= ∫ φ*Aφ dx dy dzで与えられる. 量子力学の3公理 0770名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:11:08.43ID:??? φ(x,y,z,t)の絶対値の自乗 φ*φは,点(x,y,z)における単位体積当たりの粒子の存在確率を表し, その積分は粒子は空間に広がって存在するが,全体では1個であるというきわめて自然な条件を表している. 演算子の対応を比較ℏ = h/(2π).h/(2π)の導入は運動量演算子のところとエネルギー演算子でなされ, 量子性を反映した状態関数の波動性を示している粒子の全エネルギーはハミルトニアン 0771名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:11:32.27ID:??? 量子コンピュータは, 従来のコンピュータでは解くことが難しいとされていた 複雑な問題を解きうる可能性 を秘めている. さらに, 量子技術の急速な発展により, 量子コンピュータは現実のものとなりつつある. 現状の量子コンピュータは, 量子ビットの数や精度良く計算可能な量子回路の深さに制約があり, 複雑な問 題を完全に解くのは難しい. 変分量子アルゴリズムは, こうした制約の下でも機能すると 期待されている代表 的な量子アルゴリズムで, 量子化学, 組合せ最適化問題, 物理系シミュレーション, 機械学習といった様々な分 野への応用が提案 0772名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:11:46.70ID:??? 理系シミュレーションは, 量子コンピュータの応用例の一つとして期待されている しかし, 現状の量子コ ンピュータの制約上, 単純な手法による物理系の長時間発展 シミュレーションは困難である. そこで, 本論文で は Restarted Quantum Dynamics という変分量子アルゴリズムを用いることで, サイズの小さな系の長時間 発展シミュレーションを現状の量子コンピュータ上で実現 0773名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:12:05.61ID:??? 物理系としては, 空間格子上の 1 + 1 次元量 子電磁力学に対応する 格子シュウィンガーモデルというモデルを例にとった. そして, 同アルゴリズムが従来 のコンピュータ上でシミュレーション できないほどサイズの大きな系に対して効率的に実行可能か否かは, 格子シュウィンガーモデルの初期状態の電荷に依存しうることを解析的に導いた 0774名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:12:20.33ID:??? 広いクラスの変分量子アルゴリズムに対して, 解の候補の空間を作り出す 量子回路の表 現能力が豊かになるほど, 効率的に最適解を見つけることが 難しくなることを示唆する解析的な結果を得た また, その解析的な結果が, 量子コンピュータのシミュレータを用いた 数値計算の結果と矛盾しないこと 0775名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:12:34.10ID:??? ショアの素因数分解アルゴリズムが示唆するように, 量子コンピュータは 従来のコンピュータに比べ, 優 れた計算能力を持つと期待されている. 量子回路モデルと呼ばれる量子計算について述べる. 量 子回路モデルは 主に, 量子ビット, 量子ゲート, 測定から成る. 量子論の言葉で言えば, n 量子ビットとは n 個 の 2 準位系の合成系であり, その合成系に 作用するユニタリ演算子を量子ゲートという. 量子回路では, 量子 ビットに適当なユニタリ演算子を繰り返し作用させた後に, 量子ビットを測定することで, 計算結果を得る. このように, 量子コンピュータは量子状態を情報単位として計算を行うという, 従来のコンピュータと異なる計 算方法を実現 0776名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:12:50.33ID:??? ショアの素因数分解アルゴリズムが示唆するように, 量子コンピュータは 従来のコンピュータに比べ, 優 れた計算能力を持つと期待されている. 量子回路モデルと呼ばれる量子計算について述べる. 量 子回路モデルは 主に, 量子ビット, 量子ゲート, 測定から成る. 量子論の言葉で言えば, n 量子ビットとは n 個 の 2 準位系の合成系であり, その合成系に 作用するユニタリ演算子を量子ゲートという. 