四

 そうなのだ。三軍降格後も奈穂子は副キャプテンの職を解任されなかった。
 もちろん他の仕事からすべて任を解かれ、三軍担当の仕事だけの副キャプテンである。
 自分で自分に命令し、自分で自分のしごきや懲罰のメニューを考えなければならなのだ。
 予め幹部や教育係の間で決まっていることをアナウンスするだけの仕事ではあるが……。

「はい。三軍、鈴野奈穂子。三軍の降格後、この一年間、みなさまのご指導にもかかわらず、
未だレギュラー復帰の目途がまったく立たず、ご迷惑をかけて申し訳ありません。
 シーズン終了まで三軍という決定は、今の私の実力からみて当然のことだと思います。
 でも、例えシーズン最終日でもレギュラーに昇格してから引退したいです。
 最後までレギュラー目指して頑張りたいと思います。
 是非、今後も部においていただきたいと思います。
 お手数をかけますが、今後も私の指導・教育のほどよろしくお願いいたします」

「ということだそうだ。教育係、指導員の意見はどうかな」
 四年生たちは、奈穂子の日常の教育係である一年生のレギュラーたちを見渡して言った。