すいませんえっちなやつです

体が疼く。熱を持つ。
嗚呼、『また』だ。
定期的にそれは訪れる。
『私』がわたしを呼ぶ。
小指から髪の毛先まで、全身に滾るソレは到底抑えきれるものではない。ベッドの上で身をよじる。あつい、あつい―――

「………はは、ハハハッ」

乾いた笑いをこぼしながら、起き上がって部屋を出る。アイドル部の皆はもう寝ているだろう。……彼女たちには、そのままでいてほしい。これは、こんなのは私だけでいい。

『発作』が起きたら、いつでも頼ってくれ。
一人で抱え込まなくていい、可能な限り力になる、そうあの人は言ってくれた。
………彼には、迷惑をかけている。そう思う。
本当なら、部屋で。一人でどうにかするべきなのだ。そんなことを分かっていながら、荒い息を吐きながら。足は彼の寝ているであろう部屋へと向かう。

きぃ、と小さな音をたててドアを押し開く。
「…ばあちゃるさん、起きてますか…?」
返事はない。
この時間であればたまにまだ仕事をしているかと思ったのだけれど。…勿論、ちゃんと睡眠は取ってほしいのだが。
「………!」
目をやれば、けして小さくはないが彼の体格には少し狭そうなベッドの上に、倒れ込むように寝ているスーツ姿がいた。馬のマスクは床に落ちている。帰ってきて、着替えもせずに寝てしまうほど、彼は忙しいのだろう。

胸が痛む。しかしそれ以上に鼓動が高鳴る。
震えだした手を握りしめて、そっとベッドの横に寄って。かちゃり、と眼鏡を外す。

ぎしりと軋む音を聞きながら、ばあちゃるの首元にゆっくりと手を伸ばす。待ちきれない、はやく、はやくーー






「おはようございます!!!ばあちゃるさん!!!!さあ!!!乗ってください!!!!!!!!」

「ーー!?す、すずすず!?」

「トラックが私達を待ってます!!!!!」


ばあちゃるの襟首を掴み、叩き起こしたのは
真っ黒なグラサンを装備した『鈴谷』の名を継ぐ爆走少女…ッ
真清楚・神楽すず………ッ!