量子回路では, 量子 ビットに適当なユニタリ演算子を繰り返し作用させた後に, 量子ビットを測定することで, 計算結果を得る. このように, 量子コンピュータは量子状態を情報単位として計算を行うという, 従来のコンピュータと異なる計 算方法 0777名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:13:08.27ID:??? NISQ デバイスは, 量子ビットの数や精度良く計算可能な量子ゲートの深さが限られている 量子ビットの 数が限られていることは, 計算に多くのメモリを要するアルゴリズムを 実行できないことを意味し, 量子ゲー トの深さが限られていることは, 計算に長時間を 要するアルゴリズムを実行できないことを意味 0778名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:13:32.23ID:??? 量子コンピュータ上での量子系の時間 発展シミュレーションでは, トロッター分解を用いる [7, 8, 9, 10]. トロッター分解では, 系の時間発展演算子 を 量子ゲートとして近似的に実現するが, シミュレーション時間に比例して 必要な量子ゲート 0779名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:13:49.93ID:??? 計算可能な量子ゲートの深さが限られた NISQ デバイス上での 長時間発展シミュレー ションは困難である. こうした問題を解決すべく, Restarted Quantum Dynamics (RQD) と呼ばれるアルゴ リズムが提案 0780名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:14:07.79ID:??? 変分量子アルゴリズムと呼ばれる,一般的な枠組みとして捉えることができる 変分量子 アルゴリズムは, NISQ デバイスを用いた最も代表的なアルゴリズムの一つで, 数理最適化問題つまり関数の 最小化問題を NISQ デバイスと古典コンピュータを ハイブリッドに用いて解く 0781名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:14:26.66ID:??? 量子ゲートのことをアンザッツという 変分量子アルゴリズムの特徴は, 量子コンピュータ上で評価した コスト関数の値や その勾配の情報をもとに, 古典コンピュータを用いてパラメータ更新を行うことで, コスト 関数の最小点を探索 0782名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:14:43.78ID:??? NISQ デバイスの制約上, トロッター分解による長時間発展シミュレーションは 困難である この問題を解決しうる変分量子アルゴリズムが RQD であった. RQD では, 物理系の時間発展演 算子に対応する量子ゲートと NISQ デバイス上で 計算可能な浅いアンザッツとの差をコスト関数として表現 する 関数を最小化することで, 時間発展演算子に対応する量子ゲート 0783名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:14:56.75ID:??? 高エネルギー物理のための量子アルゴリズムのトイモデルとしてよく用いられ る 格子シュウィンガーモデルを例にとった RQD によって, サイズの小さな系に対して, NISQ デバイスの制約を超えた 長時間発展シミュレーションを実際の量子コンピュータ 0784名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:15:19.18ID:??? 時間発展演算子に対応する量子ゲートを, 格子シュウィンガーモデル の 電荷保存則を必ず満たすような粒子数保存アンザッツと呼ばれる アンザッツに近似をした. 系の対称性 を満たすように 近似量子ゲートを設計することで, NISQ デバイスの雑音の影響を緩和できる 0785名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:15:32.34ID:??? 時間発展演算子に対応する量子ゲートと粒子数保存アンザッツと の差を 表現するコスト関数の最小化には, 雑音に対して剛健な逐次最小化アルゴリズムを用いた 逐次最 小化アルゴリズムの雑音に対する剛健性 0786名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:16:04.36ID:??? アルゴリズムが効率的に実行可能か否かを明らかそのために, 同アルゴリズムで最小化したコスト関数の解析的な性質を詳細に調べた 粒子数保存ア ンザッツを用いた変分量子アルゴリズムのコスト関数の解析は, 本論文によって初めて為された 0787名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:16:18.59ID:??? 