ふわり、と。排泄を終えた体を風が撫でる。
いつものように、外で終えたみたいに。

「っ、はっ、はぁっ、はぁっ…」

常備しているポケットティッシュでお尻を拭いて、余韻に震える足を上げ、振り返れば。

「凄い……こんなに………」

思った事が、思わず口から漏れる。
2本の、凄く立派で、えげつないうんこ。

「うわ、太い……」

山盛り、と形容するにふさわしい大便の量と太さ。
まじまじと見てしまう。自分でも驚くほど、でかかったから。
繋げれば1メートルあるんじゃないだろうか?

「長い……」

腸液でコーティングされ、ぬらぬらと輝く、茶色の大便。
丸く尖る先端、野太い胴体、割れ目から覗くうんこの断面。
…気がつけば、水晶を取り出して写真に撮っていた。
断面、太さ、長さ。それぞれをはっきりわかるように。至近距離で何枚も、念入りに。

「こんなの、絶対見せられないわね…」

…ふと、口をついて出た言葉。

(…え?誰に?)

何故、見られたくないのか?
答えは簡単、軽蔑されるだろうし、恥ずかしいから。
だけど、それを否定どころか受け入れ、あまつさえ見たいと言ってくれたら?
なぜ毎回写真まで撮っているのか。なぜ後片付けの際、なぜ勿体無いとまで思うのか。

「…………。」

気がつけば、指が画像の送信ボタンに伸びている。
押すな、と理性が止める。
こんな恥ずかしいモノを見せるのか、と。
見せたい、と本能が押す。
こんな凄いモノを誰にも見せずに処分するのか、と。
自分が変態の自覚は十分にある。だからこそ、その狭間でぐらぐらと揺れる。
頬を伝う冷たい汗、うずいている心臓の奥。

(…私、出たら見せろって脅されてるものね)

脅されてるから仕方ない、そう、仕方ないと。
自分が産んだ逸品を見せるのも、仕方ない。
だから――――