【なんでもあり】人外と人間でハァハァするスレ8
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0001名無しさん@ピンキー2013/07/07(日) NY:AN:NY.ANID:EvXFiz6W
ここは異種族と人間のエロ・非エロでハァハァするスレです。
モンスターでも異星人でも動物でも植物でも無機物でも!
とにかく人外と人間でハァハァ萌え萌えエロエロしようぜ!
人外の見た目に貴賤無し、人外なら何でも受け入れます

《利用上の注意》
・sage推奨
・厨くさい書き込み、荒らしはスルー
・801は801板へ
・SS投下の際には種族や傾向等の注意書きを
・議論したい人は避難所へどうぞ、移動しない人も荒らしです

保管庫
ttp://www26.atwiki.jp/monsters/
絵板
ttp://www2.atpaint.jp/jingai/

前スレ
【なんでもあり】人外と人間でハァハァするスレ7
ttp://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1320767038/

「人外と人間でハァハァするスレ 避難所」 管理人:◆AN26.8FkH6 氏
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/12634/
本スレに投下するか迷ったような作品を投下するスレ
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12634/1240613751/
0251名無しさん@ピンキー2015/05/19(火) 18:19:39.71ID:WTWhB6Do
人外もの好きなんだけどネタがない
話思いついたら投下するね
0252名無しさん@ピンキー2015/06/09(火) 05:12:29.02ID:4Nb076uU
映画、トゥモローランドが人間×人外かなあと思いました!
詳しく話すとネタバレになっちゃう
0255名無しさん@ピンキー2015/08/17(月) 23:35:12.71ID:3dD4fpZI
今テレビでやってる「モン娘」が男女逆なら超どストライクなんだが
ディスってるつもりはない、女が異種族に孕ませられるシチュが好きなもんで
02572552015/08/18(火) 04:46:20.98ID:U4ydMoQ5
例えばさ、ラミアって男版あるのか?あるとして確か爬虫類のアレって2本Vの字な感じで生えてるはずだから

主人公(女)に最初は一本、そのうち2本楽に入るようになっちゃったり

牛?つーかケンタウロス?のでっかいのを…からのスライム(男)で物理的に大きい×××じゃないんだけど、子宮いっぱいにスライムが〜とか

ハーピイ(男)はどうするんだ?とりあえず主人公(女)に卵ボコボコ生ませたり無理か鳥類わからん

なんかチラシ裏っぽくなってしまってすまん
0258名無しさん@ピンキー2015/08/19(水) 22:01:38.43ID:p/qOsWhb
人外サディスト向けは無いのかな…
そもそも自分以外に居るのか
0259名無しさん@ピンキー2015/08/24(月) 00:33:22.86ID:4dZbLNpv
最初は愛情を頼りに恐る恐る繋がりつつも
段々と人間では得られない異形の交接に夢中になり、
脳味噌ドロドロになる快楽漬けってのが個人的に好み
0261名無しさん@ピンキー2015/08/29(土) 04:07:37.66ID:ttQGjLsu
サイレントヒルのスレが見当たらないからバブルヘッドナースで書いていい?
0265 ◆se.eiIUl2E 2015/08/31(月) 01:16:36.26ID:fvV8yuDZ
書いてみる。因みにアーケードでは必ずナムボディで一回死ぬけどみんなそんなもんだよな?
0266名無しさん@ピンキー2015/08/31(月) 01:59:17.54ID:fvV8yuDZ
 この街には観光できていた。所謂自分探しと言う奴であり、静かな観光地で自分を見つめ直
そうとそう決めていた。見る物は全て見て、遊べる物は全て遊んでみようと。
 しかし、この街がおかしくなり始めたのは見知らぬ錬金術の本を手に取ってからだ。
 気がつけば周囲は濃霧に囲まれ、街は異様な怪物達が自分に襲い掛かって来る。
 あの不出来な肉のかたまりのような存在から、犬のようななにか。
 鉄パイプを手にそれらの相手をするがキリがない。出口の見当たらない街を彷徨っている
最中、巨大な病院を見つけた。
 病院なら食料も備蓄されているかもしれない。ほとぼりが冷めるまで隠れているつもりで
病院へと上がり込んだ。
 静寂に包まれた病院は外の濃霧によって不気味さを醸し出していた。
 事務室に上がり込むとそこには保存食が段ボールで置かれており、一つの安心を得ながら
適当な病室へと運び込む。
 落ち着いた所で錬金術の本に目を向ける。そこに書かれていたホムンクルスという存在に
目を引かれた。
『ホムンクルスはフラスコの中の小人であり、科学に塗れた世界では表に出して歩かせる事
等到底不可能。しかし、そこに魔術的要素が加われば一気に現実味が増して行く』
 おそらく表で暴れているのはホムンクルスと呼ばれる存在だろう。灰色の肉体を持つとも
書かれており、その特徴が表で見たのと一致する。
『そして動かすに当たって必要なのは心を付加させることである。完成した心を与えるのは
今だ成功していらず喜怒哀楽を与えるのも難しい。それよりもその感情だけでは歩いたのち
に食料を求めようとはしない』
 自分はここに来るまでに何度も襲われている。それはあの化け物達が自分を食料と見なし
ているのであれば合点が言った。
『まずは七つの大罪と呼ばれる要素を与えるべきであろう。しかし、どれか一つでも与えた
時点でその感情に合わせた身体を構築して一人歩きし始めていく事を注意されたし。例えば
憤怒なら暴れる為に肥大化した身体を作り、暴食なら犬のような形状を構築する。またその
身体によって身体維持の生存条件が変化する』
 途中で見た犬のような何かは暴食の権化だった。一歩間違えていれば喰われていただろ。
『例えば、色欲なら』
 次の瞬間、部屋の扉が外から叩かれる。鍵自体は閉めているが、何と外による力が強過ぎ
て一気に金具その物が外れかけてしまっていた。
0267名無しさん@ピンキー2015/08/31(月) 02:31:33.73ID:fvV8yuDZ
 扉は五秒と持たず大胆に開けられた。開けたのは人間の女性の身体を象ったホムンクル
ス。
 しかし、その顔はまるで複数の泡が立ったようにぶくぶくに膨れており、辛うじて顎の輪
郭と口の存在が確認できる手度だ。恐ろしいのはそれだけでなく、手にはメスを握ってい
る。
 ああぁ……と甲高い声を上げる女性のような存在。
 嫉妬か、虚飾と言った所か。人間モドキの分際でナース衣装を身に纏っていた。
 こちらも生きる分に必死だ。鉄パイプを手に取り、伸ばしてくる手を打ち払い、その頭を
勢いよくぶん殴る。
 相手はメスを落とし、地面に倒れ込む。
 しかし、それで倒せた訳ではなく、足下に伏せただけで足を掴み、自分の動きを妨害しだ
す。
「離せ!」
 空いている足で蹴り飛ばそうとした時に初めて、相手の背にもう一体いることに気がつ
いた。
 気を取られている隙に飛び込んで来たナースに胸ぐらを掴まれ、身体が背中にある窓へ叩
きつけられた。
 その衝撃で手から鉄パイプを落としてしまい、カランカランと虚しい音が鳴り響く。
 畳み二畳半程度の個室の壁際。逃げる空間は左手のベッドの上だけで唯一の出口はナース
の後ろ。甲高い唸り声が自身の恐怖を煽った。
 死を覚悟して目を瞑る。
 だが、次の感覚は苦痛ではなく別の感覚。
 唇に当たる柔らかな弾力。その口を吸い込もうとする僅かな吸引。
 そっと目を開けると、そこにはぶくぶくに膨れ上がった化け物の頭部。それを見て何事か
を理解した。
 化け物ナースとキスをしていた。
 動揺したせいで思わず口が開き、しめたように舌が口の中へと滑り込む。
0269名無しさん@ピンキー2015/09/02(水) 00:51:17.44ID:F0suuhhV
執筆が遅くてすまぬ。
そこまで凝った内容にする訳じゃないからなるべく早く終わるようには心がけるよ
0270名無しさん@ピンキー2015/09/02(水) 01:46:54.37ID:F0suuhhV
 ぬらりと唾液のたっぷり乗った舌が自分の舌に触れる。
 まず舌の尖端同士をくっつけ、円を描くように舐め回し舌の上に舌を被せる。唾液の量は分泌
腺が壊れているのか、その粘度は例えるであれば生臭い蜂蜜。そしてその舌の長さは人間のそれ
とは段違いであり、奥に侵入した舌が口蓋垂に触れるほどである。
 ん、んんぅ……。
 おぞましくも誘惑するような声を上げるナース。その声を聞いた時、悲しいかな僅かにこ
のまま大人しくしていればいずれはと期待してしまっていた。
 化け物とはいえ、手を伸ばし、短いスカートの中へ手を伸ばすとそこには肉付きのいい尻
肉。キスのため密着している二つの巨塊は人間なら間違いなく一目を引いていた。
 今現在口の中に侵入している舌。分厚く僅かに体温があり、口から溢れてしまう量の唾液
を放つこの舌で自分のモノを舐められたらどんな気分か。
 そんな事を考えている最中、足を掴んでいたナースがメスを持って這い上がる。
 腹に当たった冷たい感触に一瞬の恐怖を覚えるが次の瞬間にはズボンと下着を切断。
 いきり立ったモノがナースの鼻先で揺れ動く。
「ん、んんー!」
 キスをされている最中に竿が握られ、生臭い蜂蜜と称した唾液が尖端から毛の生えた根元
へと滴り、馴染ませるかのように細い五本の指が前後へと動き始める。
 そのモノにキスをしているナースが尖端をゆっくりと撫で回す。スナップを利かせ掌と五
本指の感触が自身でいじるより何倍も気持ちいい。
0271名無しさん@ピンキー2015/09/02(水) 02:28:37.62ID:F0suuhhV
 このナースは色欲を象徴している。はっきりと言えた。色欲の説明の続きにはこうあった。
『存在維持に必要な体液を吸った存在は獲物の状態を体液から理解する。弱い場所、されたい
趣向が筒抜けとなり、獲物を完全な支配下に置こうと快楽へと陥れる』
 キスをするナースがもう片方の手でナースコールのボタンを押した。自分の唾液からされた
い事が筒抜けとなったナースにはもはや抵抗はできない。
 尖端を包んでいた手が消えると這い上がっていたナースが尖端に小口の唇でしゃぶりつ
く。
 ナースの口の中には歯が一本も無い。体液を啜るだけの存在には意味は無いとして抜け落ち
たかはわからない。しかし。歯の無い歯茎の凹凸で左右にもごもごと動かされれば、歯では
絶対に味わえない刺激がそこにはあった。
 ごりごりとした感触だが痛みはない。シリコンのブラシで擦られているようだ。
 入り口だけでこの歓迎。しかし、ここからだ。
 凄まじい吸引力で吸われた口内には蜂蜜を浴びた蛇が獲物を待ち構えていた。
 長い舌が尖端からカリを通り、竿へとぐるぐるに巻き付く。根元に口をつけ、そこから舌
を出して袋を舐めるあたり本当に長い。
 その巻き付かれた状態で相手の首が前後へと揺れた。
0272名無しさん@ピンキー2015/09/04(金) 02:09:21.62ID:lSX3Optt
 まるでバネが巻き付いたかのような波状的刺激、一段目のベロが通ったと思ったら二段目、三段目の
刺激が続けて襲う。その際にぐいぐいと締め付けられ、刺激と苦しさが伴い無意識に力んでしまう。
 そして、再び前に顔を押し出すと再び刺激のウェーブが何段も重なり、今度は緩まった事で力に緩急
が出来て行く。
 もごもごと口の中で動く感触はたこ壷の中にモノを突っ込んでいるような気分をさせられる。実際こ
の口は自分の体液を啜ろうとする軟体生物の巣窟だ。
 蛇のようにちろちろと尖端を舐め回し、ぐちゃぐちゃに入り乱れる口の中でモノを一心不乱にかき乱
す。
「ん、んん!!」
 出る、そう言いたかったがキスで封じられて声は出ない。ただ、言葉よりも早くその口の中へと白い
体液を流し込み、先ほどまで刺激し続けた舌が変わらずもっと出せと言わんばかりにその口の中で乱れ
る。
 下のバブルヘッドナースは満足したのか口を離し、代わりにキスをしていたナースが自分をベッド
の上へと投げ飛ばす。
 自分としてはもうしばらくぶりに抜けたからもう逃げてしまいたくもあった。しかし、ナースが上
着の胸元のボタンを引き千切り、谷間を強調しながら近づくとそんな気分も一転してしまう。
 薄汚れた乳白色の肌に浮かぶ灰色の乳首。目の前に迫るおぞましい頭部にある魅力的な唇。
 抵抗せず残りの服を全部脱がされるとその後ろからはナースコールで呼ばれた複数体の同じ魅力を
持つナースが六人もいればぎちぎちの個室へと押し寄せた。

