【スカトロ】排泄系妄想廃棄所16【汚物】 [無断転載禁止]©bbspink.com
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
他スレで日ごろ迫害されがちなスカトロ系の妄想ネタやSSなどを吐き出すスレです。
版権物の二次パロ、非版権物のオリジナル、いずれも歓迎です。
ネタはライトな便意我慢やトイレ覗きから、ディープな飲尿吐瀉食糞塗便まで、
女性キャラの排泄関連をテーマとしていれば大小上下固形液ガス問いません。
ふと思いついた一行ネタから、貼るに貼れずお蔵入りしていた長編SSまで、
巧拙に関わりなく、形式その他なんでもありで参りましょう。
sage推奨。紳士はこういう時sageるものです。
■前スレ
http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1451123134/ 半年で一作くらいのつもりでいましたが、なんか急に書く力が戻ってきて、衝動的に一つ書いてしまいました。
もう少し、最後の全体の見直しが終わったら投下できます。
摩耶ちゃんの続きでなくて申し訳ないですが、また大量娘の話です。
7人目です。
まぁいつもの事かもしれませんが、完全に自分の好みの話で、ヒュージな彼女の過去作を読んでない人、ついてこれない方は置き去りになってしまってます。ご了承ください。
あと心配になったのが、今回あまりに長すぎる物を書いてしまって、今度こそ途中で何度か投下が止まると思うのと、スレの容量的に投下して大丈夫なのか? ということです。
前みたいにテキストでろだに上げるか、悩んでます。 気が付けばもう500レスなんすね…
ろだやノクターンノベルズの方に上げるほうが安泰かもしれませんな ならヒュージな彼女らしく溢れさせますか…
全部で50レスくらいあるけど。
明日あたりから、準備でき次第、行ける所まで投下します。 >>501
身近な物で近いサイズだと、例えば
コーヒー缶の直径が53ミリ
350ml缶の直径は66ミリ
なんだそうだ。
ヒュージな彼女
人生五十年、下天の内をくらぶれば、夢幻の如くなり。
沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。
おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。
よどみに浮ぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたる例なし。
むらさき立ちたる雲の、細くたなびきたる。
……時世の句を考えていたら、何か色々混ざって滅茶苦茶になってしまった。
滅茶苦茶、むちゃくちゃになってしまったが、自分の人生がそもそも無意味なので、これで良いのだろう。
そう思った。
「人生50年……。14年足りないが。 …あれ、“人間50年”だったか……」
何か笑えてきた。
どこか間違えたかも知れないが、分からない。
人生36年……もうすぐ37年。これまで間違えっぱなしだったような気もする。
だが勿体無くも、何も無い。
何も無い……。
――関東圏の、とある都市。
深夜。
六月の蒸し暑さも、零時を越えると大分落ち着いた。
車の往来もほとんど無くなり、静まり返った漆黒の空の下……街中を流れる河川にかかる、大きな橋の上である。
その、冷たい鉄の欄干に寄りかかる男が一人。
「親父、母さん……ごめん。もう疲れたよ……」
くたびれたスーツに、汗で襟首の黄ばみかけたシャツ。
これまで打ち付けてられてきた、人生の波のどれほどかを物語っているようだった。
力無く垂れた、男の両肩、そして光のない瞳。
ゆく河の流れは、絶えずして……。
流れゆく社会の荒波に負け、人の世の冷たさに絶望し、自殺志願者となり果てた男がそこにいた。
「もう……いやだ……」
はるか見下ろす河の水は真っ暗だが、橋の街灯に照らされた部分だけが煌いている。
誘っている様に見えた。
この橋は海に近い位置にあるので、高さも水深も十分。
男のポケットのふくらみには、以前趣味にしていた釣り用の錘がいくつも詰め込まれている。
書くものも、きっちり書いた。
準備は全て終わった。
……疲れた。
ただ、疲れた。
休みなど有って無きに等しく、残業に次ぐ残業……そもそもの意義を見出せない、毎日の仕事に疲れた。
稼ぎがどうより、何のために責任を背負っているのか分からない。
職場の上下関係、気を使うばかりの立ち位置、人間関係にも、殊更疲れた。
癒しを与えてくれる彼女なんかいない。
できない。
作っている余裕すら無い。
……そもそも、こんな疲れたおっさんを相手してくれる女の子など……。
学生時代の思い出が遥か遠く、懐かしい。
そんな息子を知ってか知らずか、結婚は? と遠慮なく言ってくる両親にも疲れた。
それでもなんとか親の気持ちに応えようと、一年ほど前から婚活なんぞを始めてみたが、そこでの女性との付き合いにも疲れた。
逆に女性が苦手になった。
伴侶が欲しい気持ちはあったし、あれが女性の全てでは決して無い、それは頭では分かっているが……。
良い事は無かった。
辛いけど、もう少し頑張ろう。
もうちょっとだけ頑張ろう。
そう思って毎日を凌いできた。
なんとか踏ん張れば、もう少し我慢したら、良いことだってある。
そう思っていたが、そんな我慢強い自分にも疲れた。そして気が付いたら、40が迫っていた。
いつの間に……。ある日それを理解して愕然とした。
ついでに、徐々に薄くなっていく髪にも、疲れた。
もういいだろう。
一人で36年頑張ったら、十分だろう……楽になろう。
いっそすっきりとした表情で、男は靴を脱いだ。そして遺書の一つをその傍に置く。
改めて覚悟を決めるまでも無い。
なるべく一般の人の迷惑にならないよう、彼は大きな川、それも深夜を選んだ。
電車もビルの屋上も、自宅も、関係ない大勢の人の迷惑に……トラウマになってしまう。
川なら警察か、海に流れて海上保安庁のお仕事だ。
寂しいが、一人静かに行く。
こんな時でさえ他人に気をつかう自分に、自分でも笑ってしまう。だが、最後まで自分らしく、これはこれで良いだろうと彼は思った。
男は靴を脱いで、きれいに揃えた。
目を閉じ、深呼吸。
最後の空気は湿っぽかった。
そして勢いをつけ、欄干を乗り越えようとした……のだが、彼はふと、思い止まった。
……誰も居ないんなら、最後にこのくらい良いだろう。
と、思い付いた事があったのだ。
す〜っと、彼は胸に息を吸い込み、そして
「部長のバカ野郎ー! しにやがれー!! あんな会社、潰れちまえーーー!!」
「同期の○島ァ! 年下のかわいい嫁さん貰ったからって、毎日毎日惚気てんじゃねぇー! 写真見せ付けるんじゃねぇー! 精神的な殺人だぞコラァー!!」
「ほ、他に…… ほかにも…… ううぅ…… うあぁぁ……!」
嗚咽が、涙があふれる。
彼の叫びは、星の見えない夜空に吸い込まれて消えた。
普段無口なせいで、もっともっと罵倒したくとも、言葉が出てこなかった。
おとなしい性格が、最後の最後まで……。 本当は、二人どころでは無い。
両手で足りない位に、罵りたい人間はいる。
