盗塁王確定の一報に、オリックス・糸井は「ありがとうございます」と話したが、普段の飛び抜けた明るさはない。表情はこわばったままだった。

 25日のロッテ戦(QVCマリン)で右太腿の張りを訴え、ここ2試合はDHでの出場。「僕も足がヤバイので」と、全力で走れないもどかしさを明かした。同時にライバルの離脱というむなしい形での決着に、複雑な心情だったのかもしれない。

 この日、53盗塁で並んでいた西武の金子侑が右膝裏痛などで出場選手登録を抹消された。西武は28日が今季最終戦の予定。3位の日本ハム・西川(40盗塁)とは大差がついており、糸井の自身初の盗塁王は確定的となった。
 それも、35歳シーズンでの盗塁王は福本豊(阪急)、大石大二郎(近鉄)と並ぶ最年長記録だ。「今年は何かタイトルを獲りたい」と臨んだシーズン。有言実行だ。14年の首位打者以来のタイトルとなった。

 身体能力の高さから「超人」と呼ばれる。13日の日本ハム戦(札幌ドーム)では大谷のプロ野球最速の164キロを右前にはじき返す適時打を放ち、超人健在を見せつけた。衰えない走力も健在。
 今季、国内FA権の資格取得条件を満たしており、オフの動向にさらに注目が集まりそうだ。あとは単独で盗塁王を獲得できるか。残り3試合。右太腿に不安を抱えるが、糸井は「もちろん出ます」と言い切った。
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