それからしばらくはバイト先で尚美さんに会うと気まずかったな。
向こうは今まで通りに話し掛けてくるんだけど、 俺の方は何かぎこちなくなっちゃって。
慣れてないからなあ、ああいうこと。 でもあの夜の事はお互いに触れない。 俺は心の中で、
『失敗しちゃったな。もう無理か。ああいう場合はもっと強引な方がいいのかな。』
尚美さんとしたかった。そして早く童貞捨てたかった。
19年間で最もそれが近づいた瞬間だったのに、逃してしまった。 反省と後悔。
 しかし数日後、尚美さんがこっそりと、
「ね、こないだの、どうなったの?もう落ち着いちゃった?」
と、やらしい口調で聞いてきた。心にパアッと光が差したね。
これ逃したらもう後はないという気で、また必死にお願いした。
 俺は誕生日を二週間後に控えていた。誕生日がくれば20歳になる。
できれば童貞は10代のうちに捨てておきたい。それで、
「再来週が誕生日なので、その日までに。」
と言ってみた。すると尚美さんは明るい顔になり、
「じゃあ、誕生日の日にしようか。」
と言ってきた。でも誕生日では20歳になってしまう。
「あ、誕生日より前がいいです。」
と間抜けな事を言ってしまった。尚美さんはちょっと不審に思ったのか、
「先約がある、とか?」
と聞いてきた。 しまった。俺は10代で童貞喪失というところにこだわりすぎて、
変な誤解を与えてしまった。これには焦った。 俺は慌てて言い訳。
「そうじゃなくって・・・。10代のうちの初体験済ませたいなと思って、
尚美さんがいいし・・・。」 かなりしどろもどろになりながら訴えた。
すると尚美さんは周りに聞こえるくらいの大声で笑い出した。 
「分かったわ。じゃあ・・・。」と誕生日の二日前を指定してきた。
約束の日まで俺は禁オナニーをしたよ。
それまで毎日のようにしていた事を、我慢するのは大変で、 悶々して気が
狂いそうになったが、尚美さんとの初エッチの為にと耐えた。