だが……それでもやはり、呪詛を吐くべきではなかった。
せっかく、すっきりした顔で水に入る所だったのに、気持ちを乱されてしまった。
「はぁ……。あ〜あ……全く俺ってやつは……。 ん? いや……まだ、あったか……」
片足を欄干に乗っけようとして……彼はまた思いとどまった。
歩道の砂粒が、靴下に少し痛い。
どうせ叫ぶなら……と、もう一つ。
先程よりも更に大きく息を吸い込み、そして……彼は雄たけびを上げる。
「一度でいいから! かわいい女の子の…うんこに全身埋もれてみたかった! どうせ死ぬんなら、大量の…女の子のうんこ風呂で溺れて死にたかったよ!」
まさしく、咆哮であった。
……だが誰かに聞かれていたら、とんでもないことになる叫びである。
人生の最後の最後に、今までずっと胸に秘めていた想いを、彼は叫んだ。
彼に恋人ができない、出来ても長続きしない理由でもあった。
彼は、いわゆるスカトロ趣味の持ち主なのだが……その中でも更に特殊で、常識的にありえない量、物理法則を無視するような大量のうんこをひり出す女性が好みなのだった。
普通の便器では毎回詰まって、うんこするだけで日々苦労するような……そんな女の子に興奮してしまう。
ネットで見た、同好の士のイラストがきっかけだった。
巨大な便意の苦悶に身をよじり、己の体質を恥じらいながら、自分でもどうしようもない排泄欲に駆られて……便器を溢れさせるどころか、チョコソフトの如く山を築き上てしまう。
一回に、ポリバケツいっぱい排泄してしまうような。
そんな女の子が大好きなのだった。
もちろん現実にそんなの居るはず無いが、思い浮かべただけで、体の一部分が固くなってしまう。
そして当たり前だが、誰にも言えない。
ネットの世界に同好の士は割りと居て、色んな画像を集めたりしているが、現実に誰かと、この思いを共有することは無い。
――今から、その現実を離れるのである。
ならばせめて、最後に叫ぼう。
そう思ったのだった。
そして、神社に参って願掛けでもするかのように、彼は手を合せた。
「俺の夢……! 死んで生まれ変わったら、大量娘のいる世界へ行けますように! 大量娘の嫁をもらって、毎日一緒にうんこ風呂に入れますようにっ!」
どんなに、幸せであろうか。
芥川の古典小説ではないが、一度でいいから、飽きるほどの……かわいい女の子の、大量のうんこに全身包まれたなら、どれほど幸せであろうか。
それはきっと楽園だ。
一度に大量に排泄されて物でなくてもいい、肥溜めのようにバスタブに、ちょっとずつ貯糞してもらって……それでもいい。
どう考えても無茶苦茶な願い、と彼自身分かっていたが、とにかく現世で叶う事が無いのは確かだ。
……まぁ、そもそも、大量でない普通の女の子のうんこだって、彼は現実に見たことはないのだが。
過去に付き合った女性にも、打ち明けることも叶わなかった。
満たされない欲求と、彼女を大事にしたいというまじめな性格と、色んな所で気持ちのズレが起こって上手く行かなくなるのだ。
元からそんな趣味を持った女性と知り合い、付き合うなど、それもどう考えたって不可能。
全ては来世に期待である。
……さて、これでもう良い。もういい。
思い残すことは――
「――はい、そこの人。ちょっといい?」
「はへっ!?」
不意に彼は、声をかけられた。
そして、今実際に死ぬ所であったのだが……文字通りに、死ぬほど驚いた。
誰も来るはずが無い。
そう思っていた、この場所に人が居たからである。
たまに車が通過することはあっても、深夜、この橋を渡る通行人などいない筈なのに……。
「何してんの? そこなサラリーマンの人。……自殺? 自殺ですね、どう見ても。その靴とか。封筒とか」
「な…? あれ…?」
片足を欄干に乗っけたまま、真横に顔を向ける。
女が一人、立っていた。
「ちょっ…… いつから、そこに?」
「三分くらい前ですかな」
彼の問いにそう応えた、スーツ姿の女性。
小柄な人だ。
片手には、夜の買い物帰りなのか、コンビニのレジ袋を下げている。
深夜1時……いや、もう2時近い。
こんな夜道、さっきまで誰も居なかった筈のそこに、突然、女性が一人。
彼はただ、驚くしかなかった。
――結構若いし、かわいい。
スーツ?
何故こんな時間…夜勤のOL? 飲み会とかの帰り?
いや、それよりも……ちょっと待て。
……聞かれた。
今の、最後のやつを聞かれた。
確実に、聞かれた。
女の人に。
……最悪、最低だ。
「死のう。 うん、今死のう。 死ねばいいんだ」
それを人に聞かれてはならぬ。
決して、誰にも知られてはならぬことを……。
絶望、だ。
全てが虚無となった能面のごとき顔で、彼は改めて欄干を乗り越えようとする。
さっさと飛び込まないから、こんな事になったのだ。
こうすれば全てリセットである。
だが――彼の様子を見たその女性は、背後から必死で掴んで、引っ張り戻そうとした。
「ちょっと! やめなさい!」
「死なせてくれ! 死なせてくれ!」
女性、しかも小柄な身体の割に、かなりの腕力だった。
なかなか振りほどけない。
「ダメだって! あんたに聞きたいことあるんだから! 死ぬのはそれからにして!」
「……は? 聞く? 一体何を……」
その一言で、彼の気持ちは現世に戻ってきた。
足を下ろす。
こんな状況、一体何を聞きたいと言うのか? この自分に、質問とは……。
しかし、これから死ぬというのに、“知りたい”という感情が湧く。そんな自分が自分で可笑しいと思った。
「はー、はー…… えっとね…あんた、今、女の子のうんこ風呂に埋もれたいとか、溺れたいとか言ってましたね? それって本気?」
……ただの死体蹴りだった。(まだ生きているが)
この女性は、とんでもないSなのだなぁ……。そう彼は思った。
更なる精神攻撃を加えるために自殺者を引き止めるとは、凄い人がいるものだ……と、最早死人として達観した気持ちだった。
また能面のような顔に戻り、彼は河に飛び込もうと改めて決意する。
死こそが救いである。
しかし、数秒何も言わないでいると、また彼女が聞いてきた。
「ホントならさ……あたしが叶えてあげよっか? それ。だから死ぬの待ちなさい」
「へあっ!?」
今度は驚きのあまり、アホみたいな声が出た。
そして気付いた事がある。
深夜に突然現れた、この女。
向かい合い、ほんの数歩の位置で衝撃的な言葉を発した、彼女は……猛烈に酒臭かった。
「……おっ、そういえば名前とか聞いてなかったぁ。あんた何ていうの?」
「ああ……。鹿屋だ」
「かのや、さんね。…歳は? 40くらい? もっと?」
「そんな行ってない、36だ」
「ほ〜、へぇ〜……。そうか… 見た感じより若いなぁ」
「そう言う、君は?」
「27ですよ。冨士谷でぇ、ございます」
……10歳近く年下だったのか。
しかし、やっぱりこの人は……。
マンションが多く並ぶ深夜の街中を、妙な取り合わせの二人が歩いていた。
付いて来いとだけ言われ、さっきまで自殺しようとしていた男……鹿谷は、突然現れた彼女の後をついて行く。
若いとは思ったが、この……「ふじたに」と名乗った女性。
人の気にすることを、ずけずけと言ってのける。
老けて見える……非常に気にしている事を指摘され、またダメージを食らわせられた。
そして一体、どれほど飲んだのか?
