高校はシンプルなデザインのセーラー服だった。入学して、夏服になるまでのある日、同じクラスのМさんと二人で職員室に行くことになった。
Мさんはボーイッシュな子で、ちょっと田舎の中学の出身。僕の持っている情報は、中学時代にソフトテニスの県大会で優勝か準優勝かしたらしいということくらい。スポーツもできるのに、明らかに頭も良かった。

前を歩いているМさんが、渡り廊下の低い柵を越えて、段差のある中庭に降りようとしたところ(普通はそんなところで飛び越えないがちょっと近道になる)
柵に引っかかって、一瞬スカートがめくれてパンツが見えた。
一瞬だったのに、頭の中で「白と黒のボーダー!あ、違う、黒じゃない、紺!白と紺色のボーダー!」って、焼き付けた。
振り返ったМさんは、イタズラしたみたいな、照れたような笑い方をして「見えたよね?」と聞いてきた
「あー、えー、ごめんなさい」とか謝ったら、たぶんちょっと赤くなった顔でニヒッと笑って「サービス!忘れんなよぉ!」とおどけた。

そこから3年。
まったく忘れられず、卒業するまで片思い。3年生でもう一度同じクラスになった時は、かなり話すようになったけど、それでも告白はできずに片思い。
今でも忘れてないし、なんなら増幅された記憶になってる。