世界が仕事を休めている。
万有引力が仕事を放り出して、雨の粒を動かさない。
周囲の人間から声が聞こえない。まるでマネキンのように。
暫し、この異様な光景を唖然と眺めた。

この世界で、動いてるのは私だけ。これが一体何を意味をするのか、SFや夢物語などを読み漁っている人ならばおおよそ予想が付きそうなものである。しかし、それはあくまで傍観者の立場なら、という但し書きが付く。実際問題、思考がそこまでシフトするとは思えない。

私の思考回路が4周半したころに、カウントは0を表示。即時に世界は息を吹き返す。まるで何事も無かったかのように。

理解の範囲外。時計は光を消していた。