女権帝国【アマゾネス・サーガ】part5
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第6部 十二使徒戦争と聖杯の巻 第12章 サマエル(9)
十二使徒戦争の攻防は、一進一退を続けはしているものの、概ね神聖ローマ帝国の優勢に進みつつあった。
黒太子エドワールはブリテン王アルフレッドを陣営に引き込もうと画策したものの、長年の確執からうまくいかず、それでも彼が中立を宣言するにとどまったことだけでも幸とすべきであった。
教主ペトルはアヴィニョンより、自分の教主位の正統性とオルムの暴虐を訴えたものの、それに耳を貸す諸国といえば元々の同盟国ばかりであり、新たに意をともにする国は現れそうもなかった。
目下、黒太子が力を入れているのはイタリア諸国に対する調略であった。中部イタリアは、ゲルフ(教主派)の代表格であったルドヴィーコがクーデタに成功し、
フィレンツェ共和国をトスカーナ大公国と改称して元老院を解散、大公として独裁者の地位に座っていた。
しかし、ナポリ王国に亡命した元老院議長フェデリーコらを中心とする議員らは結束して国内の反大公派に働きかけ、オルム大帝も彼らに武器の援助を強化していた。
先日はついにトスカーナ市内で大公派の要人暗殺に成功した。政権は震撼したが、ここずっとエリナの色香に溺れつつあるルドヴィーコはあまり危機感を感じる様子はなく、
積極的に中部イタリアのギベリン(皇帝派)討伐に乗り出すこともしなかった。 第6部 十二使徒戦争と聖杯の巻 第12章 サマエル(9)
アンティオキアにはアンジェリーカ率いるアマゾネスの大軍が再び集結していた。その数8万・・・。
「金毛人諸国は戦に明け暮れ、十字軍を送る力などないわ・・・仮にキタールが侵攻してきても、今の私たちの兵力なら守るのは難しくない・・・
ふふふ・・・今度の戦は本気よ!!エルサレム王国を滅ぼすのよ!!!
南部からはラシェワの軍勢5万も私たちに呼応して侵攻することになってるの・・・もう男たちに勝ち目はないわね・・・
ふふっ、ジキスムントやウォルスングらを全裸にして股くぐりでもさせてやろうかしら〜!!!」
アンジェリーカの言葉に、アマゾネスらは沸き立った。
「・・・・あれから十七年か・・・兄弟よ・・・」
「然り、あれから十七年・・・一人は多すぎる・・・」
「時は満ちたか・・ならば誰をアヌンナキの元へ・・・?」
モニターを眺めていたシュメール人は、タブレットを操作して回線に接続した。
もう一人はそれを覗き込んで、うなずきながらつぶやいた。
「三人ならばちょうどいい・・・オルムの若き日の予言は成就する・・・時は満ちた・・・」
タブレットには、リカルドの画像が現れていた・・・ 第6部 十二使徒戦争と聖杯の巻 第12章 サマエル(10)
アストラハンに、遠路北京より早馬が到着した。
「大ハーン陛下よりの書状である・・!! 将士以上、広間に集結せよ!!!」
カスピ海を臨む巨大な城塞の大広間には、太守ヤズディギルドの命により、キタールの戦士らが集まっていた。
「神龍聖天大帝アルギン・ハーン、アストラハンの戦士らに遣わせる書状!!・・・」
太守ヤズディギルドの書状の朗読に、一同頓首した。
ヤズディギルドは歳の頃45、6。2メートル近い巨体に青眼白皙の容貌は、その出身がペルシア方面らしきことを窺わせた。
若き日にはコーカンドのヤークーブ・ハーンの配下であった彼は、ヤークーブの滅亡後はジャハーンギール・ハーンに属し、ジュンガルの戦い後、ジャハーンギールがアルギンに降伏してその配下となって後は
自身もキタール汗国の一角を占める驍将となり、今やキタール16将の一人として西北の枢要の地、アストラハンの守りを任されるに至っていた。
ヤズディギルドは朗々と響き渡る声で書状を読み上げた。
「・・・今や南方の役(ツィンとの戦い)一先ず止み、南賊境を侵し来たる様見えず・・よって永年の懸案たる西方の女族との戦に心を傾注すべく、・・・
汝太守ヤズディギルド、速やかに軍を発し、精兵をもって女族を討滅し、宸襟を安んずべし・・・!!!」
戦士らはときの声をあげた。大ハーン自ら、アマゾネスへの侵攻を命じたのである。 第6部 十二使徒戦争と聖杯の巻 第12章 サマエル(10)
「おお・・・今までは守りをひたすら固め、動かざるべしと・・・だが忍耐の時は過ぎた・・あの目障りな女どもをついに料理してくれる!!!」
「戦士とはいえ、所詮は女・・・しかもアマゾネスには見目麗しき美女が多いと聞く・・・ハッハッハ、これほどやりがいのある戦もないものだ・・!!」
その夜、出陣前の酒宴が華やかに開かれた。キタールの戦士らは盛んに飲み、酔った。
ヤズディギルドも酔いを醒ますため、夜風を求めて外へ出て天を仰いだ。
!!・・・?!!
満天の星の中、何やら動くものがあった。
流星か・・・?
・・・それは周囲の星よりもはるかに大きく、はっきりと見えた・・・
・・・それは、光り輝いていた・・・どんどん、近づいてくる・・こちらへ・・・!!!!
・・・それは、宙に浮かびながら光を発し、回転していた・・・見たこともない・・・これは・・・何だ!!???!!!
ヤズディギルドは、その時、今まで感じたことのないほどの感情を覚えた・・・それは、・・恐怖だった・・・ 第6部 十二使徒戦争と聖杯の巻 第12章 サマエル(10)
・・・聞こえる・・・声が・・・誰かが話している・・・
それは、不思議な声だった・・・中空の光り輝く物体から聞こえるようでもあり、・・・信じ難いことにヤズディギルド自身の頭の中から聞こえるようでもあった・・・
「・・・サマエルよ・・・サマエルよ・・・三人目は誰なのだ・・・」
・・・サマエル・・・誰だ、・・何者だ・・・!!??・・だが、・・俺はこの声を、この言葉をどこかで聞いた・・・が・・思い出せない・・・・どこだ・・誰だ・・・!!!!???
「・・兄弟よ・・・」
もう一人の声が答える・・・
「一人は多すぎて、二人ならば少なすぎる・・・聖杯が必要だ・・兄弟よ・・・」
「三人ならばちょうどいい、・・・サマエルよ、時は来た・・・オルムの我らへの約束を忘れまいぞ・・・」
・・・オルム・・・!!?・・・ローマの大帝のことか・・・なぜ・・・!!!???・・この声は何だ、何者だ・・・・・・!!!!??
光り輝く物体は、そのままどこへともなく飛去っていった。
ヤズディギルドは翌朝、それとなく周囲の者に昨夜のことを聞いてみたが、奇妙な事に誰一人、光り輝く物体を見た者はいなかった。 乙です
ついに待ちに待ったアルギンハーンが動きだしたゥ
と思ったら、なんだろうか?
UFO? 何か徐々にではあるが大きく世界が動き出そうとしている 第6部 十二使徒戦争と聖杯の巻 第12章 サマエル(11)
アンジェリーカ率いるアマゾネスの軍勢6万はアンティオキアを発し、エルサレム王国との国境を難なく突破、ラオディキアを包囲した。
ラオディキアはエルサレム王国にとって、アマゾネス女王国との最前線を守る城塞の街である。守将カスパールは数百ほどの寡兵をもって六十倍以上の女を相手に奮戦し、矢継ぎ早にダマスカスのコンラートの元へ援兵を求めた。
「・・・魔女どもは雲霞の如き数にて、このままでは支えきれませぬ!!今までのように、小当たりに当って引き上げる様子もなく、攻勢をやめる気配などありませぬ!!!・・・」
アマゾネスの戦い方は、もはや今までとは一変していた。かつて十字軍として戦い、完膚なきまでに敗北を喫したエルサレム王国軍に対する恐れの気持ちは、もはや彼女たちから伺い知ることはできなかった。
兵の練度は向上し、兵数も増強され、男権諸国の中でも最新鋭の兵器や武具を装備した彼女らは、今や男への畏怖心など、みじんも持ち合わせていないようであった。
「今、直ちにダマスカスから軍勢を動かすことはできぬ・・・もはやこれは総力戦だ・・・摂政殿下の親征を待って救援に向かうゆえ、何としても耐えるように!!!」 第6部 十二使徒戦争と聖杯の巻 第12章 サマエル(11)
コンラートの言葉に、カスパール以下ラオディキアの将士らは、とにかく救援至るまではと奮戦を続けたが、元々堅城でもないラオディキアは巧みな攻城と多勢に無勢の前にジワジワと攻められていった。
戦い方というものにも、性の差は如実に現れる。
アマゾネスの戦法は、その意味では実に女らしいものだった。圧倒的な兵力で一息に倒すようなことはせず、わざとじっくりと時間をかけて弱らせていく。男どうしの戦ならばとうに相手を倒してしまっているものを、彼女らは徹底的にからかっていたぶり、
女に敗れていく男の屈辱感を味わわせるように攻めていたのだった。
それはまるで、戦が終わって男奴隷とされた戦士を全裸に剥き、屈辱的な拷問を加えて死に勝る恥辱を味わわせるのにも似ていた。
「・・・お、女どもめ・・・小馬鹿にしおって・・攻めるのならば、早く一思いに攻め落とせ・・・!!」
やがて、アンジェリーカの元から降伏勧告状が届いた。全員城を出て無条件降伏するならば、その命だけは保障し、以後は男奴隷として飼ってやる、という屈辱的なものだった。
「・・・第1次十字軍の戦士にして、魔女どもを打ち破り、聖地奪回を果たした神の戦士たりし我らが、今また魔女どもに屈するなどあり得ないこと・・・最後の一兵となるまで戦い、栄えある死を遂げるのだ!!!」
カスパールは兵士らに檄を飛ばした。しかし、攻囲は幾日にも及び、兵糧も尽きようとしていた。 第6部 十二使徒戦争と聖杯の巻 第12章 サマエル(11)
・・・エルサレムでは、ジキスムントが全軍を招集していた。
「第1次十字軍の栄光を思え!!!・・・・如何に魔女どもが傲り高ぶろうとも、神は常に我らとともにあり・・・魔女どもを滅ぼし、我らの力を見せるのだ!!!」
戦士らはときの声をあげ、1万の軍勢はダマスカスのコンラートの六千の兵と合流すべく、ジキスムントに率いられて出陣した。
・・・かくして、ついにエルサレム王国はアマゾネス女王国との全面戦争に突入したのである。 第6部 十二使徒戦争と聖杯の巻 第12章 サマエル(11)
・・・コンスタンティノポリスでは、皇帝ヘラクレイオスがビザンツ・アフスム帝国軍8万を招集した。目下の国力では、これが動員可能な全軍であると言っていい。
エーゲ艦隊の壊滅により、制海権は完全にアマゾネスに奪われ、また先にはアナトリアの拠点ブルサも陥落したため、残る最後の拠点となったスミュルナを守るアキレウス以下八千の軍勢は女の攻囲中に孤立しつつあった。
しかも、コンスタンティノポリス対岸を制覇したアマゾネスはここに着々と巨大要塞を建設、ここを拠点に帝都へと攻勢をかける勢いである。
ブルサにはすでにアマゾネス女王国軍15万が入っていた。噂では女王ユリナ自らも親征するようである。
「魔女どもは南にはエルサレム王国と事を構え、また東方にはキタールの侵攻もあると聞く・・・今や千載一遇の好機!!三方面よりの侵攻を受ければ、魔女どもも進退窮まるであろう!!!
一気にアンゴラを突き、ユリナを捕らえて帝国の禍根を断つのだ!!!・・・これよりボスフォラス海峡を渡り、アナトリアに侵攻する!!!」
同じ頃、執拗な挑発に業を煮やしたヴァンダル王国の軍勢5万もまた、カルタゴを発し、ラシェワ女帝国へと侵攻を始めた。
・・・戦の火の手は全世界で上がりつつあった。何か巨大で禍々しいものが世界を飲み込もうとしていた。 各方面が大きく動いてると言うのに海戦だのをやってた頃のようなダイナミズムがあまり感じられなくなってきた いっきに領土拡大しそうな予感
大ハーンは女権の勢いに危機感を感じたのかな このシリーズそのものがそろそろ潮時なんじゃね
惰性ひどいし シオドキを勝手に決めないで
おれはいつまででも待ち続ける
ワンパターンで表現能力がイマイチ
構想や歴史の知識などは豊富なだけに、もっと文章表現力を上達させてもらえれば嬉しい
たとえば、>>653-654のサロメの男拷問描写なんか、あらすじかいてるだけで、
手抜きっぽいし・・・
雄大な舞台設定の中で行われる一つの見せ場(板の趣旨にも合ってるお楽しみシーン)なんだから、
こういう所をジックリ文章で堪能させてもらいたい そういうシーンは昔からおざなりで淡々としてただろ
それが作風だからそこは仕方ない
ついでに言うと女の言葉使いが古臭い品の無いギャル風で統一されてる感じ
貫録ある女も、下っ端の女も。 >>698
いや昔はその時の光景やキャラ同同士のやり取り・セリフなどもそれなりにあった
例えば、サムソン編での拷問シーンをみればいい
淡々とした作風なのは確かだが、今は同じシチュでも、数行で済ませてるw
まさに「あらすじ」。昔は違った
やっぱ惰性か
SM的な見せ場も
歴史物のドラマとしても
SFやファンタジー、メタ要素を盛り込んだ野心作としても
もう完結までひたすら帳尻合わせの穴埋め作業をこなしてるって感じで残念。
それでも投げっぱなしで尻切れトンボよりは良心的といえるのかな なんか変なのが湧いてんなあ
気に入らんのなら自分が去ればいいのに わざとらしい変な合いの手入れて顰蹙買ってた奴思い出したわw
あれでまともな感想つける人のほとんどが淘汰されてしまったんだったなー 作者さんはホムペがあるからそこに書いてくれればOK ぶっちゃけこのスレも必要ないよね
荒れるだけだし、感想はむこうで済むし 作者さんブログだけじゃなくて
本格的にHP開いてくれないかなあ
絵心のある人がアマゾネスのイラストとか送ってくれるかもしれんし つっても相当ワンパターンだからな
あんまキャラに入れ込む作品じゃないし
キャライラストなんて似合わなさげ 計算された構成
かと思ったら単にその場その場で思い付きを付け足して収拾がつかなくなってただけだったという もっとSM描写をメインにして欲しかった。勿体なかったね。 昔は壮大なスケールと信頼の構成力&筆致でワクワクしてたのになぁ
どうしてこうなった…
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うーむ…完全に投げちゃったかなこれは ( ✿ё✿) __,,,,、 .,、
/'゙´,_/'″ . `\
: ./ i./ ,,..、 ヽ
. / /. l, ,! `,
.| .,..‐.、│ .|
(´゛ ,/ llヽ |
ヽ -./ ., lliヽ .|
/'",i" ゙;、 l'ii,''く .ヽ
/ ...│ ゙l, l゙゙t, ''ii_ :.!
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.|-゙ノ/ : ゝ .、 ` .`''←┬゛
l゙ /.r ゛ .゙ヒ, .ヽ,  ゙̄|
. | ./ l ”'、 .゙ゝ........ん
l / ヽ .`' `、、 .,i゛
.l| ! ''''v, ゙''ー .l、
|l゙ .il、 .l .ヽ .¬---イ
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:! .l. } ,i'./ |
:! .| :| . / .|
:! | ;! " .|
:! ! │ │ 作者が投げたらしい
昔の信者はどうしてるんだろうな
「執筆部分が全体の何%か把握してるとはすばらしい構成力」とか言ってたが いきなり作品降臨じゃ格好付かないので
過疎スレに不自然なタイミングで期待論を演出 わりといきあたりばったりだったし、
止まる前は不意に作中出典設定ネタ広げすぎたりしてたし
収拾つかなくなったのかね >>732
作者はこの作品からスッパリ離れたわけでもないんだな
一年以上開いても戻ってくるくらいの未練はまだ持っててくれてると。 趣味で中央アジアや中東の世界史を学び始めたが
ジャハーンギールとかマフムードとかの名前を見るとこの作品を思い出すんだよなー
似たような名前や同姓同名が多いんで混乱するが 英雄王やアルギンの惨敗が見れずに終わるのは残念だなあ こういうのはいったん大きく途切れると作者も読者もどうでもよくなっちゃうからな
作者が書きつづけられる環境にいて、読者が定着している理想的状況というのは
一度失ってしまうと努力しても得がたい 俺もアマゾネス帝国に囚われの身になった勇者に変身して、
無残にも公衆の面前で尻を犯されてみたかったのに……。
「自分がすべての罪を負う。
どんな刑罰も覚悟している。
死刑になってもかまわない。
だから、この度の戦で捕虜となった部下の命は助けてやって欲しいか」
「なかなか立派な心掛けだ」
「さすがは〇〇国の勇者アンドレイと言われただけのことはある」
「アンドレイ、申し出通りにしてやってもよいが、
死刑になると、部下の捕虜解放という約束が守られるかどうか確認することはできないぞ」
「………」
「それに何万人もの捕虜が犯した罪をひとりで償うとなると、並大抵の刑罰ではすまされないぞ」
「………」
「死刑よりも重い刑、生き恥の刑、だな」
アマゾネスの国との戦いに敗れ、降伏した勇者アンドレイ。
捕虜となった部下の罪も全部背負って自分が責めを受けると公言。
はたしていかなる運命が待構えているのか………。
アマゾネス国の最高幹部たちはアンドレイの申し出を受け入れるかどうかで頭を抱えていた。
というのも申し出通りアンドレイひとりに罪を背負わせて、
他の者の刑を軽くしたり、無罪にしたり、については誰も異存はなかった。
その方が国民感情が和らぎ、占領したアンドレイの国を統治しやすくなる。
問題はアンドレイの処罰である。
多くの人間の罪まで過重すれば、当然、刑は重くなり死刑か終身刑は免れない。
しかし死刑にすれば、アンドレイは英雄視されて崇められ、国民感情に火をつける危険がある。
といって終身刑では、アンドレイの身を奪還しようとする者が出ないとも限らない。
その時、ひとりが言った。
「裁判を長引かせるのだ。
裁判中に市中引き回しや晒し者にして、
みっともない姿のアンドレイを大衆に見せつけるのだ。
そうすれば、判決が出て、死刑になろうが、終身刑になろうが、
誰も見向きしなくなる」
「どういうことだ?
市中引き回しや晒し者は刑の一環だ。
重罪人とわかっていても、判決も出ていないのに刑の執行できないぞ」
「アンドレイの申し出を逆手にとるのだ。
他人の罪まで被るという申し出が本当かどうかわからない。
その証拠を見せろ、と検察側は主張するのだ。
軍の司令官であるアンドレイは、戦犯として、本人の罪でだけでも、どっちみち死刑か終身刑だ。
その点では、検察側も弁護側もさほど意見は変わるまい。
問題は、他の人間の罪をどう加重するかだ。
例えば、奴隷の身分に落とされて、公衆の面前で、公開調教を受けるとか。
それに対して、弁護側は、アンドレイの意気込みを見せる、と約束するのだ。
アンドレイも同意せざるを得ない。
そして、散々、みっともない姿を晒した後、判決を下す。
それも死刑にしない方がいいな。
その方が、本人にとっても周りの人間にとっても屈辱的だ。
我が国に逆らった者は、名誉ある死刑さえ、許されない。
みっともない刑罰を受け、生き恥を晒さなければならない、
ということを国の内外に示すのだ」
「それはいい!」
○○国の司令官、勇者アンドレイの裁判。
弁護側は、アンドレイの申し出により、如何なる重罪も受ける代わりに、
部下の兵士たちの助命、減刑を主張した。
一方、検察側は、元々アンドレイは指揮官として最も重罪の戦犯であり、死刑は免れない。
これ以上、罪を重くするのは不可能であり、部下の罪まで加重するのは難しいと主張した。
審議の結果、検察側は少し譲歩して、アンドレイの部下の助命には賛成、
一般の兵士については減刑にも賛成した。
(将校クラスの助命には賛成するが、奴隷化等の罪はそのまま)
しかしかねてからの打ち合わせどおり、アンドレイの加重刑については難色を示した。
これも打ち合わせどおり、部下の罪まで被るという意思の証拠を示せ、と主張した。
裁判官は、検察の主張を妥当なものと了解し、弁護側に、いわば「模擬刑罰」として、
「奴隷の身分」に落とし、「市中を引き回し」、「公開調教」にかける、という提案を示した。
死刑に比べればはるかに軽い刑だが、聞くところによると、アンドレイは上流貴族出身とのこと、
奴隷の身分に落とされ、生き恥を晒すのは屈辱的な刑であろう。
弁護側はアンドレイと打ち合わせしたが、アンドレイは即座に了承した。
「如何なる刑罰もお受けします」
>>766 続き
一か月ほど後に開かれた法廷……。
勇者アンドレイは、犬の首輪よりも太い黒革の首輪を嵌められ、
手足にも同じような手枷、足枷を嵌められた姿で入廷させられた。
足枷は、両足の間を鎖でつながれ、しかも鎖の長さが30cmもないため、
歩きにくいことおびただしいし、いかなる勇者でも暴れることは難しい。
手枷はやはり鎖で胸の後ろ手で繋がれ、さらに首輪の後ろに繋がれている。
いわば高小手の状態である。
さらに口には馬に使うはみを咥えさせられている。
まさに奴隷の姿であった。
いや、奴隷以下の姿かも知れない。
アンドレイが身に着けているものは、首輪、手枷、足枷、はみ以外には何もない……。
そう、アンドレイの股間を覆うものは何もなく、拘束具以外は全裸なのである。
奴隷ですらビキニのようなパンツを身に着けることを許されるのに、
アンドレイにはそれさえないのである。
奴隷以下の姿といってよいだろう。
しかも法廷内にいる者は、アンドレイ以外すべて女なのである。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています