製品に至るまでを完備、絨毯も敷かれ、洞窟の中とは思えないほどの調度が設えられていた。

 祠の入り口を眺めていた晴江の一抹の不安は、両親を伴って挨拶に来た折、『礎さん』らしき姿が見えなかったことである。
 どうやって肝心の挨拶を行ったかというと――、パソコンである。
 誰か、というより主に晴江の母がなにか言葉を発するたびに、答えたのはリビングに置かれたパソコン画面の中の文字だった。
「嫁として必要なことは出来る限り躾けておきましたので」
 と晴江の母が言うと、モニタには
<<それは頼もしい限りです>>
 と返信が表示され、ついでに機械の合成音声がそれを読み上げる。そんな具合だ。キーボードは見当たらなかった。

 そしてとうとう晴江が祠に済むことになる第一日目が今日なのだが、晴江の両親は仕事を理由に来られなかった。晴江ひとりが新居を訪ねることになってしまったのだ。

(お邪魔します、だとおかしいし、ただいま、というのも違う、なんと言って入ればいいんだろう)

 祠の前で逡巡していた晴江だったが、日も傾きかけいい加減寒くなってきた。
 意を決して、事前に受け取った鍵を重厚な扉の鍵穴に差し込む。
「し、失礼します」
 洞窟を塞ぐコンテナのような扉はぎいいいい、と低い音を立てて開いた。
 祠の中は真っ暗だった。が、晴江が一歩足を踏み入れると、パッと眼前が明るくなった。センサーライトが点灯したのだ。晴江は扉を閉め、鍵をかける。
 緊張で手のひらに汗をかいた。挙動不審にならないよう気を付けながら、晴江はまずリビングに向かった。礎さんとコミュニケーションを取れる場所はそこしか知らない。
0297わたしの婚姻 ◆4tZQDZ6Jk.Zt 2015/11/26(木) 22:55:27.32ID:L4TTvLtR
 晴江はリビングのソファに鞄を下ろし、パソコンの前に陣取った。
「勝手に上がらせていただきました」
 と断ると、ややあって、
<<今日からあなたの家です、問題ありません>>
 と返事が来た。中性的な機械音声が読み上げる。続けて、
<<私には人間の飲食物は必要ありません キッチンもお好きに使って結構ですので、どうぞお茶など飲んでください>>
 とパソコンが言った。
 晴江はその言葉に従って台所に入った。ラックの中にインスタントコーヒーや紅茶の葉がある。未開封のそれは、晴江のために用意されたものに違いなかった。
 紅茶を淹れ、リビングに戻る。いらないと言われたので礎さんの分はない。

 沈黙が祠に満ちる。相変わらず礎さんの姿はない。
「あの」
 晴江は焦れて話しかけた。
<<はい>>
「どうして隠れたままなんですか?」
 好感を持っていないことを露わに晴江が訊く。
「わたしたち、これから夫婦なのでは?」
 厭味ったらしくなったな、と思ったが、晴江はこれくらいの憂さ晴らしはしてもいいだろう、と開き直った。
 返答はない。
「……あの?」
 しんとしていた。
 しばらくして、やっと機械が声を出した。
<<私は、あなたのように美しくないので>>
 心なしかしょぼくれているような回答に、晴江はあんぐりと口を開けた。そして、少し照れた。面と向かって――ではないかもしれないが、「美しい」などと言われたのは初めてだったからだ。
 まあ、金で嫁をもらわなければならないような相手に、容姿の良さなどはなから期待していない。
「そうですか」
 それだけ返して、晴江は紅茶を飲んだ。

 母親が言ったとおり、晴江は家事能力に長けていた。が、そんなことはあまり重要ではないらしい、と晴江はその日すぐに気がついた。
 礎さんは人間のような食事は取らないし、外出するための服など着ないので洗濯も必要ない。せいぜい掃除をして祠の中を清潔に保つくらいだな、となんだか拍子抜けしてしまった。
 一人分の夕食を作り、食べていると、パソコンのモニタに文字が浮かんだ。
<<料理上手なんですね>>
 料理をしないし食べもしない礎さんにそんなことを言われて、晴江は苦笑いした。
「ありがとうございます」
 彼は彼なりに良い関係を作ろうとしているのだろうか。
0298わたしの婚姻 ◆4tZQDZ6Jk.Zt 2015/11/26(木) 22:59:06.69ID:L4TTvLtR
 礎さんは普段どこから祠の中を見ているのだろう。そんな疑問が湧く。晴江は湯船の中で強化プラスチックの天井を見てみる。換気扇が回っており、そこはさすがに外に繋がっているらしい。
 礎さんの姿を見たものはいるのだろうか。もしかして、これからもずっと姿が見えないまま暮らすのだろうか。それはさすがにぞっとする。
 晴江は風呂から上がり、脱衣所の鏡に全身を映す。
 シミひとつない、みずみずしい女の身体。
 これからどうなるのだろう。平穏な結婚生活は送れるのだろうか。
 今夜が初夜に当たる、と気付いた時、晴江は嫌悪感で吐き気がした。定着型粘質性多肢属――言葉は聞いたことがあるが、その実態は知らない。調べたこともある、しかし資料が少なすぎた。
 定型を持たず、粘膜質の腕が多い。その程度しかわからない。世界にも数例しかないと言われる、知能ある化け物。