変分量子アルゴリズムのコスト関数の一般的な性質 変分量子アルゴリズムの実現において, コスト関数の最適化に要する計算量が ボトルネックとなる 変分量子アルゴリズムのスケラービリティの理解のためには, コスト関数の性質を理解することが 重要 0788名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:16:46.41ID:??? 量子コンピュータの計算原理の理解に必要な有限次元の量子論について 量子回路と呼ばれる量子コンピュータの計算モデル 変分量子アルゴリズムにつ いて NISQ デバイスの制約を超えた長時間発展シミュレーションについて 変分量子アルゴリズムのコスト関数の一般的な性質 0789名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:16:58.77ID:??? 有限次元の量子論の線型空間の次元は有限 量子論を記述するのに必要な言葉の準備と 量子論の出発点となる公理について 密度演算子という演 算子が量子系の状態を記述すること CPTP 写像という線型写像が量子系の時間発展を記 述する POVM という演算子の集合が量子系の測定を記述 0790名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:17:18.41ID:??? 2.1.1 線型空間 構造を持たない集合の中に加法とスカラー倍という演算 定義 2.1 (線型空間 [40]) 空でない集合 V が以下の 2 つの条件を満たすとき, V は K 上線型空間であるとい う. 特に, C 上線型空間を複素線型空間, R 上線型空間を実線型空間 0791名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:17:34.30ID:??? 線型空間の中に, 長さや角度の概念に対応する内積という演算を取り入れる. 定義 2.3 (内積空間 [40]) K 上線型空間 V の任意の 2 つの元 |ψ⟩, |φ⟩ に対して, (|ψ⟩ , |φ⟩) と書かれる K の 元を対応させる内積と呼ばれる演算が存在するときに, V を内積空間という 0792名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:17:47.08ID:??? 内積空間 V のベクトル |ψ⟩, |φ⟩ が ⟨ψ|φ⟩ = 0 を満たすとき, |ψ⟩, |φ⟩ は直交する また, 内積空間 V には自然なノルム ‖|ψ⟩‖ := ⟨ψ|ψ⟩ が定義でき る ノルムが 1 のベクトルを単位 0793名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:18:06.65ID:??? 内積空間の互いに直交する単位ベクトルから成る基底を正規直交基底 定義 2.4 (正規直交基底 ) K 上内積空間 V の基底 {|ei⟩}dim V が, を満たすとき, {|ei ⟩}dim V は V の正規直交基底であるという. i=1 i=1 ⟨ei|ej⟩ = δij (i,j = 1,2,...,dimV ) (2.1)01 0794名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:18:18.42ID:??? 有限次元の量子論 2.1.3 凸集合とアフィン写像 実線型空間の部分集合のうち, 凹みのないような 凸集合と呼ばれる集合を定義する. 定義 2.5 (凸集合) 実線型空間 V の部封ェ集合 W が, 任意の w1, w2 ∈ W と p ∈ [0, 1] に対して, pw1 +(1−p)w2 ∈W (2.2) を満たすとき, W を凸集合 0795名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:18:36.06ID:??? 定義 2.6 (アフィン写像 [40]) V , W を凸集合とする f : V → W が, 任意の v1, v2 ∈ V と p ∈ [0, 1] に対して, f(pv1 +(1−p)v2)=pf(v1)+(1−p)f(v2) を満たすとき, f をアフィン写像3651 0796名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:18:49.16ID:??? 線型空間から線型空間への写像として, 線型写像を定義 定義 2.7 (線型写像 [40]) V , V ′ は K 上線型空間 f : V → V ′ が, (1) 任意の|ψ⟩,|φ⟩∈V に対して, f(|ψ⟩+|φ⟩)=f(|ψ⟩)+f(|φ⟩) 0797名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:19:25.07ID:??? L (H) の線型演算子を特徴付ける固有値とトレースという量を定義 定義 2.8 (固有値 [40]) A∈L(H)があるa∈Cと零元でない|ψ⟩∈Hに対して, A |ψ⟩ = a |ψ⟩ (2.4)を満たすとき, a を A の固有値といい, |ψ⟩ を 固有値 a の固有 0798名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:19:40.78ID:??? 