 アレからどれほどの時間が立ったかわからない。顔は上四方固めのように胸で顔を押さえ込まれて
いるため長らく光も見ていない。耳で感じるのはぴちゃぴちゃとなる水滴音と彼女達のおぞましい歓
喜の声。
 身体に感じるのは延命の為の献血の痛みと残りは彼女達の唇と舌の感触。何人かは見えないが、も
う何度も白い液を噴き上げたモノは複数人に唇で遊ばれ、脇から脇腹に掛けて舌が滑る。
 自分の両手には胸の感触が伝わり、足の裏には硬い乳首で筋をなぞられていて今でもくすぐったく
感じる。
 もはや逃げられるとも思わないし逃げようとも思わない。もはや餌となった自分には何もすること
ができない。しかし、不幸だとは思わない。もう何も考えず、ただ気持ちよくなってればいいのだか
ら。

終わり
0273名無しさん@ピンキー2015/09/04(金) 02:10:13.37ID:lSX3Optt
うん。自分で書くとやっぱり辛いな。
0276名無しさん@ピンキー2015/09/04(金) 16:09:36.30ID:4fBAFSyO
乙でした。

夜にでも自分も投下します。
定番モノなので需要があるかはわからないけど。
0277勇者と魔王の一夜限り。 ◆4tZQDZ6Jk.Zt 2015/09/04(金) 20:41:06.93ID:4fBAFSyO
投下します。
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 勇者・志乃は紆余曲折の末、魔王城の最奥にたどり着きました。

「とうとう追い詰めたぞ! 魔王バアル!」

 光の剣を振りかざし、志乃は一人声を張り上げます。
 闇の中に、赤くぎらつく眼が光りました。

「おお志乃よ、よくぞ来た! この私に真の姿を現すことを余儀なくさせるとは、やはり予言の勇者と呼ぶべきか!」

 魔王バアルは咆哮を上げます。逞しい褐色の肌に白いたてがみを戴き、四本の腕を持つ身体を豪奢な装飾品で包んだ魔王は、しかし背丈が常人の倍はありました。
 鋭い牙、眼光、見るものすべてを恐れさせると言う魔王の威圧感に、歴戦の勇士である志乃もわずかに気圧されていました。
 しかし、そんなことで逃げ出す志乃ではありません。何せ、自分の背には世界中の期待がかかっているのです。
 そして何より、恐れる道理はありません。何故なら、勇者が魔王を倒し、世界に平和をもたらすことは、古来より定められた理なのです。
魔王に負ける勇者など今までもこれからも絶対に存在しないのです。
 どんなに苦境に立たされようと、必ず勇者が勝つ、世界はそういう風にできているのです。
 志乃は右手に握った聖剣に魔力を注ぎ込みました。

「行くぞバアル! 我が剣を受けてみろ!」

 自信に満ち溢れた志乃がまさに魔王に斬りかからんとしたとき、魔王バアルが右手をスッと上げました。

「まあ、待て。志乃」
「!? な、なんだ!?」

 出鼻をくじかれ、志乃はつんのめります。

「貴様、この世界における勇者と魔王の定めは知っていよう」
「……?? ああ、知っている。魔王は必ず勇者に倒されるということだろう」
「その通り。如何に力を蓄えたとて、勇者に勝てる魔王はおらん。だが考えてみてくれんか。そんな魔王は実は同情に値する存在ではないかと」
「な、何!?」

 思いがけないバアルの言葉に、志乃はうろたえました。

「どれほどの魔物に傅かれ、奴隷を侍らし、世界を恐怖と混沌に陥れようとも、最後は必ず勇者に倒される。空しいものよ」
「……っ、何が言いたい。それが魔王の定めだろうが」
「私は貴様が故郷の村を出て、王に謁見してから、世界中を旅し、魔物と戦う力を得、聖なる武具を手に入れ、尋常ならざる魔力を以って我が城に辿り着くまでの数年を具に見てきた。
時に忍んで行った街でうわさを聞き、時に配下の魔物に貴様を見張らせてな……そう、まるで貴様に恋をしているかのように」
「っな、な、な、なっ!!」

 思いもよらぬ魔王の言い草に、戦いばかりに明け暮れ、恋愛経験に乏しい志乃は見る見る顔を赤くします。

「そ、そ、そ、そんなことを言ってわたしを動揺させようなどとしても無駄だぞバアルッ! おおお前は必ずこのわたしが倒すッ!!」

 思いっきり動揺しながら、志乃は剣を構えました。

「ああ、構わん。私は貴様に倒されよう。だが、その前に私の望みを一つだけ叶えてくれんか」
「何!? ま、魔族と取引など……」
「たった一つだ」
0278勇者と魔王の一夜限り。 ◆4tZQDZ6Jk.Zt 2015/09/04(金) 20:41:37.15ID:4fBAFSyO
 バアルはずいと志乃に詰め寄ります。

「倒される前に、たった一度でいい。貴様を抱きたいのだ」
「は……はあああ!? ま、ま、待て、ちょっと待てッ!!」
「貴様は美しい……戦いのために傷つき、疲れた身体を引きずりながら、決して諦めぬその瞳の気高さは千の玉石よりも貴いものだ」
「お、お前一体何を言って……」

 バアルの大きな四つの手が志乃の腕に、腰に触れます。

「やっ、ちょっと……」
「見た目よりも女らしいのだな」
「ば、ばかを言うなッ!」
「貴様に倒される者の最後の願いだ……頼む」

 勇者は元来お人好しと相場が決まっています。志乃は切なげなバアルの声についに絆されたのでした。

「わ……解っ……んむっ」

 志乃が了解の返答をする途中で、バアルは志乃の唇にむしゃぶりつきました。

「んうっ、は、あぁ、ん、む……」

 魔王の長い舌が志乃の口内を存分に味わいます。ぞくぞくと志乃の身体に鳥肌が立ち、それを確かめるようにバアルは聖なる鎧を外しにかかりました。

「え!? ちょっ、あの」
「これを外さねば貴様を抱けまい。それにどうあろうと必ず貴様に倒されるのが魔王というもの……鎧がなかろうと剣がなかろうと、結局どの道なのだ」
「う……そ、そうなのか。なら自分で外す。お前には解きにくいだろう」

 志乃が革紐を解き、鎧を外すと、まるで重量を感じさせない魔法の鎧はふわりと床に落ちます。下に置いた剣をそっと遠ざけると、その瞬間バアルの四本の腕が志乃をかきいだきました。

「きゃあっ!?」
「志乃、待ったぞこの時を!」

 言うや否や、バアルは無理やり志乃の服を引きちぎりました。小ぶりながらはっきりと膨らんだ乳房や、程よく筋肉が付きながらも滑らかな曲線を持った下半身があらわになります。
 志乃は初めて怯えました。こんな寝台もないところで、魔王相手に肌を晒すことが急に恥ずかしくなったのです。しかし、どうしたことか、それ以上にバアルが並々ならぬ快楽をもたらしてくれるのではないかという期待がありました。

「待っ、や、なんか変……っ」
「くくく、効いてきたようだな。私の唾液には催淫作用があってな。どうだ、『そこ』が熱くはないか?」
0279勇者と魔王の一夜限り。 ◆4tZQDZ6Jk.Zt 2015/09/04(金) 20:41:59.74ID:4fBAFSyO
 二本の手に両腕を、もう二本に腰を押さえつけられ、冷たい玉座の床に組み敷かれて、志乃の鼓動は昂ぶりました。脚の間に割り入ったバアルの膝が志乃の『そこ』に触れ、志乃はびくりと身体を震わせます。

「あっ、あ……」
「どれ、味見をしてやろう」
「ひゃああっ!?」

 陰唇から陰核にかけてをバアルの舌がねぶりました。
 ぴちゃ、ぴちゃと音を立てて、バアルはゆるゆると唾液を志乃の中に送り込みます。熱を帯びてくる粘膜が自分のものでないようで、志乃は唇を噛みました。

「口から飲ませただけでこの効果だからな。直接舐めたらどうなるか、想像くらいはつくだろう。見ろ、もう物欲しそうにひくついているぞ」
「う、あっ、嘘……っ、っひ!?」

 もじもじしているうちに、バアルの指が志乃の蜜壷に埋め込まれました。指とは言っても、普通の人間のものよりもずっと太く長いそれは、まるで性器のように奥深くまで入り込みます。

「あっあああっ!? あ、あ、あうっ、やあぁ」

 困惑と快感の中で志乃の腰が揺れ、催淫作用のおかげで何倍も感じやすくなっているそこを、バアルの無骨な指が蹂躙していきます。

「駄目、だめええっ」
「何を言う、ここか? ここがいいのか? 腰が動いているぞ志乃!」
「いやっ、違うのお! あっ、あ、指、増やさないでぇっ」
「ほう、よほど好いと見えるな、唾液の作用か? それとも元からいやらしい身体をしているのか?」
「ひんんっ! やぁあっ、ちがっ、駄目、だ、め、あああ」

 わずかに志乃が腰を浮かせ、息を荒げはじめたところで、バアルはじゅぷりと指を引き抜きました。

「え、あれっ……」

 突然自分の中から消えてしまった質量を探るように、志乃は頭を起こします。そして見てしまいました。バアルが、その魔王という名にふさわしい巨根を自分の脚の間に宛がっているのを。

「ひっ……!?」
「充分に準備が出来たようなのでな。私と繋がり一つになろうではないか、志乃」
「あ、あ、はあああああ……っ」

 バアルが猛る肉棒を志乃の中にゆるゆると沈めこみ、志乃の肉の壁は快楽とともにそれを受け入れます。志乃は大きく息を吐き出さざるを得ませんでした。常人のものよりずっと大きく歪な形をした魔王の男根が、横隔膜を圧迫したからです。

「私の種族は生殖行為を行うことが少なく持ち物も退化してしまったのだが……やはり人間には少々大きすぎたようだな」
「あっ……は……」

 自分の体内に打ち込まれている太くうねった杭に、志乃は息もできません。
0280勇者と魔王の一夜限り。 ◆4tZQDZ6Jk.Zt 2015/09/04(金) 20:42:30.35ID:4fBAFSyO
「そら、見るがいい」
「んううっ」