口を開くごとに、前を行く彼女からは、酒の臭いが漂ってくるのだった。
たまに振り返り、赤い顔を見せながら歩く、富士谷という女性。
紺のタイトスカートから覗く、その彼女の両脚。
どっかでふらついて、突然倒れるんじゃないかと、鹿屋は不安げな視線を送る。
今の所、その足取りは普通だ。
しかし臭いの他にも、眼つきといい顔色といい言葉の物腰といい、間違いなく酔っ払っている。
歳のわりに、幼い感じの顔なのに、台無しだ。
この時間、やはり飲み会帰りなのか……と思ったが、よく見ると彼女のコンビニ袋、350のビール缶4本が透けていた。
白いビニールに水滴が滴る。
「……僕ら、どこに向かってるんだ?」
「あたしの部屋だよ〜。 歩きなら、あと5分くらいか。たまには飲んで夜の街を歩くのも良いですなぁ」
――本気なのか?
聞きたかったが、聞いたところで、まともな答えを期待することはできない。そう鹿屋は思った。
彼女のコンビニ袋、音と揺れ方から見て、ビール缶全部空っぽである。
街灯に照らされた袋の口から、サラミの空き袋なども見えた。
どこで買ったのか知らないが、深夜の帰り道にあおったらしい。
酒が好きではない彼には、とても真似できないことだった。
もし、自分がもっと酒が飲めたなら、それでストレスも少しは発散されたのかも知れない。ついて歩きながら、鹿屋は思った。
しかし、夜道で酒を飲んで男を引っ掛け、自分の部屋に連れ込もうとか……。
自殺しようとしていたから?
酔っ払いなりに、人助けしようと?
この壊滅的な酒飲みの言うこと、本気だろうが調子のいい戯言だろうが、既に死人の自分にはやはりどうでもいい事だ。
回収した遺書はいいとして、ポケットの錘が歩くのに少々鬱陶しいが、冥土の土産に最後までついて行ってやろうと鹿屋は思った。
別に、あの世行きに終電は無いのだから。
そして、実際にそれから5分で、彼女のマンションに着いた。
かなり大きく、立派だった。
しかも自分の住んでいる場所から結構近かったので、鹿屋は驚く。
……が、その後が少々、長かった。
「はい、着きましたぁ。 散らかってるけど、まぁ上がってよ」
「ふ〜…、は〜…… あ、足が…… 結構キツかったぞ……」
キーを取り出すと、ポケットでじゃらっと音がした。
玄関ドアを開けようとする冨士谷だが、そのすぐ後ろでは、鹿屋が両肩を落として息をしている。
案内された彼女の部屋は、6階だった。
6階だったが、何故かエレベータは使わず、「こっちこっち」と言われ、ひたすら階段を登った。
到着する頃には、すっかり鹿屋の息は上がっていた。
ポケットの錘が本当に邪魔だった。
「ふぅ…。しかしホントかよ……。 んん……いいのか……。しょ、初対面だが……」
あまり簡単に名乗るので、偽名の疑いを持っていた鹿屋だったが、予想外にちゃんと「FUJITANI」と表札が出してある。
本当に久しぶりの、女性の部屋……。
冥土の土産と思っていたのはどこへやら。
この期に及んで二の足を踏む、真面目な鹿屋であった。
対照的に、冨士谷の方は全く変わらず、上機嫌な酔っ払いのままである。
「ん〜? 初対面じゃあ無いですよ? 私たち」
「え……」
「カノさん、だいたい毎朝顔を見てるのに、覚えてない? ひどい人ですなぁ」
慣れているからか若さのおかげか、ここまで登っても冨士谷は全く息が上がっていない。
軽い口調で言いながら、彼女は部屋の玄関を開けた。
そして一気に明かりを灯す。
……玄関と、その先の廊下だけ見ても分かった。
結構広い部屋だ。
若い女性の一人暮らしには、少々不釣合いな。
そしていつの間にか、男の愛称は勝手に“カノさん”となっていた。
「見てる? ちょっ、いや、知らないぞ。大体あんた……富士谷さんも、私の名前知らなかったじゃないか」
「まぁまぁ、細かいこと気にしない。…で。 入る? 入らない?」
「……え、ええと」
「んもう。……いいの? 入りたくないの? …私のうんち風呂。いっぱい出してあげるよ?」
もし周りの住人に聞かれたらどうなるか、さらっと凄い台詞を発する。
にやっと、挑発的な瞳だった。
明るくなった玄関を背に、両手を腰に。
少しだけ顔をかしげ、小悪魔的な……。
鹿屋は言葉を失う。
「……」
本当に?
夢にまで見た、あれを?
