三十三

 翌日から奈穂子の屈辱的な三軍としての練習が始まった。
 しかしすでに練習前から奈穂子のテンションはすっかり下がっていた。
やはり24時間スクールブルマ着用が一番精神的に堪えていた。
 あれから奈穂子の三軍部員としての激励会と称して、
練習後に最寄駅近くにある陸上部行きつけの飲食店へ出かけたのだが、
当然のことながら奈穂子はそこで外部のひとにもブルマ姿を晒さなければならなかった。
 しかも三軍は練習後にシャワーを使えず、着替えも許されないから、
奈穂子は半日の練習とはいえ、汗と泥に塗れた体操服ブルマ姿のままだった。
 歓迎会の後も、一人暮らしのマンションまで私鉄に三駅ほど乗って帰らなければならなかった。
大勢の見知らぬ乗客の前で「陸上競技部、三年生、鈴野奈穂子、三軍」と書かれた体操服と
ブルマ姿を晒さなければならなかった。
 部活帰りらしい女子高生や女子学生に目ざとく見つけられて、
「何、あれ、ブルマ?」
「今時、大学生がスクールブルマ」
「あんなの穿けるなんて信じられない」
「私なら死んじゃう」
「汗と泥でドロドロだし」
「何だか臭いね」
「汚い」
などと遠慮なく大きな声で囃し立てられた。
 自宅に戻れば、洗濯されたブルマと体操服に着替えることができるが、
それでもその格好で近所のコンビニで買い物をしたりするのはかなり勇気がいる。
 しかし翌日は前日のドロドロの体操服とスクールブルマに再び着替えて登校しなければならない。
自宅での私服用のブルマと練習用のブルマは違うのだ。
練習用のブルマは指導員の許可なく洗うことも許されないのだ。