「15:30から俊さんをお願いします」
対応したボーイは驚き、「今なら航平君もいるよ?」と案内するが、ひろしは「俊さんをお願いします」と変わらない。
ひろしの覚悟にボーイはそれ以上何も言わなかった。
両親が旅行でいなくなった自宅で胸踊らせ待つひろしの元に俊は40分遅刻。
しかし、ひろしは気にも留めない。何故ならずっと憧れていた男がそこにいたから。
ひろしは「俊さん…射精3000円でお願いします!」と6ヶ月貯めた500円玉を差し出す。
しかし、俊はサングラスの奥で目を曇らせ、差し出された3000円を弾き飛ばした。
「最初に最低限プレイ料金と指名料」
冷たい対応にひろしの顔は青ざめていく「3000円じゃ、足りないんですか?」
ひろしの絶望を見ながら俊は大笑いし始めた。
「馬鹿じゃね?3000円でプレイできる人間なんてどこにもいねえんだよ!」
俊は床に散らばる小銭を足で吹き飛ばすと、そのまま家を出ていった。
ひろしは必死に全財産を探した。ベッドの下に滑り込んだ500円を求めて必死に腕を出した。
やっとの事でかき集めた3000円は、ひろしの目に酷く薄汚れて見えた。
誰もいない自宅で、ひろしは一人涙を流した。