彼女のその一言に、彼女の表情に……。ごくん、と鹿屋は生唾を飲み込んだ。
彼は無言のまま一歩、前に足を踏み出す。
それで十分だった。
「よし、決まり♪ さっ、上がって」
「お…お邪魔、します……」
スーツの袖を掴まれ、引っ張られた。
もう逆らえなかった。
虎穴にはいらずんば……と言うが、今はクモの巣か、食虫植物に捕らわれた虫にでもなったような気分だった。
小悪魔どころか、本物の悪魔の誘いだ。
ここまで言われても、まだ半信半疑だが……。
上がると、ぽいっと廊下の隅にビール缶の袋を置いた彼女。
玄関に他に靴はない。
鹿屋も続いて靴を脱いで、廊下に上がる。
履くことも脱ぐことも、もう二度と無かったはずの、愛用の革靴だ。
ほんの数秒、鹿屋はそれを見つめ、揃えることはせずに、彼女に続いた。
考えたら女性の部屋はおろか、誰か他人の生活空間にお邪魔することも、本当に久しぶりだった。
(おお…? ちょっ、凄い良い部屋じゃないか……。絶対家賃高いぞここ……)
白い壁と天井の、明るいリビング。
まず、圧倒的な広さ(自分のアパート比)に鹿屋は驚いた。
9歳も年下の、しかも女性。
自分と同じ様にどこかの会社で働いているに違いないが、この違いは何なんだ。
分譲の、いわゆる本物の「高級マンション」にも匹敵しそうだ。
廊下からリビングに入った途端、彼は立ち尽くしてしまった。
「お客さん来るの分かってたら、もっと片付けたんだけどね〜。特にアレ。…あ、いや、今回は別にいいのか……見せちゃうんだし……」
ぶつぶつと呟きながら、冨士谷はスーツの上着を脱いで、ぶっきらぼうにソファにかけた。
そのまま、う〜んと大きな背伸びをする。
しかし鹿屋が見たその部屋は、言葉と裏腹な、スッキリとした綺麗な空間だった。
ここに向かって歩いている最中も、“散らかっている”と彼女は言ったが……。
とにかく、テレビやソファ、小さなガラステーブルと収納、ほか最低限の家具以外、物があまり無い。
少なくとも、見えない。
カーテンも落ち着く茶系で、いかにもな「女性の部屋」でなく……また部屋の広さに相応の、大きいテレビや豪華な家具があるでもない。ミニマムに纏められた、センスの良い空間だ。
こんな部屋に、しみったれたおっさんの自分がお邪魔して良いのかと、鹿屋は今更自問してしまう。
と思ったら、つながったダイニングの隅っこに、スーパード○イの3リットルアルミ樽が2個あった。
あと、ワインの空き瓶も何本か。
逆に安心した。
……いや?
もう少し良く見ると……。
この綺麗なリビングにも、雰囲気に合わない、変な大きいバケツが5〜6個も隅の方に重ねてあるのに鹿屋は気が付いた。
会社の掃除でもよく使っている安物の、よくある青いバケツだ。
何に使うのだろう。
アンバランスで、不思議だった。
「しかしあんた…冨士谷さん? 一体何者なんだよ。どっかのキャリアウーマンと思うが、どれだけ稼いで……」
鹿屋の頬に汗が伝う。
ひとことで言って、甲斐性無し……。
単に努力が足りないのか、それとも根本的な才覚の差か。
どちらにしろ、やはり自分は駄目な男なんだと、一層感じずにはいられなかった。
が、そう言いながら富士谷の方を振り返った鹿屋は、またしても言葉を失う。
その富士谷が、スーツの上着だけでなく、いきなり全部脱ぎにかかっていたからだ。
「ちょちょちょ、ちょっと待て! 何考えてるんだおい!」
「えー? なんで止めるんですかぁ?」
鹿屋が見た時には、彼女は……
既に上はブラのみ、下はタイトスカートをとっくに脱ぎ、ショーツとタイツのみになっていた。
しかも脱いだ物は、ぽいぽいと、そこらに適当に散らかされていた。
酔っ払いにも程がある。
「なんでって、逆になんで脱ぐ!? 酔いすぎだあんた!」
「だって、お風呂入るって言ったじゃないですかぁ? 私のうんこ風呂。これから作るんで、汚れないように。その方がカノさんもうれしーでしょう?」
「いや言ったけど! ためらいも何も無いのか!? 危ないだろ! 俺に襲われたらどーすんだよ! 自殺しようとしてたんだぞ!? 破れかぶれで……」
「襲われないですよ? カノさん。だってあなた、優しい人です」
「えええ……」
一体何なんだ、この女は。
今まで出会ってきたどの女性とも違う。あまりに変すぎる。
さっきの小悪魔的な笑みとは違う、今度はやさしい、本当に目の前の男を信頼しているような笑顔だった。(酒臭いが)
こんなかわいい子が、こんな……。
しかも、にっこりと「うんこ風呂を作る」なんて……。
鹿屋の額に、さっきとは違う汗が伝った。
「お風呂場に行くよ。カノさんも脱いで。…あっ、私が脱がしてあげようか?」
「……いいえ、自分で脱ぎます」
もう完全に理解を超えている。
いっそ、好きではないが自分も酒を飲むべきかもしれない。そう鹿屋は思った。きっと、あり余るほど、この部屋には常備されているだろう……。
これから本当に何が起こるのか、彼女の言葉は真実なのか。
ぐちゃぐちゃになった頭を抱えながら、鹿屋は冨士谷に背を向け、自分もスーツを脱ぐ。
シャツも、下着も……。
脱ぎながら嫌でも耳に入る、背後の衣擦れの音が生々しい。
しかし凄まじい異常な事態の連続に、冨士谷の半裸を見ても、鹿屋はさっぱり勃起しない状態であった。
自殺を決意するほどの日々のストレス、疲れの影響も多分にあったが……。
だが、理解を超えた状況というのは、これから起こる事こそが正に本番だったのだ。
夢か現か、夜はまだ始まったばかりである。
「んじゃあ、服も脱いだし、お風呂行くぞー!」
「お、おお……」
この女……男らしすぎる。
彼女の異常なテンションに圧され、思わずそう呟きそうになった鹿屋である。
脱いで更に一段階ひどくなったような気がする。
一体この女の倫理観はどうなっているのか、酒癖がひど過ぎるだけなのか……それとも出身が薩摩隼人なのか。
冨士谷は、本当に完全に脱いでしまった。
連れ込んだ男の目の前で。
全裸のまま、堂々たる「仁王立ち」で、その男、鹿屋と相対しているのである。
背すじ真っ直ぐ、腕組みをして……
何がそんなに楽しいのか、満面の笑みで、下も上もまったく隠さない。
黒い髪も肩までしかないので、何の遮りにもならなかった。
(女の裸を生で見るなんて、どのくらい振りだっけ……。しかし、見ていいのか……いいんだよな……?)
こうも見せつけられては、逆に疑問符を付けざるを得ない鹿屋だった。
が、小柄で、白く柔らかな彼女の肌は美しい。小さく茂った股間も、程よい大きさの胸も、すっかり露わになった。
確かに、堂々と見せ付けるレベルのスタイルではあった。
スーツ姿の時の、何となくの鹿屋のイメージ通りに、スレンダーな裸体だ。
背が低めなこともあって、27よりもかなり若く見える。
現役女子大生でも通りそうだ。
あまりに堂々たる態度と相変わらずの酒臭さが玉に瑕であった。
鹿屋の方も、彼女に促されるままトランクスまで全部脱いでしまったのだが、
(せっかく腕組みしてるんだから、せめて胸を隠せよ……)
などと考えていた。
アニメファンにならば「ガイナ立ち」と言った方が通りが良いだろうか。
いっそ清清しい。
何が彼女をそうさせるのか、得意げですらある。
“裸になって何が悪い!”