 強引に身体を折り曲げられ、志乃は自分の恥部を深々と貫く赤黒い『持ち物』をはっきりと認識させられました。
 それが脈動していることも、人間のものと違って古木の幹のような形状をしていることも、そして自分はそれを根元まで銜え込んでいるわけではないということも知りました。
 バアルがゆっくりと抽送を始めます。

「んああ、ああ、あっ、あ」
「貴様の膣は小さいな志乃……ッ、見ろ、全部入りきっておらんぞ」
「あんんんっ、はああっ、ああ、あーっ」

 木のうろのような引っ掛かりが志乃の入り口を責め立てます。ぐんぐんと出し入れを繰り返すたびに志乃の身体は面白いように跳ね、バアルは愉快そうに牙をむき出して口の端を歪めました。

「いやっ、い、ああっ、はっ、あ、あはあっ」
「何が嫌なものか、これほど善がって悦んでいるではないか。これは私の唾液ではないぞ」

 結合部からぐちゅぐちゅと液体が零れ落ちます。それは持ち上げられた腰を伝って背中のほうにまで流れ出ていました。ところが、突然バアルが己自身を志乃の体内から引き抜きました。いやらしい糸が二者の間に光り、飛び散ります。

「ひゃあうっ!?」
「しかし、惜しいことだ」

 腰を高く持ち上げさせ、バアルが嘆息しました。灯かりに照らされた志乃の秘部がぬらぬらと光っています。バアルはまじまじとそこを見つめ、舌なめずりをしました。志乃の身体が羞恥に赤く染まります。

「や、やだ……見ないで……っ」
「この交接が終わったら貴様に倒される運命とはな」
「ああっ!」

 指の一本で裂け目をずぶずぶと弄び、赤く膨れた豆をちろちろと舐めると、志乃が身体を震わせました。

「折角の機会だ、隅々まで味わってやるとしよう」

 言うや否や、バアルはその長い舌を志乃の中に挿入しました。

「あっ、あああっ!」

 恥ずかしさと生暖かい感触に志乃は再び肌を粟立たせます。バアルは舌を蠢かせ、志乃の愛液をすべて舐めとるかのように出し入れを繰り返しました。
 舌先が志乃の最も奥、子宮の入り口にまで達します。本来ならまだ痛みを伴うはずの刺激でしたが、バアルの唾液の作用によってじわじわとそこも快楽に包まれていきました。

「んっうう、ああ……っ、あ、あ、あ!」

 膣の中で生き物のように動く舌がくにくにと子宮口をねぶります。
0281勇者と魔王の一夜限り。 ◆4tZQDZ6Jk.Zt 2015/09/04(金) 20:42:55.53ID:4fBAFSyO
「ひっ! いや、だめ、そこぉっ! いっ、いっちゃ……ああっ あああーーっ!」

 びくんと志乃はのけぞって、爪先をピンと伸ばして何度も痙攣すると、やがて脱力し力なく横たわりました。ぬるりと舌を抜き取ると、バアルは満足そうに笑います。あまり大きくない志乃の乳房をゆっくりと撫で回し、その頂点を優しくつまんで刺激しました。

「ん……んっ、はあっ……」

 バアルは絶頂の余韻に浸っている志乃の身体をくまなく撫で、いとおしげに眺めます。勇者とは言っても女、オスを昂ぶらせるのに充分な機能を備えています。秘部からはとろりとした液体が溢れていました。
 それを指で掬って舐めとり、バアルはぐったりした志乃の身体を反転させます。尻を突き上げさせ、ぱっくりと開いた秘裂に指を這わせると、志乃が呻きました。

「いい眺めだ……志乃、貴様に生命の秘術を施してやろう……」

 バアルは自らの陽根を二、三度志乃に擦り付けると――、一気に内部に突き立てました。

「ああっぐ!?」

 一度達した志乃の膣内はぬめりを以って容易にバアルを受け入れます。背後から突き入れられた巨大な質量に、
 肉の剣先が先ほど唾液をすり込まれた子宮口に当たり、志乃の肉壷はきゅっとバアルの肉棒を締め付けました。バアルの持ち物が体内で暴れ周り、志乃はあたりはばからず嬌声を上げます。

「ああっ、はあん、んああっ、あああっ!」
「くくっ、心地よいぞ志乃! 貴様の肉が吸い付いてくるようだ!」
「ひんんっ! だ、だめえ、あぁっ、中……奥、までぇ……っ、ふあぁ」
「そうだ志乃、もっと深く銜え込めッ! 貴様を送り出した者たちはどう思うだろうなあ!? 倒すべきはずの魔王と獣のようにまぐわっている貴様を見たら!」
「いやっ、いやあぁっ! やめ、あぁあっ」

 喘ぐ志乃を見て、バアルは満足そうに笑うと志乃の下腹部に手を伸ばしました。男性器を出し入れするたびにうねるそこを撫で、指の腹で優しくさすります。
 そして粘膜同士で繋がったまま、もう一度志乃の身体を仰向けにさせました。
 内部をえぐられるような強い刺激に志乃はまた小さく絶頂したように思います。

「あ、あ、あ、あぁ、バアル……っ!」

 いつの間にか志乃はバアルの巨躯にしがみつき、バアルを尚奥まで導こうと腰を振っていました。
 バアルは上の二本の腕で志乃の上体を抱え乳房を揉みしだき、下の二本の腕で尻たぶをこねくり回します。全身への愛撫に志乃は恍惚となり、物欲しそうにバアルの唇に自分のそれを寄せました。
 蕩けるような気分にさせるバアルの唾液がどうしても欲しくなったのです。

「んっ、ふ、ああ……バアルぅ……っ」
「くくく、嬉しいことよ志乃……自ら私を求めるとは」

 舌を絡ませあい、恋人同士のように深く繋がります。バアルが志乃のぴんと尖った乳首をつまむとまた志乃の膣内が収縮しました。
0283勇者と何たら2015/09/05(土) 01:25:21.16ID:XSyexgtb
規制食らってあと20時間ほど書き込めません
すみません\(^o^)/
0284名無しさん@ピンキー2015/09/05(土) 06:50:08.84ID:+AJ3Pzkt
最近やたらと連投規制厳しくなってるよね、ピンク板
焦らずゆっくりやってくれ
0285勇者と魔王の一夜限り。 ◆4tZQDZ6Jk.Zt 2015/09/05(土) 21:50:38.17ID:jcM4xU8h
「もうすっかりほぐれただろう」
「はぁっ、あっ、え、えっ?」

 大人の腕ほどもある逞しいものを、いまやほとんど根元まで飲み込んだ志乃はバアルの言葉に首を傾げました。

「いや、魔王とは悲しいものだ……これほどの快楽に勇者を陥れても、結局は倒される定めにあるとは。しかしな志乃……世界の摂理は魔王の生殖行為まで否定しているわけではないのだ」
「あぅっ、あっ、はぁん、お、お前、なにを言って……っ?」

 バアルの大きな手のひらが志乃の腹を撫でさすります。

「勇者の子宮を借りて魔王が子を生そうとも運命は干渉しない、ということだ」
「……っ!!」
「私がただ色欲に負けて貴様を抱いていると思ったか?」
「やっ、ああっ、やだぁ……っ!」
「今更遅い、志乃、貴様に我が子を産ませてやろうぞ!」
「ひっ、ああぁ、や、ああんっ!」

 あまりの快楽に、志乃は自分がしていることが動物における交尾と同義だということがすっぽり頭から抜けていたようです。

「ああぁっ! だ、め、あぁんっ!」
「本当に嫌がっているなら何故このように腰を振るッ? 声にも艶が失われていないぞ志乃! 強く優れた私の遺伝子を、貴様の子宮が欲しているのだ!」
「ひぃっ! あぁ、ち、ちが……っ! ぁああっ! いやっ! いやあぁっ」

 嫌とは言いつつも、志乃の脚は知らず知らずにバアルの腰を掴みます。
 結合の喜びと魔王の子を孕まされるという恐怖感が綯い交ぜになり、志乃の頭は何も考えられなくなってしまいました。

「あっ、あっ、あっ、だめ、あ、やっ、あんんっ」
「くっ、いいぞ志乃……ッ!」

 志乃は壊れたおもちゃのように口の端からよだれを垂らし、魔王による蹂躙を難なく受け入れています。催淫作用のある唾液をたっぷりと飲んだことも一因でしょう。

「我が子種を、貴様の胎内に注ぎ込んでくれる!」
「あんっ! ひあぁっ、も、だめ、バアル、いっ、いくぅ……っ!」

 呼吸を荒げるバアルの吐息が志乃の耳にかかり、志乃の性感をいっそう高めていきました。

「ああ、あ、あ、あ、ああああああああっ!!」
「くぅ……ッ、志乃……ッ!!」

 志乃が絶頂を迎えると同時に、バアルは志乃の身体の一番奥、その胎にどくどくと精液を吐き出しました。
0286勇者と魔王の一夜限り。 ◆4tZQDZ6Jk.Zt 2015/09/05(土) 21:57:44.33ID:jcM4xU8h
「あ……ぅ……」

 小さく呻き声を上げる志乃と、肩で息をするバアルの繋がった部分から、こぽりと白濁液が零れ落ちました。身体が大きい分、出すものも多かったのです。
 バアルが自分のものを志乃の身体から抜き取ると、もうどちらのものか判らない液体が志乃の腿を汚しました。
 バアルはぐったりした志乃を抱き起こし、顎をくいと持ち上げると、ほとんど意識のない志乃に口付けました。舌を引き抜くと唾液が糸を引き、志乃の胸に落ちます。

「んっ……」
「志乃、起きろ。次は貴様が私を倒す番だ」
「あ……」

 余韻の中でとろけていた志乃の意識が段々とはっきりしてきます。

「バアル……」
「なんだ、私を倒すのが惜しくなったか?」
「ばっ、ばか、そんなわけあるか」

 強がってみたものの、志乃は先ほどまでの自分の痴態が恥ずかしくてしょうがありません。魔王の玉座で魔王に抱かれて悦ぶ勇者など、恐らく前代未聞です。
 膣口から子宮にかけて、まだ甘く疼くように快楽が残っています。唾液の効果か、自分自身の肉体のせいか、志乃には判りません。

「そんなに好かったか。もう一度私のもので気を遣りたいというなら考えてやらんでも――ぐふっ!」

 調子に乗ったバアルの左頬に、志乃が右ストレートを叩き込みました。
 その瞬間。
 バアルの身体がぼろぼろと崩れていきます。聖なる武具がなくても魔王を倒せるというのは出任せではなかったようです。

「バアル!」
「ぬぅ、しまった……いきなりクリティカルヒットを叩き出すとは、さすが予言の勇者……」

 バアルは崩れ落ちる自身を見ながら、それでも不敵に笑いました。

「まあ、最後に貴様を私のものにできたのだ、良しとするべきだな」
「へ、減らず口を……っ」
「お前を抱けてよかった、ぞ。志、乃……」
「バアルッ!」

 志乃が思わず伸ばした手を取ることなく、バアルは灰になって消えていきました。
 荒涼とした風がどこからか吹き、バアルの遺灰を流し去ります。

「あ……バアル……」

 呼んでみても、返答はありません。ただ、脚の間を混ざり合った体液が伝い、床を濡らしました。
 志乃には解っていました。きっとこの先、普通に誰かと結婚して幸せな家庭を持つことはないだろうと。もう二度と、決して応えることのないその男に、志乃は恋をしてしまったようでした。

 勇者は魔王を倒し、再び旅に出ました。
 引き止める故郷の人々を振り返ることなく放浪の旅に出た勇者の行方を、今はもう誰も知りません。
 数百年後、再び魔王と名乗る者が現れるまで、人々は勇者のことを忘れていることでしょう。
 その魔王がバアルに似ているかどうかは――、たった一人だけが知っている秘密です。

