全2回

俺の名は重太(じゅうた)、27歳独身で身長は170cmほど。
安アパートで独り暮らしをしているが、その生活はリア充とは程遠い。
しかも、童貞で仮性包茎。
彼女いない歴と年齢が同じという、なんともみじめな人生を送ってきた。

そんな俺が、今女子プロレスの試合会場にいる。
きっかけは、近くに住む未亡人の女性に誘われたからだ。

1年ほど前、買い物帰りの彼女が購入したものを誤っていくつも道路に落としてしまったのを見てしまう。
その時、拾うのを手伝ったことで、彼女と親しくなることが出来た。
もちろん恋人同士というわけではないが、いろいろと話を聞くうち、以下のことが分かってきたのである。

・年齢は俺と同じで、大学まで女子バレーボール選手として活躍していた。
・今でこそセミロングヘアーの似合う色白美人だが、180cm前後の長身ということで高校までは全然モテなかった。
・大学卒業後、スカウトされていた女子プロレス団体に入団し、とんとん拍子で人気・実力を得ている。

・24歳の時、同じ年の男性と結婚したものの、半年後に夫は事故で亡くなってしまい、現在は独身で未亡人。
・26歳で所属団体のチャンピオンとなり、現在まで防衛を続けている。

初めて見た時、俺は彼女に一目惚れ。
自分より10cmくらい背の高い女性に惚れることはこれまで想定していなかったが、彼女の性格の良さもあり、友人付き合いとしては順調。
そんな彼女に、ぜひ自分の試合を観に来てほしいと言われ、俺は試合会場に足を運ぶ。
メインイベントの試合、彼女がチャンピオンとして防衛戦を戦うことになっている。

リングに上がった彼女は、対戦相手と比較すると頭一つ以上の長身だ。
そして今、リングアナウンサーからチャンピオンとして名前がコールされる。
彼女の名は「プリンセス・ナミ」。