と身体で表現していると言うか……おどおどとし、迷いながらも男の性で色々見てしまう鹿屋とやはり対照的であった。
「ほぉ〜… カノさん、結構立派なのをお持ちで。でも全然たってないね。やっぱり良い人だね」
「それは男を傷つける言葉だぞ……。と言うか、男のコレだって色々繊細なんだよ。女の裸で無条件に勃つわけじゃない」
同じ見るにしても「恐る恐る」の鹿屋に対し、至極当然といった風に、富士谷は真正面から視線を向ける。
力強く組んでいた腕は、さっきの玄関でのように両腰にあて、腰を少しかがめて……何やら珍しい植物でも見るかのような様子だ。
そして鹿屋の方も、真上から見下ろす形になった彼女の胸から視線を外せない。
小ぶりだが、触ったら手に吸い付きそうな……良いモノだ。
だが正直、それよりも、自分の息子を手で隠したい鹿屋であった。
好奇の視線が強すぎる。
であるが、隠したら負けな気がして、我慢する。
「ふーん。じゃ、私のうんこ風呂で暖まってくれたら、大きくなる?」
「あんた、相変わらず凄いこと平気で言うんだな……。しかしうんこ風呂だぞ? うんこだぞ? ホントに分かってんのか?」
「もちろんだよ? これからお風呂場行ってぇ、バスタブに寝っ転がってもらってぇ、そこに私がまたがってぇ…んで、カノさんの上でうんこするの。いっぱい。……で、おっきくなる? 興奮する?」
更に凄いことを明言されてしまった。
しかも細かく具体的に。
この酔っ払いが……。もはや呆れた表情で、鹿屋はそれに答える。
「……ああ、なる。勃起する。興奮する。……本当に、現実に、そんなことが出来るなら……何だってする。命を懸けたって良い。死んでもいい。その位、やってみたかった」
「当たり前だけど、汚いよ? ……すっごく、臭いよ。丸一日経っても体中、ニオイ取れないこともあるよ? いいの? 本当に?」
今度は上目遣い、鹿屋の顔を覗き込むようにして、富士谷が聞いてきた。
ここまで来た鹿屋には、今さらの問いだった。
文字通りに、お互い何も隠さない、裸だ。言いたい事を、全部ぶちまけようと彼は思った。
「なんだ、今さら…… なら言っちまうが、その汚いのが良いんだ。勘違いはして欲しくないが、うんこなら何でも良いって訳じゃないぞ? 君みたいな…かわいい女の子のやつがいい。
きれいな女の子が、滅茶苦茶汚いものを生みだす……そんなのが大好きなんだ。それも大量に。現実には不可能だけど、昔のギャグ漫画みたいな、大量のうんこを産み出すところが見たい。それを直接、浴びたい。バスタブ一杯とか、ドラム缶一本分くらい」
「……ほんとう?」
「ああ、本当だとも。もし現実にそんな女の子が居たら、恋人にしたい。嫁に欲しいよ」
「お嫁さんに?」
「うん。世界一の金持ちになれるか、大量にうんこ出してくれる嫁を貰うか、どっちか選べって言われても俺は迷わない。馬鹿なこと言ってるのは、自分でも分かってる。…でも、だから」
震える声でそこまで言うと、鹿屋は一度言葉を切った。
そして、かしずくようにして、中腰の富士谷と視線の高さを合わせる。
ほんの数秒だけ躊躇ったが、彼は最後まで言い切った。
「もし出来るなら……その……。 君の、富士谷さんの産み出すうんこを浴びたい。実際そんな、大量じゃなくてもいいから。……死ぬ前に、一度でいいから。君のうんこを浴びて、その温もりに包まれたい。あんたのうんこはきっと……最高だ」
「……うれしい。でも、カノさん。死ななくて大丈夫だよ」
――嬉しい?
どういう意味と聞く暇も無く。
鹿屋は冨士谷に引っ張られ、浴室に入った。
暗闇と静寂の、深夜2時過ぎ。
幻か現実か、境目の曖昧なひと時が始まろうとしていた。
「おお…!? 風呂場もでかいし、きれいじゃないか……いいのか?」
「ん〜? いいのいいの。どうせ……。 それに、綺麗に見えてもね、実は私のうんちで、今までも結構汚しちゃってるから。その度に掃除してるけど……」
「ああ……自分でも、そう言う……。一人遊びしてたって事か」
案内されたそこは、リビングに見劣りせぬ、これまた立派なお風呂だった。
一人暮らしには少々どころか、過大な気がする。
壁の一面だけが御影石調になっており、他の壁と、大きなバスタブの白さが映える。
大人が足を伸ばしてなお、余裕を持って湯に浸かれそうだ。
脱衣所とはガラス張りの壁で仕切られている。ちょっとした高級ホテル並みだ。
改めて、一体どれだけ稼いでいるのかと考えてしまう鹿屋であった。
「君みたいな女の子に、最後の最後で出会えるなんてな……。スカトロ趣味の女の子と知り合うなんて、不可能だと思ってた」
「あ〜…、あのねぇ……。別に私、そう言う趣味持ってる訳じゃないし」
「そう、なのか……」
「一応言っとくと、その手のビデオ出たとかでもないよ。そーいう趣味の彼氏もいなかったし。……うんちで汚れたっていうのも“遊び”では無いんだなぁ…。止むに止まれぬ、と言うか。……じゃ、バスタブに寝てもらおうかな。ちょっと冷たいし、硬いけど我慢してね」
「ん、分かった」
「うんこ風呂」なんて凄まじい単語をさらっと言ってのける上、実際自分でもやったことがあるっぽい発言をしていた彼女。
しかし、そういう趣味ではないと言う。
いくらなんでも、ここまで来たら嘘はあるまいが……。
鹿屋は不思議に思った。
「――ひょっとして富士谷さん、あんたもストレス溜まってた?」
「ん……まぁね。本当はね……私もカノさんみたいに、あの橋で叫びたい気持ちだった。上司のバカヤロー! 会社の女ども死ねー! とかね。……おんなじ。毎日大変で、いっそ死んでやろうかって、時々思ってた」
「おんなじ、か……」