終わり。
−−−−−−−−−−−−−−−−

定番モノで失礼しました〜
勿体つけてたった残り2レスっていうねw
自分の萌えワード盛り込んでるので共感してもらえるといいなあ。
0287名無しさん@ピンキー2015/09/05(土) 22:20:49.99ID:u6FdBGMF
悪くない。魔王と勇者は定番だがこんなオチがつくとはwww
0288名無しさん@ピンキー2015/09/05(土) 23:33:01.87ID:dqJUlj+q
人外×少女が好きだったから、このSSは どストライクだったわ。
乙!
0291名無しさん@ピンキー2015/11/21(土) 13:28:13.81ID:EyIwWOdG
保守age
0292名無しさん@ピンキー2015/11/25(水) 23:20:43.42ID:ZDapkEna
ネタ思いついたので明日か明後日くらい投下しますね保守
0295わたしの婚姻 ◆4tZQDZ6Jk.Zt 2015/11/26(木) 22:47:59.51ID:L4TTvLtR
 『彼』に名前はなかった。
 人間社会から少々逸脱した存在であるところの彼には戸籍がなかったのである。
 とは言え、彼は完全に社会から隔絶されていたかといえばそうではなく、近年は特にインターネットを使って世間との繋がりを持つようになっていた。
 晴江の両親と彼の繋がりもそういったところから始まったということだったが、晴江にとってはそんなことはどうでも良かった。
(結局は単なるひきこもりじゃないか)
 というのが晴江の当初の見解だった。

 『彼』――、その生き物は、定型の姿を持っていなかった。人間が言うところの『定着型粘質性多肢属』である彼は、もちろん人間ではなかったし、人間の世界で人間のようには生きていなかった。
 かろうじて町外れの、小さな山の洞窟を利用した祠の中で、古くから彼を知る周りの人間によって助力を得ながら暮らしているのだった。
 前述のとおり名前というものはなかったが、呼び名がないのは不便であるとのことで、いつからか彼は『礎さん』『礎の人』と呼ばれていた。
 これも晴江に言わせれば、
「人間でないくせ、何が『ヒト』か」
 ということになるのだが。

 晴江が彼に嫌悪を抱いているのには訳があった。彼が人間でないからではない。
 晴江がまだ小学生のころ、事業を営む晴江の父が資金繰りに困り、『礎さん』を頼ったことがある。
 どういうわけか『礎さん』には資産があり、快く晴江の父に大金をほとんど無条件で融資してくれた。晴江の父はそれで難を乗り切り、今でも何とか商売をやっていられる。
 と言っても、晴江の家は決して裕福にはならなかったし、礎さんへの金の返済も毎月滞っている。そこで、一時は一家心中まで考えた晴江の父は、返しても返しきれない恩のために、まだ子供だった晴江を彼の許嫁に据えたのだった。
 晴江はそれこそ幼い頃から、「お前は礎さんのお嫁さんになるのだよ」と聞かされて育ってきた。
 単なる婚約者なら別に良かったのだ、と晴江は思う。
 父が『礎さん』に自分を売ったのだ、という認識は子供の頃から持っていた。一家心中しなくて済んだのはまあ有り難いが、礎さんは金で嫁を買ったのだ、と思うとやはり好感など持てるものではなかった。
 それに、人間でないものに嫁いで果たして幸せになれるのだろうか。
 聞いた話では、彼はこの町が戦前に拓かれる前からその祠に住んでいるのだという。
 だとすると相当なおじいさんではないか。たとえ人間であっても嫌な金持ちのヒヒジジイに嫁に出されるなんて、と晴江は身の上を嘆くしかなかった。
 礎さんの妻となるべく育てられた娘は、それでもそうやって生きる以外の方法を知らなかったのである。

 大学を卒業したら。
 それが晴江が独り身でいられる期限だった。
 高校、大学と、周りの友達が気兼ねなく恋愛し、結婚に夢を見ていることが、晴江には羨ましくてならなかった。
 高校生のころ、密かに同じ学年の男子生徒と恋愛関係になったことがある。しかし、それはすぐに露見し、晴江は厳しく叱責された。
 礎さんの嫁になるのだから、他の男などと付き合ってはいけない。晴江の父と礎さんが取り交わした決め事は、町内の人間の誰もが知っていたのだ。
 それ以来、晴江は誰とも恋愛などすることなく、時に恋をしても、その気持ちを無理矢理封じ込めて過ごしてきた。そのたびに、僅かずつ鬱積を心に貯めこみながら。

 晴江は、この春大学を卒業する。
0296わたしの婚姻 ◆4tZQDZ6Jk.Zt 2015/11/26(木) 22:52:09.70ID:L4TTvLtR
 『礎さん』は人前に出ることがない。その姿の全容を知っている人間もいない。
 よって、晴江と礎さんに限っては、通常の結婚のように式を挙げたり、披露宴をしたりなどいうことはない。
 戸籍もないのでいわゆる結婚には該当しない。
 これから晴江がすることは、ただ礎さんの祠に居を移し、礎さんに尽くして暮らすことだけだ。

 まだ肌寒い風が祠の周りに植えられた木々を揺らす。
 『庭』と称すべきそれは、礎さんと交流のある近所の老人たちの手によるものということだった。
 晴江の荷物はあまり多くなく、手回り品以外の全てはすでに新居の中に運び込まれている。
 先日両親とともに挨拶に訪れた時に知ったことだが、おどろくべきことに、祠の中には人間が文化的に暮らすに足りる充分なものが備えられていた。
 明かりの灯る広いリビングに始まり、晴江が不自由なく使うためのキッチンもあり、上下水道から家電製品に至るまでを完備、絨毯も敷かれ、洞窟の中とは思えないほどの調度が設えられていた。

 祠の入り口を眺めていた晴江の一抹の不安は、両親を伴って挨拶に来た折、『礎さん』らしき姿が見えなかったことである。
 どうやって肝心の挨拶を行ったかというと――、パソコンである。
 誰か、というより主に晴江の母がなにか言葉を発するたびに、答えたのはリビングに置かれたパソコン画面の中の文字だった。
「嫁として必要なことは出来る限り躾けておきましたので」
 と晴江の母が言うと、モニタには
<<それは頼もしい限りです>>
 と返信が表示され、ついでに機械の合成音声がそれを読み上げる。そんな具合だ。キーボードは見当たらなかった。

 そしてとうとう晴江が祠に済むことになる第一日目が今日なのだが、晴江の両親は仕事を理由に来られなかった。晴江ひとりが新居を訪ねることになってしまったのだ。

(お邪魔します、だとおかしいし、ただいま、というのも違う、なんと言って入ればいいんだろう)

 祠の前で逡巡していた晴江だったが、日も傾きかけいい加減寒くなってきた。
 意を決して、事前に受け取った鍵を重厚な扉の鍵穴に差し込む。
「し、失礼します」
 洞窟を塞ぐコンテナのような扉はぎいいいい、と低い音を立てて開いた。
 祠の中は真っ暗だった。が、晴江が一歩足を踏み入れると、パッと眼前が明るくなった。センサーライトが点灯したのだ。晴江は扉を閉め、鍵をかける。
 緊張で手のひらに汗をかいた。挙動不審にならないよう気を付けながら、晴江はまずリビングに向かった。礎さんとコミュニケーションを取れる場所はそこしか知らない。
0297わたしの婚姻 ◆4tZQDZ6Jk.Zt 2015/11/26(木) 22:55:27.32ID:L4TTvLtR
 晴江はリビングのソファに鞄を下ろし、パソコンの前に陣取った。
「勝手に上がらせていただきました」
 と断ると、ややあって、
<<今日からあなたの家です、問題ありません>>
 と返事が来た。中性的な機械音声が読み上げる。続けて、
<<私には人間の飲食物は必要ありません キッチンもお好きに使って結構ですので、どうぞお茶など飲んでください>>
 とパソコンが言った。
 晴江はその言葉に従って台所に入った。ラックの中にインスタントコーヒーや紅茶の葉がある。未開封のそれは、晴江のために用意されたものに違いなかった。
 紅茶を淹れ、リビングに戻る。いらないと言われたので礎さんの分はない。

 沈黙が祠に満ちる。相変わらず礎さんの姿はない。
「あの」
 晴江は焦れて話しかけた。
<<はい>>
「どうして隠れたままなんですか?」
 好感を持っていないことを露わに晴江が訊く。
「わたしたち、これから夫婦なのでは?」
 厭味ったらしくなったな、と思ったが、晴江はこれくらいの憂さ晴らしはしてもいいだろう、と開き直った。
 返答はない。
「……あの?」
 しんとしていた。
 しばらくして、やっと機械が声を出した。
<<私は、あなたのように美しくないので>>
 心なしかしょぼくれているような回答に、晴江はあんぐりと口を開けた。そして、少し照れた。面と向かって――ではないかもしれないが、「美しい」などと言われたのは初めてだったからだ。
 まあ、金で嫁をもらわなければならないような相手に、容姿の良さなどはなから期待していない。
「そうですか」
 それだけ返して、晴江は紅茶を飲んだ。

 母親が言ったとおり、晴江は家事能力に長けていた。が、そんなことはあまり重要ではないらしい、と晴江はその日すぐに気がついた。
 礎さんは人間のような食事は取らないし、外出するための服など着ないので洗濯も必要ない。せいぜい掃除をして祠の中を清潔に保つくらいだな、となんだか拍子抜けしてしまった。
 一人分の夕食を作り、食べていると、パソコンのモニタに文字が浮かんだ。
<<料理上手なんですね>>
 料理をしないし食べもしない礎さんにそんなことを言われて、晴江は苦笑いした。
「ありがとうございます」
 彼は彼なりに良い関係を作ろうとしているのだろうか。
0298わたしの婚姻 ◆4tZQDZ6Jk.Zt 2015/11/26(木) 22:59:06.69ID:L4TTvLtR
 礎さんは普段どこから祠の中を見ているのだろう。そんな疑問が湧く。晴江は湯船の中で強化プラスチックの天井を見てみる。換気扇が回っており、そこはさすがに外に繋がっているらしい。
 礎さんの姿を見たものはいるのだろうか。もしかして、これからもずっと姿が見えないまま暮らすのだろうか。それはさすがにぞっとする。
 晴江は風呂から上がり、脱衣所の鏡に全身を映す。
 シミひとつない、みずみずしい女の身体。
 これからどうなるのだろう。平穏な結婚生活は送れるのだろうか。
 今夜が初夜に当たる、と気付いた時、晴江は嫌悪感で吐き気がした。定着型粘質性多肢属――言葉は聞いたことがあるが、その実態は知らない。調べたこともある、しかし資料が少なすぎた。
 定型を持たず、粘膜質の腕が多い。その程度しかわからない。世界にも数例しかないと言われる、知能ある化け物。