有限次元の量子論 11 定義 2.9 (トレース [40]) H の正規直交基底 {|ei ⟩}dim H H 上のトレース Tr : L (H) → C を,TrA = で定義 Tr A は正規直交基底の選び方に依らない. 恒等演算子, 随伴演算子, 正規演算子と呼ばれる線型演算子を定義 0799名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:20:09.72ID:??? 定義 2.10 (恒等演算子 [40]) A ∈ L(H) が任意の |ψ⟩ ∈ H に対して A|ψ⟩ = |ψ⟩ を満たすとき, A を恒等演 i=1 dim H⟨ei|A|ei⟩ (2.5) i=1 算子と1875 0800名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:20:30.41ID:??? 定義 2.11 (随伴演算子 [40]) A ∈ L (H1, H2) このとき, 任意の |ψ⟩ ∈ H1, |φ⟩ ∈ H2 に対して, (|φ⟩,A|ψ⟩) = (B|φ⟩,|ψ⟩) を満たす B ∈ L (H2, H1) を A の随伴演算子659 0801名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:20:43.14ID:??? 定義 2.12 (正規演算子 [40]) A ∈ L (H) が AA† = A†A を満たすとき, A を正規演算子 正規演算子は, スペクトル分解と呼ばれる分解 0802名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:21:06.50ID:??? 定理 2.13 (スペクトル分解 [40]) 任意の正規演算子 A ∈ L (H) は,PaPa′ =δaa′Paを満たす. 正規演算子のうち, 量子論において重要な役割を果たす演算子を定義 0803名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:21:29.22ID:??? 定義 2.14 (正規演算子の例 A∈L(H)が任意の|ψ⟩∈Hに対して⟨ψ|A|ψ⟩≥0を満たすとき, Aを正値演算子といい,A≥0 また, A,B ∈ L(H) に対して, A − B が正値演算子であるとき, A ≥ B 0804名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:21:44.12ID:??? A ∈ L (H) が AA† = IH を満たすとき, A をユニタリ演算子という A ∈ L (H) が A = A† を満たすとき, A をエルミート演算子という P ∈ L (H) が P 2 = P = P † を満たすとき, P を射影演算子365 0805名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:22:03.21ID:??? 線型写像全体の集合 L (V, V ′) に自然な加法とスカラー倍の演算を考えることで, L (V, V ′) も線型空間をな す. したがって, 線型写像全体の集合から 線型写像全体の集合への線型写像が定義6548 0806名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:22:23.11ID:??? 有限次元の量子論 12 定義 2.15 (正写像, n-正写像, CP 写像, CPTP 写像 [40]) E : L (H1 ) → L (H2 ) を線型写像とする. (1) E が正値演算子を正値演算子に写すとき, E を正写像という. (2) In をL(Cn)上の恒等写像として,E⊗In:L(H1)⊗L(Cn)→L(H2)⊗L(Cn)が正写像であるとき, E は n-正写像という. (3) E が任意の n ∈ N に対して n-正写像であるとき, E は CP 写像であるという. 特にトレースを保存する CP 写像を CPTP 写像という. 次の定理で述べるように, CPTP 写像には Kraus 表現と呼ばれる記述の方法が知られており, 量子コンピュータ上の雑音の記述154 0807名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:22:36.53ID:??? 