重太との試合後にシャワーを浴び、新しいコスチュームを装着して休憩をとったナミ。
試合時間ということでリングに向かった頃、数多くの警察官が会場になだれ込むという想定外の事態が起こっていた。

実は、ナミたちが参戦したプロレスの試合絡みで、長年にわたって違法賭博が行われていたとの事。
それにともない、ナミの夫であったチヒロの死の真相も判明したのだ。

当初は通りがかりの3人によってチヒロが刺殺されたとの事だったが、彼らの供述により、プロレスの試合を運営していたセレブの男がチヒロの殺害を命じたことが分かった。
そのセレブと言うのが、ナミと同じ大学の男で、4年間にわたって彼女にかなりのストーカー行為をしていたのだ。
結局そのセレブも逮捕され、チヒロの死に関しては真実が一通り判明。
しかし、2ヵ月後重太に再会してデートをした後も、ナミの心の中からモヤモヤ感が消えることはなかった。

(前に進まないといけないことはわかってる、でも…)
じくじたる思いを抱えていたナミは、ふと千尋の遺品の中にあった手紙に目を通す。
すると、今まで気づかなかった小さな袋の中に、チヒロのメッセージが書かれている。
それは、遺言と言ってもいい内容だった。

「ナミ、君の技のキレや美しさは男子レスラーと比べても明らかに上だよ」
「もし僕が死んだら、画像や映像で君の美しさをのこしてほしい」
「そして、僕の代わりに心に決めた男性と幸せになって欲しいんだ」

このような内容の遺言を目にして、涙するナミ。
意を決した彼女は、重太を呼んで新たな動きを始めるのであった。
(遺言、完)