 パジャマに着替え、髪を乾かして寝室に入る。まだ早い時間と言えたが、他にすることもないので寝るしかない。
 寝室にもモニタがあり、礎さんと会話ができるようになっていた。明かりは控えめで、眠りに向かう者の交感神経を鎮める役割を果たしているようだった。
<<晴江さん>>
 礎さんが話しかけてきた。
「はい?」
 基礎化粧品を使い終わった晴江がモニタに振り返る。そこに礎さんがいるわけではないが、声のする方を向いてしまうのはしょうがなかった。
<<これから……、初夜を迎えますので、……私の姿をお見せします。どうか驚かないで>>
「は……」
 晴江が返答する前に、一度寝室のランプが瞬いた。
 ず、と何かを引きずるような音。
 その音の出処が分からず、晴江はあたりを見回す。視界の端に異物が見えた。恐る恐る天井を見る。
 ――そこには、幾本もの触手が連なって垂れ下がっていた。
「……っ!」
 息を呑む晴江の目の前で、触手は徐々に質量を増し、肉の塊になっていく。ずずず。天井から生えているように見えるそれは床につき、人間とは似ても似つかぬ形にまとまっていった。
「…………、あ……」
 見たこともないものだった。晴江は口を覆い、ただじっと塊を見ていた。
<<私は>>
 モニタから声がした。
<<本来この洞窟を覆うほどの大きさがあります。すべてを見ることは出来ないでしょう>>
 ずるり、と触手を使って『礎さん』は晴江ににじり寄った。晴江は思わず後退る。鏡台にぶつかって、化粧水のボトルが倒れた。
「あっ」
 転びそうになった晴江を、肉塊から伸びた触手が抱きとめる。
<<怖がらせてしまいましたね>>
 驚愕から、晴江は声が出せなかった。
 何本もの触手を用いて、礎さんは晴江をベッドに座らせた。その内の一本が、そうっと晴江の頬に触れた。
0299わたしの婚姻 ◆4tZQDZ6Jk.Zt 2015/11/26(木) 23:04:22.56ID:L4TTvLtR
<<あなたを愛しているんです>>
 機械音声が告げた。
 晴江の心臓は破裂しそうだった。この、顔のない化け物に、知性があるということが信じられない。
 礎さんの触手が遠慮がちに晴江の身体に触れた。
 「厭だ」、と言う選択肢は晴江にはなかった。相手がなんであれ、妻になると決めてやってきたのだ。
「……、自分で、脱ぎます」
 諦観のような、静かな声で言った。
 白い肢体が露わになった。
 『礎さん』は何も言わず、何本かの触手を伸ばして晴江の乳房に触れる。ぴんとはりつめた肌が粘膜質の触手を押し返した。『礎さん』が豊かな乳房への愛撫を続けるうちに、晴江の身体が紅潮してくる。
 乳首をこねくり回す触手に、晴江の口から吐息が漏れた。
 人間の男でないとはいえ、紛れも無い性行為に晴江の胸が高鳴る。
 触手が晴江の唇をなぞった。おののきながら晴江は唇を開き、そっと先端を口に含む。何の味も匂いもしない器官を舌で嘗め回した。これは、キスの代わりだろうか。触手の先端には小さな孔があるようだった。
 肉塊は解けるように触手を伸ばし、若くしなやかな晴江の肉体を撫でまわす。
 うちの数本が、おずおずと下腹部に伸びた。
 モニタは沈黙したままだ。
 何本かの触手が晴江の脚を絡めとる。やんわりとした力に促され、晴江は足を開いた。同時にゆっくりベッドに身体を預ける。
 仄暗い明かりに、晴江の秘裂が照らされる。さすがに恥ずかしくなり晴江は顔を逸らした。
 触手が一本、つうと濡れていないそこをなぞる。それは何度も同じ場所を往復し、そのたびに僅かずつ陰唇の狭間に先端を推し進めていった。
 別の触手が陰核を押す。舌のように、柔らかい中に芯のある触手が、舐めるように花芯を刺激した。
 晴江の唇から小さな喘ぎがこぼれた。
 それを合図にしたかのように、直径二センチメートルほどの触手は晴江の体内にゆっくり侵入する。晴江は自分でもそこが濡れているのが判った。
 ほんの僅かな異物感。触手はそのままぬるぬると奥を目指す。それが子宮口を押し上げた時、晴江は小さな圧迫感に息を吐いた。指ほどの太さの異物が最奥まで到達する未知の感覚に高揚する。
 触手が抜き差しを始め、子宮口が何度も押された。
 次第に水音がし始め、触手も動きを大きくした。
 つい、と冷たい他の触手が小陰唇に触った。
 ほぐれてきたそこにじわじわとそれが侵入していく。
「ん……っ」
 晴江の体温で温まった触手とまだ冷たいそれが、晴江の中でバラバラに動き始めた。
「は……っ、あ、」
 入り口と内部への刺激に加え、陰毛をかき分けて核を撫でまわす触手の感覚に晴江は知らず知らずのうちに息を荒らげている。
「んんっ、んっ、ん」
 乳首と陰核、膣に対し執拗に繰り返される煽動に、晴江は少しずつ腰を動かし始めていた。
 いつの間にか体内に埋め込まれた触手は三本に増やされている。くちゅくちゅと愛液が音を立て、肛門のほうに垂れていく。
「んっ、ふぅうっ、あ、あ」
 触手の動きが激しくなり、奥をぐんと突かれた瞬間、晴江は達してしまった。
0300わたしの婚姻 ◆4tZQDZ6Jk.Zt 2015/11/26(木) 23:07:01.42ID:L4TTvLtR
「んんっ、あはぁっ、あっ、は、あぁ」
 どれくらいの時間が経っただろうか。
 寝室には水音が響き、晴江の喘ぎ声は明らかに大きくなっている。
 晴江のくわえ込んだ触手はさらに本数を増していて、もはや晴江の孔は男性器を挿入されるよりも大きく拡げられていた。
 それに加え、肛門へも刺激が行われている。
「んあぁあっ、あっ、い、いい……っ!」
 義務感から応じたはずの性行為に、晴江はすでに溺れそうになっていた。
 晴江は初めてではない。高校生の時に短い間だが付き合った男と、経験している。
 が、今の状態は、そんな経験などままごとのようなものだったと思わせるものだった。
 肛門の入り口を触っていた触手が、ついにその部分に侵入した。
「やあああっ、そこ、だめ、だめぇ……っ」
 晴江の懇願も聞かず、肛門を貫いた触手は直腸内部で暴れまわる。それに応じ、膣に挿入された五本の触手も動きを大きくした。
「ひあっ、いし、ずえさ……っ、あ、あぁ、んあぁ……っ、あぁあっ!」
 またしても晴江は絶頂する。もう何度目か分からない。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ」
 荒い息を吐きながら、晴江は潤んだ目で『礎さん』を見た。
 定着型粘質性多肢属の触手は、多肢と言うように腕のようなものであって、男性器ではない。
 礎さんの愛撫によって何度も絶頂させられ、しかし彼自身を満足させられていないという思いから、晴江は焦れたような気持ちになる。
 触手がもたらす快楽はたしかに気持ち良い。だが、これでは満たされない。
「あ…………、あ、あの……」
 礎さんが動きを止めた。 
「その……、そろそろ、あ、あなたのを、入れて欲しい……です」
 言葉にしてしまってから、晴江は自分が酷く淫猥な女であるような気がして、顔を背ける。
 少しばかりのためらいのあとに、礎さんの基部らしき場所から、ずるりとそれが現れた。
 全体の太さと長さは晴江の腕ほどもあろうか。枯木の幹のような脈が幾筋も這った肉の塊は、先に向かうにつれ突起が生えていた。突起は細かくうごめいている。
 大きく張ったカリは釣り針の反しを連想させる。雌を穿つための凶悪な部位だ。
 最先端からは先走りの液体がにじみ出ていた。無理もない、少なくとも小一時間は晴江の身体を前に我慢していたのだ。
 これから自分の体内を蹂躙するであろう怒張を見て、晴江は目を見張り、唾液を飲み込んだ。これが、礎さんの雄の器官……。
 覚悟を決め、晴江は触手が入ったままの秘裂を自ら拡げてみせた。
「きて……」
 晴江の中にあった触手が音を立てて引き抜かれる。
0301名無しさん@ピンキー2015/11/26(木) 23:11:02.94ID:kQvsHKaG
紫煙
0302わたしの婚姻 ◆4tZQDZ6Jk.Zt 2015/11/26(木) 23:11:54.89ID:L4TTvLtR
「はっ……ああっ!」
 内臓全体を押し上げる巨大な質量に、晴江は深く嘆息した。時間をかけてじっくりと拡げられたそこは、礎さんの男根をも難なく飲み込んでいく。
「んっ……、く……」
 それでもおそらく精一杯晴江を気遣いながら、礎さんは膣内を掻き分けていく。ざわめく突起が膣口を、それからその内壁を何重にも刺激する。
 礎さんのものが晴江の最も奥まで捩じ込まれた。
「んぁっ、は……っ、あぁ……」
 晴江の喉から切なげな吐息が漏れる。子宮に押し付けられたペニスが内部でぐにぐにとうごめく。
「あはぁあああっ、そ、それ、だめぇぇっ」
 まるで自在に動く手で子宮そのものを撫でさすられているような感覚だった。
 度重なる絶頂と子宮口への誘起で、晴江の一番奥にある性感帯が目覚めつつあった。
 触手が晴江の脚に絡みつき、膝を上げさせる。自然、結合部が晴江の目の前にきた。晴江は釘付けになる。
 自分の大事な部分を尋常ではない大きさのものが貫き、ぐじゅぐじゅと体液を溢れさせている。
 抽送が始まると、晴江はまたも押し寄せる快楽の波に身体を震わせた。
「あぁぁあっ、んぁは、はぁっ、あ゛あ゛っ、あ」
 晴江の白い身体が波打つ。
 ずん、ずんと出し入れされるたびに、この世のものとは思えない衝撃と快感が訪れた。
(わたしは、いま夫に抱かれている)
 晴江の脳裏をそんな思いが占めた。
「あぁっ、んはぁっ、あ゛、そ、そこぉ……っ! ああああっ!」
 触手での愛撫で、礎さんは晴江の身体の敏感なところを学び取ったようだ。晴江は仰け反って身体をこわばらせ、失神した。
 しかしそれも僅かな時間だった。
 晴江の中で礎さんが動くと、すぐに晴江は気が付き、また異形の夫のもたらす悦楽に身を委ねた。
 触手が乳房と陰核、そして尻の穴を揉みほぐし、太いペニスが何度となく蜜壺を満たす。
「ああぁ、いいっ、そこぉっ、いいのぉっ……! あ゛っ、あはぁ、あ、あなたぁ……っ!」
 嫌悪していたはずの男に支配される悦びに、晴江は打ち震えた。
 『礎さん』の身体は天井や床に張り付いたまま、触手に覆われた基部がベッドにのしかかっている。
 そうか、と晴江は愉悦の中で得心した。
 『礎さん』はむしろ、この祠そのものなのだ。
 世が世ならそれは、神と称される存在だったかもしれない。
 尋常ならざる存在に射貫かれ、突き入れられて、晴江は獣のように咆哮した。
 律動が勢いを増す。下半身全体が溶けてしまいそうだった。繋がった部分からとろけて、一つになってしまうのではないか。そんなふうに思えた。
「あっ、はぁっ、あうぅっ、ふぁ、あーっ、あっ、あ、あ」
 もう何も考えられない。
「ひっ、いぃ、ぐ、ぅ」
 晴江が鳴き、愉楽の頂に登りつめた瞬間、その身体の中心に熱いものが放たれた。
 胎内にどくどくと注ぎ込まれる液体の熱さと量を、晴江は薄れ行く意識の中で感じていた。
0303わたしの婚姻 ◆4tZQDZ6Jk.Zt 2015/11/26(木) 23:17:57.16ID:L4TTvLtR
 次に晴江が意識を取り戻した時、そこに夫の姿はなかった。
 晴江の身体はきちんと清拭されており、パジャマを着せられて布団の中にあった。
 身を起こし、パソコンのモニタを見る。すでに文字が打ち込まれていた。
<<不手際があったらすみませんでした。できるだけ丁寧におこなったつもりですが、身体は大丈夫ですか>>
 行為を行う最中、彼は文字を入力する余裕がなかったのだろう。結局終始礎さんが無言だったことを思い出し、しかしそれでも相当に優しく事に及んだらしいことが解り、晴江は少し笑った。
「……大丈夫です。その……」
 どこにいるか判らない礎さんを探すように天井を見上げ、晴江はやや恥じらいながらも言った。
「わたしたち、これで夫婦でしょうか」
 間を置いて、モニタに文字が打ち込まれた。
<<晴江さん。あなたがそれでいいというのなら、私はとても嬉しい>>
 合成音声が読み上げる。
 晴江は微笑んだ。
 布団に潜り込み、明かりを消そうとして、晴江はふと顔を上げる。
「あの、礎さん」
<<なんでしょう>>
「新婚初夜に独りで眠るのも寂しいので、よかったら手を貸してもらえますか」
 返答の代わりに、岩肌がむき出しの壁から触手が一本にょろりと生えてきた。
 晴江はそれを手に取り、布団の中に引っ張りこんでその先にくちづけた。
 心なしか、触手が体温を上げたような気がした。
 祠の中はひんやりと冷たい。
 晴江は布団を耳まで引っ張り上げた。
 好いた相手との結婚ではなかったかもしれないが、夫となる生き物は案外悪くなさそうだ。
 この期に及んで少々負け惜しみを考えながら、晴江は眠りについた。