 パジャマに着替え、髪を乾かして寝室に入る。まだ早い時間と言えたが、他にすることもないので寝るしかない。
 寝室にもモニタがあり、礎さんと会話ができるようになっていた。明かりは控えめで、眠りに向かう者の交感神経を鎮める役割を果たしているようだった。
<<晴江さん>>
 礎さんが話しかけてきた。
「はい?」
 基礎化粧品を使い終わった晴江がモニタに振り返る。そこに礎さんがいるわけではないが、声のする方を向いてしまうのはしょうがなかった。
<<これから……、初夜を迎えますので、……私の姿をお見せします。どうか驚かないで>>
「は……」
 晴江が返答する前に、一度寝室のランプが瞬いた。
 ず、と何かを引きずるような音。
 その音の出処が分からず、晴江はあたりを見回す。視界の端に異物が見えた。恐る恐る天井を見る。
 ――そこには、幾本もの触手が連なって垂れ下がっていた。
「……っ!」
 息を呑む晴江の目の前で、触手は徐々に質量を増し、肉の塊になっていく。ずずず。天井から生えているように見えるそれは床につき、人間とは似ても似つかぬ形にまとまっていった。
「…………、あ……」
 見たこともないものだった。晴江は口を覆い、ただじっと塊を見ていた。
<<私は>>
 モニタから声がした。
<<本来この洞窟を覆うほどの大きさがあります。すべてを見ることは出来ないでしょう>>
 ずるり、と触手を使って『礎さん』は晴江ににじり寄った。晴江は思わず後退る。鏡台にぶつかって、化粧水のボトルが倒れた。
「あっ」
 転びそうになった晴江を、肉塊から伸びた触手が抱きとめる。
<<怖がらせてしまいましたね>>
 驚愕から、晴江は声が出せなかった。
 何本もの触手を用いて、礎さんは晴江をベッドに座らせた。その内の一本が、そうっと晴江の頬に触れた。
0299わたしの婚姻 ◆4tZQDZ6Jk.Zt 2015/11/26(木) 23:04:22.56ID:L4TTvLtR
<<あなたを愛しているんです>>
 機械音声が告げた。
 晴江の心臓は破裂しそうだった。この、顔のない化け物に、知性があるということが信じられない。
 礎さんの触手が遠慮がちに晴江の身体に触れた。
 「厭だ」、と言う選択肢は晴江にはなかった。相手がなんであれ、妻になると決めてやってきたのだ。
「……、自分で、脱ぎます」
 諦観のような、静かな声で言った。
 白い肢体が露わになった。
 『礎さん』は何も言わず、何本かの触手を伸ばして晴江の乳房に触れる。ぴんとはりつめた肌が粘膜質の触手を押し返した。『礎さん』が豊かな乳房への愛撫を続けるうちに、晴江の身体が紅潮してくる。
 乳首をこねくり回す触手に、晴江の口から吐息が漏れた。
 人間の男でないとはいえ、紛れも無い性行為に晴江の胸が高鳴る。
 触手が晴江の唇をなぞった。おののきながら晴江は唇を開き、そっと先端を口に含む。何の味も匂いもしない器官を舌で嘗め回した。これは、キスの代わりだろうか。触手の先端には小さな孔があるようだった。
 肉塊は解けるように触手を伸ばし、若くしなやかな晴江の肉体を撫でまわす。
 うちの数本が、おずおずと下腹部に伸びた。
 モニタは沈黙したままだ。
 何本かの触手が晴江の脚を絡めとる。やんわりとした力に促され、晴江は足を開いた。同時にゆっくりベッドに身体を預ける。
 仄暗い明かりに、晴江の秘裂が照らされる。さすがに恥ずかしくなり晴江は顔を逸らした。
 触手が一本、つうと濡れていないそこをなぞる。それは何度も同じ場所を往復し、そのたびに僅かずつ陰唇の狭間に先端を推し進めていった。
 別の触手が陰核を押す。舌のように、柔らかい中に芯のある触手が、舐めるように花芯を刺激した。
 晴江の唇から小さな喘ぎがこぼれた。
 それを合図にしたかのように、直径二センチメートルほどの触手は晴江の体内にゆっくり侵入する。晴江は自分でもそこが濡れているのが判った。
