正直に言って、Sさんがどんな人なのかろくに知らないうちから
その容姿や雰囲気から、嫌だな・・・と感じてしまっていたのは事実でした
そういうのは表に出さないようにしていたつもりでしたが、知らず知らずのうちに
表出してしまっていたのでしょう それで相手を傷つけてしまったのだと

そこで、またもや、わたしの中のある苦い記憶が鮮明に蘇りました
学生時代にわたしは愚かな先入観や勘違いからある人をとても傷つけてしまって
その人の人生に重大な影響を及ぼしてしまったことがありました
それは人生で一番辛い思い出として今でもわたしを苛んでいます
もしできることなら、その人にだけは今の自分の不様な姿を
たっぷり見てもらいたいとさえ思っています
そうすれば少しは気持ちが楽になるかもしれないからです

一度でいいから愚かな夢を叶えてはもらえないか? とSさんは懇願します
目の前にあるのはプライドが高く、キザで、傲慢で、意地悪な人の姿ではありませんでした
わたしはSさんが心の中の真実を語っているという思いに賭けました
数時間後、わたしは賭けに大負けしたことを思い知らされるわけですが・・・