−−−−−−−−
おわり!
どこから現れるかわからん触手生物との結婚生活ってもんに萌えてみた
昼寝してる時に気付いたら触手が中に! とか、お風呂入ってたら背後から! とか
夫婦だけど触手との子作りはできるのか? とか、もう色々捗る
0304名無しさん@ピンキー2015/11/27(金) 01:13:40.12ID:QcTsnvcU
乙です!紳士な礎さんGJです!

「好いた相手との結婚ではなかったかもしれないが、夫となる生き物は案外悪くなさそうだ。
この期に及んで少々負け惜しみを考えながら、晴江は眠りについた。」

ここ、好きです。この晴江さんがとってもかわいくて幸せそう。礎さんの触手に抱きついたまま、安心して頬を緩めて、明日からの夫婦生活を楽しみに目を閉じる晴江さんが想像できて。
それをそっと見ている礎さんも。
あーもーかわいい。本当いい。

できれば、この若夫婦の日常を続きで読みたいです。
新婚の嬉しさにいろいろと妻に手を出して、いちゃいちゃして、少々やり過ぎて、晴江さんに説教くらう礎さん、とかも。
0309名無しさん@ピンキー2015/12/04(金) 15:34:13.68ID:qBNgXLle
人外娘を孕ませたい

人間の女とは姿がかけ離れているほど興奮する
本来の生殖方法が胎生で無ければなお良い
ぱんぱんに膨れ上がった自分のお腹に恐怖する人外娘に
元気な赤ちゃんいっぱい産んでねって言いながらボテ腹セックス
中で元気に動く胎児にらめぇってなる人外娘
異種族の雌を人間の自分が遺伝子レベルで征服し支配する快感
なんか女騎士孕ますオークの気持ちがわかる気がするわ
0310名無しさん@ピンキー2015/12/17(木) 19:37:43.13ID:MyxOdizK
チュパカブラにレイプされたい
血抜くって脅されながら
0312名無しさん@ピンキー2016/01/31(日) 19:26:57.30ID:OvPA1pNf
人外(異形頭や無機物寄りの)キャラのリョナとか俺以外に居るのか?
0313名無しさん@ピンキー2016/02/16(火) 17:05:48.09ID:SzWSaB9I
傭兵(人間♂)×リザードマン(♀)
エロ

(久しぶりにベッドの上で寝られるなぁ…)
俺は馬車に揺られながらそんな事を考えた。
「お前さん、街に着いたらどうする?」
街に野菜を売りに行く農夫の爺様が聞いてくる。
「さぁねぇ……仕事があればいいけどな」
爺様はカッカッカと笑って言った。
「最近は戦(いくさ)も少ねぇからな。ワシらにとっちゃ
ありがてぇ話じゃわい。お前さん達には酷だがの」
そう、俺は戦がなければ食っていけない。
職業が『傭兵』だからだ。
一昔前は戦につぐ戦で稼ぎも良かったが、戦には金がかかる。
どの国の王様や議会も『割に合わない』と戦をやめて、話し合いで
物事を決める時代になってしまった。
「ま、賭場の用心棒でもするかね。これ馬車代だ」
「達者での」
俺は銀貨を1枚、爺様に渡して馬車を降りた。
時間は昼を回った頃か…街の喧騒をぬけて酒場に行く。
情報を仕入れるためと宿を探すためだ。酒場はこの時間でも騒がしい。
「麦酒くれ」
カウンター席に腰掛けながら親父に注文する。
「最近じゃ傭兵も仕事が減ったね。皆、麦酒ばかりだ」
樽の栓を抜いてグラスに麦酒注ぐ親父がぶつぶつ言っている。
「耳が痛いぜ。ウイスキーの味忘れちまったよ」
グラスを受け取り、一口飲む。羽振りのいい頃が懐かしい。
「この辺じゃ仕事はないな。もっと西の方に行けば国境で小競り合いを
しているらしいがね。宿は満室だ。娼館は街の西」
さすが酒場の親父。俺が聞きたいことを全部教えてくれた。
「ありがとよ。これは情報料だ」
俺は紙幣を置いた。多少弾んでやれば、もっと教えてくれる。
「娼館行くなら『ライム』ってトコ行きな。酒場に親父に聞いたっていえば
生でヤラしてくれる。病気持ちもいねぇから安心しな。あと
7日前から街の広場で腕比べしている亜人がいる。勝てば今まで巻き上げた金を全部くれるらしい。金貨1枚から挑戦しているってよ」
上機嫌な親父が小鳥のように饒舌になった。
「へぇ7日……」
亜人と一口に言っても、この大陸には様々な種族がいる。
最近ではどの種族の若者も古い習慣を捨て社会に進出している。
街ですれ違う人間と亜人のカップルなんていうのも珍しくない。
ドワーフ、ホビット、エルフ、希にハーピーやラミア、ケンタウロス
なんてカップルもいる。どうやってヤっているのか気になったりもするが、
割と上手くヤッてるのかもしれない、馬だけに……
俺はくだらないことを考えながら、親父の話に相槌を打っている。
「今まで何人も挑戦したのだが、誰も勝ったことがないらしいな。
お前さんもどうだい?」
……あまり乗り気はしないが、野次馬に混じって見物していくか……
0314名無しさん@ピンキー2016/02/16(火) 17:07:23.77ID:SzWSaB9I
広場では既に人だかりができていた。
皆、個々に賭けたりしているんだろう。輪の中心では2メートルはある
巨人族が厳つい剣を振り回している。たぶんあの巨人族が
腕比べしている亜人なのだろう。相手は…よく見えない。
甲高い金属音が響く。真剣でやっているのかよ。危ねぇなぁ…ったく
「なぁ、あの巨人、いつも真剣でやっているのか?」
俺は近くにいた野次馬に聞いてみた。
「ああ?ちげぇよ!あの野郎、負けたのに『真剣で』って言い出したんだよ!あいつは挑戦――おっそこだ!いけいけ!」
あとは取り付く島もない。もう決着がつくみたいだ。
「ま、参った!降参だ!」
巨人が膝をつき、手をあげた。肩で息をしているところをみるに
相当動き回ったんだろう。野次馬が喚声を上げた。賭けに勝った奴、負けた奴
その他……もうお開きとばかりに徐々に野次馬が減っていく。
「挑戦…誰かいないか?」
凛と響く声。こいつが件の亜人か…
「リザードマンか…しかも女とはね」
この辺りじゃ珍しい種族に入る。
リザードマンといえばトカゲが二足歩行しているように思い浮かべるが、
この種族は顔も身体もほとんど人間だ。違うのは長く伸びた尻尾ぐらいか?
挑戦者を募る少女はブラウンの髪を後ろでまとめている。
装備は……背中にあるロングソード。涼しげな衣服の下に見える鎖帷子
腰に差したダガーか……構えや動きから相当な手練れだ。
しっかし……けっこうおっぱいデカイな。と、そんな事を思っていると
「貴方、勝負です」
誰か指名されているぞ、俺はキョロキョロと左右を見た。
「貴方だ。そこの傭兵」
傭兵って……お、俺?
「い、いや…俺、金貨1枚なんて持っていないから遠慮しとくよ」
「お金はいらない、勝負」
リザードマン、いやリザ子は木刀をこちらに放ってきた。
思わず受け取ってしまう俺。面倒だなぁ………
何だ、何だと野次馬が戻ってきた。ギャラリーが増えた。これで断れば
暴動が起きるかもしれない。しかも、警備兵まで野次馬に加わっている。
くっそ、野試合とか取り締まれよ。
「構えて下さい」
「あー…あー…いや、俺、これでいいよ。うん」
リザ子は木刀を両手で持ち、言った。対する俺は片手で持ったまま、
だらんと下げている。
『真面目にやりやがれ』『金を賭けているんだぞ』
『何だ!何だ!やる気あんのか傭兵!』『賭けにならねぇじゃねえか!』『ボケ』
誰だ、最後にボケって言った奴!
「いざっ!」
リザ子が木刀を上段から降り降ろしてきた。あっぶねぇ。
俺はそれを左に避けた。リザ子がそのまま下段から頭部を狙い切り上げてくる。
それもバックステップで避け、距離をとった。
その後も避けて、避けて、避けまくった。
0315名無しさん@ピンキー2016/02/16(火) 17:07:51.46ID:SzWSaB9I
『避けってばかりじゃないか!』『打ち合えよ!つまらなぇんだ!』
『余裕みせてんじゃねぇ!』『でも、全部避けるってすごくねぇか?』
『避けた瞬間に切りつければいいのに』
好き勝手いいやがって、こっちに余裕なんかねぇんだよ!
息が切れてきた、あちらの息も荒い。タフだなぁ…あいつ。
そろそろ決めないと木刀でやられちまう。
「こっちから行くぜ」
俺は木刀を構えて突進した。
「せぇい!!」
しめた、横に薙ぎ払ってきた。俺はその一閃を前転して空振りに
させ、擦り抜け様に片手でもった木刀でリザ子の腰を叩いた。
「ぐっ!?」
手応えがあった。リザ子は痛みをこらえて振り向き様に木刀を
振り下ろそうとした。が、俺はすで立ち上がり、木刀をリザ子の
喉元に突きつけた。静止するする時間。木刀の先が微かに喉元に
触れている。
「これで勝負あり………じゃねぇかな?」
俺はおそるおそる言ってみた。
カランと地面に転がる木刀。リザ子のだ。
「私の……負けです」
次の瞬間、野次馬がドッと歓声を上げた。
『勝ちやがった!』『すげーぞ、傭兵!』『リザードマンに勝ちやがった』
『避けて、避けてってのは作戦か』『ボケ』
だから誰だよ最後にボケって言ったのは!
野次馬を余所に俺はそそくさと退散しようと走って路地に入った。
「あーやばい、やばい…警備兵に取り締まられなくて良かった!」
右に左、右と曲がりに曲がって路地の行き止まりまで来た。
「ええ、よかったです」
止まって息を整えていると、後ろから声がした。
って―――なんでっ!?
「何でアンタがいるんだ!?もう終わったろ?仕返しとかやめてくれ
真剣で試合もノーだからな」
「そ、そんなつもりは!あのこれ、お金です!」
リザ子も肩で息をしながら、革袋をつきだした。
そうか、勝ったら稼いだ金全部くれるんだっけ。
「あーそういうことなら貰っておくぜ、にしても律儀だな」
「はい、そ、それと――」
何だ、まだ何かあんのか?
「私と結婚してください!」