鹿屋は呟きながら、白いバスタブの底に、言われるまま横たわる。
湯の無い浴槽に寝転がるのは、そう無い体験だ。
ほんの少し両足を曲げて……確かに背中と尻が少し痛い。見上げる天井の照明も少し眩しかった。
「それと、ストレスもだけどね……溜まってるのは、こっち。お腹の方もだよ。私、身体小さいけど、凄いたくさん出るからね」
「はは…。期待してるよ。それに男を捕まえて部屋に連れ込んで、うんこ浴びせようなんて思うくらいだから、富士谷さんのストレスも相当だな」
富士谷はそれには答えず、がばっと、大股を開いてバスタブに乗っかった。
バスタブ両脇の細い部分に、器用に両足を載せる。
ちょうど、巨大な和式便器に跨るように。
騎乗位でセックスするのに似た態勢になって上と下、高低差90センチで鹿屋と彼女は向き合った。
「……絶景だ」
少々逆光になるが、彼女の大事な部分が全て、鹿屋の眼前に晒された。
胸はもちろん、あまり使いこんでいない様子の、清楚なアソコも。
どのくらい出してくれるのか、これから主役を張る予定の、すぼまった肛門も。
このまま彼女が排便してくれたら、ヘソの辺りに湯気の立つ大便を感じることになるだろう。
鹿屋にとって、天国の情景であった。
「……あと一つ断っておきたいんだけど…。こんな事するの、カノさんが初めてだよ。初体験。……うんこ浴びせよう、なんて」
「そりゃ……光栄だな。でも、そんなタイミングよく、うんこ出るのか? イチヂクとか要らない?」
「うん…大丈夫。私ね、最近こういうの、少しコントロール出来るようになったから。じゃ……いい? うんち出して……いい?」
「夢みたいな台詞だな。……ああ。頼む」
「バケモノ、なんて言わないでね……」
ぽつりと、富士谷は呟くように言った。
その一言は違っていた。
酔っ払って、ふざけた口調だった、先程までとは。
「……? 意味が… 何を言って……」
「あっ… あ、あの橋で、あんな事を叫んだカノさんが悪いんだからね……! んっ…! 私の溜まってたやつ全部……! 受け止めてもらうよっ……!!」
「悪い? えっ、ええ?」
「うぅっ… くっ…! そ、それと……本当に溺れて、死なないでよ……!!」
バスタブに跨って排泄姿勢を取る、彼女。
いきみ始めたのか、小柄なその身体がぶるぶると震え出した。
だがそれ以上に、明らかに彼女の雰囲気が変わった。
……何か。
何か思い出すのは、日本昔話とかの、美女に誘われてホイホイ着いて行ったら、実は妖怪で喰われそうになりました……というお話。
いや、まさか。
「はぁ、はぁ… あっ…、う、うあああっ……!! う、うんち……出るよっ! カノさんの望み通り、バスタブ一杯出してあげるからね……!」
「お……おう! 何か知らんが、気合入ってるのは分かった! 出せるだけ、全部くれ! 俺を、君のうんこで溺れさせてくれ!」
見上げる鹿屋の心拍も上がっていく。
馬鹿な事を考えている時ではない。
酔っ払いぶりは別として、正直かなりかわいい彼女の、ちから一杯の踏ん張り姿。
美しい。
出産とは流石に比べられないだろうが、見事なきばりっぷりだと彼は思った。
しなだれていた彼の男根も、感激と興奮、期待感で硬く持ち上がっていく。
バスタブ一杯のうんこ。
溺れるくらいの大量排便……あくまでも比喩だと……彼はそう思っていた。
「くぅっ… あ、あああ…! 出る…! ほ、ほんとに……こんな……人にうんこぶっかけるなんて……! あ、ああああっ!!」
異常な興奮か、便意の苦痛か、排泄の快感なのか……富士谷の顔はすっかり乱れていた。
先程までの、酒に酔っての乱れとは違う。
彼女から産まれてくるはずの排泄物を受け止めるため寝そべる鹿屋は、それを見て、黙って右手を差し出す。
富士谷は、曲げた両膝にあてていた左手を、同じく差し出した。
それは……二人の手が繋がった瞬間だった。
――むぼっ…
ぷっ……ぷぷぷっ……
ぼとっ! ぼとととっ!
「あうぅっ! く…うぅぅっ…!」
「うっ!、うおおおおっ!? すっ…凄い……!!」
ついに待ち望んでいた排泄が始まって、鹿屋は歓喜の声を上げた。
まず……落石のような、塊の排便があった。
山道を走っていて、崖からゴロゴロと茶色い石が転がり落ちてきたような。
いきみと共に、急激に拡がった彼女の排泄口、そこから硬い便の塊がいくつも次々に滑り落ちてきたのだ。
彼女の直腸に溜まっていた先っちょの方、秘結した部分だ。
でかい。
産卵にも似た産みの苦しみで、富士谷の小さな体がのけぞる。
こげ茶色で、ごつごつとして、それも一個一個が大人のこぶし大はある……。
あの小さな肛門がよくここまで拡がったものだ。
何個かは鹿屋のたるみかけた腹を転がり落ち、ごろん、とバスタブの底で重い音を立てた。
「で、でか……! これが本当の……女の子の……! 感激だっ……!」
身体で受け止める鹿屋は、自らの腹部に感じるその重さ、その温度、そのざらざらした便の感触に、素直な感動を漏らす。
空いた左手でその便塊を一個掴んで、玩ぶ。
力を入れて、握りつぶしてみた。
更にもう一個も。
小学校の工作の思い出、紙粘土を思い起こす触感だ。
よどんだ中年の瞳ではない。
まるで、小さな子供が欲しかったオモチャを手に入れた瞬間のように、彼の眼は輝いていた。
「その小さな腹に、よく溜め込んでたなぁ……! 最高だよ……!」
「はぁっ、はぁっ… は……何言ってんの、まだまだよ、まだ……これからが本番なんだから……!」
「……え?」
…むちゅっ! ……ぶ、ぶりゅりゅりゅりゅりゅりゅっ!! べちゃっ!!!
どぶりゅっ!!
にちゅちゅっ! むちゅっ! むちゅちゅちゅちゅっ……!!
