舌で少し触って転がしただけで、ソフトクリームか豆腐のように粉々になってしまう。
不思議そうな顔で、お兄ちゃんが私を見てくる。
「何食べてるん?飴は嫌いじゃなった?」
ベンツ……喉まで出かけた言葉を飲み込む。
「ただの鉄だよ」
正確には、頬っぺたに傷のあった銃刀法違反のお兄さんと
おじさん入りのベンツを飴玉大にした、ただの鉄だ。
「鉄って……鉄分じゃないよね?」
「もち、車とかの鉄だよ?」
何のために……と聞かれたら恥ずかしい。
お兄ちゃんのフェラの為の練習だとは、こんな所では言いにくい。
袋の中からもう一つ飴玉を取り出して、同じように口の中に放り込む。
やはり、舌の上で転がしていたベンツの成れの果てを、
舌ベロで上あごの内壁に押し付けると、豆腐の様に変形して潰れてしまう。
「スーパーガールのお前でも、甘いもの好きな女の子なんだな」
「もう〜お兄ちゃんたら〜〜」
ほっこりした顔のお兄ちゃんとの、やり取りが楽しい。
お兄ちゃんの為に用意した、私のお手製の私が食べる飴玉。
まあ、私しか食べれないと思うけど。
飴玉が入った袋には、あと20個しか飴玉がない。
飴玉の補給に、そろそろ、いかなきゃ。
飴玉を作るのは簡単だけど、一個一個包装の小袋に『made by SG』と
ヒートビジョンでキチンと印字するのが面倒なんだよなぁ〜。