続く予定
0317名無しさん@ピンキー2016/02/16(火) 22:09:32.85ID:cTkWe0n0
グラーフ船長「だいたい人の顔してるだけマシじゃないか」
0319名無しさん@ピンキー2016/03/05(土) 01:28:28.59ID:e0ujf6aJ
ハァハァできるかはわからないが次あたり非エロで書いてみようかな
0320名無しさん@ピンキー2016/03/05(土) 08:24:00.34ID:XDaEfpAk
ロボットやアンドロイドもここでいいのかな?
スレ的にはどうなのよ
0321名無しさん@ピンキー2016/03/05(土) 09:00:29.49ID:WSt4KrBw
外見によるかな
ぱっと見、人間同士に見えるのは人外じゃないだろって思うし
0325名無しさん@ピンキー2016/03/05(土) 15:53:53.18ID:XDaEfpAk
次スレとか復活はないのかよ
だったらロボものもここでいいんじゃない?
0326名無しさん@ピンキー2016/03/23(水) 01:38:19.97ID:8MC2+h6i
ところで書いていい流れなのだろうか?
非エロだけど
0328 ◆y/t0tGs2FJTn 2016/03/23(水) 09:07:44.39ID:8MC2+h6i
あー、それは違う人だ
一応トリップをつける
0329名無しさん@ピンキー2016/03/23(水) 13:42:44.15ID:k2aZXnKL
ああ非エロだけどいいのかってことか
いいと思うよ楽しみにしてる
0330名無しさん@ピンキー2016/03/23(水) 16:17:26.05ID:uaGxjbbS
ロボものは俺です、申し訳ない
やっぱりロボものはロボスレが復活したらあっちに投下します
0333名無しさん@ピンキー2016/03/24(木) 00:40:33.77ID:FdWQJh68
消滅したスレの復活なんか有り得るのか?
この過疎化の真っ只中で
0335 ◆y/t0tGs2FJTn 2016/03/25(金) 02:33:50.12ID:QexNrQsx
 昔っから映画でよく見たな、妖怪だの神だのは身近に居ますと。しかし、そんな事は有りえないと十もならな
い今時のガキはそう思うだろう。けどだ。人生はどこで反転するか本当にわからない物だ。
「ただいま」
 気だるげに俺は制服とネクタイを玄関に投げ捨て、ローファーを脱ぎ捨てる。後ろにはダチがいた。バッグには
アニメの缶バッジ、チャックには何かのアニメのキーホルダー。私はアニオタですとカバンだけで自己紹介しているよ
うなやつだ。けどこんなんでも俺の親友なのは間違いない。
「お帰りなさい!ヤヨイ君!あら、チヒロ君も来ていたのね」
 玄関から割烹着を着た義母(か)さんが出てきた。しかし、ただの人間じゃないと気付けるのは俺とチヒロぐら
いだ。義母さんには耳がある。この言葉だけでは当たり前だろと返されるがその位置は顔の左右ではなく頭の上、し
かも、耳は長く金色の毛がふさふさでありこの腰にはどこからが毛なのかもわからないほど更にふさふさな尻尾が
三つほど生えており、その目付きも所謂つり目、動物で例えるなら。
「お久しぶりです。また毛並みも一段と美しいようで」
「もう!私は狐、しかしやっぱり人の体をしている以上は女性に対する褒め方をしてもらいたいですわ」
「ははは、これは失礼!」
 先ほど本人の口からこぼれたため例えるまでもなくなったが義母さんは狐。しかも、妖怪の類である化け狐だ
った。だが、このようにチヒロと談笑しているように人間に危害を与えるような事は無い。尻尾と耳はある一定
以上、霊感、もしくは徳を積んだ人間にしか見えないため私生活で正体がバレるような事はほとんど無かった。
 俺はチヒロをリビングに招き入れ、手に持ったカバンの中に珍しく入れた教科書とノートをテーブルに広げ、
これから先の面倒な事に大きなため息を吐いた。
「あら、お勉強会?」
「う、うん。まあ、そんなとこ」
「聞いてくださいよ。こいつ今日の授業の質問を全部外したのですよ。保健体育は全問正解だったのに」
 義母さんの問いに俺は曖昧な返答しかできず困っていた所をチヒロがフォローを入れた。義母さんはアラアラ
と苦笑い気味に俺の方を見て、二階で洗濯物を畳むと気を遣い二階へと上がっていく。
「余計な作り話はやめろ!」
 バタンと扉が閉まった瞬間、俺の右拳がチヒロの顔面に向かう。自慢はできないが喧嘩はそれなりにする方だ。
「甘い」
 その拳を掌で軽く受け止める。オタクなのに無駄に戦闘力を保有するこの姿は尊敬しつつ何か腹が立った。
「それで、わざわざ家まで呼び出した理由はなんだ?」
 チヒロは中指でメガネをクィっと持ち上げながら形を作るためにカバンの中にあるクリアファイルを広げる。
当然と言わんばかりのアニメ絵。しかも全て狐の擬人化キャラにしてきた辺り間違いなく喧嘩を売ってきていた。
「義母さんの事だ。こればかりは神主の子のお前にしか相談できないだろ」
 だが今更ながらこのクリアファイルを見て人選を誤ったんじゃないかという雰囲気が俺の中からフツフツと湧い
しまっていた。本当に空気の読めないやつだ。
「言ってみろ」
「……俺と義母さんの出会いはお前も知っているだろ?」
 チヒロは小さく頷いた。
 俺に親はいない。物心ついたときにはすでに施設、何があったのかも両親が誰なのかも知らない。けど本当に親
というものに焦がれていた。スーパーに行く時物を強請って泣く子と怒る親、河川敷で追いかけっこをする親子、
テレビとかでよく見る親子の姿。
 どうして俺にはいないのか、どうして帰ってきてくれないのか、俺は理不尽さに憤る。
 そんな時に聞いた一つの言葉が「神様」という言葉だった。
 神様ならどうにかしてくれる。幼い俺はそう信じ、町中の神社という神社、寺という寺、近所にある教会など
とにかく見境い無しに祈った。
 けど神様がどうにかしてくれる事はなかった。俺は神社で泣き崩れ、御神体である石に倒れかかった。まるで
中身が空洞なんじゃないかと思うほど軽く崩れたその御神体。その下から出てきた一匹の狐。不思議な事に三尾
の尻尾を持ち、その姿は普通の動物と似て異なる雰囲気を帯びていた。
「それがあの稲荷様なんだろ?人ん家の御神体をよくも崩してくれたなこの罰当り」
 真面目に話を聞きながら真面目な声のトーンで冗談だか本気だかわからないことを口にする。
0336名無しさん@ピンキー2016/03/25(金) 02:35:04.12ID:QexNrQsx
「ちゃんと直したからいいだろ。それで、互いに家族を求めていたのもあって俺達は家族となった。義母さんが
人に化けることでな」
「あの稲荷様は元は男を誑かさす化け狐と聞いていた。しかし、その裏では人との間に子を宿したいがために
子を埋める男性を探していた、という話だったな。互いに欲しいものは手に入れた。ついでに妖怪のお目付役
となるよう俺がお前を通して稲荷様を監視し始めたのも同じ時期、もう十年の付き合いだな」
「そう、俺と義母さんにはもう十年の絆がある。親子関係のな……この意味わかるか?」
 俺はあぐらをかき、肩を下げて深くため息を吐いた。
 チヒロは眉を傾けその意味を探り、思考を回す。一分か、二分か、俺も口にせず相手が口を開けるまで口を
閉じ、一つの考えが浮かんだチヒロは「マジかマジかマジか」としばらく口にし続けた。
「お前、本物の母さんを見つけたのか!?」
「あー、そうなったら確かに大事件だがそれは間違いだ。というかお前じゃなくてもっと違う人に相談するわ」
 よかったーっと体を伸ばし顔に手を当てた。流石に親友であってもこんな重すぎる話題にはついていけないだ
ろうな。
 だとすれば、とチヒロはもう一つの答えを導き出して体を起き上がらせた。
「まさか……」
 こちらもやはり簡単には口にできず一瞬戸惑い、しかしすぐさま答えを口にする。
「惚れたのか。女として」
0337 ◆y/t0tGs2FJTn 2016/03/25(金) 02:38:58.08ID:QexNrQsx
 俺は静かに頷く。
「新タイトル、俺の親友がエロゲの主人公をやり始めた件」
 静かに立ち上がり、俺はチヒロの胸ぐらを掴んで押し倒し、馬乗りになって顔面を狙って殴りかかる。
0338 ◆y/t0tGs2FJTn 2016/03/25(金) 03:28:59.09ID:QexNrQsx
「……まあ、なんというか、監視役としてはこう言うべきなのだろうか。お父さんは許しませんぞ!!」
 殴りかかるタイミングで下半身を持ち上げることで俺の拳の軌道を顔から床へ反らせつつまたしても冗談を口
にした。しかし、俺は冗談とわかっていても話に噛み合う冗談だったためそのまま乗っかる。
「わかってる。なんとなくそう言うとは思っていた。義母さんとはあくまで親子関係なんだ!義母さんだって、
親子関係を望むから俺と共に寄り添ってきたんじゃないか。それぐらい俺だってわかってる!」
 チヒロから降りると、俺は元の席でもう一度座り込み、メガネがズレたチヒロは中指でクィっと戻すと向き合
うような位置で胡座をかいた。
「とは言ったものの、感情自体わからなくはない」
「童貞なのにか?」
「恋に童貞は関係無い。お前が片思いしているのが何よりの証拠だろ。それで、切っ掛けは?」
「切っ掛けか。なんだろうな。小さい時は一緒に風呂入った。怖い時は一緒に寝た、ファーストキスの相手だ。
けど、今までそんな感情は湧き上がらなかった。単にガキだったってのもあるのだろうけどな。なのにさ、この
前一瞬手が重なった瞬間、こう、スゲー、ドキっと来た。手がしびれ、心臓を指で貫くような衝撃が」
「射抜かれたか」
「射抜かれた」
 薄ら笑いを浮かべながらチヒロがカバンから鏡を取り出す。自分でも気持ちが悪いと思うほど義母さんに負けな
いぐらいにつり上がった目の下の頬は赤く染まっていた。これが俺とは思いたくは無いな。
「さっきは許しませんぞと言った。それは俺が監視役だからだ。けど、親友として言えることがある」
「それは?」
「俺を頼るな」
 何か助け舟をくれると期待した俺は愕然として机に頭を突っ伏した。そりゃ人の恋話に関わりたく無い気持ちは
なんとなくわかるけど、親友としてはそれはどうなんだ。
 そう言葉にする前にチヒロの言葉が続いた。
「これはお前の気持ちの問題だ。出会いはどうあれ、人の気持ちは流転する。最初は親子の関係だったかもしれ
ない。けど、求めていた親子関係が満たされたからこそ今その恋心が芽生えた。ならばお前はその気持ちにした
がうべきだ」
「だからって、それを口にした壊れる関係だってあるだろ!俺がもし恋心を口にして、それを否定されれば親子
関係ができなくなる可能性だって!」
「まあしばらくはギクシャクするだろうな。けど、だからどうした?お前のその心は恋よりも親子関係を取るの
か?」
 俺はチヒロから答えを求めていた。しかし、返事をされて気づいた。答えは誰からももらえない。
「恋……つまり恋愛関係と親子関係。……これは近くて遠い関係だ。その差異がわからないほど、お前は家族を