「う、うおおぉ!?」
またしても鹿屋は大きな声を上げる。
第二波で落ちてきた衝撃に……。
下腹部を圧迫する重量で、吸い込んでいた空気が口から抜けていった。
堰を切ったような、と言うのは、正にこういう時に使う表現なのかもしれない。
それは明らかに、さっきよりも柔らかく、もっと温かかった。
そして重かった。
最初の便、こぶし大の硬い便が出尽くすと、今度は――やや明るめの茶色をした、これまた見事な一本糞が富士谷の肛門から溢れてきたのである。
茶色く、長い動物の尻尾を思わせる……。
この柔らかな便ですら、鹿屋の一物を凌駕する太さだった。
排泄に震える、富士谷のおしり。
その中心にある、大きく拡がった彼女の穴。
ひくつく頬と同じくピンクに染まったそこから次々に、一瞬の途切れも無く、茶色い排泄物が生まれ続ける。
堰と言うより、華厳の滝もかくやという流麗な大便の落流がそこにあった。
「ふっ、ふっ! ふうぅぅっ!! う…うんち……! うんち止まんないぃ……!」
「ほっ…本当にあんた……何処にこれだけ溜め込んでたんだ!? 何日分だよ!? 何食ってたらこんな……! でも、すげぇ…… 最高だよ富士谷さん! あんた世界一の女だ……!」
時ならぬゴールドラッシュが巻き起こっていた。
鹿屋の腹の上で、最初は古典ギャグ漫画で見るようなとぐろを巻くうんこが出来上がった。
それは、ほんの数秒で、降り積もり続ける便に壊される。
富士谷の肛門を源とする、極太の大便の滝は枯れることがなかった。
その後は無秩序に、積もる傍から自重と新たに降ってくる便につぶされて、広がっていく。
白いバスタブが、まるでカレー皿のようになっていく。
その皿に寝転がる鹿屋は、ただ受け止め続けるだけだった。
天を衝いて立ち上がった鹿屋の男根も、じわじわと押し寄せてくる軟便に、飲み込まれていった。
それがまた、言葉に尽くせないほどに心地よい……。
(こっ……これ、本当は……。本当は俺、もうとっくに川に飛び込んでて、死んでて、ここはあの世で……天国にいるんじゃないか)
隆起した男性器を丸ごと、出したての軟便に包まれる。
それだけで、言いようのない快感で満たされる。プロの女性との行為となど、比較にならない……。
至福としか表現ができない。
本当はそのまま、手で思い切りしごいて、彼女のうんこの中で射精したかった。
だが右手はその彼女と繋いだままで、ふさがっている。
左は左で、次々積もっていく彼女の大便で遊びたい。
もどかしいが、それもまた一興だった。
下腹部の周りを中心に、胸が、太腿が、ねちゃねちゃと人肌に温かい……。しかし、足や肩、頭はバスタブの底で痛い。
夢……ではない。
その痛みが、鹿屋の考えを否定する。
(天使かよ、この娘は……)
女性の便を実際見ること、浴びることも初めてなら、こんな量の大便を見ることも当然初めてである。
そして、期待していた通りに温かく、心地よい。そしてとにかく酷い、この大便の刺激的な匂い。
堪らなく興奮する。
酒のせいだけでない、顔を赤くして排泄を続ける……目の前にいる女性。
今この瞬間、自分のためだけに、頑張って排便してくれる彼女が……。
自分を死の淵から拾い上げてくれた、この人が……。
この富士谷という女性が愛おしくてたまらなかった。
「あふぅ…! ふっ…! せ…世界一? ほっ……ほんとにそう思う?」
「俺の天使だ。富士谷さんは……」
「天使なんかじゃ……ないよ。バケモノかもしれないよ、私……」
さみしそうな一言だった。
繋いでいた右手に、彼女からの動揺のようなものを鹿屋は感じた。
そこで一旦、軟便の滝は途切れる。
尽きた……と言うより、彼女が止めたようだった。
ぐっ、と力を込め、肛門を締めたのが鹿屋には分かった。
「あ? ああ。確かに、モンスター級の腹を持ってるのは分かったけどよ。これだけ出してくれたら感動しかねぇ。いや〜…感激した、ほんとに。下品なこと言うけどよ、もう俺、何も触らなくても射精しそうなんだよ」
「こんなに、じゃないよ」
「……え?」
「まだなんだ。……まだ、これだけしか出してないの。……私がうんち全部出し切った時、同じことを言えるかな? カノさん」
「どっ…… どういう意味だよ……?」
……ぶりゅっ、ぶりゅりゅりゅりゅっ! ぼとととっ……!
きゅ… どぶゅっ!!
むちゅっ! ぐちゅちゅっ……!!
「ふっ…! ふぅっ! あああああぁっ……!」
鹿屋の問いに、富士谷は答えなかった。
答えの代わりに、彼女は再び踏ん張り始め……また、大きく開いた肛門から極太の便を排出し始めた。
さっきと変わらない勢いで。
まるで、彼女のおしりの穴は異次元に通じているかのように……。
最初の硬い便を産み落としてから、何分経った?
延々続く排泄行為の刺激でか、和式スタイルできばる彼女の全身は震えていた。
額に、頬に、かわいらしいおっぱいにも。
玉のような汗が浮かんでいるのが、鹿屋から見えた。
終わらない。
喘ぎながら、顔を赤く染めながら、彼女の排便は終わらない。
本当に、一体どれだけ……。
(こ、これは…… 普通じゃない。普通じゃ……)
流石に鹿屋も、おかしいと感じ始めていた。
目の前には彼女の肛門が作り出す。うんこの滝。
それは太さも勢いも全く変わらずに次々、延々、鹿屋の身体を覆いつくそうとしていた。
段々とバスタブ内は埋まり、砂風呂状態に近づいていく。
それこそ望んだ事ではあるが……。
酷い便秘で大量に溜まっていたとか言う次元ではない。
いくらなんでも、一度にこんな量の排便が可能な人間がいるはずがない。
そう思い始めていた。
人間の体積は、体重50kgならおおよそ0.05立方メートル程度。
つまり5リットルである。
彼女の排便量は、とっくの昔に5リットルを超えている。
「あふっ… んうぅ……! ま…まだまだ、出るからね……!」
軽く直径5センチはありそうな柔らかな一本糞が、白いバスタブをカレー鍋に変えていく。
壊れた水道の蛇口、いやスイッチの戻らなくなったソフトクリームマシーンのように排便しっぱなしの彼女は、その肛門からの刺激を受け、断続的に喘ぎ声を漏らす。
おしりの直下で積もった軟便が、自重でどんどん周りに広がっていく。
段々と、うんこ風呂が完成に近づいていく。
それほど体格が良いわけではない鹿屋の身体は、もうほとんど覆いつくされてしまっていた。
(なんだ、これ……)
確かに望んだ。確かに、気持ちいい。
彼女の大便の、ねちょっとした感触に、温かさに溜息が出る。最高に気持ちいい。
しかし、ここがあの世でないとしたら、これは一体何なのか……?
日本昔話のような……。
さっきの馬鹿な考えが再び頭をよぎる。
(人間じゃ、ない……?)