定理 2.16 (Kraus 表現 [40]) 線型写像 E : L (H1) → L (H2) に対して, 以下は同値. (1) (2) 2.1.5 E が CPTP 写像である. lk=1 Vk†Vk = IH1 を満たす l ≤ dimH1 dimH2 個の線型演算子 Vk : H1 → H2 (k = 1,2,...,l) が あって, 任意の A ∈ L (H1) に対して, (2.8) E (A) = と表せる. 各 Vk : H1 → H2 のことを Kraus 演算子 0808名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:22:51.12ID:??? 2 つの線型空間を用いて, テンソル積空間と呼ばれる新たな線型空間を作り出す. 定義 2.17 (テンソル積空間 [41]) V1, V2, V を K 上線型空間とする. F : V1 × V2 → V が次の 2 つの条件を満たすとする. (1) 任意の |ψ1⟩,|ψ2⟩ ∈ V1, |φ1⟩,|φ2⟩ ∈ V2, a,b ∈ K に対して, F (a|ψ1⟩ + b|ψ2⟩,|φ1⟩) = aF (|ψ1⟩,|φ1⟩) + bF (|ψ2⟩,|φ1⟩) F (|ψ1⟩,a|φ1⟩ + b|φ2⟩) = aF (|ψ1⟩,|φ1⟩) + bF (|ψ1⟩,|φ2⟩) (2) V1 の基底 {|ei⟩}dim V1 , V2 の基底 {|fi⟩}dim V2 に対して, {F (|ei⟩ , |fj ⟩)} i=1 i=1 i=1,2,...,dim V1; (2.9) (2.10) がV の基底6847 0809名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:23:14.44ID:??? V を V1, V2 のテンソル積空間と呼び, V1 ⊗ V2 と書く. さらに, F (|ψ⟩ , |φ⟩) を |ψ⟩ ⊗ |φ⟩ 定義 2.17 と同様に, 3 つ以上の線型空間から テンソル積空間を作り出す 線型空間 V1, V2, V3 から, テンソル積空間 V1 ⊗ V2 ⊗ V3 を作り出せる 特に, n 個の線型空間 V から作り出せるテンソル積l k=1 VkAVk† j=1,2,...,dim V2214 0810名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:23:28.77ID:??? 有限次元の量子論 13 空間を V ⊗n 2 つの内積空間を用いて, 内積を備えたテンソル積空間を作り出す. 定義 2.18 (テンソル積ヒルベルト空間 [41]) H1, H2 を複素内積空間とし, その基底をそれぞれ {|ei⟩}dim H1 , i=1 {|fi⟩}dimH2 とする.このとき,テンソル積空間H1⊗H2の内積を,|ψ⟩=dimH1dimH2ψij|ei⟩⊗|fj⟩, i=1 i=1 j=1 |φ⟩=dimH1 dimH2 φij|ei⟩⊗|fj⟩に対して, dimH1 dimH2 ⟨ψ|φ⟩ :=で定義8745 0811名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:23:42.27ID:??? 内積を定めたテンソル積空間をテンソル積ヒルベルト空間 定義 2.18 と同様に, 3 つ以上の複素内積空間から テンソル積ヒルベルト空間を作り出す 2 つの線型空間上の線型演算子から, テンソル積空間上の線型演算子を作り出す478 0812名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:23:57.45ID:??? i=1 j=1 dim V1 dim V2 ψij |ei⟩ ⊗ |fj ⟩ に対して, i=1 j=1で定義する. L(H1 ⊗H2)に対して, TrH2 X = で定義する. ここで, TrH2 X は X の分解9874 0813名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:24:15.52ID:??? (2.13) i,k=1 j,l=1 定義 2.19 (線型演算子のテンソル積 V1, V2 を K 上線型空間とし, その基底をそれぞれ {|ei⟩}dim V1 , i=1 {|fi⟩}dimV2 とする. このとき, A ∈ L(V1), B ∈ L(V2) に対して, A ⊗ B ∈ L(V1 ⊗V2) を, |ψ⟩ = i=1 dimV1 dimV2 (A ⊗ B) |ψ⟩ := ψij A |ei⟩ ⊗ B |fj ⟩ i=1 j=1 (2.12) 定義 2.19 と同様に, 3 つ以上の線型空間の線型演算子から, テンソル積空間上の線型演算子654 0814名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:24:30.44ID:??? テンソル積空間 H1 ⊗ H2 上への線型演算子を, H1 上の線型演算子に変換する演算として, 部分トレースが 定義 定義2.20(部分トレース)H2上の部分トレースTrH2:L(H1⊗H2)→L(H1)を,X=Aj⊗Bj ∈ j j ψijφkl ⟨ei|ek⟩⟨fj|fl⟩ (2.11) Tr[Bj]Aj6541 0815名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:24:49.46ID:??? 