知らないはずはない」
 親子でも愛情は送れる。親から子に注ぎ、子も親に親愛から生まれる感情を送るはずだ。
 なら恋人同士は?互いに同じ愛を送る関係は変わらない。相手が欲しい、ただこの一点だけを除いて。
「……気づいたが迷っている顔をしているな。……なるほど、お前は潜在的にこうなることを予想してたな」
 何か仙人じみたことを口にしつつチヒロが荷物をまとめ始めた。まさか、帰る気か。
「ま、待て!俺はまだ!」
「言っただろ?俺を頼るな。……稲荷さまぁ!ヤヨイが稲荷様に労いをしたいそうで!」
「ちょぉ!おま、何してんの!?」
「言えないなら言えないで肩ぐらい揉んでやれ。稲荷様、結構デカイんだから肩ぐらい凝るだろ」
「てめぇ!人の義母にそんな目を!」
 殴ろうとした最中、二階から一階に降りてくる足音が聞こえ始め、とっさにその行動を止めた。
「あら、チヒロ君はもう帰ってしまうの?」
「いえ、学校に自作小説用の用紙を忘れたのでそれを取りに」
 はやく帰るチヒロに驚く義母さん。そして、先ほどの言葉が引っかかる言葉を言い残したチヒロはローファー
を履いて玄関に立つともう一度こちらに向き直る。
「それじゃ。今日は多分お開きで」
「え、ええ。また次いらした時はお団子でも用意させていただきますわ」
0339 ◆y/t0tGs2FJTn 2016/03/27(日) 01:36:43.11ID:JiA9DgNu
 いつ見ても変な子ね。と言いたげな表情して見送る義母さん。玄関が閉じてチヒロがいなくなると同じような
不思議そうな顔で俺の顔を見つめた。
 労い?労い……。い。いや、先に逃げるための言葉を探してどうする。しかし、だからと言って突発的に恋を
しましたなんて言えるような雰囲気はしていない。午後三時の日差しは明るい。雰囲気も何もあったもんじゃ無
い。
 義母さんが小首を傾げ、小さく笑みを浮かべた。頭にハートマークが幻視してしまうほど絵に描いた「ん?」と
言った表情をしている。年上の愛らしさは俺の心を強く揺さぶる。
「そのだな、義母さん……肩でも揉ませてくれないか?」
 しかし、俺はダメだった!結局逃げてしまった!
 揺さぶられた程度じゃダメだった。いや、しかしやっぱり今はまだ雰囲気が無いのは確かだ。
「あら。気が利くわね……それじゃあお願いしようかしら」
 下心が交錯する俺とは対照的の屈託なき笑み。リビングに入った義母さんは壁に密着したソファーから一枚座
布団を下ろすとそこに正座で座り込む。
「強めにお願い出来るかしら?」
 振り向きながら三尾の尻尾を揺らして振り向く。俺は黙って頷くと義母さんの後ろで胡座で座り、その肩を掴
む。
 本当に凝っていた。やはり主婦だから凝るのだろうかと普段の俺なら考えていただろう。
 しかしだ。バカの言葉のせいで余計な想像が俺から集中力を欠かせた。ダメだ、集中集中。
「ああ、もう少し左……」
 癒されているだろうため息を吐きながら義母さんが右の尻尾で俺の右手を叩いた。
 今まであまり意識はしていなかったのか、久しぶりに義母さんを化け狐だということを思い出した。
 腰の上に乗る三本の尻尾の重さ。それが寿命だか力だかは昔調べたっきり覚えてはいない。だって。義母さん
とは一緒に買い物に行き、料理を食って、朝他愛の無い話をするだけだった。
 もし恋人同士になったら、何が変わるんだ?もし断られたら、どんな関係になるんだ?
 先の見えない不安が俺を遠ざけた。やっぱり、恋愛など遠い話なのかもしれない。
「ねえ、ヤヨイ君」
「ん?」
「……ずっと聞きたかったことがあるの。私は、もう要らないんじゃないかって」
 何を言っているんだ。
「私、ずっと不安だったの。出会った当初、私はあなたを欲しかった人形のような目で見ていた。両親がいない
幼い子供。私が保護者になれば、親同然と変わらない」
0340名無しさん@ピンキー2016/03/27(日) 02:02:37.21ID:JiA9DgNu
 何となく、当時は思うことはあった。けど
「けれどね、あなたの成長を見ていて気がつけばそんな感情はすぐに本物になった。あなたを子供として愛した」
 なら、俺は怒らない。怒る必要がない。その感情だってこれまでの生活でもうわかっていたことだ。
「……ならなんで」
「ちょっとドラマを見て塞ぎこんじゃった。あなたは妖怪である私を受け入れた、けど時間はそれを許してくれ
ない。私の子供なのに、あなたは私よりも先に年老いてしまう」
 俺は動かしていた手を止める。
「そして、あなたはもうすぐ卒業」
 やめろ……。
「もう、一人暮らしだって出来る歳よね。お金も稼げるし、遠くの大学だって行ける」
 やめてくれ……。
「一人前の人間。この家にいる必要はないと考えた時、私は出会った時のことを思い出した。捨てられる人形は
私なんじゃないかって。だから、一言聞きたかった。あなたは私を親子として愛して」
「やめろ!!」
 俺は立ち上がり座布団越しに床を踏みつける。驚いて振り返る義母さんは見上げても俺の怒りは止まらない。
「もう要らない?はぁ?人形を手に入れた?別にいいよそれでも!確かに時間の問題は俺にはどうすることもで
きない。時間の神様をしばきにでも行けるなら話は別だ!高校卒業した後なんて未だに考えてないよ!
けどだ!あんたは一つだけ俺を愚弄した!!」
 義母さんの横から背中裏に手を添え、膝の上に乗せるように押し倒す。困惑する義母さんだが俺は止まらない。
「俺は義母さんに感謝している!どこにいるかもわからない親よりもだ!チヒロに言われなきゃ労うなんてしな
かった。それでも!こんな労いじゃ返せないほどたくさん感謝してる!」
「……ごめんなさい。私の、杞憂だったのね……」
 倒れこむ耳と斜度のある目元に涙が溜まる。それを義母さんが拭う前に俺が指で払う。
「けど、あんたが愚弄したのはこれじゃない。高校を卒業した後を考えていないというのは本当だ。けど、これ
だけは伝えたい。今、伝えなきゃダメだと気がついた」
 俺は深くため息を吐き、義母さんを元の体制へと戻すとその両手を強く、強く握る。
「義母さん。俺は、あんたに恋をした。親としてじゃない。女としてだ」
0341名無しさん@ピンキー2016/03/27(日) 02:44:18.05ID:JiA9DgNu
 白い頬が見る見る内に赤くなる。まさか狐の耳も赤くなるとは思わなかった。
「え?え?え!?それって、つまり!!」
「皆まで言わせるな。俺自身、これ以上は口を割くしかない」
 熱くなっているだろう頬を抑えて狼狽える。だが、しかしその手は目元を抑え、顔を背けた。
「だって、私!化け狐よ!」
「今まで気にしてこなかった!今更気にするかよ!」
「昔は多くの男を誑かした悪女で!」
「親子以前の過去なんて知ったことか!」
「あなたと私は……」
「義母さん、いや、ミツバは俺の事が嫌いか?」
 初めて俺は義母を呼び捨てにした。もう必要はない。
「……好きよ。大好き」
「確かに時間は止められない。時間の神を釘バットで殴っても多分止まらない。人間も、化け狐だって今は今しか
ないはずだ。だから、俺は今この瞬間から全力で告白する!ミツバ、俺の恋人になってくれ!俺も人間だから欲し
い子供は作れないかもしれない。いずれは俺が先に死んでしまう。けど、ミツバ!お前を愛してる!」
 言えることはすべて言った。肩で息をして俺はただ、俯向くミツバを眺めた。
「ずっと子供だと思ってた。けど、もう大人。いえ、一人の男なのね……」
 うつむいていた顔をこちらに向けた。涙が流れた頬は光り、化け狐と呼ばれたその姿でも、顔は綺麗な女性を
していた。
「あなたの思い、確かに受け取りましたよ……ヤヨイ」
 君が消えた。思えば家族で君と呼ばれるたびに違和感はあった。本当に家族の呼び方なのだろうかと。
 けど、形が変わったが俺達は家族だった。
「不束者ですが宜しくお願いします。これからは、あなたの保護者ではなく、恋人ミツバ。けど覚悟してね。も
う親ではなく恋人だから、きっと沢山羽目を外すわよ」
「ははは、俺も家事を覚えなきゃな。恋人同士なら少しは分担しないと」
 その表情はいつも見せる余裕のある顔ではなく、小悪魔のような表情だった。俺の胸の仕えは取れ、家事の一
人任せにはできなくなったことに苦笑いを浮かべ立ち上がる。
 その時、ミツバがズボンの裾をつかんだ。上目遣いで何かが欲しそうな顔をしている。
「……?」
「もう!恋人同士になったのだし、キスぐらいはしましょうよ!」
 キ、キキキ、キスぅぅ!?
「ま、待て!まだ早いだろ!エロ本が18歳未満は読めないってこと知らないのか!?」
「キスは18歳未満でもできるわよ。ねぇ、いいじゃない!」
「ダメ!まだ早い!せめて高校卒業してからでも」
「キスの先はそこからでもいいけど、キスはいいじゃない」
 先ぃい!?先ってなんだ!?いやわかるけどなんだ!?
「隙あり!」
 考えている最中、ミツバの尻尾が足に引っかかり俺は転倒。する前にミツバの腕が俺の背中を支え、先ほどとは
逆の立場で俺を見下ろす。
「ま、まぁ!」
「大丈夫、一回すれば抵抗なんてなくなるわ」
 足は尻尾に絡まれ、耳は嬉しそうにピョコピョコ動く。ああ、逃げられそうにない。
「ヤヨイ」
「ミツバ」
「「愛してる」」
0342 ◆y/t0tGs2FJTn 2016/03/27(日) 02:49:26.56ID:JiA9DgNu
終わった。親友の存在指摘されて人外と?とか言われたら詰むけど、種族とか時間とか、そういったものを飛び
越すにはブースト要員は必要だと思った!
ワッフルな方はその内書くかも
0343◇4tZQDZ6Jk.Zt2016/04/07(木) 20:46:41.88ID:GOsiG048
自分で投下したものをまとめたくて、pixivに垢を作りました。
ここに投下したもの以外にも置いてあります。
また思いついたら投下に来るのでよろしくです。
支部垢にはそのうち絵とかも上がるかもしれません。

http://pixiv.me/nlu
0344 ◆4tZQDZ6Jk.Zt 2016/04/07(木) 20:47:28.64ID:GOsiG048
しまった、酉コピペしてしまったw
0346名無しさん@ピンキー2016/04/08(金) 00:46:48.72ID:rE9bB+me
なんでそういう感じ悪いことをよりによって過疎ってる板で言うのか
0348名無しさん@ピンキー2016/04/09(土) 02:06:44.28ID:gtDR7Ztr
ミスったすまん

次投下するやつ書いてるんだが、人間×魔王(ロリ)とオーク×魔王と魔物×人間が含まれてるんだが
ここでいいかな?
結構えげつないし陵辱かなと思ったけど鬼畜スカトロとかじゃないしどうしようかと
グロ描写というほどでもないけどちょっとえぐいのも心配
0349名無しさん@ピンキー2016/04/09(土) 08:48:40.46ID:wCJAiNbS
ステマなんぞやらかすからだろ
そんなことすりゃ、どこだって嫌われるよ
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