次の日の朝。
沈んだ気持ちになりながら、僕は普段通りに登校していた。
恐らくこれから当分の間、先輩に催眠術で好きなように弄ばれてしまうのは避けられないだろう。そうなったら、どんな目に遭わされるか分かったものじゃない。
とにかく、対策を考えるか、何とか先輩に許してもらわないと……。

あれこれ思い悩みながら通学路を歩いていると、少し先で由梨ちゃんの後ろ姿が目に入った。
そうだ……昨日、催眠術のせいで由梨ちゃんの着替えてる更衣室に入っちゃったこと、ちゃんと謝らないと。
後ろから由梨ちゃんに声をかけようとして……

――あ、でも、その前に、ちゃんと『朝の挨拶』をしないとね。

そうだ。忘れるところだった。最初に由梨ちゃんに会ったら『挨拶』しないといけないんだった。
思い直して、気づかれないように後ろからそっと由梨ちゃんのスカートの裾を握りしめ……

「みずいろっ!」
「きゃああっ!?」

大きくスカートを捲り上げて、下着の色を叫んだ。

……って、あれ? 僕は何をしているんだ?
ふと我に返って由梨ちゃんの方を見ると、涙目で僕の方を睨み付けていた。

「和くん……なんでそんな小学生みたいなこと、するの……?」
「ご、ごめんね由梨ちゃん! 僕も何がなんだか……!」

慌ててスカートを離して平謝りする。何で僕、スカートめくりが挨拶だなんて勘違いを……
……いや、思い当たる理由といえば一つしかなかった。里美先輩が僕に、そう思い込むように催眠術で仕向けたのだ。
このままでは、僕が自分からスカートめくりをするような人間だと誤解されちゃう。由梨ちゃんに、昨日からのことは全部催眠術のせいだって伝えないと……!

「あ、あの、由梨ちゃん! 実は信じてもらえるかどうか分からないけど、僕、里――」
『そうそう。他の人に相談されたりしたら困るから、対策しておかないとね。
和くんは、私に催眠術をかけられていることを他の人に伝えようとしたら、女の子たちのえっちな姿をいっぱい想像して、溜まったものを自分の手で出すまで他のことが何も考えられなくなるからねー。面白いから、この暗示は発動するまで思い出せないようにしておいてあげる。』

頭の中で里美先輩の声が響くと、とたんに目の前に立っている由梨ちゃんの着ている洋服が透け始めて、その下に身に着けている水色のパンツと、おそろいのブラジャーが僕の目の前で丸見えになる。
その光景に思わず目が釘付けになっていると、今度は徐々に下着までが透け始めて、由梨ちゃんの小さくてかわいい胸と、パンツの下に隠されていた恥ずかしいところまでもが、僕の目の前で露わに……

「……和くん?」

突然動きが止まった僕のことを心配して由梨ちゃんが覗きこんでくるが、もう僕はそれどころじゃない。
だって、裸の由梨ちゃんを目の当たりにして、昨日出したばっかりだというのに、僕のそこは完全に大きくなってしまっていた。
は……早くオナニーして、これを鎮めないと……学校についたらトイレの個室に入れる。なんとか、それまでの間ばれないように……
もじもじと鞄でズボンの前を抑える僕の頭の中に、非情にも再び先輩の声が響く。

『くすくす……ちなみにおちんちんが大きくなって1分経過したら、たとえ大通りの真ん中であろうと我慢できなくなってその場で始めちゃうから、急いだ方がいいよ?』
「ご……ごめん由梨ちゃん、後でねっ!」

怪訝そうな表情の由梨ちゃんをその場に置き去りにして、僕は大慌てでトイレを求めて近くのコンビニに駆け込むのだった……

【END】