 ほんの僅かな異物感。触手はそのままぬるぬると奥を目指す。それが子宮口を押し上げた時、晴江は小さな圧迫感に息を吐いた。指ほどの太さの異物が最奥まで到達する未知の感覚に高揚する。
 触手が抜き差しを始め、子宮口が何度も押された。
 次第に水音がし始め、触手も動きを大きくした。
 つい、と冷たい他の触手が小陰唇に触った。
 ほぐれてきたそこにじわじわとそれが侵入していく。
「ん……っ」
 晴江の体温で温まった触手とまだ冷たいそれが、晴江の中でバラバラに動き始めた。
「は……っ、あ、」
 入り口と内部への刺激に加え、陰毛をかき分けて核を撫でまわす触手の感覚に晴江は知らず知らずのうちに息を荒らげている。
「んんっ、んっ、ん」
 乳首と陰核、膣に対し執拗に繰り返される煽動に、晴江は少しずつ腰を動かし始めていた。
 いつの間にか体内に埋め込まれた触手は三本に増やされている。くちゅくちゅと愛液が音を立て、肛門のほうに垂れていく。
「んっ、ふぅうっ、あ、あ」
 触手の動きが激しくなり、奥をぐんと突かれた瞬間、晴江は達してしまった。
0300わたしの婚姻 ◆4tZQDZ6Jk.Zt 2015/11/26(木) 23:07:01.42ID:L4TTvLtR
「んんっ、あはぁっ、あっ、は、あぁ」
 どれくらいの時間が経っただろうか。
 寝室には水音が響き、晴江の喘ぎ声は明らかに大きくなっている。
 晴江のくわえ込んだ触手はさらに本数を増していて、もはや晴江の孔は男性器を挿入されるよりも大きく拡げられていた。
 それに加え、肛門へも刺激が行われている。
「んあぁあっ、あっ、い、いい……っ!」
 義務感から応じたはずの性行為に、晴江はすでに溺れそうになっていた。
 晴江は初めてではない。高校生の時に短い間だが付き合った男と、経験している。
 が、今の状態は、そんな経験などままごとのようなものだったと思わせるものだった。
 肛門の入り口を触っていた触手が、ついにその部分に侵入した。
「やあああっ、そこ、だめ、だめぇ……っ」
 晴江の懇願も聞かず、肛門を貫いた触手は直腸内部で暴れまわる。それに応じ、膣に挿入された五本の触手も動きを大きくした。
「ひあっ、いし、ずえさ……っ、あ、あぁ、んあぁ……っ、あぁあっ!」
 またしても晴江は絶頂する。もう何度目か分からない。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ」
 荒い息を吐きながら、晴江は潤んだ目で『礎さん』を見た。
 定着型粘質性多肢属の触手は、多肢と言うように腕のようなものであって、男性器ではない。
 礎さんの愛撫によって何度も絶頂させられ、しかし彼自身を満足させられていないという思いから、晴江は焦れたような気持ちになる。
 触手がもたらす快楽はたしかに気持ち良い。だが、これでは満たされない。
「あ…………、あ、あの……」
 礎さんが動きを止めた。 
「その……、そろそろ、あ、あなたのを、入れて欲しい……です」
 言葉にしてしまってから、晴江は自分が酷く淫猥な女であるような気がして、顔を背ける。
 少しばかりのためらいのあとに、礎さんの基部らしき場所から、ずるりとそれが現れた。
 全体の太さと長さは晴江の腕ほどもあろうか。枯木の幹のような脈が幾筋も這った肉の塊は、先に向かうにつれ突起が生えていた。突起は細かくうごめいている。
 大きく張ったカリは釣り針の反しを連想させる。雌を穿つための凶悪な部位だ。
 最先端からは先走りの液体がにじみ出ていた。無理もない、少なくとも小一時間は晴江の身体を前に我慢していたのだ。
 これから自分の体内を蹂躙するであろう怒張を見て、晴江は目を見張り、唾液を飲み込んだ。これが、礎さんの雄の器官……。
 覚悟を決め、晴江は触手が入ったままの秘裂を自ら拡げてみせた。
「きて……」
 晴江の中にあった触手が音を立てて引き抜かれる。
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