美しさには勝てない。
なぜ、自分は昭史(あきふみ)のように綺麗に生まれてこれなかったのだろう。
双子の弟。昭史…。 昭史……お前が憎い。

君は菊の葉 僕は菜の花

おれ、昭史は兄の俊史(としふみ)から執拗に陰湿ないじめを受けてた。
家に居るのが嫌になることもあった。
「はぁ……」
と、最近溜め息をつくことが多くなった。
その溜め息を聞いて、すぐに駆け寄ってくるのは亮(りょう)。
おれは亮が好きだ。
「あのさ…」
「また…昭史か……」
「…うん……」
「なにが…また、ボールペン折られたのか……」
もう、何本ボールペンを折られただろうか…
「もう……やだよ…」
ポタッと涙が一粒落ちた…