バケモノなんて言わないで……。
彼女はそう言った。
バケモノかも知れないよ。
彼女は、自分でもそう言った。
自殺しようとしたから? この世にあらぬもの……死人と化した自分が、類を呼んだ……そうなのか?
(俺は……?)
重みで腹がちょっと苦しくなってきた。
凄まじい刺激臭で鼻を壊されそうだ。
ぐちょぐちょの便と、自分の肌の境界が曖昧になっていく。
五感を狂わされ、何もかもが曖昧になっていく。
考えるのを、やめたくなる……。
体もだが、心が溺れてしまいそうだった。
「んっ… んん〜…… はあぁ……軽く……いっちゃったぁ……」
とうとう、鹿屋は頭以外を、彼女のうんこで埋葬されてしまった。
ずっと上で跨ったまま、富士谷は恍惚の表情を浮かべる。
バスタブ半分ほどまで、彼女の大便は溜まった。
そこでやっと……今宵の、彼女の排便は終わった。
この世の常識を壊す大量排便だった。
「はぁ、はぁ…。はぁぁ……。……どう、かな? カノさんのお望み通り、全身私のうんこで包んであげたよ。……欲しかったらオシッコもあげちゃうよ?」
「……」
「何も言えなくなっちゃった? どうなの? あの橋で叫んでたこと、嘘だったの?」
挑発的な中に、何か悲しみが隠れているような……そんな問いかけだった。
富士谷はバスタブの縁から洗い場に降りると、うーん…と思い切り伸びと屈伸運動をして、それからバスタブの中を覗き込んだ。
顔だけ出た鹿屋に、またあの挑発的な笑顔で語りかける。
おしりも拭かないままなので、白く美しい太ももの間に、茶色い汚れが残っている。
そして、その鹿屋は……砂風呂というか、まるで山で埋められたような状態で、ただ目をつぶっていた。
安らかに、まるで死んだように……。
「……もっと」
「え?」
「もっとだ。うんこ風呂作るって言ったろ。これじゃ足りないよ。もっともっと…富士谷さんのうんこが欲しい」
ゆっくり目を見開いたかと思うと、鹿屋は、がばっと起き上がって言った。
上半身を起こすのに、粘着する便でかなりの力が必要だった。
そして当然、顔以外の全部が茶色い。
有明の干潟で泥んこ遊びをする子どものようだった。
「えっ…… も、もっと?」
「ああ。欲しい。まだまだ足りない。バスタブ一杯出すって言って……半分しかないじゃないか。ほら」
「半分……。う、うん。ごめん、全力できばったら、そのくらい出るはずだったんだけど……。うん。いっぱいには、ならなかったね……」
「なんだ、期待外れだな。……しょーがない、身体洗ったら、服着て、あの橋に戻るか。夜が明ける前に飛び降りないと……」
良いながら両手で、髪に付着した便を拭った。
そして大きなため息。
「ま、待って! 頑張るから! 今すぐ何か食べて、そしたら私すぐ消化できるから……もっといっぱい出せるから! だから……行かないで。死なないで……!」
富士谷にとってそれは、予想外の反応だった。
初めて、彼女は慌てた。
やれやれ……といった風な表情を作る鹿屋に、富士谷は自分が汚れるのも構わず……すがりつくようにして叫んでいた。
「……嘘だよ」
「え……」
「ごめん。嘘だ。もうあの橋には行かない。人生の最後の最後で、この世界に天国を見つけたからな。富士谷さん、あんた、誰が何といおうと、あんた自身がどう思おうと……俺の天使だ。死ぬ理由なんか、もうない」
「本当に? 本当にそう思ってくれるの?」
「ああ。……ちょっと、酒臭いけどな……。オシッコはまぁ良いけど、ここで吐いたりはしないでくれよ。俺、こんな性癖だけど、ゲロは駄目なんだ」
「……変な人、カノさん。変な人だよ……」
「あんたもだろ。変な人だよ、富士谷さん」
どう考えても異常な状況だ。
だがそんな中で、二人は……鹿屋だけでなく、富士谷も、子どもに戻ったように笑いあった。
――こんなかわいい、それも自分のためにうんこ風呂作ってくれる娘なら……妖しだっていいじゃないか。
どうせ自分も、実際に死のうとした、この世とは既におさらばした人間なのだし……。
フィクションの世界のことだと思っていた大量娘は、実在した。
そういう事なんだ。
それだけの事だ。
うつつか幻か、まどろんだ思考の中、そう鹿屋は思った。
彼はただ、全身を包む富士谷の便の温もりとニオイと、そして彼女の笑顔に全てをゆだねた。
「は〜……。しかしこんな、気持ちいい物だったんだな……かわいい女の子に出して貰ったうんこで入る風呂って。辛いことも何もかも、どうでも良くなってく……」
自分の願いが具現化したバスタブだ。
底なし沼のように溜まった便に、もう一度鹿屋は全身を横たえた。
泥と同じ、抵抗の大きな流体なので、徐々に身体が沈みこんでいく感覚が楽しい。
まさに夢にまで見た、大量少女のうんこ風呂だ。
もともと人間の体温と同じ熱しかないはずだが、何故だろう。不思議とあたたかく、冷める様子がない。
あまりの興奮でそう感じるのか、それとも彼女の出すモノが特別なのか……。
しかし、どんな高級旅館や秘境の温泉より、価値のある湯であることは間違いなかった。
「そんなに、私のうんち気持ちいい?」
「麻薬みたいだ。……って言ったら危ねぇけど……。本当、死ぬのが嫌になる。身体が若返ってくみたいだ」
本物の温泉に浸かっているかのように、鹿屋の声はゆるんでいた。
“生きるのが嫌”だった1時間前と、全くの逆。
凄まじい効能である。
「こんな気持ちいいこと、一回きりなんて勿体ない……あっ」
「何?」
「富士谷さん、そう言えば、これ……この大量のうんこ、終わったらどう片付けるんだ?」
「ああ、それはね。簡単。いっぱいお湯足して割って、ゆる〜く溶いてから栓抜けば、なんとか流れてくから。まぁ常にかき混ぜてないといけないけど。で、あとは掃除するだけ」
鹿屋の顔を覗き込みながら、富士谷は答えた。
風呂の床に女の子座りで、バスタブの縁に両腕と上半身を預けている。
「ええ… このドロドロのうんこ……うんこだぞ? 風呂でそのまま流して大丈夫なのかよ」
「ちゃ〜んと、私調べました! 実はトイレもお風呂も、流れてく先は同じなのです! 結構びっくりでしょー? だからお風呂でうんちしてもオシッコしても、全然平気なのですよ! あとで掃除すれば!」
得意げに胸を張る。
潔癖症の人間が聞いたらショック死しそうな事を、高らかに謳う富士谷であった。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています