二

 なんと屈辱的なことだろう。
 事実上、奈穂子は引退まで三軍のままが確定したのである。
 それどころか、奈穂子は引退しても三軍のままで部活を辞められないのだ。
 なぜなら、三軍降格時の約束で、奈穂子の三軍降格中に限り、
他の部員の三軍降格は停止されるからである。
 完全に三軍制度を廃止するには、奈穂子がレギュラーに昇格しなければならない。
レギュラーに昇格できなければ、半永久的に部活を続け、三軍生活を続けるしかないのだ。

「もちろん」と部長は言った。
「これ以上、奈穂子も屈辱的な三軍生活に耐えられないだろうから、
 ここらで退部を決意してもいいのよ。
 私らも同級生として、これ以上、奈穂子の惨めな姿をみたくはないし」