有限次元の量子論 公理 2.21 有限次元の量子系は複素内積空間 H で表現され, 量子状態は H 上の単位ベクトルで表現 物理量は, エルミート演算子 A ∈ L(H) で表現され, 測定値はその固有値321 0816名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:25:05.76ID:??? 公理 2.22 ([40]) 閉じた系の時間発展はユニタリ演算子で記述 時刻 t1 における量子状態 |ψ(t1)⟩ と時刻 t2 における 量子状態 |ψ(t2)⟩ との関係は, t1 と t2 だけに依存する ユニタリ演算子 U を用いて |ψ(t2)⟩ = U |ψ(t1)⟩ (2.15) と関係6521 0817名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:25:25.39ID:??? 量子系の合成系に関して次のような公理を課す. 公理 2.23 ([40]) 複素内積空間 H1, H2 によって 表現される量子系 S1, S2 の合成系 S1 + S2 は, テンソル積ヒルベルト空間 H1 ⊗ H6521 0818名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:25:41.33ID:??? S1 系の物理量 A1 ∈ L (H1) は, 合成系 S1 + S2 では A1⊗IH2 ∈L(H1⊗H2)で表現される. 同様に,S2系の物理量A2 ∈L(H2)は, 合成系S1+S2では IH1 ⊗A2 ∈L(H1 ⊗H2)58 0819名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:25:58.98ID:??? 密度演算子全体の集合をS(H):={ρ∈L(H)|ρ≥0, Trρ=1} S(H)は凸集合である. 確率 pi で状態 |ψi⟩ ∈ H を準備するという 確率混合の操作によって得られた混合状態 s は,ρ =と密度演算子 ρ で記述625 0820名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:26:24.93ID:??? 混合状態 s に対して, 任意の物理量 A = 定値 a を得る確率は, P (A = a | ρ) = piP (A = a | |ψi⟩) = pi ⟨ψi|Pa|ψi⟩ = Tr[ρPa] (2.17) ii i pi |ψi⟩ ⟨ψi| (2.16) aPa の測定をして, a∈σ(A) 0821名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:26:37.20ID:??? 確率 pi で密度演算子 ρi ∈ S (H) で記述される混合状態 si を 準備するという確率混合の操作によっ て得られた混合状態 s もまた ρ =と密度演算子 ρ で記述でき, 混合状態 s に対して, 任意の物理量 A = (2.18) aPa の測定をして, 測定値 a を 得る確率は, P (A = a | ρ) = pi Tr[Paρi] = Tr[ρPa] (2.19) piρi
piP (A = a | ρi) = ii
i 0822名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:26:57.25ID:??? 合成系 S + E から部分系 S の状態を抽出する 操作によって得られる量子状態も密度演算子で記述 合成系S+Eにおける量子状態をρSE ∈S(HS ⊗HE)とし, Sの任意の物理量Aの任意の固有値aに対し て, 量子状態ρS ∈S(HS)が P (A = a | ρS) = P (A = a | ρSE) (2.20) を満たすとき,ρS を合成系S+Eの部分系Sの量子状態6954 0823名無しさん@ピンキー2024/09/28(土) 23:27:11.68ID:??? P(A=a|ρS)はρS に対して測定 をして測定値 a を得る確率, P (A = a | ρSE) は ρSE に対して測定をして測定値 a を得る確率 このと き,全体系S+Eの量子状態ρSE ∈S(HS ⊗HE)の部分系Sの状態は 密度演算子TrEρSE ∈S(HS)で記述147