昭和30年代はけっこう海女ネタのサスペンス映画やドキュメンタリー映画ってあったのですね。
その中でも特に傑作なのがエラブの海。
この映画で若い舳倉島出身の海女さんの潜水のノウハウを観察すると、スキルが相当高いということがよく分かります。

海面から海底に潜行していく時に指で鼻摘んで耳抜きしておらず、自力で自然に耳抜きしているし、
海底での動きがとても自然で美しい。
息の長さはある程度編集で調整出来るけど、ノーフィンでそれなりに深い海底を移動しているから、
かなり息が長くて、水深15から20mぐらいのところを平気で移動しながら獲物を探しているのも分かる。

それから鮫を射止めた直後に浮上するシーンは流石に苦しげだけど、それでも鼻の両方の穴を片側ずつ上手に息を出しながら浮上していて、ちゃんとした型は崩していない。そして浮上すると独特の磯笛。

恐らく20歳前後の海女さんだろうけど、裸でノーフィンでこれだけのノウハウで海底で漁や作業を出来る人なんて今の日本ではまあほとんどいないんだろうね。
こうした海女さんが更に技量を積んで、フナドとして腰ひもと錘をつけて更に深い海底で漁をするシーンを撮影したダイバーさんは、
そりゃ一生忘れられない夢のような圧巻のシーンだったでしょうね。
目の前で若い海女がほとんど裸で、ゴム風船付ゴーグルとサイジと腰ひも錘だけの姿で漁をしている姿撮影させてもらっているのだから。